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Trademark Appeal Case

不使用取消と使用同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2010−300105(T2010−300105/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第2340433号商標(以下「本件商標」という。)は、「T.O.P.O」及び「ティオーピーオー」の各文字を上下二段に横書きしてなり、昭和63年10月17日に登録出願、第1類「化学品(他の類に属するものを除く)薬剤、医療補助品」を指定商品として、平成3年9月30日に設定登録され、同13年7月31日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同年8月15日に指定商品を第1類「化学品」とする指定商品の書換登録がなされたものである。

そして、本件審判の請求の登録は、平成22年2月9日にされたものである。

第2 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。

1 請求の理由

本件商標は、その指定商品「化学品」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者または通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

2 弁駁の理由

(1)本件商標が使用されていることについて

被請求人の提出に係る乙第1号証ないし乙第7号証に記載されている商標と本件商標とは、以下の理由により、社会通念上同一とは認められない。

ア 本件商標は、欧文字「T」、「O」、「P」及び「O」をピリオド「.」を介して横書き一列に書し、その下に片仮名「ティオーピーオー」を横書き一列で書してなるものである。

他方、乙第1号証ないし乙第7号証に記載されている商標は、欧文字「T」、「O」、「P」及び「O」をピリオド「.」を介して横書き一列しているだけで、本件商標中の片仮名を含んでいない。

したがって、両商標は、外観上明らかに異なっている。

イ 上記事実は、単に両商標の外観上の相違にとどまらず、両商標の称呼上の相違も生じさせる。

すなわち、本件商標は、片仮名に対応して「ティオーピーオー」のみの称呼が生じる。

他方、乙第1号証ないし同第7号証に記載されている商標からは、「ティオーピーオー」のみならず「トポ」の称呼も生じる。「ティオーピーオー」と「トポ」の称呼は明らかに異なっている。

(2)本件商標が商標として使用されていることについて

被請求人は、乙第1号証ないし乙第7号証に「T.O.P.O」が記載されていることをもって、直ちに本件商標の使用は証明された旨述べている。

しかし、上記乙各号証中の「T.O.P.O」は、物質名「トリ−n−オクチルホスフィン オキサイド(Tri−n−octylphosphine oxide)」の頭文字を表しているにすぎず、商標としての機能(自他商品・役務識別機能)を発揮してはいない。

したがって、乙第1号証ないし乙第7号証によっては、商標として使用されていることは証明されない。

(3)各使用証拠について

ア 乙第1号証について

被請求人が答弁書において述べているとおり、乙第1号証には、その作成年月日、配布日等が記載されていない。

したがって、乙第1号証は、本件商標の使用を証明する書面として考慮する必要はない。

イ 乙第2号証について

被請求人は、乙第2号証は、「1999年11月に500部を印刷」された旨述べている。

しかし、被請求人が証明すべき事項は、本件審判の請求の登録前3年以内の本件商標の使用である。したがって、1999年の印刷物である乙第2号証は、本件商標の使用を証明する書面とはならない。

ウ 乙第3号証ないし乙第5号証について

上述したとおり、乙第3号証ないし乙第5号証に記載されている商標と本件商標とは社会通念上同一の商標ではないので、乙第3号証ないし乙第5号証によっては、本件商標の使用は証明されない。

エ 乙第6号証及び乙第7号証について

本件審判の請求の予告登録日は、平成22年2月9日である。

他方、乙第6号証及び乙第7号証の印刷日(2010/02/15)から、乙第6号証及び乙第7号証記載のウェブページ両面は、平成22年2月15日時点のものと推察される。

したがって、乙第6号証及び乙第7号証は、本件審判の請求の登録前の本件商標の使用を証明するものではない。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、結論と同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第7号証を提出した。

1 被請求人(商標権者)は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標をその指定商品である「化学品」について、日本国内で現在使用中である。

2 使用商標について

乙第1号証ないし乙第6号証に示すとおり、本件商標権者により商品名「T.O.P.O」を日本国内で使用中である。また、乙第7号証に示すとおり、通常使用権者である本件商標権者の関連会社により商品名「T.O.P.O」を日本国内で使用中である。

登録商標が上下2段書きの態様よりなる場合、上下のどちらか一方を使用することは世間一般によくあることで、これは商標法第50条に規定する、登録商標と社会通念上同一と認められる商標といえる。

3 使用の事実について

使用の事実を示す証拠として、以下の乙第1号証ないし乙第7号証を挙げる。

(1)「T.O.P.O」リーフレット(乙第1号証)

本リーフレットには作成年月日、配布日等が記載されていないが、現在取引先に配布しているものである。抽出剤、有機合成反応溶媒、有機合成反応触媒として用いられる「化合物名:トリ−n−オクチルホスフィン オキサイド」の商品名として「T.O.P.O」が使用されていることが明記されている。

