結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2010−300008(T2010−300008/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4791232号商標(以下「本件商標」という。)は、「フェアリー」の文字と「FAIRY」の文字を二段に横書きしてなり、平成16年2月5日に登録出願、第21類「化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。)」を指定商品として、平成16年7月30日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
請求人は、「本件商標の登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第5号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用されていないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
(2)答弁に対する弁駁
ア 本件商標と使用に係る商標との同一性について
(ア)乙第2号証に示す「メイクアップキット商品」の外装箱の裏面には、「Fairy Brush」及び「フェアリー ブラシ」の標章が付されている。したがって、乙第2号証に示す標章と本件商標とは、明らかに外観を異にする。よって、本件商標が乙第2号証において使用されていないことは明らかである。そこで、「Fairy Brush」及び「フェアリー ブラシ」なる標章が、本件商標と社会通念上同一と認められるか否かを検討する。
a.「フェアリー ブラシ」について
「フェアリー ブラシ」中の「ブラシ」は、商品名であるため、「フェアリー」が自他商品の識別機能を果たすものであるという被請求人の主張については、争わない。
しかし、「フェアリー」と本件商標とが社会通念上同一であるという被請求人の主張については、争う。
「フェアリー」の発音を有する英単語は、「fairy」に加えて、「fairly」も存在する(甲第3号証)。「fairy」からは、「妖精」の観念が生じる。一方、「fairly」からは、「公正に、公平に」の観念が生じる。商品「化粧用ブラシ」について、商標の観念として、「妖精」及び「公正に、公平に」のどちらを用いたとしても、商品の良いイメージは保たれるので、あえて、「妖精」の観念のみが優先して使用される必然性はない。したがって、「フェアリー」との片仮名表記の場合、「妖精」及び「公正に、公平に」の2つの観念が生じることとなる。したがって、上段の「フェアリー」からは「妖精」及び「公正に、公平に」の観念が生じ、下段の「Fairy」からは「妖精」の観念が生じるから、観念のとらえ方によっては、上段及び下段の各部の観念が別異のものとなる場合がある。また、「fairy」と「fairly」とは、「l」の有無の違いしかなく、日本人にとっては、紛らわしい英単語である。したがって、需要者において、本件商標が、「妖精」の観念であるのか、「公正に、公平に」の観念であるのかは、直ちに認識し理解するのは困難である。
本件商標のように、上段及び下段において、片仮名とローマ字との相互間で二段併記の商標を構成する場合、上段及び下段の各部が観念を別異にする可能性があるのであれば、上段の片仮名のみを使用したとしても、生じる観念がどの観念を示しているのか特定することができない。したがって、「フェアリー」のみの表示が、「妖精」を意味する「fairy」であるのか、「公正に、公平に」を意味する「fairly」であるのか、社会一般に通用する常識から判断して、一意に特定することができない。よって、上段の「フェアリー」のみでは、本件商標と社会通念上同一であるとはいうことができない。
b.「Fairy Brush」について
「Fairy Brush」中の「Brush」は、商品名であるため、「Fairy」が自他商品の識別機能を果たすものであるという被請求人の主張については、争う。
「Brush」の英単語は、確かに、「ブラシ」の意味を有するが、「ブラッシュ」と発音される(甲第4号証)。通常、日本人には、「ブラシ」の称呼の方がなじみ深いことは明らかであり、「Brush」という英単語に接し、「ブラッシュ」と称呼したときに、直ちに、「ブラシ」を意味していると理解することはできない。すなわち、「Brush」の単語を検索しても、直ちに、「Brush」が「ブラシ」のことを意味しているとは判断できない(甲第5号証の1及び2)。乙第2号証の場合、「Fairy Brush」の回りに、「ブラシ」の記載があるがために、「Brush」が「ブラシ」を意味しているものであると推測されるにすぎない。ゆえに、「Fairy Brush」は、「Fairy」だけに分離されずに、一連に認識されるものであるから、本件商標とは、社会通念上同一であるとはいえない。
