結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2009−301329(T2009−301329/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第2723986号商標(以下「本件商標」という。)は、「SLAM DUNK」の欧文字を横書きしてなり、平成4年3月23日に登録出願、第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同10年2月20日に設定登録、その後、同20年3月4日に商標権存続期間の更新登録がなされ、指定商品については、同20年9月3日に指定商品の書換登録があった結果、第9類「家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM」、第25類「運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」及び第28類「おもちゃ,運動用具」とするものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成21年12月22日にされたものである。
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第8号証(枝番号を含む。)を提出した。
本件商標の商標権者は、日本国内において、本件商標を継続して3年以上その指定商品について使用していない。また、商標登録原簿上は、本件商標に専用使用権あるいは通常使用権が設定・許諾されている事実も見当たらない(甲第1号証)。よって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(1)商標法施行規則別表は、第25類運動用特殊衣服に属するものとして、「アノラック 空手衣 グランドコート 剣道衣 柔道衣 スキー競技用衣服 ヘッドバンド ヤッケ ユニフォーム及びストッキング リストバンド」を定め、第25類被服中の「洋服」に属するものとして、「イブニングドレス 学生服 子供服 作業服 ジャケット ジョギングパンツ スウェットパンツ スーツ スカート スキージャケット スキーズボン ズボン スモック 礼服」を、また、同被服中の「ワイシャツ類」に属するものとして、「開きんシャツ カフス カラー スポーツシャツ ブラウス ポロシャツ ワイシャツ」を定めている。
特許庁商標課編集に係る「商品及び役務の区分解説」は、「運動用特殊衣服」につき、「この概念には、スポーツをする際に限って着用する特殊な衣服が含まれる。」、「なお、『トレーニングパンツ』『ランニングシャツ』等は、スポーツ以外の日常生活でも使用され、特殊なものでもないことから、この概念には含まれず、本類被服に属する。」、「被服」につき、「スポーツをする際に限って着用する運動用特殊衣服は含まれない。」と説明している(甲第2号証)。
これらの規定及び解説を参酌すると、本件商標の指定商品「運動用特殊衣服」とは「スポーツをする際に限って着用する特殊な衣服」を指すものと解され、「ジョギングパンツ」、「スウェットパンツ」、「スポーツシャツ」等の、スポーツ以外の日常生活でも使用され、特殊なものでもない衣服は、含まれないと解される。
(2)以上によれば、被請求人が本件商標の使用の事実を示す証拠として提出した「Tシャツ」(検乙第1号証)及び「パンツ」(同第2号証)は、いずれもスポーツ以外の日常生活でも使用され、特殊なものでもない衣服に相当するものとして、「運動用特殊衣服」には、該当しないものというべきである。以下、この点につき、個別に述べる。
(2−1)「Tシャツ」
被請求人の主張によれば、被請求人の提出に係る「Tシャツ」は、ポリエステル100%(マイクロキュービック)を素材として使用するものであり、この素材につき、被請求人は、吸発汗機能をもった特殊素材であるとする。
しかしながら、ポリエステル100%(マイクロキュービック)を素材として使用したTシャツは、現に「ブカツに夢中の高校生から、外国人のおみやげまで」として販売されているものであり(甲第3号証の1)、かかる素材を使用しているとしても、日常生活で用いられるものとは異なる「特殊なもの」とまでは、到底いい得ない。また、被請求人は、プロスポーツチームのチーム名が描かれたTシャツについては、スポーツ専用Tシャツの素材とは、次元を異にするものであると主張するが、現実には、かかるTシャツについてもマイクロキューピックを使用したものが存在している(甲第3号証の2)。さらに、同素材は、第25類被服中の「洋服」に属すると解される「パーカ(パーカー)」(甲第4号証)についても使用されている(甲第3号証の3)。
