Trademark Appeal Case
製造方法表示の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年異議第91026号 |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4259438号商標(以下「本件商標」という。)は、平成9年9月17日に登録出願され、「超臨界抽出法」の文字を横書きしてなり、第29類「卵黄油」を指定商品として、平成11年4月9日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
本件商標は、その指定商品中「超臨界抽出法により中性脂肪やコレステロールが除去された卵黄油」に使用したところで、これに接する取引者・需要者は、その商品が「超臨界抽出法を利用して製造された商品」であると認識するに止まり、また、上記以外の「卵黄油」に使用するときは、あたかも「超臨界抽出法を利用して製造された卵黄油」であるかの如く品質の誤認を生ずるおそれがある。したがって、本件商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、その登録は取り消されるべきである。
3 本件商標に対する取消理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の提出に係る甲第3号証ないし甲第26号証によれば、臨界温度及び臨界圧力を越えた状態の流体を超臨界流体とよび、この流体の状態になっている超臨界ガスを用いて目的の成分を抽出する方法を「超臨界抽出」「超臨界流体抽出」等と指称して使用されていることが認められる。そして、この方法は従来、スパイスやホップからカフェインを除くのに用いられていたが、最近では食品加工に応用され、かつお節エキスや葉緑素などの製品化が実用化しており、特に卵黄からコレステロールを除くプロセスなど健康食品分野へも応用されている旨記載されていることが認められる。
しかして、本件商標は、「超臨界抽出法」の文字を表示してなるものであるから、これを指定商品「卵黄油」に使用した場合、前記した実情より、これに接する取引者・需要者は、その商品が「超臨界抽出法を利用して製造された卵黄油」を認識するに止まり、該商品の品質、製造方法を表示するにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものである。
また、本件商標を「超臨界抽出法を利用して製造された卵黄油」以外の卵黄油ついて使用した場合には、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものと認められる。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
4 商標権者の意見
(1)申立人の提出に係る甲第2号証、同第4号証及び同第5号証の内容は、卵黄油,卵黄リン脂質,卵黄レシチン,卵油の一般技術説明にすぎない。
(2)甲第3号証及び同第13号証の刊行物は、本件商標の出願後の刊行物であり、公知・周知性を立証できるものでない。
(3)甲第6号証ないし同第10号証は、卵黄油の商品例にすぎず、登録商標の形態とは関係のない事項である。
(4)甲第11号証ないし同第26号証については、「超臨界流体抽出法」、「超臨界炭酸ガス」、「超臨界流体」、「超臨界C0
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抽出法」、「超臨界ガス抽出法」の技術及びこれを用いた食品成分抽出法について開示がある。
(5)甲第11号証ないし同第26号証に開示された食品成分抽出法に使用する媒体の正しい用語は「超臨界流体」、「超臨界C0
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」、「超臨界炭酸ガス」であり、また、これを用いた抽出法の正しい用語は、「超臨界流体抽出法」、「超臨界炭酸ガス抽出法」又は「超臨界ガス抽出法」であり、「流体」又は「ガス」、「二酸化炭素」を正式に入れて表現するのである。
一方、本件商標は、「超臨界抽出法」であり、要部の「超臨界抽出」は、上記の正しい用語のいずれでもない。
本件商標は、正しい用語そのものでなく、文字を省略化して、暗示はするが普通に用いられない形態としたものである。
(6)このように、本件商標は、記述的な標章ではなく、商品の自他識別力のある商標であって、登録を受けることができるものである。
5 当審の判断
(1)本件商標は「超臨界抽出法」の文字を表示してなるものであって、これを指定商品「卵黄油」に使用した場合、これに接する取引者・需要者は、その商品が「超臨界抽出法を利用して製造された卵黄油」を認識するに止まり、該商品の品質、製造方法を表示するにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであり、また、本件商標を「超臨界抽出法を利用して製造された卵黄油」以外の卵黄油ついて使用した場合には、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当すると認定した先の取消理由(上記3)は、妥当なものであって、これについて述べる商標権者の意見(上記4)は、以下の理由により、採用することができない。
(2)商標権者は、「申立人の提出に係る甲第11号証ないし同第26号証に開示された食品成分抽出法に関する正しい用語は、『超臨界流体』、『超臨界C0
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』、『超臨界炭酸ガス』或いは『超臨界流体抽出法』、『超臨界炭酸ガス抽出法』、『超臨界ガス抽出法』のように、『流体』、『ガス』などを正式に入れて表現するのに対し、本件商標は『超臨界抽出法』であって、要部の『超臨界抽出』の表現は上記の正しい用語のいずれでもない。本件商標は、正しい用語そのものではなく、文字を省略化して、暗示はするが普通に用いられない形態としたものである」旨述べる。
確かに、上記書証における「超臨界流体」に関する記述では、「超臨界流体」、「超臨界C0
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」、「超臨界炭酸ガス」のように「流体又は流体の物質名」を入れて表現していることが認められる。しかしながら、超臨界流体を利用した食品成分抽出法に関しては、「超臨界流体抽出法」、「超臨界炭酸ガス抽出法」、「超臨界ガス抽出法」のように「流体又は流体の物質名」を入れて表現したものばかりではなく、「超臨界抽出」(甲第21号証「昭和61年7月10日付日経産業新聞」)、「超臨界抽出法」(甲第22号証「平成3年12月20日付日経産業新聞」)、「超臨界抽出技術」(甲第23号証「平成1年10月26日付日経産業新聞」)と、本件商標と同様に「流体又は流体の物質名」を省略する方法により記載されており、これらの事実からすれば、この種業界の取引の実状として「流体又は流体の物質名」を入れて表現するほか、これらを省略して表現することも一般的に行われているというべきである。このことは、上記のほか昭和63年7月9日、平成1年7月12日、同7年11月22日、同10年9月7日、同年10月19日付の各「日刊工業新聞」、平成10年5月19日付「毎日新聞」、平成4年7月29日、平成10年2月9日付の各「日本食糧新聞」における超臨界流体を利用した食品成分抽出法に関連する記事中で「流体又は流体の物質名」を省略した「超臨界抽出」の表現を用いて記載されていることからも認め得るところであって、先の取消理由の認定に誤りはない。
(3)付言するに、商標権者は、上記4に挙げたほか、本件商標の商標権に係る指定商品を訂正したい旨も述べるが、商標法には登録商標に係る指定商品について訂正を請求することができる旨の規定はない。また、取消理由を解消すべく指定商品の一部について放棄の手段を講じても、登録査定時に存する取消理由は解消すべくもない。
商標権者は、本件商標の登録出願後の刊行物は、公知、周知性を立証できるものではない旨も述べるが、本件における取消理由の法条は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号であるから、その判断時期は登録査定時であって登録出願時ではない。
(4)以上のとおりであって、本件商標の登録は、前記各法条の規定に違反してされたものといわざるを得ないから、商標法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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