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Trademark Appeal Case

ライセンス関係と混同の虞

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年異議第90686号
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4082569号商標の登録を取り消す。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4082569号商標(以下、「本件商標」という。)は、別記に示すとおりの構成よりなり、第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス」を指定商品として、平成5年2月15日に登録出願され、同9年11月14日に設定登録されたものである。

2 本件登録異議申立ての理由

本件登録異議申立人(以下、「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第4条1項15号に該当するとして、申立人がその業務に係る「被服、眼鏡」等の商品に使用し、広く一般に知られている「Polo」の文字と同綴りの欧文字を表してなり、かつ、本件指定商品と上記商品とは取引者、需要者を同じくする場合が多いところから、本件商標をその指定商品に使用した場合には、商品の出所について混同を生ずる虞がある旨主張し、証拠方法として甲第2号証乃至同第11号証を提出した。

3 登録取消理由の通知

当審において本件登録異議申立てを審理し、本件に係る商標登録は、次の理由により、商標法第43条の3第2項の規定に基づいて取り消すべきものと認めるとして、商標権者に対し、同法第43条の12に基づき取消理由を通知して、意見を求めた。

本件商標は、ザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド(アメリカ合衆国ニューヨーク所在)が、商品「被服、装身具、香水、眼鏡」等に長年使用し、本件商標に係る登録出願前から需要者の間に広く知られている商標「POLO」、「ポロ」(以下、「引用商標」という。)と類似するものであり、これを指定商品に使用するときは、恰も上記会社と何らかの関係を有する者に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生じる虞がある。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものである。

4 本件商標権者の意見

本件商標権者は、本件取消理由の通知に対して、以下のように意見を述べ、証拠方法として乙第1号証乃至同第6号証を提出した。

(1) 申立人は、本件商標権者が所有する登録第1447449号商標(乙第2号証)、登録第1434359号商標(乙第3号証)の通常使用権者である。この事実は、 昭和62年1月1日発効のライセンス契約書(乙第4号証)に示す通りである。

よって、ライセンス契約発効後は、申立人と商標権者は、通常使用権者と権利者の関係にあり、申立人と本件商標権者は相互に、昭和62年1月1日以後は、商標法第4条第1項第15号に規定する「他人」には当たらない。

さらに、商標法での使用許諾制度は、商標権者と使用権者との間で出所混同が生じることは、はじめから予定されていることであり、使用許諾者である本件商標権者と使用権者である申立人の間で商品の出所について混同が生じても問題はない。

(2) 本件商標権者は、次の理由により、著名商標「POLO」、「ポロ」の所有権者である。乙第2号証に係る登録商標は、昭和47年4月22日登録出願、昭和55年12月25日に登録されたものである。また、乙第3号証に係る登録商標は、昭和47年6月13日登録出願、昭和55年9月29日に登録されたものである。

本件商標権の前権利者、公冠販売株式会社は、乙第2号証に係る登録商標の出願前、昭和43年頃から、自社主力製品に、この登録商標を使用し、その基幹産業として位置付けて来た。我が国において、昭和50年代初頭では、「ポロ」の商標を使用して営業を行っていた者は、公冠販売株式会社以外は皆無といってよい状態であった。その後、昭和50年中葉に入り、米国ニューヨーク市に本拠を置く申立人が、昭和54年頃に我が国において、西武百貨店をマスターライセンシー(基本使用権者)に指名し、各商品分野毎に、その商品分野の有力な製造業者の中から、我が国の一流企業を選別して、同社らに再使用権(サブライセンス)を許諾する方式により、衣料品分野全体を網羅することを目標として、特に有名百貨店の店舗内専門店方式による高級商品群として、ポロ商品の展開を図ることとなった。

申立人会社が、我が国において、上記ライセンス事業を昭和55年頃より本格展開する当初にあたり、乙第2号証及び同第3号証に係る登録商標の存在が重要な法的障害として顕在化した。前記公冠販売株式会社は、既に当時自社製品として前記ポロ商品群を開発販売展開(昭和55年度で9.8億円程度の売上)していたため、本件商標権者(前商標権者、公冠販売株式会社)と申立人の両者にとっても、この商標問題の解決は、死活的に重要な問題となった。両者は昭和56年2月頃より、弁護士や弁理士を立てて乙第5号証、乙第6号証に示す如く交渉を重ね、両者双方にとって、妥当な解決策を模索してきたが、両者間において、昭和61年7月基本合意が成立し、昭和62年1月1日発効の乙第2号証及び同第3号証に係る登録商標並びに「POLO」のコンセプトを具体化した他の商標について通常使用権設定契約(乙第4号証)が締結された。本件前商標権者が使用許諾者となり、申立人が通常使用権者となり、その対価として申立人は、本件前商標権者に一定の使用料(ロイヤルティー)を支払う旨の合意が成立し、今日に至っている。

同時に、本件前商標権者は、申立人の我が国におけるマスターライセンシーである西武百貨店のサブライセンス権者ともなって、サブライセンス契約を締結し、今日に至っている。