このように、ポリエステル100%(マイクロキュービック)の素材は、日常生活で使用される被服にも選択使用されているものであり、加えて、昨今ではユニクロ(甲第5号証)に代表されるように吸発汗機能、通気性、伸縮性に優れた素材を使用した機能性被服が多く市場に流通していることにかんがみれば、かかる素材を用いているとしても、そのことをもって日常生活で用いられるものとは異なる「特殊なもの」と断ずることはできない。
また、被請求人に係る「Tシャツ」が吸発汗機能などに配慮したバスケットボール用のものであるとしても、そのことをもって直ちにバスケットボール以外の日常生活でも使用されることを否定すべき理由はない。この点、現に、「ポリエステル100%」、「汗をすばやく吸収する素材」のTシャツが、「バスケする時も普段着にも着やすい!」として、日常生活で使用されることも前提として販売されている(甲第6号証の1)。また、「コットン65%×ポリエステル35%の『ドライウィーブ素材』を採用!」したTシャツが、「普段着やインナーとしてだけでなく、練習着としても活躍する1枚です。」として販売されている(甲第6号証の2)。さらに、「肌触りがよく、吸汗速乾性に優れた素材を使用」した、「ハニカムコットン コットン65%、ポリエステル35%」の素材の「バスケットボール半袖Tシャツ」が、「ストリートでのプレイはもちろん、普段着としても活躍できるデザイン。」として、普段着として使用されることも前提として販売されている例も存在する(甲第6号証の3)。
以上の事実によれば、被請求人の提出に係る「Tシャツ」は、スポーツをする際に限って着用するものではなく、スポーツ以外の日常生活でも使用され、また、特殊なものでもないと理解するのが適当であり、「スポーツシャツ」と同様、「運動用特殊衣服」の概念には含まれず、本類被服に属するものととらえるのが相当である。
なお、被請求人は、被請求人の提出に係る商品を日常生活に着用することは、到底あり得ず、スポーツの際に限って着用するものである旨主張するが、かかる主張は、根拠がなく、容認されるべきものではない。前記取引の実情にかんがみれば、むしろその有する機能ゆえに、特に夏場などの暑い季節の普段着やインナーとしても好んで使用されるものと理解するのが相当である。
(2−2)「パンツ」
被請求人の主張によれば、被請求人の提出に係る「パンツ」は、ポリエステル100%(吸汗ブライト)を素材として使用するものである。「吸汗ブライト」の語がいかなる素材を意味するものであるか明らかではないが、被請求人の主張するところでは、当該「パンツ」の素材は、「吸汗、発汗の機能をもったポリエステル素材」であるとする。しかしながら、ポリエステル100%の素材は、被請求人の提出に係る「パンツ」のみならず、「ジョギングパンツ」や「スウェットパンツ」を始め、「作業服のズボン」に到るまで、幅広く選択使用されているところである(甲第7号証)。してみれば、かかる素材を用いているとしても、そのことを以て日常生活で用いられるものとは異なる「特殊なもの」と断ずることはできない。
また、被請求人に係る「パンツ」が吸汗、発汗の機能をもったバスケットボール用のものであるとしても、そのことをもって直ちにバスケットボール以外の日常生活でも使用されることを否定すべき理由はない。この点、現に、「ポリエステル100%」、「吸水、速乾に優れてい」るパンツが、「私服でも活用できるよう、ポケットがついています。」として、日常生活で使用されることも前提として販売されている(甲第8号証の1)。また、「通気性・軽量性に優れた素材」を用いたパンツが、「普段着や寝巻き、リゾートスタイルなどでも着こなせるのが人気!」として販売されている(甲第8号証の2)。
以上の事実によれば、被請求人の提出に係る「パンツ」は、スポーツをする際に限って着用するものではなく、スポーツ以外の日常生活でも使用され、また、特殊なものでもないと理解するのが適当であり、「ジョギングパンツ」や「スウェットパンツ」と同様、「運動用特殊衣服」の概念には含まれず、本類被服に属するものととらえるのが相当である。
(3)以上のとおり、被請求人が本件商標の使用の事実を示す証拠として提出した「Tシャツ」及び「パンツ」は、いずれもスポーツをする際に限って着用するものではなく、スポーツ以外の日常生活でも使用され、特殊なものでもないと理解するのが適当であるから、「運動用特殊衣服」には、該当しないものというべきである。
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第12号証(枝番号を含む。)、及び、検乙第1号証及び検乙第2号証を提出した。
答弁の理由