そこで、本件商標の使用商品は、本件商標の指定商品「化学品」のうち、「有機りん化合物」および「化学剤」に含まれると考える。

(2)「有機ホスフィン」カタログ(乙第2号証)

第16ページに「T.O.P.O」の記載がある。本カタログの裏表紙右下部に「1999.11・500TS」との記載がある。これは1999年11月に500部を印刷したことを示すものであり、「TS」は印刷会社名の略である。

これは、乙第1号証のリーフレットとほとんど同一内容であるが、「T.O.P.O」が今日に至るまで10年以上使用されていることを示すものである。

(3)「HOKKO FINE CHEMICAL PRODUCTS」(2007年11月)(乙第3号証)

第6ページに「T.O.P.O」の記載があり、欄外に「( )内は、日本国内で商標登録をしている商品名です。」の脚注がある。また、本カタログの裏表紙右下部に「2007.11.1000.SK」との記載がある。これは2007年11月に1000部を印刷したことを示すものであり、「SK」は印刷会社名の略である。

(4)「HOKKO FINE CHEMICAL PRODUCTS」(2009年11月)(乙第4号証)

第6ページに「T.O.P.O」の記載があり、欄外に「【 】内は、日本国内で商標登録をしている商品名です。」の脚注がある。また、本カタログの裏表紙右下部に「2009.11.1000.SK」との記載がある。これは2009年11月に1000部を印刷したことを示すものであり、「SK」は印刷会社名の略である。

(5)「FINE CHEMICALS DIVISION PROFILE」(2008年6月)(乙第5号証)

第6ページに「T.O.P.O 」の記載がある。本カタログの裏表紙右下部に「2008.6・1000.SK」との記載がある。これは2008年6月に1000部を印刷したことを示すものであり、「SK」は印刷会社名の略である。

(6)商標権者のインターネット・ホームページ(乙第6号証)

商標権者のインターネット・ホームページの「ファインケミカル部門」のうち「ファインケミカル製品リスト」の項「1.有機ホスフィン」をクリックすると、【Phosphine Oxides】の項に「T.O.P.O 」が記載されている。

(7)商標権者の関連会社・北興産業(株)のインターネット・ホームページ(乙第7号証)

北興産業株式会社は、商標権者・北興化学工業株式会社が100%株主である関連会社であるが、そのインターネット・ホームページの「化学品」の項から「精密化学品」「1.有機ホスフィン化合物」をクリックすると、「(2)ホスフィン オキサイド」の項に「T.O.P.O」が記載されている。

親会社が保有する登録商標について、関連会社で使用する場合、特に使用許諾契約書は締結していないが、関連会社での商標使用は一般的な通例として黙示の使用許諾があると考える。そこで、北興産業株式会社は、本件商標の通常使用権者である。

なお、乙第6号証および乙第7号証には作成日や更新日を示す記載はないが、乙第2号証と併せてみると、本件商標が現在に至るまで10年以上の長きに亘って、継続して使用されていることが明らかである。

4 まとめ

以上のように、商標権者が、取引者・需要者に対し、本件商標を使用したカタログ、リーフレット等を長年にわたって頒布していること、化学業界に限られない不特定多数の需要者が目にしうるインターネット上において広く広告していることは明らかである。

さらに、作成日が明記されている乙第3号証ないし乙第5号証によって、本件商標は、その審判の請求の登録前3年以内に、日本国内で継続して使用されていることは明らかである。

第4 当審の判断

1 認定事実

被請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。

(1)乙第3号証は、「HOKKO FINE CHEMICAL PRODUCTS」と題するカタログの写し(抜粋)であり、6ページ中段には、「CHEMICAL NAME」の欄に記載された「Tri−n−octylphosphine oxide」の下の( )内に、「T.O.P.O」の表示があり、これに対応した「STRUCTURE」の欄に化学構造式が記載されている。そして、同ページの下段欄外に、「( )内は、日本国内で商標登録をしている商品名です。」との脚注がある。

また、末尾のページに、「北興化学工業株式会社」の記載とともに住所等が記載され、左下に「2007.11.1000.SK」との表記がある。

(2)乙第4号証は、「HOKKO FINE CHEMICAL PRODUCTS」と題するカタログの写し(抜粋)であり、6ページ中段には、「CHEMICAL NAME」の欄に記載された「Tri−n−octylphosphine oxide」の下の【 】内に、「T.O.P.O」の表示があり、これに対応した「STRUCTURE」の欄に化学構造式が記載されている。そして、同ページの下段欄外に、「【 】内は、日本国内で商標登録をしている商品名です。」との脚注がある。

