Trademark Appeal Case
著名商標の要部と混同の虞
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年異議第90635号 |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1.本件商標
本件商標は、下記に表示するとおりの構成よりなり、第9類「眼鏡」を指定商品として、平成8年2月16日に登録出願、同9年11月14日に登録第4081427号として登録されたものである。
2.登録異議申立人の登録異議理由
2−1 登録異議申立人A(ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートーナーシップ)の登録異議理由
米国ニューヨーク州所在のザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートーナーシップ(以下、「申立人A」という。)は、その関連会社やライセンシー及び販売店を通して、被服や眼鏡類及びフレグレンスその他のファッション関連商品の世界的な製造販売に携わっているものである。
申立人Aがライセンシーや販売店等を通じて製造販売している商品は、申立人Aの主な構成員の一人であり世界的に著名なデザイナーであるラルフ・ローレンによって主にデザインされたものである。その英国の伝統を基調としそれに機能性を加えたデザインと、卓越した製造技術並びに一貫した品質管理による良質の製品は、本拠地である米国のみならず日本を含む数十カ国に及ぶ世界の国々において、多くの消費者から高い評価を得ており、現在では世界的規模で事業を展開している。
申立人Aは、被服や眼鏡等のファッション関連商品の商標として、「POLO」の標章を単体でまたはそれと「乗馬の人がポロ競技をしている図形(以下、「ポロプレーヤーマーク」という)」や「Ralph Lauren」の標章を組み合わせて永年使用しており、これらは本件登録出願前から既に周知・著名となっているものである。
そして、本件商標は、「The Cork Polo Club」の文字よりなるところ、該文字は全体として何ら特定の観念を有するものでないから常に一連一体のものと認識されるものでなく、著名標章である「Polo」と他の文字とを組み合わせたものと認識・理解されるものである。
加えて、本件商標は、著名な標章である「Polo」と同一文字を有してなるものであり、しかも、本件指定商品と申立人Aの業務に係る主たる商品である被服類とは取引者、需要者を同じくする場合の多い商品である。したがって、本件商標は、その指定商品に使用されたとき、取引者、需要者をして、その商品がラルフ・ローレンによりデザインされ申立人Aによって製造販売されている商品の一種であると誤認し、商品の出所について混同を生ず虞れがあるものというのが相当な商標であり、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものであるから、取り消されるべきである。
2−2 登録異議申立人B(上野衣料株式会社)の登録異議理由
東京都千代田区岩本町所在の上野衣料株式会社は、「POLO CLUB」を同社のオリジナルブランドとして、昭和49年から現在に至るまで「被服」などの商品に継続して使用しており、20年以上の実績をもつものである。
オリジナルブランドとしての評価については、例えば、有力ファッション雑誌「メンズクラブ」の別冊として発行された「ステータスブランド、男のブランド図鑑」(昭和63年版)に「POLO CLUB」が掲載されていることからも明らかである。
さらに、近年「被服」を含めた各種商品に関する「総合ライセンスブランド」としての評価が高く、またその周知著名性が顕著である。ライセンスブランドとしての評価については、例えば、繊研新聞の「日本の有力ライセンスビジネス一覧」(1993年3月31日発行)においてナショナル・ブランドである「ポロ クラブ」が海外の有名ブランドとともに載っていることからもこれを容易に確認しうるものである。
以上のように、「POLO CLUB」は各種商品の総合ライセンスブランドとして高く評価され、またかかるブランドとして周知著名であるから、「POLO CLUB」の文字を含む本件商標をその指定商品「眼鏡」に使用したとき、これに接する取引者、需要者はあたかも登録異議申立人Bの取扱にかかる商品であるかのごとく商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあり、したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
そして、本件商標の要部は「POLO CLUB」にあるから、本件商標は、指定商品中に「眼鏡」を含む登録異議申立人Bの先願商標「POLO CLUB/図形付」(商願平5−63391号)に類似し、この先願商標の登録後においては、商標法第4条第1項第11号に該当する。
3.当審の取消理由
平成11年9月28日付けで、上記2の申立人Aの登録異議理由に基づき、
「本件商標は、アメリカ合衆国ニューヨーク州在の「ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートーナーシップ」が商品「被服、ネクタイ、眼鏡」等に使用して、本件商標の出願時には既に取引者、需要者間において著名となっている商標「POLO」の文字をその構成中に有しているものであるから、本件商標をその指定商品「眼鏡」に使用するときは、恰も上記会社あるいはこれと何等かの関係を有する者の取り扱いに係る商品であるかの如く、その商品の出所について誤認を生じさせるおそれがあるものと認める。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものである」との取消理由を通知した。
4.当審の取消理由に対して、商標権者は、期間内に何らの意見を述べていない。
5.当審の判断
(1)「POLO」の周知、著名性について