そして、申立人の標章「ポロ」は、米国はもとより、我が国おいても、以後爆発的な成功を収め、巨大な市場を確立していった。この過程で、乙第2号証及び同第3号証に係る登録商標は、我が国において著名商標となった。著名性確立時期は、通常使用権設定契約発効日の昭和62年1月1日以後と考えている。この間、一貫してマーケティング政策の根幹をなす商標政策の中心は、「POLO」商標であり、この商標は本件商標権者と申立人の間の乙第2号証及び同第3号証に係る登録商標のライセンス契約の契約上の義務の履行、許諾された権利の行使の結果である。その事業活動の成果は、乙第2号証及び同第3号証に係る登録商標の「

」「POLO」に凝集されている。

確かに現在、本件商標権者の登録商標である「POLO」が著名であるのは、申立人の「ポロ」事業の成功を媒介とするものであるが、該著名性は、該商標自体の属性となっているものであり、本件商標権者は、その商標権の所有権者として当然にその権利を行使し得るものである。著名な商標が保有する価値は、当該商標自体の経済的価値に転化されているのであるから、その所有者が変更されれば、当然に新しい所有者にその価値や義務は移行される。現在は、公冠販売株式会社から、その関係会社である本件商標権者(ポロ・ビーシーエス株式会社)に譲渡されているから、本件商標権者が商標権者としてその商標の属性である一切の価値を享有し得るものである。将来、万一第三者に乙第2号証及び同第3号証に係る登録商標が譲渡されれば、商標権も財産権である以上、これ等の価値は当然新しい所有者に移行されることになるはずである。

本件商標権者の乙第2号証及び同第3号証登録商標の「

」「POLO」は、以上の理由により、我が国における不動の著名商標となっている。

そして、その著名性獲得の過程において本件商標権者は、自らの商品展開及び前記サブライセンシーとして一定の役割を果たしている。しかし、その多くの部分は、申立人のみならず、あるいは、西武百貨店を始め、我が国の多くの優良メーカー(サブライセンシー)の参画があったものではあるが、その過程で獲得された「信用」は、正に乙第2号証及び乙第3号証に係る登録商標に化体されているものである。そして、乙第2号証及び乙第3号証に係る登録商標の属性となった信用又は著名性の恩恵を享受し得るのは、申立人と共に、現行の商標法の基本原則として、乙第2号証及び同第3号証に係る登録商標の所有者である本件商標権者も同様に享受し得ると解すべきである。

(3) 甲第2号証は、申立人の商品カタログであり、この商品カタログには、本件商標と同一の「POLO」、「ポロ」のみの使用事実はどこにもない。使用商標は、いずれも「POLO 図形 Ralph Lauren」又は「

」と「by RALPHLAUREN」との結合商標の使用であり、しかもアメリカ用のカタログであって、日本国内での使用を示すものではない。

甲第3号証、同第5号証(男の一流品大図鑑)及び同第6号証(世界の一流品大図鑑'81)は、いずれも本件商標と同一の「POLO」「ポロ」の使用事実はなく、いずれも「POLO 図形 Ralph Lauren」、「

」と「by RALPHLAUREN」との結合商標である。なお、甲第3号証の197頁、甲第5号証の12頁,209頁の使用は、商標としての使用ではない。

なお、甲第4号証に示す宣伝用ニュース紙には、クッション、まくら等の商品を取扱っている事実は推察できるものの、この宣伝用ニュース紙面には前記「POLO図形 Ralph Lauren」、「

」と「by RALPH LAUREN」等の結合商標さえも付されていないため、使用事実の証明にはならない。

このように甲第2号証、同第3号証、同第5号証及び同第6号証の使用事実から、申立人は商標「POLO」、「ポロ」の単独使用は避け、「POLO 図形 Ralph Lauren」、「

」と「by RALPH LAUREN」、「Polo by RALPH LAUREN」の結合商標の使用に統一されていることが窺える。

甲第7号証及び同第8号証、特に甲第7号証において、引用標章がラルフ・ローレンのデザインに係る被服類及び眼鏡製品を表す標章であるとする認識が広く需要者及び取引関係者の間で確立した日を、「我が国において、遅くとも本件商標の登録出願がされた昭和59年までには既に...」と認定されている。

しかしながら、「昭和59年まで」という認定日はきわめて不確定である。また、乙第2号証及び同第3号証に示す登録商標の登録年である昭和55年の後に「ポロ」なる称呼の生ずる商標を我が国で合法的に使用できたのは、本件商標権者だけであって、申立人が大々的に「Polo」を主体的に被服等に使用できるようになったのは、乙第4号証に示す契約書の発効日(昭和62年1月1日)からであり、その後かなり経ってから「POLO」「ポロ」の著名性が上がったものと推定される。

また、ポロ標章一覧表に引用標章として「POLO」を含めたことにも問題がある。即ち、甲第7号証及び同第8号証の事件に添付されている雑誌、カタログ等に用いられている標章は、「Polo 図形 Ralph Lauren」、「Polo by Ralph Lauren」、「馬の絵」、「

