結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2009−300430(T2009−300430/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4866545号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成からなり、平成16年12月2日に登録出願、第24類「綿織物類,その他の織物,メリヤス生地,フェルト及び不織布,布製身の回り品」を指定商品として、同17年5月27日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として、証拠1を提出した。
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから商標法第50条第1項の規定により取り消しされるべきものである。
(1)乙第1号証についての評価
被請求人は、乙第1号証に基づき、「被請求人は、本件商標を使用した『綿織物類』及び『その他の織物』を日本国に向けて輸出している」ことを主張している。しかし、乙第1号証は、Global Trademarks inc.社の弁護士「Dana Stewart」から「Ms.Yashiro」という人物宛に2009年7月15日付で送付された電子メールの写しであり、何ら、上記輸出の事実を証明する書類ではない。したがって、上記電子メールは、「本件商標を使用した『綿織物類』及び『その他の織物』を日本国に向けて輸出している」ことを立証するための証拠能力はないものと判断される。
また、被請求人は、乙第1号証に基づき、「被請求人は日本国内における販売代理人を山田整に定め(日本へ輸出し)、山田整は、被請求人から本件商標を使用した『綿織物類』及び『その他の織物』を輸入し、日本国内で縫製して被服として譲渡している」ことの立証の証拠として主張している。
しかし、山田整が被請求人である商標権者の法的な、通常使用権を有する販売代理人であることを証明する証拠は提出されておらず、商標法第50条の「専用使用権者又は通常使用権者」に該当するとは判断できない。
(2)乙第2号証ないし乙第5号証について
被請求人は、「乙第2号証は、本件商標を使用した『綿織物類』であり、乙第3号証は本件商標を使用した『その他の織物』である。」旨主張している。
本件商標の指定商品は、「綿織物類、その他の織物」等である。被請求人の使用の主張に係る「綿織物」、「織物」に関し国語辞書に解釈を求めると、「織物」とは「糸を織ってつくった布」(証拠1)であり、所定の形態の商品となる以前の「反物」の状態の商品を指すものと考えられる。
乙第2号証及び乙第3号証に係る写真では、布様の地に「STIFEL」の文字及び図形が拡大して表出し、少々ピントがぼけた状態で写ってはいるが、背景となる「地」が被服等の製品として加工される以前の「反物」の状態であることを示してはおらず、乙第2号証及び乙第3号証によっては、「『綿織物類、その他の織物』に登録商標が付されている」ことを立証してない。
また、乙第4号証及び乙第5号証には、乙第2号証及び乙第3号証の「織物」を使用して、商標権者の日本における代理人である山田整が縫製したとされる「オーバーオール」及び「ジャケット」に係る写真が示されている。
しかし、これらの「オーバーオール」及び「ジャケット」は商標実務上、第25類「被服」に属するものであり、本件商標の使用の事実の立証とは何ら関係のない証拠である。したがって、乙第4号証及び乙第5号証は、「審判請求前3年以内の登録商標の指定商品への使用の事実」を立証するための証拠となりえない。
(3)「商品」に関する反論
乙第6号証には、山田整が本件商標を使用した「綿織物類」を用いて縫製した「オーバーオール」を、2008年3月18日付けで第三者に譲渡した際の取引書類(INNVOICE)が使用証拠として示されており、同氏が、同様に「オーバーオール」を「Amurica」の代表である飯島真一に譲渡した際の取引書類(INNVOICE)が使用証拠として示されており、双方の取引書類によれば、いずれも単価は350,000円となっている。
この350,000円という価格は、現状の被服業界における商取引の慣行からして、綿織物を生地として縫製した「オーバーオール」一着の価格とは考えられない。これは明らかに、いわゆるビンテージ物としての「オーバーオール」の価格であろうと判断される。
したがって、これらの「オーバーオール」は、本件商標に係る指定商品である「綿織物又はその他の織物」を縫製して製作した商品とは考えられない。また、仮に、「綿織物又はその他の織物」を縫製して製作した商品であったとしても、一品が350,000円の「オーバーオール」は本件商標を付して使用する「商品」ではなく、一品製作物の様相を呈しており、多くの商品を他の商品から識別するために商標が付されるべき商標法上の商品とはいえないものと考える。
