結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2009−301379(T2009−301379/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第2621422号商標(以下「本件商標」という。)は、「ソフトン」の文字を横書きしてなり、平成3年4月19日に登録出願、第7類「プラスチツクス製建築専用材料」を指定商品として平成6年2月28日に設定登録され、その後、平成16年2月17日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同年3月17日に指定商品を第19類「プラスチック製建築専用材料」とする書換登録がされているものである。
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出している。
本件商標は、その指定商品「プラスチック製建築専用材料」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきものである。
商標権者が使用している「ニューソフトン」は、本件商標「ソフトン」とは異なる商標であり、商標法第50条第1項に規定されている「登録商標と社会通念上同一と認められる商標」でもないので、本件審判の請求は理由のあるものである。
(1)被請求人の使用している商標
被請求人は、答弁書において使用商標の態様について説明している。それによると使用商標は、片仮名文字「ニュー」と「ソフトン」を一連一体に左横書き又は縦書きした「ニューソフトン」である。また、「NEW SOFTON」なる英文表示もある。このような2つの商標は、全体がまとまりよく一連表記されているので、全体でーつの造語であると考えられる。
(2)登録商標と使用商標について
(ア)上記の2つの使用商標は、いずれも商標法第50条第1項に規定されている「登録商標と社会通念上同一と認められる商標」ではない。
同法第50条第1項には、「登録商標(書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。)」と規定されているが、上記の使用商標は、a)書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、b)平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、c)外観において同視される図形からなる商標、のいずれにも該当しないことは明らかであり、d)その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標、でもない。上記a)からc)については、上記使用商標が該当しないことは外観・称呼・観念から明らかであるので、以下、上記d)について述べる。
(イ)商標法第50条第1項の「登録商標」の後のカッコ書きは、平成8年の法改正により加えられたものであり、改正の趣旨は、過剰な防衛的出願を抑制するため、またパリ条約第5条C(2)の趣旨の我が国への適用を明確にするため、「社会通念上同一と認められる商標の使用は登録商標の使用に含まれる」旨を明確にしたものである。
そして、審判便覧53−01には登録商標と社会通念上同一と認められる商標の例が挙げられており、d)の例としては、「称呼及び観念を同一とする場合の平仮名及び片仮名と漢字の相互間の使用」、「登録商標が二段併記等の構成からなる場合であって、上段及び下段等の各部が観念を同一とするときに、その一方の使用」、「縦書きによる表示態様とこれに対応すると認められる左横書き又は右横書き(ローマ字にあっては、右横書きを除く)による表示態様の相互間の使用」が挙げられているが、被請求人が主張する使用商標はこれらに該当しない。
(ウ)さらに、被請求人は答弁書において、「『ニュー』なる文字が単に商品の品質等を表すにすぎず、自他商品識別の機能を有しない文字であることを証明する証拠として乙第3号証の1及び2を提出する」と述べて、昭和53年審判第962号及び昭和52年審判第1884号の各審決公報を提出しているが、これらの審決は、拒絶査定不服審判の審決であり、商標法第3条第1項第3号の規定に該当するか否かについての判断を行っているものである。
商標法第50条第1項に規定されている「登録商標と社会通念上同一と認められる商標」であるか否かの判断基準と、同法第3条第1項第3号の規定に該当するか否かについての判断基準とは異なる基準であるため、上記審決の判断をそのまま本件に適用することはできないことは明らかである。
(エ)そして、被請求人は答弁書において「使用商標の『ニューソフトン』が『ソフトン』に『ニュー』の文字を付加したものであっても、要部として『ソフトン』が抽出される以上、使用商標は本件商標と社会通念上同一の商標と解されるものである。」と述べているが、「要部として『ソフトン』が抽出される以上、使用商標は本件商標と社会通念上同一の商標と解される」という考え方は、商標法第50条第1項が規定している「登録商標と社会通念上同一と認められる商標」の概念の範囲を逸脱する考え方であり、被請求人の答弁は失当である。