」と「by Ralph Lauren」との結合商標だけであって、「POLO」の使用事実がどこにもないからである。

さらに、甲第9号証の1,2,3,4,5,6,7は、商標「POLO」、「ポロ」が、取引者、需要者間で周知著名になった時期の認定がバラバラで一定しておらず、本件の資料になり得ない。

甲第10号証は、昭和64年の新聞記事で本件の証拠資料には不適である。

なお、甲第11号証は、ライセンス契約締結日(昭和62年1月1月)の以後である1988年(昭和63年)の新聞記事であり、この新聞からライセンス契約締結により商標「POLO」、「ポロ」の合法的な使用が可能になったので、日本国における本格的使用を計画していることが窺えるだけのことであり、商標法第4条第1項第15号を適用するための証拠とはなり得ない。

(4) 以上のように、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものではなく、本件商標の登録は維持されるべきものである。

5 当審の判断

本件登録異議の申立てにつき、商標権者の意見を踏まえて以下のように判断する。

(1) 本件商標権者は、同人と申立人は、乙第2号証及び同第3号証に係る登録商標の使用権者と商標権者の関係にあり、このような場合は、申立人と商標権者は相互に商標法第4条第1項第15号で規定する「他人」とはなり得ず、また両者間で商品の出所について混同が生じたとしても、これが取消しの理由にはならない旨主張する。

しかしながら、本件登録異議申立ての対象は、本件商標であって、その商標は前掲のとおりであり、第20類「クッション」等を指定商品とするもので、乙第2号証又は同第3号証に係る登録商標とは異なるものであるから、本件商標権者の主張は、前提において誤るものであり、採用できないものである。

(2) 本件商標権者は、乙第2号証及び同第3号証に係る登録商標の所有及び申立人に対するライセンス契約等により、前掲各登録商標が著名になったものであり、著名商標「POLO」、「ポロ」の所有者である旨主張する。

しかしながら、本件引用商標は、申立人に係る著名商標であり、ラルフローレンのデザイン及び申立人の宣伝広告・販売等に負うものと認められるものであって、少なくとも我が国では申立人乃至はラルフローレンに係る「POLO」「ポロ」商標として取引者、需要者の間に広く認識され、著名性を取得するに至っているものと言うべきである(甲第7号証乃至同第11号証)。

本件商標権者は、乙第2号証及び同第3号証に係る登録商標を所有し、かつ、これらについて申立人に対するライセンスを許諾していることは認められるが、申立人の我が国進出に伴い、法的障害を取り除くべく先登録を有する前商標権者とライセンス契約に至ったものとみられるものである。また、乙第9号証乃至同第12号証程度の証拠では、乙第2号証及び同第3号証に係る登録商標が前商標権者又は本件商標権者に係るものとして、その指定商品について、著名性を取得したものとは認めることはできない。

仮に、乙第2号証及び同第3号証に係る登録商標乃至は「POLO」「ポロ」商標が、本件商標権者のものとしても著名であるとしても、これらとは別件である本件商標について、商標法所定の不登録事由等の適用については妨げとなるものとは認められない。

また、本件商標権者は、甲第3号証乃至同第6号証について、申立人が引用商標「POLO」、「ポロ」と同一の商標を使用していないと主張する。

しかしながら、甲第5号証においては「POLO」、「ポロ」が使用され、また、「Polo 図形 Ralph Lauren」、「Polo by Ralph Lauren」、「馬の絵」、「Polo」と「by Ralph Lauren」として「POLO」、「Polo」を中心とする結合商標が広範囲に使用された結果、これらが我が国の取引者、需要者の間においては、後者を含めて「POLO」、「ポロ」として特定乃至は略称され、周知、著名な商標として認識されるに至ったものと認めるのが相当である(甲第7号証乃至同第11号証)。

本件商標権者も、意見書において、「著名商標『POLO』、『ポロ』の所有権者である。」、「一貫してマーケティング政策の根幹をなす商標政策の中心は、『POLO』商標であり...」と特定して述べているのも同趣旨と認められる。

なお、本件商標権者は、引用商標が我が国において著名性を確立した時期について言及するところがあるが、本件登録異議申立てにおいては、本件商標に係る登録出願時及び査定又は審決時に引用商標が著名であることを要するところ(商標法第4条3項)、引用商標はいずれの時においても著名性を取得していたものと認められるものである。甲第7号証乃至同第9号証においてはそれぞれの事案に係る当該登録出願の日との関係において認定されたものであり、また、本件商標権者も昭和62年以降は引用商標の著名性の取得を認めるところである。また、平成12年12月1日付け上申書をもって、引用商標が著名になったのは昭和63年10月頃である旨主張立証するところがあるが、同時期は本件商標の登録出願前であることは前示のとおりである。

以上のとおり、本件商標権者の意見はいずれも採用することができない。

結 論

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反してされたものであるから、本件登録異議申立ては理由あるものとし、その登録を取り消すべきである。

よって結論のとおり決定する。

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