仮に、「Fairy Brush」から、「Fairy」のみを抽出して、認識されることがあるとしても、以下の観点から、本件商標とは、社会通念上同一であるとはいえない。すなわち、前記a.のとおり、「フェアリー」の発音を有する英単語は、「fairy」に加えて、「fairly」も存在する。「fairy」からは、「妖精」の観念が生じる。一方、「fairly」からは、「公正に、公平に」の観念が生じる。商品「化粧用ブラシ」について、商標の観念として、あえて、「妖精」という観念のみが優先して使用される必然性はない。したがって、「フェアリー」との片仮名表記の場合、「妖精」及び「公正に、公平に」の2つの観念が生じることとなる。したがって、上段の「フェアリー」からは「妖精」及び「公正に、公平に」の観念が生じ、下段の「Fairy」からは「妖精」の観念が生じる。
ゆえに、本件商標を全体として見た場合、「妖精」の観念が生じると共に、「公正に、公平に」の観念も生じることとなる。
本件商標のように、上段及び下段において片仮名とローマ字との相互間で二段併記の商標を構成する場合、上段及び下段の各部が観念を別異にする可能性があるのであれば、複数の観念が生じることとなる。この複数の観念のうち、どれか一つの観念に対応する標章を使用したとしても、使用している標章の観念は、登録商標と同一の観念とはならない。
本件商標からは、「妖精」及び「公正に、公平に」の観念が生じ、「妖精」を意味しているのか、「公正に、公平に」を意味しているのか特定できない状況であるから、「Fairy」から生じる「妖精」という観念と、本件商標の観念とは同一であるとはいえない。
なお、「フェアリー」が、「Fairy」の発音を示すかのように、上段に小さくルビのように表記されているという特別な事情もない。社会一般の常識から判断した場合、「Fairy」の発音を示すために、「フェアリー」という表記をするのであれば、「Fairy」の文字の上に、小さく、「フェアリー」と表記すべきである。片仮名とローマ字の二段併記の場合に、片仮名表記をローマ字の発音であるという考えは、商標実務においては通ずるものであるかもしれないが、商標法第50条第1項にいう社会通念としては通ずるものではない。ローマ字の発音は、ルビとして、小さく表記されるのが社会通念であると考えられる。
したがって、本件商標からは、「妖精」及び「公正に、公平に」の観念が生じると考えるのが、社会一般の常識からして妥当であり、しかも、「フェアリー」は、「Fairy」の発音を表している態様で本件商標中に含まれているわけではないから、下段の「Fairy」のみは、本件商標と社会通念上同一であるということはできない。
c.その他
乙第2号証において、「Fairy」と「フェアリー」とは、離れて表記されており、しかも、「Fairy」が、「フェアリー」の半分以下の大きさであることを考慮すれば、「Fairy」と「フェアリー」とが同一面上に表記されていることをもってして、二段併記商標「フェアリー/FAIRY」が表記されているということはできない。
(イ)乙第3号証に示す「メイクアップキット商品」のチラシには、「フェアリー ブラシ」の標章が付されている。したがって、乙第3号証に示す標章と本件商標とは、明らかに外観を異にするから、本件商標が乙第3号証において使用されていないことは明らかである。そして、「フェアリー ブラシ」の標章が、本件商標と社会通念上同一と認められる商標でないことは、前記(ア)で述べたとおりである。
イ 乙第4号証の1ないし5について
乙第4号証の1ないし5は、商品の販売時期を示した第三者によるウェブサイト上の書き込みであり、商標権者による使用ではない。また、当該第三者は、専用使用権者又は通常使用権者でもない。よって、乙第4号証の1ないし5は、商標法第50条第1項における使用を証明するものではない。
ウ むすび
以上のように、乙号証によっては、本件審判の請求の登録前3年以内に、商標権者が本件商標を使用したことは何ら証明されていないから、請求の理由のとおり、本件商標の登録は、取り消されるべきである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第4号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)使用の事実
以下のとおり、商標権者は、2008年11月16日に発売した「コスメデコルテ マジー デコ」ブランドの「メイクアップキット商品」における、当該キット商品中の「化粧用ブラシ」のペットネーム(商品ごとの商標)として、本件商標を使用している。
