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Trademark Appeal Case

指定商品と材料名使用

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2010−300143(T2010−300143/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第3124003号商標の商標登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第3124003号商標(以下「本件商標」という。)は、「エバーライト」の文字と「EVERLIGHT」の文字を二段に横書きしてなり、平成5年1月27日に登録出願、第12類「自動車並びにその部品及び附属品」を指定商品として、平成8年2月29日に設定登録され、その後、平成17年12月27日に商標権存続期間の更新登録がされ、その商標権は、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。

(1)請求の理由

本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用された事実がないから、その登録は、商標法第50条第1項により取り消されるべきである。

(2)答弁に対する弁駁

ア 乙各号証について

(ア)乙第3号証(商標権者の有価証券報告書)

乙第3号証によれば、その3頁の〔沿革〕には、「1959年8月ポリウレタンフォーム(エバーライト)の生産を開始」となっているが、その沿革の記述中には、「エバーライト」を本件商標の指定商品(以下「本件指定商品」という。)について使用した旨の記述は一切なく、具体的商品名が列挙されていない。

したがって、乙第3号証は、「ポリウレタンフォーム」の生産の開始であって、「自動車並びにその部品及び附属品」の生産の開始ではないから、使用の事実を証明する証拠とは足りえない。

(イ)乙第4号証(商標権者のニュースリリース1999.7.7 No.43)

乙第4号証には、「エバーライト」の文字が散見されるが、「自動車並びにその部品及び附属品」ではなく、「硬質ウレタンフォーム断熱材」であって、「集合住宅およびオフィス向け結露防止用断熱材」と明記されている。ここからも、硬質ウレタンフォーム断熱材、すなわち、原材料名としての「エバーライト」の使用でしかなく、乙第4号証は、本件指定商品に該当する商品についての使用とは到底言えず、使用の事実を証明する証拠とは足りえない。

(ウ)乙第5号証(商標権者のウェブサイトから抜粋のウェブページ)

乙第5号証には、乙第4号証と同様に、「エバーライト」の文字が散見されるが、「エバーライト」は、ポリウレタンフォーム断熱材、すなわち、原材料の名称としての使用しかされていない。化成品の箇所で、「エバーライト」を吸音材、隙間埋め材、パッキン材、サンバイザーと説明していることからも明らかである。もし、「エバーライト」が原材料ではなく、「自動車並びにその部品及び附属品」を製造・販売しているのであれば、納品書及び具体的な商品写真を証拠として添付できるはずであるが、全く添付がされていない。また、ベビー用品の箇所で、チャイルドシート(フレームラミネート(シート))として「エバーライト」を掲載していることも、シートに「エバーライト」という材料を用いているということを示すにすぎず、やはり材料名として使用していることを示す証拠でしかない。チャイルドシートについても製造・販売しているのであれば、納品書及び具体的な商品写真を証拠として添付できるはずであるが、全く添付がされていないことからも、これら商品の材料としての使用としか思われず、ウレタンフォームの応用範囲を提案しているにすぎない。

この点につき、被請求人は、「ポリウレタンフォームをベースとした商品の生産を開始、かかる商品について使用する」とし、具体例として、家電製品、OA機器用部材、リビング・生活用品、医療健康関連用品等の幅広い用途があると説明し、「自動車並びにその部品及び付属品」に該当する関連商品としては車両サンバイザー、自動車用シートカバー、チャイルドシートカバー、車両用天井材、車両ワディング材、車両部品を列挙する。

しかしながら、これら商品は、上記のとおり、原材料としての「エバーライト」を使用しているにすぎない。例えば、車両サンバイザー、自動車用シートカバー、チャイルドシートカバーの商品名としてではなく、これら商品の原材料名として使われている。このことからも、「自動車並びにその部品及び付属品」について、本件商標の使用をしていると言う被請求人の主張は著しく正当性を欠くものである。

したがって、乙第5号証は、本件指定商品に該当する商品についての使用とは到底言えず、使用の事実を証明する証拠とは足りえない。なお、乙第5号証は、本件審判の請求の登録前に掲載されていたことが立証されていない。

(エ)乙第6号証(商標権者のカタログ「ブリヂストン加工品商品案内」2008年11月発行)

乙第6号証には、「エバーライト」は、7頁の「生活用品・産業資材」の項で材料名としてそれぞれ記載されているにすぎない。したがって、乙第6号証は、本件指定商品についての使用とは到底言えず、使用の事実を証明する証拠とは足りえない。また、乙第6号証の6頁に掲載されている写真を見る限りにおいて、防振ゴム類などに、ポリウレタンフォームが使用されているものとは思われるが、「エバーライト」の名称も記載されていない。さらに、被請求人は、「自動車並びにその部品及び附属品」についてのカタログや納品書の提出もしていない。

(オ)乙第7号証(ブリヂストンケミテック株式会社(以下「ブリヂストンケミテック」という。)のウェブサイトから抜粋のウェブページ)