また、末尾のページに、「北興化学工業株式会社」の記載とともに住所等が記載され、右下に「2009.11.1000.SK」との表記がある。

(3)乙第5号証は、「FINE CHEMICALS DIVISION PROFILE」と題するカタログの写し(抜粋)であり、6ページに示された「Phosphine Derivatives」の見出しの下、化学構造式の下に「T.O.P.O」が表示され、その右肩部には、円内にRが表示された記号が小さく付されている。また、末尾のページに、「北興化学工業株式会社」の記載とともに住所等が記載され、右下に「2008.6.1000.SK」との表記がある。

2 判断

以上の認定事実からすると、以下のとおり判断することができる。

(1)本件商標の使用時期、使用者について

前記1(1)ないし(3)のカタログには、それぞれの末尾のページに、年月と認められる「2007.11」(乙第3号証)、「2009.11」(乙第4号証)、「2008.6」(乙第5号証)の各記載があるところ、これらは、その記載の年月に印刷されたと認めるのが相当である。

そして、上記カタログの末尾のページに記載された「北興化学工業株式会社」からすれば、かかるカタログは、被請求人(商標権者)に係るものと認められる。

そうすると、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内である2007(平成19)年11月、2009(平成21)年11月、2008(平成20)年6月に、商標「T.O.P.O」(以下「本件使用商標」という。)を表示したカタログ(乙第3号証ないし乙第5号証)を印刷し、これを少なくても本件審判の請求の登録前3年以内に頒布したものと推認し得るものである。

(2)本件使用商標等について

本件商標は、前記第1のとおり、「T.O.P.O」及び「ティオーピーオー」の文字を二段に横書きした構成からなるものである。

一方、本件使用商標は、「T.O.P.O」と表されているものである。

しかして、両者は、片仮名の有無において外観構成が相違するが、欧文字「T.O.P.O」を共通にするものであり、その欧文字の表示態様も共に活字体であって、また、これらから生じる「ティオーピーオー」の称呼も共通にするものであり、かかる称呼は、本件商標の片仮名部分から生ずる称呼とも同じくするものである。

そして、本件使用商標は、本件商標中の片仮名部分の使用を欠くことで、本件商標との間で観念について変動を伴うものとも認められない。

してみれば、本件使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標と判断するのが相当である。

また、本件使用商標の使用に係る商品は、「化学名」の英語表記と認められる「CHEMICAL NAME」の欄に、「Tri−n−octylphosphine oxide」(乙第3号証及び乙第4号証)等と記載されていることからすれば、取消請求に係る指定商品「化学品」に属するものと認められる。

(3)請求人の主張について

請求人は、本件使用商標について、片仮名を含んでいないから、「ティオーピーオー」のみならず「トポ」の称呼も生じ、「ティオーピーオー」と「トポ」の称呼は明らかに異なっているので、本件使用商標と本件商標とは、社会通念上同一とは認められない旨主張する。

しかし、「T.O.P.O」の文字は、第1文字から第3文字までの「T」、「O」、「P」の各文字に「.」(終止符・ピリオド)が付されていること明らかであり、本件使用商標において、かかる「.」(終止符・ピリオド)を省略して理解、把握されるとみるべき証左は見いだせない。

そうすると、本件使用商標は、「.」(終止符・ピリオド)によって区切られた「T」、「O」、「P」、「O」の各文字に相応して、各文字毎に一音づつ発音されるのが自然なものというべきであり、ほかに、これを「トポ」と発音されると捉えるのが合理的であるとすべき客観的な理由は見いだせない。

したがって、本件使用商標の「T.O.P.O」の文字に相応した称呼は、「ティオーピーオー」のみであるというのが相当であり、これより「トポ」の称呼は生じないというべきである。

しかして、本件使用商標は、前記のとおり、本件商標と称呼を共通にするものであるから、請求人の主張は、採用することができない。

また、請求人は、本件使用商標について、物質名「トリ−n−オクチルホスフィン オキサイド(Tri−n−octylphosphine oxide)」の欧文字の頭文字を表しているにすぎず、商標としての機能を発揮してはいない旨主張する。

しかし、「T.O.P.O」の文字が化学品等を取り扱う業界において、化学物質を表す普通名称や略号等として取引上普通に使用されている事実や、化学物質を認識させるに止まるものであると認め得る的確な証左は見いだせない。

したがって、たとえ、「T.O.P.O」の文字が前記物質名を構成する各文字「Tri」、「octyl」、「phosphine」、「oxide」の頭文字に順次対応するものであるとしても、それをもって直ちに、本件使用商標が自他商品の識別標識としての機能を発揮し得ないものと断ずることはできないから、請求人の主張は、採用することができない。

(4)小括

以上によれば、被請求人は、本件商標と社会通念上同一と認め得る商標を本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、取消請求に係る指定商品に使用をしたものと認めることができる。

3 むすび

以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、取消請求に係る指定商品「化学品」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を商標権者が使用していたことを証明したものというべきである。

したがって、本件商標は、商標法第50条の規定によって、その登録を取り消すことができない。

よって、結論のとおり審決する。

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