ア 乙第2号証は、「メイクアップキット商品」(現物)の写真である。当該商品の包装箱の裏面に「COSME DECORTE/Magie Deco/Fairy Brush」、「コスメデコルテ マジー デコ フェアリー ブラシ」の記載が認められる。
イ 乙第3号証は、「メイクアップキット商品」のチラシ(写し)である。当該チラシ中に、「2008年11月16日発売 限定品」、「フェアリー ブラシ 天然毛を使用した肌あたりのよさが魅力。携帯タイプ。」の記載が認められる。
ウ 乙第4号証の1ないし5は、インターネット上のウェブサイト(写し)ある。
(ア)乙第4号証の1には、「発売日 2008/11/16」、「【セット内容】フェアリーパウダー、フェアリーブラシ、フェアリーアイズ、フェアリーグロス」の記載が認められる。
(イ)乙第4号証の2には、「11/16(日)発売 限定60個」、「〈セット内容〉●フェアリーパウダー 01(フェイスパウダー)13.5g/●フェアリーアイズ GD040(アイカラー)7g/●フェアリーグロス R0660(リップグロス)7g/●フェアリーブラシ」の記載が認められる。
(ウ)乙第4号証の3には、「December24[Wed],2008,0:13」、「フェアリー グロス/フェアリー アイズ/フェアリー ブラシ。」の記載が認められる。
(エ)乙第4号証の4には、「発売日 2008年11月16日」、「【セット内容】フェアリーパウダー、フェアリーブラシ、フェアリーアイズ、フェアリーグロス」の記載が認められる。
(オ)乙第4号証の5には、「コーセーコスメデコルテ2008年のクリスマスコフレは11月16日発売のマジーデココフレ2です。」、「コーセーコスメデコルテのクリスマスコフレの中身というと、マジーデコのフェアリーパウダー、フェアリーブラシ、フェアリーアイズ、フェアリーグロスの4アイテムが入っています。」の記載が認められる。
エ 以上の乙第2号証ないし乙第4号証の5を総合すれば、商標権者の「メイクアップキット商品」が2008年11月16日に発売されたものであることは明らかである。
そして、上記「化粧用ブラシ」に使用する「Fairy Brush」、「フェアリーブラシ」の文字よりなる標章は、「化粧用ブラシ」の商標として独立して把握、認識されるように表示され、かつ、当該標章中、後半の「Brush」、「ブラシ」の文字が商品名を表すにすぎないものであって、「Fairy」、「フェアリー」の文字が自他商品の識別標識としての機能を果たすものであるから、本件商標と社会通念上同一といわなければならない。
(2)むすび
本件商標は、本件請求に係る指定商品中の「化粧用ブラシ」について、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が、商標権者により使用されていたものであるから、その登録を商標法第50条の規定により取り消すべきものではない。
(1)乙第2号証ないし乙第4号証の5によれば、以下の事実を認めることができる。
ア 乙第2号証は、「メイクアップキット商品」の包装箱並びにこれに収納された4種のセット商品及びセット商品の一つである「化粧用ブラシ」の各写真6葉であるところ(争いのない事実)、包装箱の蓋表面には、「COSME DECORTE」、「Magie Deco」、「Coffret」などの文字が表示され、これらの文字の上に重ねるように、筆記体で表した「Magie Deco」の文字が大きく表示されている。また、包装箱の商品収納部の裏面(以下「包装箱裏面」という。)には、これをほぼ4分割したそれぞれの箇所に、収納された4種のセット商品についての説明が、商品ごとに記載されていると認められる(写真が不鮮明で、細部の文字については判読できない。)ところ、その右下の約4分の1の部分を拡大した写真には、「COSME DECORTE」、「Magie Deco」、「Fairy Brush」の各欧文字が三段に表示され、その下に「コスメデコルテ マジー デコ フェアリー ブラシ」の片仮名が表示されている。また、同箇所の最下段には、「株式会社コーセー」、「お問合せ先 03−3273−1676」などの文字が表示されている。さらに、セット商品の一つである「化粧用ブラシ」の柄の部分には、「COSME DECORTE」、「Magie Deco」(筆記体)の文字が表示されている。
イ 乙第3号証は、「メイクアップキット商品」のチラシ(写し)であるところ(争いのない事実)、「Magie Deco」の表示のもと、4種のセット商品の写真と共に、「2008年11月16日発売 限定品」、「コスメデコルテ マジー デコ コフレ2」(「2」はローマ数字。以下同じ。)等と記載され、「セット内容」の項目には、「フェアリー パウダー」、「フェアリー ブラシ」、「フェアリー アイズ」、「フェアリー グロス」の各文字が記載されている。さらに、チラシの下部には、「お客様からのお問合せ先 コスメデコルテ TEL.03−3273−1676」などと記載されている。
