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Trademark Appeal Case

不使用取消における使用立証

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2009−300456(T2009−300456/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4719544号商標の指定役務中、第35類「経営の診断又は経営に関する助言」については、その登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4719544号商標(以下「本件商標」という。)は、「PHARSIGHT」の文字を標準文字により書してなり、平成15年3月24日に登録出願され、第35類「経営の診断又は経営に関する助言」及び第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、平成15年10月17日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。

(1)請求の理由

本件商標は、その指定役務中、第35類「経営の診断又は経営に関する助言」について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用された事実がないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきである。

(2)答弁に対する弁駁

ア 答弁書には、「商標権者が提供するコンサルティング業務には、例えば、競合品・・・戦略的に経営に関する助言を行うものである(乙第2号証)」との記載がある。

しかしながら、上記内容が乙第2号証の何頁何行目に記載されているかについては、答弁書には一切開示されていない。したがって、依然として、被請求人は「経営の診断及び経営に関する助言」について、以下のとおり、本件商標を使用しているとはいえない。

(ア)被請求人は、答弁書の「(1)商標権者の業務」において、被請求人がコンピュータソフトウェアの提供等を行っている旨を主張している。ただし、ここでは被請求人がコンサルティング業務を行っている旨の主張は一切されていない。一方、答弁書の「(2)日本国内における本件商標の使用」では、突然、被請求人がコンサルティング業務を提供している旨を主張している。

実際に、乙第2号証を見ても、被請求人が、いわゆる独立サービスとして「コンサルティング業務」すなわち「経営の診断及び経営に関する助言」を提供しているということは示されていない。とすれば、被請求人は、請求に係る指定役務について、本件商標を使用していることを証明していない。

(イ)乙第2号証が、答弁書の「(2)日本国内における本件商標の使用」の前記アの冒頭部分の主張の根拠とはならないから、被請求人は「経営の診断及び経営に関する助言」について本件商標の使用をしていない。

請求人としては、証拠と主張との対応関係を、被請求人が明確にすべきであると考えるところ、これを怠っている被請求人の主張は採用すべきではない。

イ むすび

以上のとおり、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標が請求に係る指定役務について使用された事実は証明されていない。

3 被請求人の答弁

被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号ないし第4号証を提出した。

(1)商標権者の業務

商標権者は、日本国を含む世界各国において、製薬及びバイオテクノロジー企業に対して、これら業界向けコンピュータソフトウェアの提供、医薬品の開発における時間・コスト・リスクの削減に貢献するとともに、革新的な業務改善、強力なデシジョンメイキング、承認後のマーケティングや医薬品の使用の適正化を可能とするためのソリューションとサービスを開発・販売を行う企業であり(乙第1号証)、その商品の販売及び役務の提供に際しては、商標権者の会社名である「Pharsight Corporation(ファーサイト コーポレーション)」の略称である「Pharsight」の商標を使用している。

(2)日本国内における本件商標の使用

商標権者は、日本国内においても、平成14年ころから、千葉県浦安市に日本国内における戦略的コンサルティング業務の担当者として、薬学博士の笹原邦宏氏を配置するなど、事業を開始し(乙第2号証)、製薬業界及びバイオテクノロジー業界等の企業を主な顧客として、医薬品等の分野における戦略的コンサルティングについての業務を提供している。

このコンサルティング業務は、第42類「医薬品の試験・検査又は研究に関する助言」の範ちゅうに属する役務のみならず、第35類「経営の診断又は経営に関する助言」の範ちゅうに属する役務の提供も含むものである。すなわち、商標権者が提供するコンサルティング業務には、例えば、競合品となる市販薬と新薬との差別化のための戦略及び手法の立案等のように、製薬会社等の経営陣に対する経営戦略的なコンサルティング業務が含まれており、かかる役務は、商標権者がその顧客である製薬企業等に対して、市場における製品の商業上の成果を達成することを目的として戦略的に経営に関する助言を行うものである(乙第2号証)。

そして、本件商標は、商標権者の会社名の略称よりなるものであるから、第35類「経営の診断又は経営に関する助言」をはじめとする商標権者が提供している全ての役務及び商品について使用されている。

