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Trademark Appeal Case

商標・役務の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2008−32281(T2008−32281/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第35類に属する願書に記載のとおりの役務を指定役務として、平成19年4月2日に登録出願、その後、指定役務については、原審における同20年1月16日付け手続補正書及び当審における同20年12月22日付け手続補正書により、最終的に、第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,手動利器・手動工具及び金具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,台所用品・清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,薬剤及び医療補助品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,化粧品・歯みがき及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,農耕用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,花及び木の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,燃料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,紙類及び文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,線香の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ろうそくの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,使い捨てカイロの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,紙製タオル及び紙製ふきんの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に補正されたものである。

2 引用商標

原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。

(1)登録第421085号の1の1商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、昭和26年6月12日に登録出願、同28年2月17日に設定登録された登録第421085号について、平成8年3月11日(同日に二回分割有り)に商標権の分割移転の登録がされた結果、第45類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とするものであり、その後、指定商品については、同18年6月21日に、第29類「食肉,肉製品,加工水産物(ただし「かつお節,粉末かつお,干しのり,青のり」及びこれらの類似商品を除く。),卵,ジャム・チョコレートスプレッド・ママレード・果物の漬け物(ただし缶詰及び瓶詰めのものを除く。),カレー・シチュー又はスープのもと」、第30類「甘酒,こしょう」及び第31類「昆布,わかめ,あらめ」とする書換登録がされているものである。

(2)登録第421085号の1の2商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、昭和26年6月12日に登録出願、同28年2月17日に設定登録された登録第421085号商標の商標権の分割にかかるものであって、第45類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、平成8年3月11日に商標権の分割移転の登録がされ、その後、指定商品については、同16年7月14日に、第29類「かつお節,寒天,削り節,食用魚粉,とろろ昆布,干しのり,干しひじき,干しわかめ,焼きのり,お茶漬けのり,ふりかけ」及び第31類「海藻類(てんぐさを除く。)」とする書換登録がされているものである。

(3)登録第421086号の1の1商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、昭和26年6月12日に登録出願、同28年2月17日に設定登録された登録第421086号について、平成8年3月11日に商標権の分割移転の登録がされた結果、指定商品を第45類に属する商標登録原簿記載のとおり商品とするものであり、その後、指定商品については、同18年6月21日に、第29類「食肉,肉製品,加工水産物(ただし「かつお節,粉末かつお,干しのり,青のり」及びこれらの類似商品を除く。),卵,ジャム・チョコレートスプレッド・ママレード・果物の漬け物(ただし缶詰及び瓶詰めのものを除く。),カレー・シチュー又はスープのもと」、第30類「甘酒,こしょう」及び第31類「昆布,わかめ,あらめ」とする書換登録がされているものである。

(4)登録第421086号の1の2商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、昭和26年6月12日に登録出願、同28年2月17日に設定登録された登録第421086号商標の商標権の分割にかかるものであって、第45類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、平成8年3月11日に商標権の分割移転の登録がされ、その後、指定商品については、同16年7月14日に、第29類「かつお節,寒天,削り節,食用魚粉,とろろ昆布,干しのり,干しひじき,干しわかめ,焼きのり,お茶漬けのり,ふりかけ」及び第31類「海藻類(てんぐさを除く。)」とする書換登録がされているものである。

(5)登録第2283399号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲4のとおりの構成からなり、昭和63年11月8日に登録出願、第29類「サイダ−」を指定商品として、平成2年11月30日に設定登録、その後、指定商品については、同13年6月20日に、第32類「サイダー」とする書換登録がされているものである。

(6)登録第2335434号商標(以下「引用商標6」という。)は、「マルアイ」の片仮名文字を横書きしてなり、平成元年6月22日に登録出願、第31類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同3年9月30日に設定登録、その後、指定商品については、同13年10月10日に、第1類「人工甘味料」、第5類「乳児用粉乳,乳糖」、第29類「乳製品,食用油脂」、第30類「調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと」、第31類「ホップ」及び第32類「乳清飲料」とする書換登録がされているものである。

(7)登録第4017924号商標(以下「引用商標7」という。)は、「マルアイ」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和63年10月20日に登録出願された昭和63年商標登録願第118286号を原出願とする、商標法第10条第1項の規定による分割商標登録出願として、平成8年5月16日に登録出願、第32類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同9年6月27日に設定登録、その後、指定商品については、同19年8月1日に、第29類「かつお節,削り節,粉末かつお,とろろこんぶ,干し青のり,干しのり,焼きのり,干しわかめ,干しひじき,寒天,ふりかけ,お茶漬けのり」とする書換登録がされているものである。

(以下、引用商標1ないし7をまとめていうときは、引用各商標という。)

