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Trademark Appeal Case

結合商標の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年異議第90884号
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第4256501号商標の指定商品中「ゴルフクラブ」についての登録を取り消す。
本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4256501号商標(以下「本件商標」という。)は、「WOOD CHIPPER」の文字を横書きしてなり、平成9年9月16日に登録出願され、第28類「運動用具」を指定商品として、平成11年4月2日に設定の登録されたものである。

2 登録異議申立ての理由

本件商標は、商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第16号に該当し、その登録は取り消されるべきである。

3 取消理由の通知

平成11年11月2日付けで、商標権者に要旨下記の取消理由を通知した。

本件商標中の「WOOD」の文字は、その指定商品中「ゴルフクラブ」との関係において「木製のゴルフクラブ」を指称する語であり、また、「CHIPPER」は、「グリーン回りのチップ・ショット用に作られた特殊なゴルフクラブ」を意味するものとして使用されている事実を申立人提出の甲各号証によって認め得るところである。

してみれば、本件商標をその指定商品中「木製のチッパー(CHIPPER)」について使用する場合は、単に該商品の品質・用途等を表示するにすぎないものとみるのが相当であり、前記以外の「ゴルフクラブ」について使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがある。

してみれば、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものと認められる。

4 商標権者の意見

上記3の取消理由通知に対して、商標権者は、要旨つぎのように意見を述べ、証拠として乙第1号証ないし乙第16号証を提出している。

ある指定商品について、その分野で特殊に用いられている用語を1つ使用する場合は、なるほど用途表示といえると思われる。しかし本件のケースは「WOOD」も「CHIPPER」も共に、ゴルフにおいては、クラブのヘッドの形状を表すものであり、両者の形状は申立人の申立書本文及び申立人の提出した甲第5号証の多くの頁にあきらかなように、「WOOD」「IRON」「PUTTER」に大きく分類され、「CHIPPER」もこれらに並ぶ分類分けあるいは、UTILITY CLUBの一つとして分類分けされている。本件はこのように用途表示といえるものを2つ組合させて出願している。

従って、ゴルフクラブとの関係においては、この結合商標についての識別力の問題となるものと思われる。

そして、この「WOOD」に注目してみると、乙第1号証に「ウッディシャフト」とあるように、「木製の」という品質の意味合いで使用する場合は、形状を表す「WOOD」と混同しないように「ウッディ」として使用されている。

また本来の木製の「WOOD」は「ウッド」とは表示したり読んだりせず、乙第2号証に示すように、「パーシモン」と言う。

以上のことから、ゴルフにおいては、「WOOD」及び「CHIPPER」はゴルフクラブのヘッドの形状を表すものであることは明白な事実と思われる。従って、申立書及び取り消し理由通知にある、「WOOD」が「木製の」あるいは、「木製のゴルフクラブ」を表すと断定している点については、納得することができない。本件商標は、上記した理由により、ゴルフクラブのヘッドの形状を意味する「WOOD」及び「CHIPPER」の結合商標ということができる。

一般にこのような両者が意味合い的に内容の抵触するもの同士の組み合わせ商標においては、乙第3号証ないし乙第11号証に例を示すように、その結合された状態において品質表示とは考えられず、新たなる識別力を有する商標として、登録されている場合がほとんどである。

さらに、本件の「WOOD」については、上記した「木材」「ゴルフの型」以外に、「失敗」とか「うまくいかない」の意味合いがあることを主張し、その証拠を提出する。

すなわち、乙第12号証に明らかなように、バトミントンの柄(木でできている)で打つことから転じて、「失点」や「うまくいかない」の意味を有する。そのイメージ、意味合いで「WOOD」を使用することがあるため、スコアーの伸びない時にそれを改善に導く「CHIPPER」という意味合いも本件の商標に持たせているのである。

同様に「CHIPPER」についても、乙第13号証に明らかなように、もともとは装置の名称であり、これは運動用具とは全く関係ないものである。

以上のように、本件商標を構成する前後の語の意味は一通りに固定的に決定固定されるものではなく、複数の意味合を生じるものであり、そのような商標の結合にあっては、結合自体に識別力を生ずる余地がないかどうかの、詳細な検討が不可欠と考える。