これらの事実は、平成20年7月10日付け作成の「Pharsight/Pharsight Strategic Consulting Service Group/臨床開発プログラムデザイン」のパンフレット中の「競合品との差別化のためのM&S」の項において、「Pharsightは、開発中の新薬とその競合品との差別化の戦略及びその戦略毎の成功確率を添えて提供します。」などの記載がされていることより明らかである(乙第3号証)。

なお、当該パンフレットは、前記笹原氏が日本国内において製薬企業等に対して頒布している広告資料若しくは取引書類である。

以上の事実より、本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者によって、請求に係る指定役である「経営の診断及び経営に関する助言」について使用されていたことは明らかである。

(3)むすび

したがって、本件商標は、本件審判の請求に係る指定役務「経営の診断及び経営に関する助言」について使用されているものであるから、その登録は、商標法第50条の規定によって取り消されるべきものではない。

4 当審における審尋及び被請求人の回答

(1)当審における審尋(要旨)

当審において、平成21年12月1日付け審尋において、被請求人に対し以下のとおり、具体的な証拠等の提出又は釈明を求めた。

ア 被請求人は、平成21年8月20日付け答弁書の3頁において「商標権者が提供するコンサルティング業務には、・・・戦略的に経営に関する助言を行うものである(乙第2号証)。」と述べているが、乙第2号証の何頁何行目に記載されているか不明である。また、その全訳文の添付もない。

ついては、上記内容が乙第2号証のどこに記載されているかを明示すると共に、その当該頁の訳文を併せて提出されたい。

イ 同じく答弁書の3頁において、「日本国内においても、平成14年頃から、戦略的コンサルティング業務の担当者を配置し、製薬業界等の企業を主な顧客として、医薬品等の分野における戦略的コンサルティングについての業務を提供している」旨述べている。

ついては、被請求人が、前記の役務を独立して一般の企業等へ提供(助言等)したことを証明する具体的な証拠(請求書、領収書等)を提出又は釈明されたい。

(2)請求人の回答(要旨)

被請求人は、上記(1)の審尋に対し、要旨以下のとおり回答するとともに、証拠方法として陳述書(乙第4号証)を提出した。

ア 平成21年8月20日付け答弁書の3頁の「・・・戦略的に経営に関する助言を行うものである(乙第2号証)。」の記載中の「乙第2号証」は、「乙第3号証」の誤記であり、訂正する。

イ 次に、「商標権者が提供するコンサルティング業務には、・・・戦略的に経営に関する助言を行うものである」旨の記載については、乙第3号証の4頁中段の「競合品との差別化のためのM&S」の項に、「顧客は、モデル基盤の競合的製品解析を使用して、開発可否の意思決定が出来、さらに魅力的な商業上の効果を達成するための開発戦略を変更し、早期により信頼を持って競合的な容量設定を可能にします」との記載があることを根拠の一つとしている。

そして、乙第3号証は、その1頁右上に「平成20年7月10日」の記載があることから、本件審判請求の予告登録日(平成21年5月7日)前3年以内のものであるごとが明らかである。

ウ 乙第4号証において、「ファーサイト社は、2004年から2008年の間に日本国内の企業及び日本の製薬会社の米国関連企業に対して、50件以上のプロジェクトを10数社以上の企業に対して提供しています。そして、私は、・・・日本国内の企業に対して商標『PHARSIGHT』を使用して経営上のコンサルティングを提供している」旨などが述べられていることから、被請求人が2006年5月頃から2009年4月頃の間に、日本国内の製薬業界等の企業に対して医薬品等の分野における戦略的コンサルティング業務を提供していることは明らかである。

エ ファーサイト社の顧客である製薬企業は、ファーサイト社からどのような内容のコンサルティングを受けているかを開示されることを好まず、サービスの提供に際しては、そのコンサルティングの内容など一切の情報について開示しない旨の秘密保持契約が締結されていることから、コンサルティングの具体的内容が記載された取引書類、顧客の名前が表示された取引書類を開示することはできない。

5 当審の判断

(1)被請求人は、本件審判の請求の登録(平成21年5月7日)前3年以内に日本国内において、商標権者が本件商標を本件審判の請求に係る指定役務「経営の診断又は経営に関する助言」について使用していた旨主張するので、以下検討する。