4 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号について

本願商標は、別掲1のとおり、赤色、青色、緑色で着色した2つの切れ込みを有する縦型楕円形図形を左側から順に重ねてなる図形(以下「図形」という。)と図形の右横に赤色で「マルアイ」の片仮名文字を書してなるものである。

しかして、本願商標構成中の図形と文字部分は、視覚上分離して観察されるものであり、また、本願商標は、構成全体として、なんらかの特定の意味合いを看取させる等、「図形」及び「マルアイ」の文字を常に不可分一体のものとしてのみ観察されなければならないとすべき特段の事情は認められないものである。

してみると、簡易迅速を尊ぶ取引の実際にあっては、本願商標に接する取引者、需要者は、本願商標構成中の「図形」を捨象し、その構成中の赤色で書されている等、看者の目を惹きやすい部分であると認められる「マルアイ」の文字部分に強く印象を留め、該文字部分のみをもって取引に資する場合も決して少なくないというべきである。

してみれば、本願商標は、「マルアイ」の称呼を生じ、かつ、特定の観念は生じないものである。

他方、引用商標1及び2は、別掲2に示すとおり、丸囲みされた縦書きの「あい」の平仮名文字の下に「マルアイ」の片仮名文字を縦書きにしてなるものであるから、丸囲みされた「あい」又は「マルアイ」の文字部分から、「マルアイ」の称呼を生ずるものであり、かつ、特定の観念は生じないものである。

引用商標3及び4は、別掲3に示すとおり、丸囲みされた「合」の漢字の下に「まるあい」の平仮名文字を縦書きにしてなるものであるから、丸囲みされた「合」又は「まるあい」の文字部分から、「マルアイ」の称呼を生ずるものであり、かつ、特定の観念は生じないものである。

引用商標5は、別掲4に示すとおり、「マルアイ」の片仮名文字と「サイダー」の片仮名文字との間に丸囲みした漢字「愛」をモチーフとしたと思しき文字(以下「丸囲み文字」という。)を配してなるところ、その構成中の「マルアイ」と「サイダー」の文字とは、その間に「丸囲み文字」を有することから、視覚上分離して看取されるものである。

また、構成中の「サイダー」の文字は、引用商標5の指定商品を表示するもので、該文字部分は、自他商品の識別標識としての機能を有さないものであるから、簡易迅速を尊ぶ取引の実際にあっては、引用商標5に接する取引者、需要者は、その構成中の「マルアイ」の文字部分のみをもって取引に資する場合も決して少なくないというべきである。

してみれば、引用商標5は、「マルアイサイダー」の一連の称呼のほか、「マルアイ」の文字部分のみを捉えた「マルアイ」の称呼をも生じるものであり、かつ、特定の観念は生じないものである。

引用商標6及び7は、「マルアイ」の片仮名文字を横書きしてなるものであるから、「マルアイ」の称呼を生ずるものであり、かつ、特定の観念は生じないものである。

そこで、本願商標と引用各商標とを比較するに、本願商標と引用各商標とは、「マルアイ」の称呼を共通にするものである。

また、本願商標の構成中の「マルアイ」の文字と、引用商標1、2及び引用商標5の構成中の「マルアイ」の文字部分、引用商標6及び7の「マルアイ」の文字とは、その綴りを共通にすることから、外観において類似するものである。

ところで、本件商標の指定役務は、商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、いわゆる小売等役務に関する役務であるところ、このような小売等役務は、そこで取り扱われる商品と、需要者、役務の提供場所(商品の販売場所)を共通にし、また、提供者(販売者)も共通にすることが多いことから、小売等役務において取り扱われる商品の商標と同一又は類似の商標が、当該小売等役務に使用されるときは、当該商品と役務とが同一の営業主によるものと誤認され、商品及び役務の出所の混同を生じさせるおそれがあるというべきであり、当該商標は、商標法第4条第1項第11号該当の要件である「登録商標に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務に使用するもの」に該当するものといえる。

そうとすれば、本願の指定役務中「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」において取り扱われる商品中に、引用各商標の指定商品と同一又は類似の商品を含むものであるから、本願の指定役務と引用各商標の指定商品とは類似するものとみるのが相当である。

してみれば、本願商標と引用商標1、2、5、6及び7とは、両者共に、特定の観念を生じないことから、観念においては、比較できないものであるとしても、「マルアイ」の称呼を共通にし、本願商標構成中の「マルアイ」の文字と引用商標1、2及び5の構成中の「マルアイ」の文字、引用商標6及び7の「マルアイ」の文字とは、外観において類似することから、本願商標と引用商標1、2、5、6及び7とは、類似の商標であり、かつ、本願の指定役務と引用商標1、2、5、6及び7の指定商品とは類似するものである。

また、本願商標と引用商標3及び4についても、外観において相違し、観念においては、比較できないものであるとしても、「マルアイ」の称呼を共通にする類似の商標であり、かつ、前述のとおり、その指定役務と指定商品とは類似するものである。