本件の申立理由や取消理由通知のように、ゴルフ業界において、「WOOD」は「CHIPPER」と同様にゴルフのクラブの形状の違いを表す用語としておきながら、前半は材質のみに限定される理由が不明である。両単語はそれぞれ上記したような2から3種にも及ぶ複数の意味合いを有しており、それらが組み合わされて多数の観念を生じるものであり、現に出願人はそれらの複数の意味合いのイメージを込めて本件商標をネーミングしたものである。

「化学パルプ工場のチッパーのように鋭く球を切り刻むように打てる運動具」とも「スコアーの伸びない時、うまく行かない時に手にして頂くCHIPPER」ともさらには、以下に述べるような最近の、固定形状を越えた新しい運動具というイメージも含めている。

ゴルフクラブを例にあげれば、最近はアイアン・ウッドの区別が無くなる傾向にあり、両者の区別のないユーティリティクラブやチッパーにおいても乙第14号証に示すようなロフト角32度のイージーウッドなる商品があり、また乙第15号証に示すようなロフト角15度のチッパー、乙第16号証に示すような最高ロフト角50度のウェッジが存在するようである。さらにウッド型のウェッジも近じか発売されるようである。このような状況にあっては、商標を捉える場合に、従来の固定的な型等にとらわれ限定的に考えるのではなく、ウッドチッパーという新しい組み合わせ商標として識別力を認められたい。

なお、本件商標は、ゴルフクラブ以外の商品に使用しても、上記したような複数の観念組み合わせが可能な商標であり、商品の品質の誤認を生ずる恐れがないことを主張する。

5 当審の判断

登録異議申立人 美津濃株式会社(以下「申立人」という。)の提出に係る甲各号証を勘案すれば、「CHIPPER」の語は、「グリーン回りのチップ・ショット用に作られた特殊なゴルフクラブ」を意味するものとして使用されている事実が認められる。

ところで、従来のゴルフクラブには、金属製のクラブであるアイアンクラブに対してパーシモン等の木製のヘッドよりなるウッドクラブが製造され、使用されてきたが、現在ではそのパーシモン等の木製のヘッドからメタル、チタン等を使用したヘッドが開発されたが、その材質にかかわらず、従来の木製のヘッドよりなるウッドクラブと同様に、商標権者も主張しているようにその形状よりメタルウッド、チタンウッドと指称しているのが実情である。

そうとすると、上記の実情等を勘案すれば、「WOOD CHIPPER」の文字よりなる本件商標に接する取引者・需要者は、それより「ウッドクラブのヘッドと同様の形状をしたヘッドよりなるチッパー」又は「木製のヘッドよりなるチッパー」であることを容易に理解し、認識するにすぎないものとみるのが相当である。

してみれば、本件商標をその指定商品中「チッパー(CHIPPER)」について使用する場合は、単に該商品の品質・用途等を表示するにすぎないものとみるのが相当であり、前記以外の「ゴルフクラブ」について使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがある。

なお、本件商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとの理由により、その登録を取り消すべきものとした先の取消理由(上記3)は同様の趣旨により妥当なものであって、これについて述べる商標権者の意見は、以下の理由により、採用することができない。

商標権者は、乙第3号証ないし乙第11号証の登録例を示し、一般に意味合い的に内容の抵触するもの同士の組み合わせ商標においては、結合された状態において品質表示とは考えられず、新たなる識別力を有する商標として、登録されている旨述べ、また、本件商標を構成する前後の語の意味は複数の意味合を生じるものであり、さらに、本件商標をネーミングした意図等を種々述べているがゴルフクラブの取引の実情よりして、本件については上記認定のとおり、本件商標は、「ウッドクラブのヘッドと同様の形状をしたヘッドよりなるチッパー」又は「木製のヘッドよりなるチッパー」であることを容易に理解・認識させるにすぎないものとみるのが相当である。

したがって、本件商標の指定商品中「ゴルフクラブ」についての登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものであり、本件登録異議申立てに係るその余の指定商品については、上記のとおり取り消すべき理由がないものであるから、同第4項の規定により登録を維持する。

よって、結論のとおり決定する。

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