Trademark Appeal Case
一字違い商標の類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 判定2010−600037(T2010−600037/J6) |
|---|---|
| 審判種別 | 記載はありません。 |
| 結論 | other |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第579338号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、昭和33年11月19日に登録出願、第69類「電池、整流器、電信機、電話機、電気開閉器、被覆電線、電気絶縁用碍子、電気器械器具用炭素棒等及びその各部」を指定商品として、同36年8月19日に設定登録され、その後、3回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、平成14年8月28日に第9類「整流機,電信機,電話機,開閉器,電池,被覆電線,電気炉電極用炭素棒及びその部品・附属品」及び第17類「絶縁がい子」とする指定商品の書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
第2 イ号標章
被請求人が商品「バイク用バッテリー」に使用している標章(以下「イ号標章」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなるものである。
第3 請求人の主張
1 請求人は、被請求人が下記商品について使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属する、との判定を求め、その理由を要旨以下のように述べ、甲第1号証ないし甲第10号証(枝番号を含む。)を提出した。
2 請求の理由
(1)判定請求の理由の要約
イ号標章の使用商品「バイク用バッテリー」は、本件商標の指定商品「電池」に含まれる。
本件商標とイ号標章は、全5文字で構成されるうち第4番目の欧文字を除いた4文字が同一である。さらに、第1番目の欧文字「Y」が大きく描かれ、太ゴシック体の如き同じフォントを用いて横一列に表される点でも共通する。このように構成の軌を一にすることから、外観上互いに類似する。
さらに、本件商標より生じる称呼「ユアサ」とイ号標章より生じる称呼「ユアナ」は、第3音「サ」「ナ」の点でのみ異なる。当該相違音は母音を共通にする近似音である上、称呼の識別上聴別し難いとされる末尾に位置することから、全体として称呼した場合、此相紛らわしく、称呼上互いに類似する。
したがって、イ号標章は、本件商標とは外観及び称呼上類似する標章である。
このように、本件商標と商品が類似し、商標が類似するイ号標章は、本件商標の効力の範囲に属するというべきである。
(2)判定請求の必要性
請求人は、本件請求にかかる登録第579338号商標(以下「本件商標」という。)(甲第1号証)の商標権者である。
2010年1月19日、請求人の傘下にある子会社のホームページに、一般ユーザーと思われる第三者より「御社のバッテリーにそっくりなモノが販売されています。『YUANA』と1字変えてはいますが紛らわしい品です。粗悪品だと御社のイメージダウンにつながります。対策を」という書き込みがあり、当該バッテリーを販売していると思われるウェブアドレスの記載があった(甲第2号証)。
かかるホームページ上の書き込みをきっかけに、請求人が当該ウェブアドレスにアクセスし、さらにインターネットで調べたところ、イ号標章「YUANA」が付されたバイク用バッテリーが、ヤフー・オークションその他のインターネット・オークション・サイトで多数出品され、販売されている事実を発見した(甲第3号証)。
被請求人は、遅くとも2009年3月以降、被請求人の輸入にかかるバイク用バッテリーにイ号標章を付したものを、ヤフー・オークションその他のインターネット・オークション・サイトで多数出品し、販売している。その出品件数は、2010年1月29日時点で、ヤフー・オークションだけでも1327件に上る(甲第4号証)。
かかる状況を受け、請求人は、2010年2月に、ヤフー・オークションでイ号製品をサンプル品として落札し、京都府警の協力をも仰ぎつつ、出品者に関する情報収集を試みているが、現時点でその名称及び連絡先を特定できるに至っていない。