よって、本願商標をその指定役務に使用した場合は、その出所について誤認混同を生ずるおそれがあるものと認められる。

(2)出願人(請求人)(以下「請求人」という。)の主張について

ア 請求人は、「本願商標は、請求人が永年に亘りハウスマークとして使用してきたことから、需要者間及び同業者間において『スーパーマーケットのマルアイ』と認知されている等、一定の周知性を有する。したがって、たとえ、本願商標と引用各商標が『マルアイ』の称呼を共通にしたとしても、本願商標の周知性ゆえに、本願商標と引用各商標は、出所混同が生じるおそれのない非類似の商標であると需要者等は、認識するものである。よって、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当しない。」旨主張する。

そこで、請求人が提出した証拠資料をみるに、請求人の事業に係るスーパーマーケットは、兵庫県内に47店存在し(甲第18号証の1)、その売上げ額は、平成19年2月期で、553億9,600万円であり(甲第19号証)、平成19年6月27日付けの日経流通新聞に掲載された「小売業売上高ランキング」(甲第20号証の2)によれば、請求人の平成19年2月期の売上げは、全国の小売業者中の第227位にランキングされている。

また、請求人は、スーパーマーケットを展開する兵庫県南部地域を中心に、折り込みチラシ(甲第34号証の1及び2)を1回あたり64万350部(甲第35号証)を頒布している。

さらに、「請求人がスーパーマーケット事業について使用する本願商標が、スーパーマーケットに係る小売事業者間において広く知られた著名商標であり、スーパーマーケット業界において『マルアイ』といえば、出願人のスーパーマーケットであることが直ちに理解されるものである」とする平成20年1月9日付けの日本スーパーマーケット協会会長名で発行された証明書(甲第39号証)が提出されている。

以上のことから、請求人の事業に係るスーパーマーケットが、兵庫県内に47店存在し、平成19年度2月期の売上高が約554億円であり、全国の小売業者中の227位であること、スーパーマーケットを展開する兵庫県南部地域を中心に、折り込みチラシを1回あたり64万350部頒布していること、日本スーパーマーケット協会会長が、本願商標が、請求人を表示する著名な商標であると証明していることが請求人の提出による証拠資料から、うかがうことができるものである。

しかしながら、請求人のスーパーマーケットは、兵庫県内に存在するのみで、全国的に店舗展開をしているものではない。

また、本願商標に関する宣伝・広告についても、スーパーマーケットの営業地域を中心としたものであって、広く全国的に行われているものとは認められない。

さらに、請求人の平成19年度2月期の売上高が約554億円に達しているとしても、この売上高のみをもって、本願商標の周知性を直ちに判断することはできないものである。

そして、請求人の提出による全国の小売業者の売上高を対象とした全国ランキングにおいては、請求人の売上高が、全国で227位であることからすれば、かかる業界における請求人の市場占有率が、決して高いとは判断することができない。

そうとすると、たとえ、日本スーパーマーケット協会会長名により、本願商標が著名性を有するものであるとの証明書が提出されていたとしても、前記で述べる事情からすると、客観的に、本願商標が、需要者等の間に広く認識されているものは、いい得ないものである。

してみれば、本願商標が、兵庫県ないしその周辺地域において使用された結果、本願商標が、請求人の運営するスーパーマッケットの名称として、その地域の需要者・取引者に知られているとしても、その周知性は、自ずと限定されていると判断するのが相当である。

そして、前記(1)で認定したとおり、本願商標と引用各商標とは、類似の商標であり、本願商標の指定役務中には、引用各商標に係る指定商品と類似する役務が含まれることから、その出所について誤認混同を生ずるおそれがあるものである。

よって、請求人の上記主張は、採用することができない。

イ 請求人は、「『小売等役務商標制度に関するよくあるQ&A 〜小売業者・卸売業者の方々へ〜』(以下「Q&A」という。)に掲載された回答例(回答例6 店名が多数の事業者によって使用されている場合であっても、図形で他人の商標と区別することができれば、店名と図形が一緒になった商標は登録することができます。)、(回答例21 他人の商店名と読み方が同じか類似するような場合は、商標登録が困難となります。しかし、そのロゴやデザイン等が相違することによって他人の商標と区別でき、需要者が混同したり、取引が混乱することなく双方の商標が使用されているような場合には、双方の商標を登録できる可能性があります。)からすれば、特許庁は、小売等役務商標の構成中の文字に付加された図形が、他人の商標と判別する際に大きな影響を与え得ることを認めている。してみれば、本願商標と引用各商標との類否判断においても、文字部分から生じる称呼の共通性のみならず、本願商標構成中の図形の存在は重視されるべきであり、文字と図形が一体不可分に結合することにより、引用各商標と外観及び観念上判別することができ、本願商標が使用される本願小売等役務と引用各商標が使用される引用指定商品との出所につき、現実に需要者が混同したり取引が混乱する等の事実が存在せず、またそのような蓋然性も認め難い場合には、両商標は非類似と判断されて然るべきである。」旨主張する。