(1)乙第4号証の1ないし3は、それぞれ2008年4月ないし6月に日本文化出版株式会社より発行されたバスケットボール専門誌「月刊バスケットボール」に掲載された雑誌広告の写しである。通常使用権者である株式会社フープスターサカイは、定期的にバスケットボール専門誌へ商品の広告を掲載しており、これらは、その一部である。この中で、「SLAM DUNKオリジナルTシャツ」(品番:TSD001)、「SLAM DUNK プラクティスパンツ」(品番:PPSD001)の商品名表示の下、「SLAM DUNK」と「バスケットボールらしき図形」が付された「Tシャツ」と「パンツ」の写真が掲載されている。具体的には、当該「Tシャツ」の前面胸部に大きく、また、背面裾部に小さく、本件商標と社会通念上同一と認められる「SLAM DUNK」の文字が付されている。また、当該「パンツ」の左脚裾部分に小さく、本件商標と社会通念上同一と認められる「SLAM DUNK」の文字が付されている。これらの文字は、自他商品の識別標識としての機能を十分に果たすものである。
また、「SLAM DUNKオリジナルTシャツ」(品番:TSD001)、「SLAM DUNK プラクティスパンツ」(品番:PPSD001)の商品名表示のうち、「オリジナルTシャツ」、「プラクティスパンツ」の文字は、商品説明にすぎず、「SLAM DUNK」の文字は、本件商標と社会通念上同一と認められる。そして、本件商標の使用されている上記商品は、「バスケットボール専用のTシャツ」及び「バスケットボール専用のパンツ」であり、少なくとも「第25類 運動用特殊衣服」に属するものである。したがって、通常使用権者である株式会社フープスターサカイは、商品に標章を付する行為、あるいは商品に関する広告に標章を付して頒布する行為を通じて、本件商標の使用をしていることは、明らかである。
(2)請求書の写し
乙第5号証は、株式会社フープスターサカイ宛に日本文化出版株式会社が発行する上記雑誌広告に関する請求書の写しである。これは、その一部であり、2008年6月発行の「月刊バスケットボール」に関する広告掲載料である。これにより、通常使用権者である株式会社フープスターサカイが上記雑誌広告を行った事実は、明らかである。
(3)発注書の写し
乙第6号証の1ないし2は、株式会社フープスターサカイの特約店である株式会社アルペンの商品発注書の写しである。当該発注書においては、品番・品名の欄に「TSD−001」、「PPSD−001」の記載があり、本件商標が付された「バスケットボール専用Tシャツ」及び「バスケットボール専用パンツ」が発注されたことを示すものである。
(4)納品書の写し
乙第7号証の1ないし2は、上記発注書に対する株式会社フープスターサカイ発行の納品書の写しである。当該納品書においては、品番・品名の欄に「TSD−001」、「PPSD−001」の記載があり、数量、単価、金額は、発注書と同じである。なお、納品書の最終合計金額は上記発注書と異なるが、これは、消費税5%が含まれた金額であることが理由である。
これらにより、本件商標が付された「バスケットボール専用Tシャツ」、「バスケットボール専用パンツ」の商品が取引されていた事実は、明らかである。
(5)スポーツデポ・アルペン納品用店頭POPパネルの印刷原稿の写し
乙第8号証の1ないし4は、通常使用権者の取引先である「スポーツデポ」、「アルペン」の店頭において、通常使用権者の商品の販売促進をするためにつくられる店頭POPパネルの印刷原稿の写しである。この中で、「バスケットボール専用Tシャツ」、「バスケットボール専用パンツ」の写真が掲載されており、本件商標と社会通念上同一と認められる「SLAM DUNK」の文字が商品自体あるいは商品名として記載されている(乙第8号証の1、乙第8号証の2)。
(6)電子メール通信記録の写し
乙第9号証は、株式会社フープスターサカイとその取引先である株式会社アルペンとの間の上記店頭用POPパネルに関する通信記録である。2009年3月4日付けメールにおいて、同年3月6日に当該店頭用パネルを納品する旨が記載されている。
(7)スポーツデポ福井大和田店店内の撮影写真の写し
乙第10号証は、通常使用権者の取引先である「スポーツデポ」の店内撮影写真の写しであり、被請求人が2008年1月11日に撮影した写真の写しである。
通常使用権者の商品は、上記販売促進用店頭POPの下、バスケットボールコーナーにおいて、他のバスケットボール商品とともに販売されている。これにより、通常使用権者の商品は、バスケットボール専用商品として取り扱われていることは、明らかである。
(1)スポーツ専用のTシャツと一般衣料の「Tシャツ」の相違