(オ)そもそも被請求人が主張する「『ニュー』なる文字は英文字の『NEW』に通じ、『新しい、新製品』を意味する文字として需要者(取引者)に広く一般に理解、認識されており」ということは、答弁書内に記載された商標の使用状況と矛盾している。すなわち、被請求人は1974年から1980年まで商標「ソフトン」を使用し、1980年から2001年までは商標の使用をしておらず、2002年から現在まで商標「ニューソフトン」を使用している(答弁書4頁4〜7行)ところ、本件商標は1991年(平成3年)に出願され1994年(平成6年)に登録されている。したがって、本件商標は商標「ソフトン」の使用停止から11年後に出願され、登録後も8年間は「ソフトン」、「ニューソフトン」ともに使用がされておらず、本件商標「ソフトン」の登録から8年経ってから「ニューソフトン」の使用が始まっている。商標「ソフトン」の使用停止から商標「ニューソフトン」の使用開始までは21年が経過しており、需要者(取引者)は商標「ソフトン」を忘却しており、商標「ソフトン」に化体した信用は消失していることは明らかである。つまり、商標「ソフトン」を付した商品が21年間存在していないところに商標「ニューソフトン」を付した商品が突然出現したという状況では、需要者は「ニューソフトン」を「ソフトン」の新製品と考えることはなく、「ニューソフトン」全体でーつの造語と認識するはずである。
(カ)甲第1号証にも上記の論理と適合する審決が示されている。即ち、甲第1号証においては、商標「め組」が商品「消火栓」について平成9年10月に使用され、平成12年6月には商標「ニューめ組」が商品「消火栓」に使用されているところ、「ニューめ組」の「ニュー」は、「新商品、新製品」であることを表示しているので、「め組」と「ニューめ組」とは社会通念上同一と認めるのが相当との判断が下されている。この判断は、「め組」が付された商品がまず存在していたから、その後に「ニューめ組」が付された商品が販売されたときには「め組」の新製品であると需要者・取引者が判断するということを意味しており、その裏には、「め組」が付された商品がそれまで存在していないときに「ニューめ組」が付された商品が販売されても、それを「め組」の新製品であるとは需要者・取引者は考えず「ニューめ組」全体でーつの商標と捉える、という意味が含まれている。
(キ)以上より、「『ニューソフトン』を付した商品は、『ニュー』なる文字から『ソフトン』を付した商品の『新製品』と需要者は理解するので、『ニューソフトン』は『ソフトン』と社会通念上同一の商標と認められる」という論理は成り立たない。
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1ないし第4号証(枝番を含む。)を提出している。
(1)本件商標は、その指定商品「プラスチック製建築専用材料」である「コンポジションビニル床タイル」について、後述のように昭和49年頃から現在に至るまで、一時使用を中断した時期もあるが、日本国内において、被請求人がこれを継続して使用しているものであり、以下にその事実を具体的に立証する。
(2)被請求人は、自社の製品カタログである「タジマ床仕上げ総合カタログvol.19」に、本件商標を商品「コンポジションビニル床タイル」とともに掲載し、取引先等に頒布している。乙第1号証として、2008年(平成20年)9月22日に発行された上記製品カタログを提出する。
上記製品カタログの第50−53頁には、上記商品を床に敷設した店舗等を撮影した写真(第50−51頁)と、カラー番号で列挙された商品群を撮影した写真(第52−53頁)を載せているが、それぞれの頁の上欄部分に、当該商品を表示するものとして本件商標が商品「コンポジションビニル床タイル」名より大きい表示で明確に示されている。
(3)また、被請求人は、商品「コンポジションビニル床タイル」の見本帳である「TAJIMA FLOORING Vinyl Composition Tile NEW SOFTON/CAMINO/PASSAGE VOL.5 1版」に本件商標を付し、取引先等に頒布している。乙第2号証として、上記見本帳を提出する。
上記見本帳には、上記商品の見本が多数貼り付けられたうえ冊子的に折り畳まれて収納され、表表紙等には本件商標が上記商品「コンポジションビニル床タイル」名より大きい表示で明確に示されている。
(4)上記製品カタログ、見本帳に本件商標を付して展示し、頒布する行為は、商標の使用行為について規定する商標法第2条第3項第8号の「商品に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布する行為」に該当するものである。
したがって、本件商標は、「コンポジションビニル床タイル」という商品に商標(標章)として使用しているものといえる。
(5)使用商標の態様