乙第7号証には、ポリウレタンフォームの製造との業務の記載があるのみで、本件商標を本件指定商品について使用する事実等の記載がないことは一目瞭然である。シート用のモールドフォームとして使用されているにすぎず、エバーライトという自動車シートを製造・販売しているとはいえない。さらに、商標権者の100%子会社たるブリヂストンケミテックが、1978年10月に「モールドフォーム」について生産開始としているが、「シート」については触れられていない。

したがって、乙第7号証は、本件指定商品についての使用とは到底言えず、使用の事実を証明する証拠とは足りえない。なお、乙第7号証については、本件審判の請求の登録前に掲載されていたことは立証されていない。

イ その他

商標が、商品の素材、すなわち原材料を指し示す標章として機能するだけでは、当該商標は、商品本体の出所表示機能、自他商品識別機能を発揮し得ないことになり、商標法の制度趣旨たる、需要者利益保護の観点からも好ましいとは言えない。かかる法制度趣旨を逸脱するような商標の使用を認めることは、本来の商標法の目的から鑑みても、得策ではないと思慮する。

ウ むすび

以上のとおり、乙各号証からは、本件商標がポリウレタンフォーム素材の名称、すなわち、原材料の名称として使用されていることを証明するにとどまり、本件商標が「自動車並びにその部品及び付属品」に使用されていることを立証するものではない。

したがって、本件商標の登録は、取り消されるべきである。

3 被請求人の主張

被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を次のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第7号証を提出した。

(1)使用の事実

ア 以下のとおり、本件商標は、その商標権者によって、本件審判の請求の登録(平成22年2月23日)前3年以内に日本国内において、本件指定商品について使用されていたものであるから、商標法第50条により、その登録が取り消されるべきものではない。

イ 商標権者は、1959年8月よりポリウレタンフォームをベースとした商品の生産を開始し、かかる商品について本件商標を使用している(乙第3、4号証)。

ポリウレタンフォームをベースとした商品には、家電製品、OA機器用部材、リビング・生活用品、医療健康関連用品等の幅広い用途がある。商標権者は、ポリウレタンフォーム素材のみならず、これら成型品についても共通して本件商標を使用している。本件指定商品に関連する商品としては、「車輌サンバイザー、自動車用シートカバー、チャイルドシートカバー、車輌用天井材、車輌ワディング材、車輌部品などの吸遮部材」等がある(乙第5、6号証)。乙第5号証(商標権者のウェブサイトから抜粋したウェブページをプリントアウトしたもの)は、常時掲載されている。また、乙第6号証(カタログ)は、2008年(平成20年)11月に発行された。

ウ 商標権者の100%子会社であるブリヂストンケミテック(乙第3号証)においても、本件商標を使用している(乙第7号証)。乙第7号証(ブリヂストンケミテックのウェブサイトから抜粋したウェブページをプリントアウトしたもの)に掲載されている「自動車用シートクッション」は「自動車並びにその部品及び附属品」に含まれるものと思料する。

ブリヂストンケミテックは、ポリウレタンフォームをベースとした商品について、1971年10月より板状に成形するスラブフォームの生産を、1978年10月より型で成形するモールドフォームの生産を開始し現在に至っている。「自動車用シートクッション」はモールドフォームで生産される商品である。

100%子会社であるブリヂストンケミテックにおける本件商標の使用は、親会社である商標権者の使用と同一視し得るものと思料する。

(2)むすび

以上より、本件商標は、商標権者によって本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件指定商品である「自動車並びにその部品及び附属品」について使用されており、乙第3号証ないし乙第7号証により、本件商標が使用されている事実が証明されている。

4 当審の判断

(1)被請求人は、商標権者が本件審判の請求の登録(平成22年2月23日)前3年以内に日本国内において、本件指定商品について本件商標を使用しているとして、乙第3号証ないし乙第7号証を提出しているので、以下検討する。

(2)乙第3号証ないし乙第7号証によれば、以下の事実を認めることができる。

ア 乙第3号証は、商標権者の第91期事業年度(2009年1月1日〜同年12月31日)の有価証券報告書であるところ、「沿革」(3頁)によれば、商標権者は、1959年8月に「ポリウレタンフォーム(エバーライト)」の生産を開始したこと及び1971年8月に、現在のブリヂストンケミテックの前身であるブリヂストン関西エバーライトセンター株式会社を設立したこと。また、「関係会社の状況」(6頁)によれば、ブリヂストンケミテックは、商標権者の100%子会社であること。

イ 乙第4号証は、1999年7月7日付け商標権者のニュースリリース(No.43)であるところ、ここには、「ノンフロンの水発泡技術を開発/現場吹き付け施工タイプの硬質ウレタンフォーム断熱材『エバーライト NFR』を発売」との見出しのもと、該硬質ウレタンフォーム断熱材が集合住宅及びオフィス向け結露防止用断熱材の新商品として「エバーライト NFR」の名称で7月から発売される旨の記事が掲載されたこと。