株式会社フープスターサカイは、バスケットボール用品専門メーカーであり、その取扱商品は、すべてバスケットボール専用商品に特化されている(乙第2号証)。被請求人及び通常使用権者は、バスケットボールについて熟知しており、バスケットボールの練習や試合をする人たちにとって最適な素材を日々研究し、通常使用権者は、その素材を使ったユニフォーム、Tシャツ、パンツなどを開発し販売している。そのため、通常使用権者の取扱商品は、すべてバスケットボールの競技に適応する特殊な素材でつくられており、どの素材を使用しているかについてカタログヘ明示している(乙第2号証)。素材を明示することは、広告や店頭用POPにおいても同様である(乙第4号証、乙第8号証)。その上、通常使用権者の取引先は、すべてスポーツ用品店であり(乙第3号証)、通常使用権者の商品は、バスケットボール専用商品として販売されている(乙第10号証)。スポーツ用品店で商品を購入する需要者は、特定のスポーツをするための用品・用具を購入する目的で店舗に来店することは、明らかである。そうすると、このような需要者にとっては、通常使用権者の商品は、一般衣料における「Tシャツ」と明確に区別されるものであり、通常使用権者の商品を日常生活に着用することは、到底あり得ず、スポーツの際に限って着用するものである。
(2)バスケットボールは、5人対5人でボールをゴールに入れてその得点を競い、合計で40分間コートの中を走り回るものである。また、バスケットボールは、体育館などの屋内で行われることからすれば、バスケットボールをする人達にとっては、極めて運動量の激しく、試合の相手のみならず温度や湿度、大量の汗とも戦う競技であるといえる。
このような運動量の激しいバスケットボールをするに当たっては、大量の汗処理や通気性に優れ、どのような動きにも対応する伸縮性に富んだユニフォーム、Tシャツ、パンツが必要不可欠である。
(3)本件商標が使用されている商品は、「バスケットボール専用のTシャツ」(品番:TSD001)及び「バスケットボール専用のパンツ」(PPSD001)である。当該「Tシャツ」は、「ポリエステル100%(マイクロキュービック)」素材を使用しており、「パンツ」は、「ポリエステル100%(吸汗ブライト)」素材を使用している(乙第4号証、乙第8号証)。この素材については、「吸汗、発汗の機能をもったポリエステル素材」という特殊な素材であり、当該素材でつくられたユニフォーム、Tシャツ、パンツは、汗処理や通気性に優れ、伸縮性がある等、運動量の激しいバスケットボールの練習や試合に適応するものである。
(4)日常生活に着る「Tシャツ」等の「被服」については、デザイン性やファッション性が追求されており、百貨店、スーパー、ディスカウントストア、一般衣料店等で販売されている。また、様々なイベントやキャンペーンの際には、それ限定の「Tシャツ」が製造販売されて、日常生活に着られる場合がある。また、デザイナーズTシャツと呼ばれるものも人気である。このように、一般衣料としての「Tシャツ」は、デザイン性やファッション性に重点が置かれている。加えて、一般衣料の「Tシャツ」は、元々肌着であり、保湿性に優れている。吸汗機能、通気性機能を有するものがあるとしても、スポーツ専用の「Tシャツ」とは、その構造、機能が明らかに異なるものである。また、プロスポーツチーム等のチーム名が描かれた「Tシャツ」も存在するが、これらの素材は、一般衣料の「Tシャツ」の素材であり、いわゆるレプリカであって、使用の際の機能性は、考慮されておらず、スポーツ専用「Tシャツ」の素材とは、次元を異にするものである。
(5)この点、本件商標が使用されている商品「バスケットボール専用Tシャツ」(品番:TSD001)又は「バスケットボール専用パンツ」(品番:PPSD001)については、温度、湿度とも戦わなくてはならないバスケットボールの特性より保湿性に優れているものではなく、汗を多く含むと透けてしまう等、一般衣料としてのメリットは、皆無である。これは、日常生活に着られる被服として通常求められる機能を犠牲にしてまで、特定機能に特化するものである。したがって、本件商標が使用されている商品は、日常生活で着るには適していないため普段着として着ることはあり得なく、バスケットボールをする際に限って着るものである。
(1)バスケットボールの試合においては、ミニバスケットボールを除き、現在では、禁止されているが、2009年4月1日より前は、定められたユニフォームの下に「Tシャツ」を着ることができたものである。
(2)乙第11号証は、財団法人日本バスケットボール協会が発行するミニバスケットボールルールを抜粋した写しである。このルールの第15条(ユニフォーム)においては、「同じチームのプレーヤーは同じ色のユニフォームを着て、前と背中に審判とスコアラーにわかるように番号をつけます。ただし、1番〜3番まではつかうことはできません」と規定されている。また、「Tシャツ」を着用している選手のキャラクターの絵が描かれている。