株式会社講談社 昭和53年7月20日発行「男の一流品大図鑑」、サンケイマーケティング 昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典 ’84 ザ・ブランド」によれば、以下の事実が認められる。
ラルフ・ローレンは、1967年ネクタイメーカーのボー・ブランメル社にデザイナーとして入社し、幅広ネクタイをデザインし、圧倒的に若者に支持され、世界に広まった。翌1968年に独立、社名を「ポロ・ファッションズ」(以下、「ポロ社」という。)とし、ネクタイ、スーツ、シャツ、セーター、靴、カバン等のデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出し、服飾界の名誉ある賞「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞するとともに、数々の賞を受賞した。1974年の映画「華麗なるギャッツビー」の主演俳優ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことから、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。 我が国においても、ラルフ・ローレンの名前は服飾業界においても知られるようになり、そのデザインに係る商品には、「Polo」の文字とともに「by RALPH LAUREN」の文字及び馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形の各商標が用いられ、これらの商標は「ポロ」と略称されている。
そして、株式会社 洋品界 昭和55年4月発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」の「ポロ/polo]の項及びボイス情報株式会社 昭和59年発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」の「ポロ・バイ・ラルフ・ローレン」の項の記述及び昭和63年10月29日付け日経流通新聞の記事によれば、西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け、同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。
また、ラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士用品については、株式会社スタイル社 1971年7月発行「dansen 男子専科」をはじめ、前出「男の一流品大図鑑」、株式会社講談社 昭和54年5月発行「世界の一流品大図鑑’79年版」、株式会社チャネラー 昭和54年9月発行別冊チャネラー「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」(昭和55年11月発行)、婦人画報社 昭和55年12月発行「MEN’S CLUB 1980、12」、「世界の一流品大図鑑 ’81年版」(昭和56年5月発行)、前出「舶来ブランド事典’84 ザ・ブランド」、株式会社講談社昭和60年5月発行「流行ブランド図鑑」のそれぞれにおいて、眼鏡については、「世界の一流品大図鑑’80年版」、「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」のそれぞれにおいて、「POLO」、「ポロ」、「polo」「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフ・ローレン(アメリカ)」等の商標の下に紹介されていることが認められる。
なお、ラルフ・ローレンの「POLO」、「ポロ」、「polo」の商標について、上記認定事実とほぼ同様の事実を認定した判決(東京高裁平成2年(行ケ)第183号、平成3年7月11日判決言渡、平成11年(行ケ)第250号、平成11年(行ケ)第251号、平成11年(行ケ)第252号、平成11年(行ケ)第267号、平成11年12月16日言渡)がある。
以上の事実を勘案し、上記判決をも併せ考慮すると、「POLO」の商標は、我が国において、本件商標の登録出願前にラルフ・ローレンのデザインに係る商品「被服、眼鏡」を表示するものとして取引者、需要者の間に広く認識され、周知、著名な商標になるに至っていたものと認められ、その状態は現在においても継続しているというのが相当である。
(2)出所の混同のおそれについて
本件商標は、下記に表示したとおりであるところ、これよりは全体として不可分一体の既成の観念を示すものとして一般に広く認識されているともいい難いものであり、「The」、「Cork」、「Polo」、「Club」の各文字よりなるものと容易に理解されるものである。そして、本件商標の構成中には前記のように、本件の指定商品に係る取引者、需要者の間において周知、著名な申立人Aの業務に係る商標「POLO」及び「Polo」と類似する「Polo」の文字を含むものであることを容易に理解させるものである。
そうとすると、本件商標をその指定商品である「眼鏡」に使用するときは、これに接する取引者、需要者が構成中の「Polo」の文字に着目し、これより周知、著名な商標「Polo」の標章を想起し、該商品がラルフ・ローレン又は同人と組織的、経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如くその出所の混同を生ずるおそれがあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものといわざるを得ない。
6.結論
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の3第2項の規定により取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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