ア 乙各号証について

(ア)乙第1号証は、「CTCラボラトリーシステムズ株式会社|製品情報―Pharsight社」の表題があるウェブサイトのコピー(2009年8月20日にプリントアウトされたもの。)と認められるところ、「会社概要」の項目には、「Pharsight社は製薬およびバイオテクノロジー会社向けに、PK/PD modelingとnon−compartmental解析において、業界標準のソフトウェアを提供しています。医薬品の開発における時間・コスト・リスクの削減に貢献するとともに、革新的な業務改善、強力なデシジョンメイキング、承認後のマーケティングや医薬品の使用の適正化を可能とするソリューションとサービスを開発・販売しています。」と記載されている。

また、その下段の「PKS(Pharsight Knowledgebase Server)/製品概要」には、「Pharsight Knowledgebase Server(PKS)は、PK/PDに関連するデータやファイルを、効率的かつセキュアに管理し、トラッキングを行う機能を持つサーバーシステムです。このようなシステムの配備により、合理的で費用効果のある新薬開発プロセスと、データ管理の問題を解決します。WinNonlin Enterprise(PK/PDモデリングおよび解析の主要ツール)との連携をはじめ、各種データと様々なVisualizationツール、解析ツールからの結果を紐付けて管理することが可能です。」と記載されている。

そして、次頁の「Trial Simulator/製品概要」には、「Pharsight Trial Simulatorは、より効果的な臨床試験を行うためのシミュレーションソフトウェアです。インタラクティブなドラッグモデル、探索的なデザインと実行する統計解析方法を定めて、解析結果から効果的なデザインを検証する強力なソリューション(新案特許出願中)です。より・・・」と記載されている。

しかしながら、乙第1号証に記載された商標権者の業務は、製薬及びバイオテクノロジー会社向けの業務改善や市場開発・調査、医薬品の使用の適正化を図ることなどを可能とするソフトウェアの設計・作成、データ管理システムの構築、効果的な臨床試験を行うためのシミュレーションソフトウェアの設計・作成等であって、本件請求に係る指定役務についての記載はない。

なお、乙第1号証が、本件審判の請求の登録前3年以内に、インターネット上に掲載されたものであるかも、乙第1号証からは把握することができない。

(イ)乙第2号証は、「PHARSIGHT BUSINESS ACTIVITES IN JAPAN」の表題がある英文による印刷物(被請求人の主張によれば、商標権者のパンフレット)であるところ、2頁の四角枠内の「Proprietary Notice」には、「All contents Copyright (C)2004 Pharsight Corporation.」との記載がある。

そして、同12頁には、「Contact persons」として、「For software」の項目に、「Mr.Sei Suzuki/・・・/2−5−9 Kaga,Kashiwa−si/Chiba Pref.277 JAPAN/Telephone:81−471−74−9918/Fax:81−471−73−1744」と記載され、また、「For services(Japan):」の項目には、「Kunihiro Sasahara,Ph.D./・・・/Urayasu−shi,278−0021 JAPAN/Tel/Fax:047−380−6289」(「278−0021 JAPAN」の文字部分は、他の文字と書体が異なっている。)等と記載されている。

しかしながら、乙第2号証に記載された内容が、本件請求に係る指定役務との関係において、いかなる関係を有するものであるのか、全文翻訳もないことから不明というほかなく、例えば、乙第2号証に記載された「Consulting service offerings」が、医薬品等の開発を行う企業の業務を支援するためのソフトウェアの開発、設計、作成等の役務に付随して行われる役務であるのか、あるいは、独立して市場において取引の対象となり得る役務であるのかも把握することができない。

また、乙第2号証の発行日、印刷日等は不明であるところ、各頁左下の「(C) 2006 Pharsight」の記載は、著作権の所在を示す表示であるから、これをもって、乙第2号証が本件審判の請求の登録日前3年以内に発行、頒布等されたとみることはできない。

なお、同12頁に記載された「Contact persons」中の「Mr.Sei Suzuki」の郵便番号は、3桁で表示されているが、郵便番号が3桁から7桁に変更されたのは、平成10年2月であり、柏市の電話番号の「74」の部分が4桁に変更されたのは、平成14年2月11日であるから、これらの記載に照らしても、乙第2号証が、本件審判の請求の登録前3年以内に発行、頒布されたものとみることは極めて困難であるといわざるを得ない。