乙第7号証においても、山田整が2009年6月10日付けで「Stifel Jacket」を販売した旨記載されているが、価格は100,000円であり、これもデニムのジャケットが一点で100,000円の価格である、ということは、現在の被服の流通業界の常識からして、明らかに、何らかの付加価値が付けられた商品(例えば、ビンテージ物そのもの又はそのコピー)であると考えざるを得ず、本件商標が自他商品を識別するために付されるべき商品ではないものと考える。
(4)以上のように、被請求人は証拠を上げつつ使用の立証を主張しているが、いずれも、審判請求前3年の間における登録商標の使用を立証できる証拠ではない。
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第7号証を提出した。
(1)本件商標の使用者
乙第1号証に示すとおり、被請求人は、日本国内における販売代理人を山田整に定め、本件商標を使用した「綿織物類」及び「その他の織物」を日本国に向けて輸出している。山田整は、被請求人から本件商標を使用した「綿織物類」及び「その他の織物」を輸入し、これを日本国内で縫製して、被服として譲渡している。
(2)使用に係る商品
乙第2号証は、本件商標を使用した「綿織物類」であり、乙第3号証は、本件商標を使用した「その他の織物」である。
本件商標を使用した「綿織物類」及び「その他の織物」は、被請求人により日本国に向けて輸出され、山田整がこれを輸入した後に縫製し、衣服として日本国内で譲渡している。
乙第4号証は、山田整が、本件商標を使用した「綿織物類」を用いて縫製した「オーバーオール」である。この「オーバーオール」には、本件商標を使用した「綿織物類」を用いたことにより、裏側に本件商標が付されている。
乙第5号証は、山田整が、本件商標を使用した「その他の織物」を用いて縫製した「ジャケット」である。
(3)使用に係る商標
乙第2号証及び乙第3号証には、本件商標が記載されている。
(4)使用に係る時期
山田整は、本件商標を使用した「綿織物類」を用いて縫製した「オーバーオール」を、「クラウン ウォッシャブル オーバーオール」という名称で第三者に譲渡した。
乙第6号証は、山田整が発行した取引書類である。乙第6号証には、平成20年3月18日に、本件商標を使用した「綿織物類」を用いて縫製した「オーバーオール」商品名「クラウン ウォッシャブル オーバーオール」を譲渡し、これを「Amurica」の代表である飯島真一が譲受した旨が記載されている。
乙第7号証は、山田整が、本件商標を使用した「その他の織物」を用いて縫製した「ジャケット」を第三者に譲渡した際に発行した取引書類である。
山田整は、この「ジャケット」が本件商標を使用した「その他の織物」を用いて縫製したため、「Stifel Jacket」という名称で第三者に譲渡した。
乙第7号証には、平成21年6月10日に、山田整が「Stifel Jacket」を譲渡し、これを「PLAMS」の代表である北野元啓が譲受した旨が記載されている。
したがって、平成20年3月18日より前に、被請求人は本件商標を使用した「綿織物類」を日本国に向けて輸出し、これを山田整が輸入していることは明らかである。また、同様に、平成21年6月10日前に、被請求人が本件商標を使用した「その他の織物」を日本国に向けて輸出し、これを山田整が輸入していることも明らかである。
審判長は、被請求人に対し、平成22年1月13日付けで、弁駁書副本の送付通知を発するとともに、「被請求人の提出した乙第2号証ないし乙第7号証は、商品『オーバーオール』又は『ジャケット』についてのものであり、『綿織物類』及び『その他の織物』とは認められない。ついては、本件商標をその指定商品のいずれかについて、日本国内において、本件審判の請求の登録前3年以内に使用していた事実を確認できる証左(例えば、カタログやパンフレット、取引の際使用される納品伝票、仕入伝票、請求書等の取引書類で、いずれも、使用された年月日、本件商標、使用商品及び使用者等が明確に把握できるもの)を提出されたい。」旨の審尋を発し、期間を指定し、答弁書又は回答書の提出を求めた。
被請求人は、上記第4の弁駁書副本の送付通知及び審尋に対し、指定期間を経過しても何ら回答がない。
(1)乙第1号証は、電子メールの写しである。翻訳文に「山田整と申します。私は、過去3年に渡り、日本国内において『STIFEL』の商標が付された商品の販売、及び、商標『STIFEL』の使用許諾契約に関する代表者です。(中略)過去3年の間に、私は、『STIFEL』の商標が付された織物を用いた被服を、日本国内の個人及び企業の仕入れ担当者に販売しました。」及び「2009年7月12日」の記載がある。
(2)乙第2号証は、本件商標とほぼ同一の構成の標章が白色で青色の布地風のものに表示されている写真の写しである。
(3)乙第3号証は、本件商標とほぼ同一の構成の標章が白色で紺色の布地風のものに表示されている写真の写しである。
(4)乙第4号証の1枚目は、紺色の「オーバーオール」の写真の写しであり、右上に「CROWN OVERALL STIFEL FABRIC」と手書きの記載がある。2枚目には、本件商標とほぼ同一の構成の標章が白色で青色の布地の裏側に表示されている写真の写しである。