(3)したがって、ミニバスケットボールの競技においては、少なくとも「Tシャツ」の着用を禁止する規定は無く、「Tシャツ」は、同色で統一し番号を明記すれば、試合で使用するためのユニフォームとなる。それ故、通常使用権者は、通常のバスケットボールのユニフォーム同様の吸汗・発汗機能、通気性、伸縮性などを有する特殊素材で「Tシャツ」を製造し、特殊素材であることを明示してスポーツ洋品店で販売しているものであり、本件「バスケットボール専用Tシャツ」は、バスケットボールに限って使用されるものである。
(4)乙第12号証の1は、財団法人日本バスケットボール協会規則審判部の「ユニフォーム規定」に関する平成11年2月25日付説明資料である。これは、上記ミニバスケットボール以外のバスケットボール競技に適用されるものであり、国内競技規則13・4・2においては、「シャツの下にTシャツを使用してはならない。やむを得ない事情があってTシャツを着用する場合は、あらかじめ大会の主催者の承認を得ておかなければならない。承認を得て着用する場合は、着用する全員が同じ形でシャツと同様の単色でなければならない」と規定されている。
(5)乙第12号証の2は、財団法人日本バスケットボール協会の「国際競技規則の変更」に関する平成21年5月20日付けの文書の写しである。これは、バスケットボールルール(国際競技規則)の変更を行う旨が記載されており、平成21年1月21日付け「バスケットボール競技規則変更点の概略」が別添されている。当該文書では、「オフィシャルバスケットボールルール2008」の変更点として、「1・ユニフォーム:ユニフォームのシャツの下にTシャツを着用することは一切認められなくなった」と記載されており、2008年10月1日より施行する旨が国際バスケットボール連盟より通知されている旨が記載されている。これを受けて、日本バスケットボール協会では、2009年(平成21年)4月1日よりルールの変更を行う旨が記載されている。
(6)このように、乙第12号証の事実にかんがみれば、2009年4月1日より前は、ミニバスケットボール以外のバスケットボールの試合において、少なくともユニフォームのシャツの下に「Tシャツ」を着用して競技することが認められていた。すなわち、許可を得て同色で統一すれば、ユニフォームの1つとして着用することができたものである。バスケットボールは、運動量が激しく、ユニフォームの下に着る「Tシャツ」においても、通常のユニフォーム同様の吸汗・発汗機能、通気性、伸縮性が求められる。それ故、通常使用権者は、吸汗・発汗機能や通気性、伸縮性に優れた特殊素材で「Tシャツ」を製造し、特殊素材であることを明示して販売しているのである。したがって、当該商品は、バスケットボールの試合にユニフォームの1つとして使用することができ、バスケットボールに限って使用される「バスケットボール専用Tシャツ」である。これは、バスケットボールを熟知している専門集団である通常使用権者だからこそ、その特性に適応する商品を提供できるものにほかならない。
このように、通常使用権者が製造、販売する商品「バスケットボール専用Tシャツ」については、日常生活に着るための一般衣料とは、その目的、素材、機能、需要者層、販売ルート等種々の点で明確に異なるものである。当該商品は、バスケットボールをする際に限って着用されるものであり、日常生活において普段着として着用することは、到底あり得ないものである。したがって、通常使用権者が製造、販売する商品「バスケットボール専用Tシャツ」は、「第25類 運動用特殊衣服」に属するものである。
なお、当該商品と一般衣料との素材の違いを明確にするため、通常使用権者が製造、販売する「バスケットボール専用Tシャツ」(品番:TSD001)及び「バスケットボール専用パンツ」(品番:PPSD001)の商品見本を、検乙第1号証及び検乙第2号証として提出する。
上述のとおり、通常使用権者が製造、販売する「バスケットボール専用Tシャツ」は、前面胸部に大きく、また背面裾部に小さく、本件商標と社会通念上同一と認められる「SLAM DUNK」の文字が付されており、自他商品の識別標識としての機能を十分に果たすものである。「Tシャツ」の前面胸部に大きく商標を表してそれが商標的使用か否か争われた事案において、近時東京高等裁判所は、「ある図形が特定の業務を行う者の商品又は役務について使用する標章として商標法2条1項所定の商標に当たるかどうかと、これが物品の外形において視覚を通じて美感を起こさせる創作して意匠法2条所定の意匠に当たるかどうかは、次元を異にするものであって、何ら矛盾背反するものではなく、物品に係るある図形が視覚を通じて美感を起こさせる場合に、これに接した取引者、需要者において、当該標章を使用する者の業務に係る商品又は役務であることを認識することは、十分に可能であるから、商標と意匠の双方に当たる図形ということに何ら不都合はない。そうすると、本件使用標章が、それ自体としての、あるいは他の文字や図形との組合せに係る意匠的な機能を果たしているからといって、標章としての自他識別力が当然に否定されるものではなく、これが同時に商標にも該当するということは何ら妨げられるものではない。」と判示している(平成14年(行ケ)第500号東京高等裁判所平成15年3月26日判決)。
