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Trademark Appeal Case

著名商標と普通名称の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2009−900419(T2009−900419/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5253200号商標の指定役務中、第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」についての商標登録を取り消す。
本件登録異議の申立てに係るその余の指定役務についての商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5253200号商標(以下「本件商標」という。)は、「アップルバレー」及び「Apple Valley」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成20年12月5日に登録出願、第42類「気象情報の提供,建築物の設計,測量,デザインの考案,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究」を指定役務として、平成21年6月15日に登録査定、同年7月31日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、登録異議の申立ての理由を要旨以下のように述べ、その証拠として甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。

(1)商標法第4条第1項第11号該当性

本件商標は、以下の登録商標に類似する商標であって、その指定役務も同一又は類似のものである。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

ア 登録第3286569号商標

「APPLE」の欧文字を書してなり、平成4年9月24日に登録出願され、第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務を指定役務として、平成9年4月25日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

イ 登録第5054550号商標

「APPLE」の欧文字を標準文字で表してなり、平成18年7月31日に登録出願され、第9類、第16類、第18類、第35類、第37類及び第40類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成19年6月15日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

ウ 登録第5058705号商標

「APPLE」の欧文字を標準文字で表してなり、平成18年7月31日に登録出願された商願2006−71144に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、平成19年4月26日に登録出願され、第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務を指定役務として、同年6月29日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

エ 登録第5256657号商標

「アップル」の欧文字を標準文字で表してなり、平成20年5月15日に登録出願され、第9類、第16類、第18類、第35類ないし第38類、第40類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成21年8月14日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

(2)商標法第4条第1項第15号該当性

本件商標は、「Apple」と「Valley」とを組み合わせたものであるが、冒頭の「Apple」は、申立人の著名な商標であり、「Valley」は、「谷」、「盆地」という不特定の場所を意味する言葉であり、例えば、他の言葉と組み合わせることによって、何らかの場所や空間を比喩的に表現したものと理解することもできる。すなわち、「Apple」(以下「引用商標」という。)は、申立人の著名な商標・略称であり、特に指定役務「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」との関係において、即座に申立人アップル社を想起させ強い出所表示機能を担う一方で、「Valley」は指定役務との関係で特定の観念を生じさせるものではないから、本件商標に接する需要者・取引者は、本件商標は、「アップル社に関係する何らかの役務群及びこれを提供する場所・空間・Web上のスペース」等をイメージすると考えられ、その出所を混同するおそれが高い。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

(3)商標法第4条第1項第19号該当性

本件商標は、申立人の著名な商標「APPLE」、「アップル」に類似するものである。そして、一般的にリンゴという果物を意味する言葉を、本件商標の指定役務の商標として採択しなければならない必然性ないし必要性は全くない。したがって、商標権者は、申立人の著名商標に依拠する意図をもって本件商標を採択し登録出願したものと推認できる。上記事実及び申立人商標が著名であって、極めて大きな顧客吸引力を有する事実を考慮すれば、本件商標は、申立人商標の持つ強大な顧客吸引力・名声へのただ乗りによって不正の利益を得る目的を有するか、申立人商標の有する強い識別力・表示力・顧客吸引力を希釈化することによって請求人に損害を与える目的を有するかのいずれかの不正の目的をもって使用するものと解さざるを得ないものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

(4)商標法第4条第1項第8号該当性

本件商標は、申立人の著名な略称である「Apple」を含むものであり、かつ、申立人は、本件商標に関し、商標法第4条第1項第8号かっこ書所定の承諾を与えていない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。

3 本件商標に対する取消理由通知

引用商標は、申立人の業務に係る商品「パーソナルコンピュータ」に使用され、本件商標の出願時には既に、当該商品を表示する商標として、「アップル」の称呼とともに、取引者、需要者の間に広く認識されるに至っていたことは顕著な事実といい得るものである。

本件商標は、「アップルバレー」及び「Apple Valley」の文字を表してなるものであるところ、上段の片仮名は下段の欧文字の表音として自然なものである。そして、欧文字の構成態様をみると、「Apple」と「Valley」の間に1文字相当の空白があって視覚上分離して看取されるものであり、かつ、「Apple」と「Valley」とが常に不可分一体のものとしてのみ観察されるとすべき格別の理由はみいだせない

しかして、本件商標は、その構成中に、引用商標「APPLE」とその構成が酷似し、それより生ずる「アップル」の称呼を共通にする「Apple」の文字を有しており、しかも、その部分は、他の部分とは明らかに分離し、独立して認識され得るものである。してみると、本件商標と引用商標は、近似性が高いものというのが相当である。

そして、本件商標の指定役務「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」は、引用商標が使用されている「パーソナルコンピュータ(電子計算機)」とはその用途等において関連性の強い役務というのが相当であり、また、需要者を共通にするといえるものである。

してみると、引用商標の周知性の程度、引用商標と本件商標の類似性の程度、両商標が使用される商品・役務間の関連性及び需要者の共通性等を総合勘案すれば、本件商標の登録査定時はもとより登録出願時において、本件商標をその指定役務「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」について使用した場合、これに接する需要者が、引用商標を想起し連想して、当該役務を申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く誤認し、役務の出所について混同するおそれがあったと判断されるものである。

したがって、本件商標は、その指定役務中「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」について、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものと認められる。

4 当審の判断

平成22年4月27日付けで取消理由を通知し、期間を指定して意見書を

提出する機会を与えたが、商標権者からは何らの応答もない。そして、上記3の取消理由は妥当なものと認められる。

したがって、本件商標の登録は、その指定役務中「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」について、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものといわざるを得ないから、商標法第43条の3第2項の規定に基づき、取り消すべきものである。

また、その余の指定役務については、取り消すべき理由がないものと認められるから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持する。

よって、結論のとおり決定する。

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