ヤフー・オークション上に被請求人が掲載した製品情報によれば、イ号製品は東南アジア地域で製造されている可能性が高く、請求人は、現在、東京税関と相談の上、輸人差止申立ての手続を進めるべく準備を行っているところである。東京税関との相談において、輸人差止申立ての手続に際し、商標権の効力の範囲に属する旨の判定の結果を併せて提出するよう求められたことから、今回、判定請求を行うに至った。
(3)イ号標章の説明
甲第3号証は、2010年1月に、被請求人がヤフー・オークションに掲載したイ号製品の写真である。黒色のバイク用バッテリーの側面に、白抜き文字で「YUANA」と表われているのがイ号標章である。
(4)イ号標章が商標権の効力の範囲に属するとの説明
ア 商品の類否について
イ号標章が付されたバイク用バッテリーは、本件商標の指定商品のうち第9類「電池」の下位概念の商品として、明らかに含まれる。
イ 商標の類否について
(ア)外観上の類否
本件商標とイ号標章は、ともに全5文字の欧文字で構成されるうちの4文字が同一の欧文字である点で共通する。
また、イ号標章は、本件商標とは似通った書体を用いて表されており、視覚上、商標全体より受ける印象が共通する。すなわち、本件商標が太いゴシック体の如きフォントを用いて「YUASA」と横−列に表してなるところ、イ号標章も同様に、太いゴシック体の如きフォントを用いて「YUANA」と横一列に表されてなる。
さらに、本件商標の語頭の「Y」の文字は、他の文字「UASA」に比して大きく描かれる点に特徴を有するところ、イ号標章の語頭の「Y」の文字も、他の文字「UANA」に比して大きく描かれており、本件商標の特徴をそっくり備えて共通している。
英語の表示方法の原則ルールは、例えば「Japan」であれば、語頭の文字「J」を大文字で大きく表し、2文字目以降の文字「apan」を小文字かつ1/4の小さなサイズで表すのが通例である。この点、本件商標について特徴的なのは、すべての欧文字が大文字であるにも関わらず、語頭の「Y」を大きく、2文字目以降の「UASA」を小さく、サイズを変えて表している点である。これは、英語の一般的な表示方法の原則ルールを敢えて逸脱した表示方法とすることで、本件商標に、視覚上の独創性をもたせる意図にて請求人が採用したものである。
この点、イ号標章をみると、本件商標と同様に、すべての欧文字が大文字であるにも関わらず、語頭の「Y」が大きく、2文字目以降の「UANA」が小さく描かれている。このように、イ号標章は、書体及び文字の大小の表示方法についての本件商標の外観上の特徴的な構成をそのままそっくり踏襲した構成といえる。
一方、相違点としては、第4文字目が「S」と「N」で異なるが、横一列に配列された文字構成において、視覚的に埋没し易い中間に位置することから、一見してその違いを看取することは困難である。これは、商標全体より奏する印象・イメージを異ならしめる程の相違とはいえず、商標全体に与える影響は小さいものであり、微差というべきである。
以上を総合すれば、本件商標とイ号標章は、商標全体より奏する印象・イメージを共通にする、外観上互いに類似する商標であることが明らかである。
なお、イ号標章は、黒い背景に白抜きの文字で表される点で本件商標とは異なるが、これは、バイク用バッテリー自体が黒色であるため、その表面に白抜きの文字をもって商標を付したものである。すなわち、製品に施される着色との関係で通常、白抜き文字として表わさざるを得ないものであって、特に本件商標とイ号標章を非類似と判断する根拠足りうる相違ではなく、問題とはならない。
(イ)称呼上の類否
本願商標からは、「ユアサ」の称呼が生じる。一方、イ号標章からは、「ユアナ」の称呼が生じる。
両称呼を対比すると、末尾音「サ」と「ナ」の点でのみ異なることから、称呼上互いに類似するものである。
すなわち、「サ」と「ナ」は、母音「a」が共通する上、舌先を前硬口蓋に接する又は寄せて発音する点で調音方法が似ていることから、互いに音質が近似する。
加えて、かかる相違音が、称呼の識別上一般に聴別し難いとされる末尾に位置するため、両称呼を全体として発音した場合に、彼此相紛らわしいといえる。
(ウ)小括
以上よりすれば、本件商標とイ号標章は、観念においては比較できないとしても、外観及び称呼において彼此相紛らわしい、互いに類似する商標と判断されるべきである。
ウ 本件商標の周知著名性について
