Trademark Appeal Case
結合商標の要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2009−16391(T2009−16391/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第9類に属する願書に記載のとおりの商品、第37類「建設設備の運転・点検・整備,建設設備の運転状況の遠隔監視,建築設備の運転状況の遠隔監視に関する情報の提供,ボイラー・冷暖房・配電設備等の建築物附帯設備の運転及び点検,建物の電源設備・空調設備・衛生設備・防犯設備・防災設備の運転・管理・保守」及び第42類「省エネルギーに関するコンサルティング,コンピュータサイトのホスティング(ウェブサイト),電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」を指定商品及び指定役務として、平成20年3月21日に登録出願、その後、指定商品及び指定役務については、原審における同21年8月20日付け手続補正書により、最終的に、第9類「配電用又は制御用の機械器具,受変電設備の絶縁監視用配電盤,照明用器具・暖房用器具・空気調和設備・火災報知器・防犯監視装置からなる建物管理設備用電気開閉装置,漏電監視装置,消費電力監視装置,電子応用機械器具及びその部品並びに付属品,省燃費運転指導警報装置用のコンピュータプログラム,省燃費運転指導警報装置,火災報知機,ガス漏れ警報器,各種センサーからの信号を検知して監視者へ自動通報する警報装置,漏電警報装置」に補正されたものである。
2 引用商標
原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第2210856号商標は、「WATCHING」の欧文字を横書きしてなり、昭和62年4月16日に登録出願、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」を指定商品として、 平成2年2月23日に設定登録がなされ、 その後、存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号の趣旨
商標が類似するかどうかは、最終的には、対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきものであり、具体的にその類否判断をするに当たっては、両商標の外観、観念、称呼を観察し、それらが取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであって、決して上記3要素の特定の一つの対比のみによってなされるべきものではないが、少なくともその一つが類似している場合には、当該具体的な取引の実情の下では商品の出所の混同を生ずるおそれはないと考えさせる特別の事情が認められる場合を除いて、出所の混同を生ずるおそれがあると認めるのが相当である(最高裁昭和43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁参照)(平成11年(行ケ)第422号)。
また、簡易、迅速をたっとぶ取引の実際においては、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標は、常に必らずしもその構成部分全体の名称によって称呼、観念されず、しばしば、その一部だけによって簡略化して、称呼、観念され、1個の商標から2個以上の称呼、観念の生ずることがあり、この場合、一つの称呼、観念が他人の商標の称呼、観念と同一又は類似であるとはいえないとしても、他の称呼、観念が他人の商標のそれと類似するときは、両商標はなお類似するものと解するのが相当である(最高裁昭和38年12月5日第一小法廷判決 民集17巻12号1621頁参照)(平成18年(行ケ)第10280号)、と判示されている。
以下、これを踏まえて本願商標と引用商標について判断する。
(2)本願商標と引用商標の類否について
本願商標は、別掲のとおり、「e−watching」の文字よりなるところ、該文字は、前半部の「e」の文字部分が筆記体風に大きく表され、かつ後半部の「watching」の文字部分がゴシック体で表され、さらに「−」(ハイフン)で連結してなるものであるから、視覚上、ハイフンの前後で、「e」と「watching」の各文字部分とが分離して看取されるとみるのが自然である。
そして、その構成中の「e」の文字は、「研究社 新英和大辞典」(株式会社研究社発行)によれば、「1)英語アルファベットの第5字.4)文字eが表す音.」、「e《略》electric」(電気の)などの意味を有する他、「広辞苑(第6版)」によれば、「イー【E・e】1)アルファベットの五番目の文字。2)〔音〕音名の一つ。ホ音。3)(east)東または東経を表す符号。4)〔数〕自然対数の底。5)〔理〕ァ.電気素量を表す記号(e)。ィ.電子を表す記号(e)。ゥ.エネルギーを表す記号(E)。」などの意味を有する語であり、また、構成中の「watching」の文字は、「観察」(「小学館ランダムハウス英和大辞典」株式会社小学館発行)の意味を有する英語である。
ところで、ハイフンは、言語表記の補助符号として使用され、「英文などで、合成度の浅い複合語の連結、一語が行末までに収まりきれず二行にまたがる時のつなぎ、または一語内の形態素(意味を持つ最小の言語単位)の区切りを明確にするのに使う。」(「広辞苑(第6版)」)といった意味を有するものであるところ、前記した構成からなる本願商標は、「e」の文字は小文字で筆記体風に大きく表され、ハイフンの後に位置する小文字のゴシック体で表された「watching」の文字に比して大きく顕著に表されていて、このような態様からも各文字が外観上分離して観察されるところであり、「watching」の文字については、前述のとおり「観察」の意味を有する英語として、我が国では広く親しまれた語といい得るものである。