ウ(ア)乙第4号証の1は、「マジーデコ コフレ2の商品・クチコミ情報」のウェブサイト(2010年3月1日にプリントアウトされたもの)であるところ、ここには、「メーカー名 コーセー」、「ブランド名・商品名 コスメデコルテ マジーデコ コフレ2」、「アイテムカテゴリ キット・セット メイクアップキット」、「容量・価格 1セット・6,300円」、「発売日 2008/11/16」、「【セット内容】フェアリーパウダー、フェアリーブラシ、フェアリーアイズ、フェアリーグロス」などと記載されている。
(イ)乙第4号証の2は、「コスメデコルテ マジーデコ コフレ2|クリスマスコフレ2008」のウェブサイト(2010年3月1日にプリントアウトされたもの)であるところ、ここには、「2008−11−24 17:58:40」、「コスメデコルテ マジーデコ コフレ2」、「〈コーセー〉」、「11/16(日)発売」などの文字と共に、乙第2号証に示す「メイクアップキット商品」の写真が掲載され、さらに、「〈セット内容〉フェアリーパウダー01(フェイスパウダー)13.5g、フェアリーアイズGD040(アイカラー)7g、フェアリーグロスRO0660(リップグロス)7g、フェアリーブラシ」などと記載されている。
(ウ)乙第4号証の3は、「コスメデコルテ マジーデコ コフレ2」のウェブサイト(2010年3月1日にプリントアウトされたもの)であるところ、ここには、「December 24[Wed]、2008、0:13」、「コスメデコルテ マジーデコ フェアリーパウダー01〈フェイスパウダー〉、コスメデコルテ マジーデコ フェアリーアイズGD040〈アイカラー〉、コスメデコルテ マジーデコ フェアリーグロスRO0660〈リップグロス〉、コスメデコルテ マジーデコ フェアリーブラシ」などと記載され、4種のセット商品の写真が掲載されている。
(エ)乙第4号証の4は、「コスメデコルテ−マジーデコ コフレ2−Yahoo!BEAUTY」のウェブサイト(2010年3月1日にプリントアウトされたもの)であるところ、ここには、「製品名 マジーデコ コフレ2」、「メーカー名 コーセー」、「発売日 2008年11月16日」、「【セット内容】フェアリーパウダー、フェアリーブラシ、フェアリーアイズ、フェアリーグロス」などと記載されている
(オ)乙第4号証の5は、「コスメデコルテ クリスマスコフレ」のウェブサイト(2010年3月1日にプリントアウトされたもの)であるところ、ここには、「コーセーコスメデコルテ2008年のクリスマスコフレは11月16日発売のマジーデココフレ2です。・・コスメデコルテのクリスマスコフレの中身というと、マジーデコのフェアリーパウダー、フェアリーブラシ、フェアリーアイズ、フェアリーグロスの4アイテムが入っています。」などと記載されている。
(2)前記(1)で認定した事実を総合すると、商標権者は、本件審判の請求の登録(平成22年1月19日)前3年以内である2008(平成20年)11月16日に、ブランド名を「コスメデコルテ マジーデコ コフレ2」とする「メイクアップキット商品」の発売を開始したこと、該「メイクアップキット商品」は、「フェイスパウダー」、「アイカラー」、「リップグロス」及び「化粧用ブラシ」をセットとして構成され、それぞれの商品には、個別に「フェアリーパウダー」、「フェアリーアイズ」、「フェアリーグロス」、「フェアリーブラシ」の名称が付されていたこと(乙第3号証、乙第4号証の1ないし5)、該「メイクアップキット商品」の包装箱裏面の一部に記載された「COSME DECORTE」、「Magie Deco」、「Fairy Brush」、「コスメデコルテ マジー デコ フェアリー ブラシ」との表示は、そのうちの「COSME DECORTE」、「Magie Deco」、「コスメデコルテ マジー デコ」の文字部分が商品全体のブランド名であり、「Fairy Brush」及び「フェアリー ブラシ」の文字部分が「化粧用ブラシ」の個別的商標と認められること(争いのない事実、乙第2号証)、商標権者は、上記「メイクアップキット商品」について、2008年11月24日に、インターネット上で広告をし、該商品の「セット内容」として、「フェアリーパウダー」、「フェアリーアイズ」、「フェアリーグロス」、「フェアリーブラシ」と表示し(乙第4号証の2)、「メイクアップキット商品」の発売開始後、販売していたこと(乙第4号証の1、3ないし5)、などを認めることができ、さらに、商標権者は、同商品について、「Magie Deco」、「コスメデコルテ マジー デコ コフレ2」の表示と共に、「セット内容」として、「フェアリーパウダー」、「フェアリーアイズ」、「フェアリーグロス」、「フェアリーブラシ」と表示して、少なくとも該「メイクアップキット商品」の発売日前後において、チラシをもって広告をしたと推認することができる(乙第3号証には、商標権者の記載はないが、ここに記載された「お客様からのお問合せ先」の電話番号が乙第2号証の包装箱裏面に記載された電話番号と一致することや乙第2号証及び乙第4号証の1、2、4、5に記載された「コーセー」の文字などから、商標権者の作成に係るチラシと推認することができる。)。