被請求人は、片仮名文字「ニュー」と「ソフトン」を一連一体に左横書き又は縦書きした「ニューソフトン」として使用している。
ところで、上記使用商標の「ニューソフトン」が「ニュー」と「ソフトン」を結合したものであって、本件商標とは「ニュー」の有無で相違があるが、これは商標法第50条第1項に規定されている「登録商標(書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって、同一の称呼及び観念を生じる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む)」の使用に当たるものである。
すなわち、「ニュー」なる文字は英文字の「NEW」に通じ、「新しい、新製品」を意味する文字として需要者(取引者)に広く一般に理解、認識されており、単に商品の品質等を表すにすぎない文字であるから、使用商標の「ニューソフトン」のうち自他商品識別の機能を果たしている部分(要部)は「ソフトン」であり、これは商標法第50条第1項に規定されている社会通念上同一と認められる商標を含む「登録商標」に当たることは明白である。
乙第1及び第2号証には、「ニューソフトン」のほかに「NEW SOFTON」なる英文表示もあり、この「NEW SOFTON」の前半にある「NEW」の英文字からも「ニュー」なる文字が「NEW」に通じ、「新しい」等を意味することが肯けるものと思料する。
上記「ニュー」なる文字が単に商品の品質等を表すにすぎず、自他商品識別の機能を有しない文字であることを証明する証拠として乙第3号証の1及び2を提出する。
なお、さらに補足すると、被請求人は、本件商標について、その登録出願日より相当前の1974年(昭和49年)頃から「ソフトン」の使用を開始し、1980年から2001年までの一時期使用を中断したが、2002年(平成14年)から「ニューソフトン」として使用を再開し、現在に至るまで継続して使用しているものである。
(6)使用商品
本件商標を使用している商品は、乙第1及び第2号証に明示されているように「コンポジションビニル床タイル」である。この「コンポジションビニル床タイル」は、乙第1号証の第376頁に記載のJIS A 5705に規定されているとおり、ビニル樹脂、可塑剤、安定剤からなるバインダの含有率が30%未満のビニル床タイルである。そして、本件商標の指定商品「プラスチック製建築専用材料」には「プラスチック製タイル、プラスチック製床板」が含まれていることが明らかであるから、本件商標は、その指定商品について使用されていることは明白である。
上記使用商品の「コンポジションビニル床タイル」が「プラスチック製建築専用材料」に含まれることを証明する証拠として乙第4号証を提出する。乙第4号証の第88頁には、国際分類第19類の商品「プラスチック製建築専用材料」に「コンポジションビニル床タイル」である「プラスチック製タイル、プラスチック製床板」が記載されている。
(7)使用時期
乙第1号証は、2008−2009年用として2008年(平成20年)9月22日に発行されたものであることが、その表表紙や奥付等から明らかである。乙第2号証は、2008年9月現在のものであることが、裏表紙に明示されている。
したがって、本件商標は、本件審判の請求登録前3年以内に使用されていることが明らかである。
上記のように、使用商標の「ニューソフトン」が「ソフトン」に「ニュー」の文字を付加したものであっても、要部として「ソフトン」が抽出される以上、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と解されるものである。
したがって、本件商標は、被請求人自らが審判請求の登録前3年以内に日本国内において、これを使用しているといえる。
よって、商標法第50条第1項による取消理由などなく、本件審判の請求は理由がない。
被請求人が、本件商標をその指定商品「プラスチック製建築専用材料」である「コンポジションビニル床タイル」に使用しているとして、提出した乙第1及び第2号証によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証は、「2008−2009/TAJIMA/FLOORING」、「タジマ床仕上げ総合カタログvol.19」と題する被請求人発行の商品カタログの抜粋写しと認められるところ、その第50頁には、商品の施工例を示す店舗の写真が掲載され、商品の特長、用途、タイルサイズ等の説明が記載されていると共に、該写真上部の見出し部分に「ニューソフトン」の文字が大きく横書きされ、その右側に「コンポジションビニル床タイル」の文字がやや小さく横書きされており、これらの下段に「Vinyl Composition Tile/NEW SOFTON」の文字が小さく併記されている。また、該写真の左側上方に大きな「ニューソフトン」の文字とやや小さな「コンポジションビニル床タイル」の文字が二行に縦書きされている。さらに、最下段の頁数を示す「50」の右側にも「NEW SOFTON」の文字が記載されている。