(ウ)乙第3号証は、平成20年7月10日付け印刷物(被請求人の主張によれば、商標権者のパンフレット)であるが、その表題には「Pharsight」の文字が表され、その下段には「Pharsight Strategic Consulting Service Group/臨床開発プログラムデザイン」の文字が、次頁以降には「モデリングのための公表出展のメターデータベース」、「臨床第II〜III相試験開発における治療の最適化」、「競合品との差別化のためのM&S」、「Computer Assisted Trial Design(CATD)と解析」、「PK/PDモデリングと解析」、「Pop PKモデリングと解析」、「ブリッジング戦略」の各項目に分けられ、それぞれ説明がされているものであるが、いずれの項目を子細に見ても、本件請求に係る指定役務「経営の診断又は経営に関する助言」についての記載は、見出すことができない。

イ 審尋に対する請求人の回答について

被請求人は、平成22年2月1日付け回答書で、「乙第4号証(陳述書)によれば、被請求人が2006年5月頃から2009年4月頃の間に、日本国内の製薬業界等の企業に対して医薬品等の分野における戦略的コンサルティング業務を提供していることは明らかである。」旨主張している。

しかしながら、この陳述書には、「日本国内の企業に対して商標『PHARSIGHT』を使用して経営上のコンサルティングを提供している」と記載されているにすぎず、かつ、「ファーサイト社の顧客である製薬企業は、ファーサイト社からどのような内容のコンサルティングを受けているかを開示されることを好まず、サービスの提供に際しては、そのコンサルティングの内容など一切の情報について開示しない旨の秘密保持契約が締結されていることから、コンサルティングの具体的内容が記載された取引書類、顧客の名前が表示された取引書類を開示することはできない」と述べるのみであるから、結局、それらの主張を裏付ける客観的な証拠の提出はなく、他に、これを認めるに足りる的確な証拠もないものである。

してみれば、上記したとおり、本件商標が、請求に係る役務「経営の診断又は経営に関する助言」について使用されていたと認めることはできない。

ウ 以上によれば、商標権者は、医薬品等の開発を行う企業に対し、その業務を支援するためのソフトウェアの開発、設計、作成等を主たる業務として、この業務を遂行するためのコンサルティング業務をも行っているものと認めることができる(乙第2号証)としても、前記のとおり、該コンサルティグ業務が医薬品等の開発を行う企業の業務を支援するためのソフトウェアの開発、設計、作成等の役務に付随して行われる役務であるのか、あるいは、独立して市場において取引の対象となり得る役務であるのかを認定するに足る的確な証拠の提出がなく、したがって、乙第1号ないし第4号証を総合的に判断しても、本件商標と社会通念上同一と認められる「Pharsight」の文字よりなる商標が、本件審判の請求の登録(平成21年5月7日)前3年以内に日本国内において、商標権者により「経営の診断又は経営に関する助言」なる役務の提供に使用されたと認めることはできない。

また、前記認定のとおり、乙第1号証は、本件審判の請求の登録前3年以内に電磁的方法により提供されたものと認めることはできないし、乙第2号証も本件審判の請求の登録前3年以内に発行・頒布されたものと認めることはできない。

エ なお、被請求人は、商標権者が提供するコンサルティング業務には、例えば、競合品となる市販薬と新薬との差別化のための戦略及び手法の立案等のように、製薬会社等の経営陣に対する経営戦略的なコンサルティング業務が含まれている旨主張するが、前記認定のとおり、当該コンサルティング業務が独立して市場において取引の対象となり得る役務であると認めるに足る的確な証拠の提出はないものであるから、これを認めることはできず、被請求人の主張は採用することができない。

(2)むすび

以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、通常使用権者又は専用使用権者のいずれかが、請求に係る指定役務について、登録商標の使用をしていたことを証明したということはできない。

また、使用をしていなかったことについて正当な理由があることも明らかにしていない。

したがって、本件商標の登録は、請求に係る指定役務中、第35類「経営の診断又は経営に関する助言」について、商標法第50条第1項の規定により、取り消すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

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