ウ 乙第5号証は、商標権者のウェブサイトからの抜粋ページ(掲載日は不明)であるところ、ここには、「ブリヂストンは高い樹脂加工技術を基にポリウレタンフォームをベースとした製品(エバーライト)を生産及び販売しております。・・エバーライトシリーズの用途は幅広く、自動車内装から家電製品、OA機器用の部材、更には家具や雑貨のリビング用品から生活用品、そして医療健康関連用品におよび、・・」と記載され、「製品ピックアップ」欄には、「エバーライトSF」、「エバーライトモラン」、「環境対応粘着」の文字と共に、これら製品の写真が掲載されていること。そして、上記「エバーライトSF」の商品説明として「ポリウレタンフォームを特殊加工し、・・三次元構造の骨格組織を持つ素材です。フィルター材、化粧用パフ材、ヘッドフォン用イヤーパッド、衣料用、雑貨用等の多くの用途に使用されています。」と記載され、また、「エバーライトモラン」の商品説明として「EPDMゴムの持つ優れた耐候性・・を活かし厳しい条件の用途に使用可能です。」などと記載され、さらに、「車両」のページの「自動車」の箇所には、「エバーライト(吸音材、隙間埋め材、パッキン材、サンバイザー)」、「フレームラミネート(シートカバー、天井材)」、「エバーライトモラン(シール材)」などの文字が、また、「生活資材」のページの「ベビー用品」中、「チャイルドシート」の箇所には、「エバーライト」、「フレームラミネート(シート)」の文字が、それぞれ記載され、その他、「難燃性能」、「吸音性能」、「熱融着」の各ページには、「エバーライト(エーテルフォーム)」を「難燃性能」、「吸音性能」、「熱融着」からみた場合の用途例として「自動車内装用、車両サンバイザー用、車両ワディング材用、車両天井用、弱電・OA・車両用吸音、シール材」などが記載されていること。

エ 乙第6号証は、2008年11月発行に係る「ブリヂストン化工品商品案内」との表題のあるカタログであるところ、そのうちの「生活用品・産業資材」の項目(7頁)には、「《産業資材》」の文字の下に、「エバーライトSF(フィルター、粧材)」、「車両用(座席シート、ヘッドレストなど安全部品、ワッディング、天井材など)」と記載されていること。

オ 乙第7号証は、ブリヂストンケミテックのウェブサイトからの抜粋ページであるところ、その1枚目には、左上に、「EVERLIGHT」の文字と「エバーライト」の文字を二段に横書きした商標が表示され、「当社のポリウレタン・フォーム素材『エバーライト』は、あらゆる生活シーンで活用されています。」、「ポリオールを主原料とするエバーライトは、優れたクッション性や吸音性を発揮するポリウレタン・フォーム商品です。この商品には大きく分けてスラブフォームとモールドフォームがあり、さまざまな分野で広く普及しています。」と記載されていること。また、2枚目の「EVERLIGHT/Mold Foam」、「エバーライトモールドフォーム」の見出しの下には、「・・エバーライトモールドフォームは、群を抜くクッション性の良さにより、極めて広範囲な車種のシート材として利用されています。」と記載されていること。そして、ブリヂストンケミテックは、1978年10月よりモールドフォームの生産を開始したこと(3枚目)。

(3)前記(2)で認定した事実によれば、使用に係る商標「エバーライト」ないし「EVERLIGHT/エバーライト」は、商標権者及びその100%子会社であるブリヂストンケミテックの業務に係る商品「ポリウレタンフォーム」について使用される商標と認めることができる。そして、エバーライトシリーズの商品は、自動車内装材・自動車部品・チャイルドシート等の自動車用部品及び附属品、家電製品、OA機器用の部材、家具、雑貨、生活用品、医療健康関連用品等の素材として幅広く使用されることを推認することができる。

しかしながら、上記ポリウレタンフォームを素材として生産された「自動車用の部品及び附属品」を含む様々な商品についてもなお、「エバーライト」ないし「EVERLIGHT/エバーライト」の文字よりなる商標が使用されていたと客観的に認めるに足りる証拠の提出はない。

そうすると、乙各号証によっては、商標権者が本件指定商品である「自動車並びにその部品及び附属品」について「エバーライト」ないし「EVERLIGHT/エバーライト」の商標を使用していたものと認めることはできない。その他、商標権者等が使用する「エバーライト」ないし「EVERLIGHT/エバーライト」の文字よりなる商標が、「自動車並びにその部品及び附属品」について使用されていたことを裏付ける証拠は見出せない。

(4)以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件請求に係る指定商品のいずれかについて、本件商標の使用をしていたことを証明したものと認めることはできない。また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

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