第51頁にも、商品の施工例を示す洋室の写真が掲載され、該写真の下段には、商品「床タイル」の価格・規格、工法等が記載され、その右側に「NEW SOFTON」の文字とやや小さな「Vinyl composition tile」の文字が記載され、その下段には「SPECIFICATION」等、商品の規格等が英文で記載されている。
第52頁及び第53頁には、商品番号と共に色見本を示す商品「床タイル」の写真が掲載されており、両頁にも、第50頁及び第51頁と同様に、見出し部分に、「ニューソフトン」、「コンポジションビニル床タイル」、「Vinyl Composition Tile/NEW SOFTON」等の文字が記載されている。
第376頁には、「タジマ商品のJIS区分対応表」が掲載され、「ビニル床タイル JIS A5705」の項に「コンポジションビニル床タイル」として第50頁に掲載の商品「ニューソフトン」が挙げられている。
また、上記カタログの第1頁の左下方には、「掲載商品と価格について」の表題の下に、「このカタログに掲載されている価格は、2008年9月22日現在のものです。」と記載され、同裏表紙の左下方にも、「このカタログに掲載の商品は、2008年9月22日現在のものです。」と記載されているほか、同裏表紙の右下には、「タジマ床仕上げ総合カタログVOL.19」の表示の下に「発行日:2008年9月22日」と記載されている。
(2)乙第2号証は、被請求人の取り扱いに係る商品の見本帳の抜粋写しと認められるところ、その表紙の中央部分には「ニューソフトン」及び「カミーノ/パサージュ」の文字が大きく二段に表され、これらの上段に「コンポジションビニル床タイル」の文字が小さく並記されている。加えて、これらの表示の右上には、やや小さく「TAJIMA FLOORING」、「Vinyl Composition Tile」及び「NEW SOFTON/CAMINO/PASSAGE」の文字が三段に表され、さらに、これらの下部に「VOL.5」の文字が表されている。上記三段に表された「TAJIMA FLOORING」、「Vinyl Composition Tile」及び「NEW SOFTON/CAMINO/PASSAGE」の文字並びに「VOL.5」の文は、該見本帳の裏表紙にも表示されている。また、該見本帳の裏表紙の右下隅には、「2008年9月現在」と記載されている。
上記1において認定したところによれば、乙第1号証の商品カタログ及び第2号証の商品見本帳において表示されている「ニューソフトン」及び「NEW SOFTON」の標章は、商品「コンポジションビニル床タイル」に係る商標としての機能を果たしているものというべきである。そして、上記商品カタログ及び商品見本帳は、本件審判の請求の登録日である平成22年1月13日前3年以内に、被請求人によって発行されたものであることが明らかである。
そうすると、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、商品「コンポジションビニル床タイル」について「ニューソフトン」又は「NEW SOFTON」の文字からなる商標を使用していたものというべきである。
ところで、一般に、「ニュー」及び「NEW」の文字は、「新しい、新」の意味を有する語として広く親しまれ、商品が新製品であることを示すために従前の商品に使用していた名称(商標)に冠して普通に使用されているところであり、それ自体は自他商品・役務の識別標識としての機能を果たし得ないものである。
これを本件についてみるに、被請求人が使用している上記「ニューソフトン」及び「NEW SOFTON」の商標については、その構成中の「ニュー」又は「NEW」の文字は、当該商品が新製品であることを示すにすぎず、「ソフトン」又は「SOFTON」の文字部分が自他商品の識別標識たる要部として認識し理解されるというべきである。
しかして、上記「ソフトン」又は「SOFTON」の文字は、本件商標と社会通念上同一といえるものである。
また、上記「ニューソフトン」及び「NEW SOFTON」の商標が使用されている商品「コンポジションビニル床タイル」は、本件商標の指定商品「プラスチック製建築専用材料」の範疇に属する商品と認められるものである。
以上を総合すると、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標と社会通念上同一の商標をその指定商品に属する商品「コンポジションビニル床タイル」について使用していたものというべきである。
以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、その指定商品について商標権者たる被請求人によって使用されていたものというべきであるから、商標法第50条第1項の規定に基づき、その登録を取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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