本件商標「YUASA」は、1918年に設立された湯浅蓄電池製造株式会社のハウスマークであり、永年に亘り継続的に使用された結果、特に自動車用及びバイク用バッテリーを含む「電池」の分野において、「YUASA」ブランドとして広く知られ、周知著名性を獲得し、現在まで維持し続けてきた。
本件商標「YUASA」は、被請求人がヤフーオークションに出品したとみられる2009年3月頃より以前より、請求人の出所表示として需要者の間に広く認識されていたものであって、現在もその周知著名性は継続して維持されている。
上記湯浅蓄電池製造株式会社は、湯浅電池株式会社、株式会社ユアサコーポレーションへの社名変更を経て、2004年4月に日本電池と経営統合を行い、株式会社ジーエス・ユアサコーポレーション(判定請求人)となった。
経営統合後、日本では、「GS YUASA」ブランドに移行している。一方、現在でも、米国及び東南アジアにある請求人の子会社が「YUASA」ブランドによるバッテリーを継続して製造・販売しており、日本にもその一部が輸入され、「YUASA」ブランドにて流通している。
甲第5号証は、米国における請求人の子会社の2009年の製品パンフレットであり、これより、現在でも本件商標「YUASA」が付されたバイク用バッテリーが製造・販売されている事実が明らかである。
そして、甲第6号証からは、日本で、「YUASA」ブランドによるバイク用バッテリーが、インターネット上で販売されている事実が明らかである。
さらに、日本における「YUASA」ブランドによるバッテリーの販売実績を示す証拠として、甲第7号証及び甲第8号証を提出する。甲第7号証は、1995年度下期ないし2003年度までの期間に日本で販売された産業用の「YUASA」バッテリーの販売額及び投下された広告宣伝費のー覧である。また、甲第8号証は、平成元年度ないし平成15年度までの期間に日本で販売された自動車用(四輪及び二輪バイク)の「YUASA」バッテリーの販売実績を示す一覧である。
「GS YUASA」及び「YUASA」ブランドによるバッテリーは、特に自動車用及びバイク用バッテリーを含む電池の分野において、我が国でトップシェアを有する人気ブランドとして一般ユーザーに広く受け入れられてきた。
これらの商標主である請求人は、特にバイク用バッテリーの分野において常に業界70%以上のトップシェアを、永年に亘って維持し続け、日本No.1のバッテリー・メーカーとして不動の地位を築いてきた。
甲第9号証は、自動車用及びバイク用バッテリーの人気ランキングに関するインターネット・プリントアウトであるが、請求人のバッテリーが常に上位にランキングされている事実が明らかである。
このように、電池の分野において本件商標「YUASA」が周知著名性を獲得している事実からすれば、被請求人は、請求人が永年かけて構築してきた「YUASA」ブランドの周知著名性に便乗すべく、本件商標と相紛らわしく類似するイ号標章「YUANA」を意図的に採択したというべきであり、需要者をして混同を生ぜしめんとする被請求人の故意性が感じられると言わざるを得ない。
エ 市場における実際の混同について
請求人の調べによれば、実際に、一般需要者及び取引者が、市場で流通している請求人の製品とイ号製品を混同し、取り違えた事例や、イ号標章について、請求人の製品のパロディ商品や模倣品としてインターネット・ブログに書き込みがなされるような事例が、現実に多数発生している。
(ア)ホームページへの一般ユーザーからの書き込み
2010年1月19日、請求人の傘下にある子会社のホームページに、「御社のバッテリーにそっくりなモノが販売されています。『YUANA』と1字変えてはいますが紛らわしい品です。粗悪品だと御社のイメージダウンにつながります。対策を」という書き込みがあった事例。
調査の結果、イ号標章「YUANA」が付されたバイク用バッテリーが、ヤフー・オークションその他のインターネット・オークション・サイトで多数出品され、販売されている事実が発見された。
(イ)甲第10号証−1
愛知県のバイク販売業者の店員によるインターネット上の書き込み事例。
互いに相紛らわしい標章を付した製品として、イ号製品と請求人の真正商品とを並べた写真が掲載されており、イ号製品は格安だが性能が劣るとのコメントがなされている。
(ウ)甲第10号証−2
Yahoo!ブログにおける書き込み事例。
イ号製品と請求人の製品の写真が対比的に掲載され、イ号製品は安価だが、液漏れの心配があり不安であるとの記載がなされている。
イ号標章「YUANA」は請求人の商標「YUASA」のパクリ(盗作)であるとの記載が見受けられる。