してみると、商標権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件請求に係る指定商品に含まれる「化粧用ブラシ」について、その包装箱裏面に、「フェアリーブラシ」及び「Fairy Brush」の文字よりなる商標(以下「使用商標1」という。)を表示し、かつ、「フェアリーブラシ」の文字よりなる商標(以下「使用商標2」という。)を表示して広告をしたものと認めることができる(使用に係る商品が「化粧用ブラシ」であり、これが本件請求に係る商品に含まれることについては、請求人は、争うことを明らかにしていない。)。
そして、商標権者の上記行為は、「商品又は商品の包装に標章を付する行為」及び「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」(商標法第2条第3項第1号、同第8号)に該当するものである。
(3)そこで、使用商標1及び使用商標2が本件商標と社会通念上同一と認められる商標であるか否かについて検討する。
ア 使用商標1について
使用商標1は、前記(2)認定のとおり、「フェアリーブラシ」及び「Fairy Brush」の文字よりなるものであるところ、その構成中の「ブラシ」及び「Brush」の文字部分は、使用に係る商品「化粧用ブラシ」を表したと理解されるものであるから、自他商品の識別機能を有しない部分といえる。したがって、使用商標1において、自他商品の識別機能を果たし得る部分は、「フェアリー」及び「Fairy」の文字部分であるから、使用商標1は、これより「フェアリー」の称呼及び「妖精」の観念を生ずるものである。
これに対して、本件商標は、前記1認定のとおり、「フェアリー」及び「FAIRY」の文字よりなるものであるところ、その構成中の「フェアリー」の文字部分は、その下に書された「FAIRY」の文字部分の片仮名表記と理解されるものであるから、構成全体をもって一つの商標を表したと認識されるというべきである。したがって、本件商標は、その構成文字に相応して、「フェアリー」の称呼及び「妖精」の観念を生ずるものというべきである。
そうすると、使用商標1は、本件商標とは、称呼及び観念を同一にするものであって、外観上も近似したものといえるから、社会通念上同一と認められる商標ということができる。
イ 使用商標2について
使用商標2は、前記(2)認定のとおり、「フェアリーブラシ」の文字を書してなるものであるところ、その構成中の「ブラシ」の文字部分は、使用商標1と同様の理由により、自他商品の識別機能を有する部分ではなく、「フェアリー」の文字部分が自他商品の識別機能を果たし得る部分である(争いのない事実)。そうすると、使用商標2は、「フェアリー」の文字より「フェアリー」の称呼を生ずるものであって、「フェアリー」の文字及び称呼から化粧品の需要者が想起する観念は、「公平に」の観念というより、「妖精」の観念を想起する場合が多いとみるのが相当である。したがって、使用商標2は、本件商標とは、称呼及び観念を同一にする商標であるから、社会通念上同一と認められる商標というべきである。
ウ 上記ア及びイに関する請求人の主張について
(ア)請求人は、「メイクアップキット商品」の包装箱裏面(乙第2号証)に表示された「フェアリーブラシ」及び「Fairy Brush」の文字について、「Fairy」と「フェアリー」とは、離れて表記されており、しかも、「Fairy」が、「フェアリー」の半分以下の大きさであることを考慮すれば、「Fairy」と「フェアリー」とが同一面上に表記されているとしても、二段併記商標「フェアリー/FAIRY」が表記されているということはできない旨主張する。
確かに、包装箱裏面に表示された「フェアリーブラシ」及び「Fairy Brush」の文字は、二段併記とはいえないとしても、包装箱裏面に表示された「コスメデコルテ マジー デコ フェアリー ブラシ」の文字部分は、その上部に書された「COSME DECORTE/Magie Deco/Fairy Brush」の片仮名表記とみるのに何ら不自然なものではなく、社会通念に照らせば、両者を全く別の商標とみる需要者は極めて少ないというべきである。そして、そのうちの「COSME DECORTE/Magie Deco」、「コスメデコルテ マジー デコ」の文字部分は、前記認定のとおり、「メイクアップキット商品」全体の商標を表した理解されるものであるから、「Fairy Brush」及び「フェアリー ブラシ」の文字部分は、構成全体をもって、「化粧用ブラシ」の個別的な商標を表したと理解され、これが本件商標と社会通念上同一と認められる商標であることは、前記ア認定のとおりである。したがって、使用商標1について、これを「フェアリーブラシ」の文字部分と「Fairy Brush」の文字部分に分離して、それぞれの文字部分が本件商標と社会通念上同一と認められる商標とはいえない旨の請求人の主張は、前提において誤りがあり、失当というべきものである。