上記判決に照らし考えると、通常使用権者が製造、販売する「バスケットボール専用Tシャツ」自体に付されている「SLAM DUNK」は、商標的に使用されていることが明らかである。
以上のとおり、本件商標は、本審判の請求の登録前3年以内に日本国内において被請求人が許諾した通常使用権者である株式会社フープスターサカイが、その請求に係る指定商品中、少なくとも「第25類 運動用特殊衣服」について使用がされていたものである。
(1)本件商標「SLAM DUNK」について、「株式会社フープスター・サカイ」(以下「フープスター社」という。)は、商標権者の通常使用権者と認められる(乙第1号証)。
(2)フープスター社の2009−2010年のバスケットボール用商品カタログの5ページには、本件商標と社会通念上同一と見られる商標が施されたTシャツが掲載されている(乙第2号証)。
(3)フープスター社の特約店は、71店舗と認められ、店舗名に「運動具」、「体育用品」、「体育社」及び「スポーツ」が含まれていることからすると、スポーツ用品を扱う店が、その大半を占める(71店舗中の52店舗(約73%))ことが認められる(乙第3号証)。
(4)「日本文化出版株式会社」が発行する「月刊バスケットボールの2008年4ないし6月号」のフープスター社の広告には、本件商標と社会通念上同一と見られる商標が施されたTシャツが掲載され、さらに「SLAM DUNK オリジナルTシャツ TSD001」の表記と共に「ジュニアプレイヤー対象」との掲載がある(乙第4号証の1ないし3)。
(5)フープスター社宛の2008年3月18日付けの「発注・出荷案内書<取引先控>」であり、品番・品名の欄には「TSD−001」(乙第6号証の1)と記されているから、上記(4)のTシャツが、発注・出荷されたことが認められる(乙第6号証の1及び2)。
(6)フープスター社が発行した2008年4月8日付けの「納品書(控)」であり、品番・品名の欄には「TSD001」と記されているから、上記(4)のTシャツが、納品されたことが認められる(乙第7号証の1及び2)。
(7)以上のことからすると、フープスター社は、商標権者の通常使用権者であると認められ、2008年3月ないし4月にバスケットボール用のTシャツに、本件商標と社会通念上同一の商標を使用したものと認められる。
たしかに、「Tシャツ」は、元々肌着であり、保湿性に優れ、吸汗機能や通気性機能を有するものであるから日常生活に着られる場合があることは、よく知られているものである。
そして、被請求人の提出に係る「Tシャツ」は、ポリエステル100%(マイクロキュービック)を素材として使用するものであり、この素材を使用したTシャツは、現に「ブカツに夢中の高校生から、外国人のおみやげまで」として販売され日常生活で使用される被服にも選択使用されているものであり(甲第3号証の1)、加えて、昨今ではユニクロ(甲第5号証)に代表されるように吸発汗機能、通気性、伸縮性に優れた素材を使用した機能性被服が多く市場に流通していることが認められる。
そして、一般衣料としての「Tシャツ」は、デザイン性やファッション性が追求されており、百貨店、スーパー、ディスカウントストア及び一般衣料店等で販売されている。
これに対し、フープスター社の使用に係る「Tシャツ」は、バスケットボール用商品カタログに掲載され、その取引先はスポーツ用品店(乙第2号証)と認められ、また、バスケットボールの専門雑誌の広告に掲載された「Tシャツ」には「ジュニアプレイヤー対象」との記載(乙第4号証の1ないし3)が併記されているものである。
そうとすると、本件商標を使用した「Tシャツ」は、バスケットボールをする際に限って着用されるものであり、日常生活に着るための一般衣料とは、その目的、需要者層、販売ルート等種々の点において、異なるものである。
したがって、通常使用権者が製造、販売する本件商標を付した「Tシャツ」は、請求に係る指定商品中の「運動用特殊衣服」に属する商品と認めるのが相当である。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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