(エ)甲第10号証−3
イ号製品と請求人の製品の写真が対比的に掲載され、イ号標章を本件商標と勘違いして、購入しそうになったとの記載がなされている。
また、コメント投稿欄には『Yuanaバッテリー・・・まぎらわしい』との書き込みがなされている。
(オ)甲第10号証−4
バイクのバッテリーとしては格安の値段でイ号製品を購入した一般需要者の書き込み事例。
購入後、宅配で届いたイ号製品をよく見れば、請求人の製品ではなくイ号製品であったと書き込みがなされている。
この事例では、需要者は、製造元について老舗ブランド「YUASA」によるユアサバッテリーと完全に勘違いして購入した模様であり、イ号製品は『パクリ商品』であり、一見しただけでは気が付かないとコメントを付している。
(カ)甲第10号証−5
イ号標章「YUANA」について、あやしいメーカー名だとの書き込み事例。
(キ)甲第10号証−6
ヤフー・オークションで『GS YUASA製が1000円。』と思って落札しようとした瞬間に、商標が「YUASA」でなく、イ号標章「YUANA」であることに気づいたとのブログにおける書き込み事例。
インターネット検索サイトGoogleでイ号製品に関する苦情が多数発見されたため、『まがい物バッテリー』として購入を見送ったと書き込まれている。
(ク)甲第10号証−7
「YUASA」と「YUANA」で(品質に)天と地の差があるとの記載が見受けられる事例。
オ イ号製品の品質について
なお、イ号製品は、請求人の製品の1/3〜1/4程度の安価で販売されており、請求人の市場における販売の機会を逸失させている。そればかりか、その製品の劣悪な品質のために、上述のとおり、イ号標章と混同した一般需要者が請求人に対してクレームを言ってきたり、請求人は現実に損害を被っている状況にある。
カ 小括
以上のとおり、本件商標の指定商品「電池」に含まれるバイク用バッテリーについて周知著名な本件商標と類似するイ号標章を故意に使用する被請求人の行為は、本件商標の効力の範囲に属するものである。
第4 被請求人の反論
本件は、被請求人の存在が確認できない判定請求であり、被請求人の反論はない。
第5 当審の判断
1 本件商標の著名性について
請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)甲第5号証は、2009年版の請求人の米国子会社の製品パンフレットであるところ、表紙及び表紙の次の頁の右下、2頁の右上並びに裏表紙の左下には、「YUASA」の商標が表示されており、また、表紙の次の頁、2頁ないし4頁、30頁ないし33頁には、「YUASA」の商標が付された商品「バッテリー」の写真が掲載されている。
(2)甲第6号証は、インターネット情報であるところ、「YUASA」の商標が付された商品「バッテリー」の写真が掲載されている。
(3)甲第7号証は、日本における産業用「YUASA」バッテリーの販売額広告宣伝費の一覧であるところ、1997年度下期から2003年度上期の宣伝広告費は、約1,000万円から3,000万円であり、1995年度下期から2003年度下期の販売額は、約45億円から60億円であることが認められる。
(4)甲第8号証は、日本における自動車及びバイク用「YUASA」バッテリーの販売実績一覧であるところ、平成元年度から平成15年度における四輪用の年間販売実績は、約255万個から344万個であり、二輪用の年間販売実績は、約71万個から103万個であることが認められる。また、同年度における四輪用の年間販売実績は、約204億円から274億円であり、二輪用の年間販売実績は、約32億円から46億円であることが認められる。
(5)甲第9号証は、バッテリーの人気ランキングの結果を示すインターネット情報であるところ、「価格.com」のホームページにおけるバイク用バッテリーランキングにおいて、請求人のバッテリーが、1位から5位を独占している。また、「coneco.net」のホームページにおける人気自動車用バッテリーランキングにおいて、請求人のバッテリーが、5位、9位から16位を占めており、「ベストゲート」のホームページにおける自動車用バッテリー人気ランキングトップ50においては、請求人のバッテリーが、2位、3位及び5位から10位を占めている。
(6)以上よりすれば、本件商標は、請求人の業務にかかる商品「自動車及びバイク用バッテリー」を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識されるに至っていたものと認めることができる。