そして、本願商標「e−watching」は、これが一連一体の語句として特定の意味合いをもって、一般に親しまれているものということはできないから、本願商標の構成文字全体を常に一体不可分のものとして把握しなければならない格別の事情も見いだせない。
また、「e」の文字は、前述の語意の中では、電気製品又は電子機器を含む本願指定商品との関係で、「electric(電気の)の略語」として、あるいは「電気素量又は電子を表す記号」等の意味合いで理解されることは少なくないものであり、本願指定商品との関係で、強い識別力を発揮する文字部分ということはできない。
そうすると、本願商標に接する取引者、需要者は、一般に親しまれた語である「watching」の文字部分を分離して把握、認識し、取引に資する場合も決して少なくないというのが相当であるから、本願商標よりは、その構成文字全体に相応して、「イーウォッチング」の称呼を生ずるほかに、「watching」の文字部分に相応して「ウォッチング」の称呼をも生ずるものというべきであり、該文字部分より、「観察」の観念を理解させるものである。
他方、引用商標は、前記2のとおり、「WATCHING」の文字よりなるところ、その構成文字に相応して「ウォッチング」の称呼を生ずるものであり、「観察」の観念を生ずること明らかである。
そうすると、本願商標と引用商標とは、「ウォッチング」の称呼、「観察」の観念を同じくし、さらに外観においては、本願商標構成中の「watching」の文字と引用商標「WATCHING」の文字は、小文字、大文字で表されている等の差異があるとしても、文字の綴り順を同一とするものであるから、これを時と処を異にして、需要者、取引者が接した場合には、外観上、近似した印象、連想を生じさせるおそれがあるものといわなくてはならない。
そうとすれば、本願商標と引用商標とは、称呼、観念において同じくする場合があるものであり、外観においても近似しているものであるから、相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
そして、本願商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同ー又は類似のものである。
(3)請求人の主張について
(ア)請求人は、「本願商標は、イタリック体又は手書き書体風の欧文字『e』とサンセリフ体又はゴシック体風の『watching』とをハイフン『−』でまとまりよく一体に結合した態様であることから、取引上、一連不可分に観察される造語であり、『イーウォッチング』と称呼されるのが自然である。」旨主張している。
しかしながら、ハイフン「−」には、前述のとおり、文字を連結するものとして使用されるものでもあるが、「一語内の形態素(意味を持つ最小の言語単位)の区切りを明確にするのに使う」ものでもあるから、一般に親しまれた英語である「watching」の文字部分に着目して、取引に当たることも少なくないものといい得るものである。また、前述のとおり、その構成中の「e」の文字部分は、電気製品又は電子機器を含む本願指定商品においては強い識別力を発揮するとはいい難いものであるから、「watching」の文字部分に着目し、該文字部分が独立して商品の出所を識別する標識としての機能を果たし得るものというのが相当である。
さらに、本願商標を「e」と「watching」とに分離して観察することが取引の実情に照らして不自然であると思われるほど不可分一体に結合していると認めるに足りる事実は、請求人の提出した書類及び職権において調査するも見いだすことはできない。
(イ)請求人は、他の登録例等を挙げて、本願商標は引用商標に類似しない旨主張している。
しかしながら、請求人が挙げる登録例等は、欧文字と片仮名文字との二段書きの構成よりなる商標や図案化された構成態様の商標などとの対比である等、その商標の構成態様が相違し、本願商標と引用商標との類否とは異なるものであり、商標法第4条第1項第11号の該当性については、本件における引用商標との類否判断により、個別具体的に決せられるべきものである。
また、請求人が挙げる登録例があるとしても、その登録例が本願指定商品との関係において、取引社会においてどのように使用されていて、どのような状況であるのかなどは不明であり、それらの登録例等が本願商標と引用商標の類否の判断における特別の事情となり得るということはできない。
そうとすれば、対比される商標の具体的な構成等を異にする他の登録例は、本件に関する上述の判断を左右するものではない。
したがって、これらの請求人の主張は採用することができない。
(4)むすび
以上のことを総合的に判断すれば、本願商標からは、一般に親しまれた語であって、外観上「watching」の文字部分を分離して把握、認識し、称呼されることが十分にあり得るものであり、該「watching」の文字部分と引用商標とは、前述のとおり、外観上、小文字、大文字で表されている等の差異があるとしても、文字の綴り順を同一とするものであって、両者を特徴付ける主要な部分において近似した印象を与えるものであり、「ウォッチング」(観察)の称呼、観念において共通にするものであるから、出所の混同を生ずるおそれがあるものと認めるべきである。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとした原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
なお、請求人は、本件審判の審理の終結後の平成21年10月23日付け上申書及び手続補正書を提出して「審理を再開するよう上申する」旨述べているが、その理由及び内容を検討するも上記判断に影響を及ぼし得る程のものではないから、審理を再開する必要がないと判断した。
よって、結論のとおり審決する。
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