なお、被請求人は、2枚目の写真は1枚目のオーバーオールの「裏側」である旨述べているが、1枚目と2枚目に表された布地では色彩が異なり、その関係は明確でない。
(5)乙第5号証は、ジャケットの写真の写しであり、右上に「STIFEL FABRIC JACKET」と手書きの記載がある。しかし、同号証には、本件商標(社会通念上同一と認められるものを含む)は見当らない。
(6)乙第6号証は、2008年(平成20年)3月18日付け「INVOICE」であり、「Discription」欄に「Crown Wabash Overall」の表示があり、数量1で35万円であることが記載されており、下段には、「2008年3月18日販売済みです。」及び「山田整」の手書きの記載と押印がある。2枚目は、手書きの記載と押印を除き、1枚目と同じ「INVOICE」であり、下段には、住所、「Amurica」及び電話番号が表示されたスタンプ印があり、「代表 飯島真一」の手書きの記載と押印及び「上記の日付け購入しました。」の手書きの記載がある。また、右上には「Jun 3 2008」の記載がある。
(7)乙第7号証は、2009年6月10日付け「INVOICE」であり、「Discription」欄に「Stifel Jacket」の表示があり、数量1で10万円であることが記載されており、下段には、「2009年6月10日販売済です。」「山田整」の手書きの記載と押印がある。2枚目は、「Jun 10’09のINVOICEに入っている”STIFEL JACKET”¥100000の商品を2009年6月10日に受け取り、購入いたしました旨を証明いたします。」の記載があり、その下に「2009年8月19日」、住所、「PALMS」「代表 北野元啓」の手書きの記載及び押印がある。また、「VINTAGE−OLD CLOTHES & COLLECTIBLES」の文字の下に「PALMS」の文字がデザイン化された構成のスタンプ印がある。
また、乙第2号証ないし乙第4号証に表示された標章(以下「使用標章」という。)は、別掲に示すとおりの構成からなる本件商標と社会通念上同一と認め得るものということができる。
(1)「綿織物類」及び「その他の織物」とは、「岩波 国語辞書 第5版」の「織物」の項に「糸を織ってつくった布。昔は特に、あやに織った絹布。」(請求人提出による証拠1)と記載され、また、繊維総合辞典(2002年10月10日初版第1刷、繊研新聞社発行)の「織物」の項に「woven fabric 長さ方向の経糸と幅方向の緯糸が、通常、上下に組み合わされて交差した布で、・・・」と、「綿織物」の項に「cotton fabric 経緯糸に綿または綿と化合繊の混紡糸あるいは複合糸を用いた織物。・・・」と記載されていることからすれば、これらの商品は「綿または綿を含む糸を織ってつくった布」、「糸を織ってつくった布」というべきであって、それらを加工した「オーバーオール」、「ジャケット」は、第25類「被服」の範ちゅうに属する商品というべきである(商標法施行規則別表 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S35/S35F03801000013.html#3000000001000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000 参照)。
(2)乙第2号証及び乙第3号証の使用標章が表示されている布地風のものは、これを布地とみることはできるとしても、それらがどのような商品であるのかが把握できないから、それらは、「綿織物類」又は「その他の織物」であるとはいえない。
(3)乙第4号証ないし乙第7号証は、「オーバーオール」及び「ジャケット」についてのものであり、これらの商品が「綿織物類」又は「その他の織物」に含まれない商品であることは上記(1)のとおりである。
(4)そうとすれば、本件商標は、その指定商品中「綿織物類」又は「その他の織物」について使用しているものとは認めることができない。
なお、仮に被請求人が「綿織物類」及び「その他の織物」を日本国に向けて輸出し、これを山田整が輸入し、「オーバーオール」、「ジャケット」に加工して販売しているとしても、本件商標が「綿織物類」又は「その他の織物」について使用されているというには、要証期間内にそれらの商品が輸入された事実を明らかにしなければならないのであるが、被請求人はその事実を示す証拠を提出していない。
さらに、被請求人からは、平成22年1月13日付け弁駁書副本の送付通知及び審尋に対して何ら応答がない。
また、被請求人は請求に係る指定商品について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標は商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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