(イ)請求人は、「メイクアップキット商品」の広告に表示された「フェアリーブラシ」の文字(使用商標2)について、その構成中の「フェアリー」の文字部分が自他商品の識別機能を果たし得る部分であることは認めるものの、該文字部分は、これより「妖精」又は「公平に」の観念が生ずる。本件商標は、上段及び下段の各部が観念を別異にする可能性があるのであれば、上段の片仮名のみを使用したとしても、生じる観念がどの観念を示しているのか特定することができない。したがって、「フェアリー」のみの表示が、「妖精」を意味する「fairy」であるのか、「公正に、公平に」を意味する「fairly」であるのか、社会一般に通用する常識から判断して、一意に特定することができないから、上段の「フェアリー」のみでは、本件商標と社会通念上同一であるとはいうことができない旨主張する。
しかし、「公正に、公平に」を意味する「fairly」が、我が国の化粧品の分野の需要者に親しまれている英単語であるとは認め難く、前記イ認定のとおり、「フェアリー」の文字及び称呼からは、「妖精」の観念を想起する場合が多いとみるのが相当である。また、請求人の「本件商標は、上段及び下段の各部が観念を別異にする可能性があるのであれば、上段の片仮名のみを使用したとしても、生じる観念がどの観念を示しているのか特定することができない。」なる主張が、本件商標は、これを構成する「フェアリー」及び「FAIRY」の各文字から、それぞれ別個の観念が生ずるから、「フェアリー」の文字部分のみの使用では観念を特定することができない旨を主張しているのであるとすれば、その主張には矛盾があるといわざるを得ない。すなわち、請求人の主張に従えば、「フェアリー」の文字からは、「妖精」又は「公平に」の観念が生ずるのであるから、本件商標中の「フェアリー」の文字部分と使用商標2は、同一の観念を生ずることになるからである。しかしながら、前記ア認定のとおり、本件商標は、構成全体をもって一つの商標を表したと認識されるものであって、これより「フェアリー」の称呼及び「妖精」の観念を生ずるものであるから、同一の称呼及び観念を生ずる使用商標2は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標というべきである。したがって、請求人の上記主張は採用することができない。
(4)その他の請求人の主張について
請求人は、乙第4号証の1ないし5について、商品の販売時期を示した第三者によるウェブサイト上の書き込みであり、商標権者又は使用権者による使用ではないから、本件商標の使用を証明するものではない旨主張する。
確かに、前記認定のとおり、乙第4号証の1、3、4、5は、個人の書き込みが中心となっているものであり、商標権者がした広告とは認めることは困難であるが、これらから、商標権者が2008(平成20年)11月16日に発売を開始した、ブランド名を「コスメデコルテ マジーデコ コフレ2」とする「メイクアップキット商品」に収納された「化粧用ブラシ」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が使用されていた事実及び上記「メイクアップキット商品」が販売されていた事実を認めることができるのであるから、乙第4号証の1、3、4、5が第三者によるウェブサイト上の書き込みであるとしても、これをもって直ちに本件商標の使用を証明するものではないということはできない。
なお、乙第4号証の2は、第三者によるウェブサイト上の書き込みとは認められず、その掲載内容の体裁からみて、商標権者による広告とみるのが相当である。
(5)むすび
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が本件請求に係る指定商品中の「化粧用ブラシ」に本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したと認め得るところである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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