2 本件商標とイ号標章の比較について
(1)外観について
本件商標は、別掲(1)のとおり、語頭の「Y」の欧文字のみを大きく表し、これに続けて「UASA」の欧文字を表してなるものである。
イ号標章は、別掲(2)のとおり、横長の黒塗り四辺形内に、白抜き文字で語頭の「Y」の欧文字のみを大きく表し、これに続けて「UANA」の欧文字を表してなるものである。
本件商標とイ号標章中の白抜きされた文字部分は、似通った書体で表されており、いずれも語頭の「Y」の欧文字のみを大きく表し、これに続けて4文字の欧文字を表してなるものであるから、その特徴は共通している。
また、本件商標とイ号標章の文字の配列は、「YUA」の文字及び語尾の「A」の文字を同じくするものであり、4文字目の「S」と「N」において相違はあるとしても、全体として構成の軌を一にするものであるから、外観において類似しているものである。
(2)称呼について
本件商標は、別掲(1)のとおり、語頭の「Y」の欧文字を大きく表し、これに続けて「UASA」の欧文字を表してなるものであるから、「ユアサ」の称呼を生ずる。
一方、イ号標章は、別掲(2)のとおり、横長の黒塗り四辺形内に、語頭の「Y」の欧文字を大きく表し、これに続けて「UANA」の欧文字を表してなるものであるから、「ユアナ」の称呼を生ずる。
そこで、本件商標から生ずる「ユアサ」の称呼とイ号標章から生ずる「ユアナ」の称呼とを比較すると、称呼の識別上、重要な位置を占める「ユア」の音を共通し、「サ」の音と「ナ」の音に差異を有するものである。この差異音の「サ」の音は、「舌端を前硬口蓋に寄せて発する無声摩擦子音〔s〕と母音〔a〕との結合した音節。」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)であり、「ナ」の音は、「舌尖を前硬口蓋に接触して発する鼻子音〔n〕と母音〔a〕との結合した音節。」(同掲書)であるから、いずれも母音〔a〕を共通にし、舌端又は舌尖を前硬口蓋に寄せて発するか接触して発するかの微差にすぎないものである。
してみれば、本件商標及びイ号標章の称呼をそれぞれ一連に称呼するときには、語調、語感が近似したものとなり、称呼上、似通った印象を有する商標ということができる。
(3)観念について
本件商標は、語頭の「Y」の文字のみを大きく表し、かつ、全ての欧文字を大文字で表示してなるものであるから、普通に用いられる方法で表示する標章の域を脱しているとして登録されたものと推認できるものであり、姓氏の一つである「湯浅」の観念を生ずる。
一方、イ号標章は、特定の観念を有さない造語である。
(4)本件商標とイ号標章の類否について
以上によれば、本件商標とイ号標章とは、観念において比較できない点を考慮しても、外観及び称呼において相紛らわしい商標といわなければならない。
したがって、本件商標とイ号標章とは、類似の商標とみるのが相当である。
(5)取引の実情及び商品の類否について
請求人は、本件商標を「バイク用バッテリー」にも使用するものであり、また、イ号標章は、甲第2号証及び甲第10号証(枝番号を含む。)によれば、「バイク用バッテリー」に使用されている。
そして、本件商標の指定商品「電池」とイ号標章を使用する商品「バイク用バッテリー」とは、いずれも生産部門、販売部門、用途及び需要者を共通にする同一又は類似の商品である。
3 まとめ
本件商標は、請求人の商品「自動車及びバイク用バッテリー」に使用されて周知著名であるところ、イ号標章をその商品「バイク用バッテリー」に使用した場合、当該商品に接する取引者、需要者は、請求人の業務に係る商品「自動車及びバイク用バッテリー」に使用されて著名な本件商標を想起して、請求人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く誤信し、商品の出所について混同するおそれがある商標ということができる。
してみれば、本件商標とイ号標章とは、商品の出所について混同するおそれがある類似の商標といえるものであって、両者の商品は、同一又は類似の商品である。
したがって、商品「バイク用バッテリー」に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属するものである。
よって、結論のとおり判定する。
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