しかしながら、登録出願に係る商標が登録され得るものであるか否かの判断は、個々の商標ごとに個別具体的に検討、判断されるべきものである。

そして、両商標が非類似とする請求人の主張の根拠とする「Q&A」に記載された回答例6は、「店名が多くの事業者により使用されているものであっても、店名に図形を付ければ登録となりますか。」との問いに対する回答であり、すなわち、これは、多くの事業者により使用される店名は、自他役務の識別標識としての機能を有さないことから、それのみでは登録されない(Q5及びQ12参照)が、その店名に、自他識別標識としての機能を有する図形を付した場合で、その図形が、他人の登録商標と同一又は類似しない場合には、商標は登録の可能性があると回答したものである。

また、「Q&A」に記載された回答例21は、「自分の商店名を出願しようと思います。実際に使用しているロゴやデザインでなく、普通の書体で出願すればよいですか。」との問いに対する回答の一部であり、すなわち、これは、自分の商店名を出願する場合は、実際に使用されている態様の商標を出願することを推奨するもので、実際に使用されている商標と異なる態様で、出願された場合は、いままで使用してきた商標とはみなされない可能性がある旨を回答したにすぎないものである。

しかして、本願商標構成中の「マルアイ」の文字部分は、多くの事業者により使用される店名とはいい得ないものであり、また、自他役務の識別標識としての機能を有しないとはいえないものであるから、Q6の事例とは明らかに相違するものである。

また、Q21も、小売等役務商標制度の導入時における使用していた商標が、未使用の商標に優先されるとする取扱い(Q9参照)に関連したQ&Aといえるもので、本願とは明らかに事例が相違するものである。

さらに、商標法第4条第1項第11号適用の類否判断は、小売等役務商標制度の導入にあっても、他の商品・役務の類否判断と何ら変わるところはないものである。

そうとすれば、本願商標は、前記(1)で認定したとおり、その構成中の図形と「マルアイ」の文字部分とが、常に一体不可分のものとして、看取されるものではなく、また、本願商標が、その構成中の「図形」の存在のみをもって、引用各商標とは類似しないと判断すべき特段の事情はないものである。

してみれば、本願商標と引用各商標との類否判断において、「Q&A」における回答例を参酌しなければならない特段の事情はないものである。

したがって、請求人の上記主張も採用することができない。

ウ 請求人は、「『総合小売』に係る商標は、多岐にわたる商品を取り扱うことから、個別の商品との関係が特定できないことに特徴を有することから、商品商標との関係で商品又は役務の出所の混同が生ずるおそれが低く、類似すると考える必要はないとされている。しかして、各種の商品を取り扱うスーパーマーケット事業は、『総合小売』と同等の取り扱いを受けるべきである。そして、本願の指定役務は、『総合小売』に準ずる役務に該当するものであるから、引用各商標の指定商品とは、非類似と判断されて然るべきである。」旨主張する。

しかしながら、指定商品・指定役務の類否の判断は、実際の営業分野に応じて判断するのではなく、願書の記載に基づいてするのが原則であるところ、本願商標において指定された役務は、「飲食料品、身の回り品、電気機械器具類」等の個別具体的な「商品の小売又は卸売において行われる顧客に対する便益の提供」(以下、「特定小売等役務」という。)であるから、例え、請求人が各種の商品を取り扱っている「スーパーマーケット事業」を行っているとしても、それをもって、衣食住3分野にわたる商品を一括してバランス良く取り扱っているものをその対象としている「総合小売等役務」と同様の役務として取り扱うことは適当でない。なお、「総合小売等役務」は、「衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取扱うことを目的とする小売等役務」であるから、その事業形態が何であれ、前記に該当する役務であれば、総合小売等役務として登録され得るといえるものである。

ところで、それぞれの「特定小売等役務」は、前記(1)でも述べたとおり、取り扱われる個別具体的な商品の販売と当該商品に関する役務の提供が一般的に同一事業者によって行われるものであり、また、商品の販売場所と役務の提供場所とを同一にし、さらに、需要者を共通にするものであることから、同一又は類似の商標を当該商品及びその商品に関する特定小売等役務に使用した場合には、その出所について混同を生じるおそれがあるといえるものであり、当該商品とその商品に関する特定小売等役務とは類似するものといえる。

したがって、本願の指定役務と引用各商標の指定商品とは類似するものとみるのが相当であり、請求人のかかる主張も採用することはできない。

エ その他、請求人の主張をもってしても、原査定の拒絶の理由を覆すに足りない。

(3)まとめ

したがって、本願商標が、商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、これを取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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