Trademark Appeal Case
産地表示と識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2009−10272(T2009−10272/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、片仮名「パルマ」の文字を標準文字で表してなり、第29類「ハム」を指定商品として、平成19年5月1日に団体商標として登録出願されたものである。
その後、指定商品については、原審における同20年12月4日付けの手続補正書により、第29類「イタリア国パルマ地方産のハム」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、片仮名『パルマ』の文字を標準文字で書してなるところ、『コンサイス外国地名事典(第3版)』及び『イタリア料理用語辞典』においては、『イタリアの地名または都市』と記載されているのみであり、該文字が自他商品の識別力を有するに至っている証拠も認めらず、結局、需要者・取引者をして商品の産地を表したものと認識させるとして、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲(1)に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、同21年11月19日付けで証拠調べの結果を通知した。
4 証拠調べ通知書に対する請求人の回答の要点
本願商標「パルマ」は、単なる産地表示にとどまらず、一定の基準を満たした品質を保証したパルマハム協会の構成員にかかる商品にのみ使用される表示であり、出願人が現実取引において独占的に使用しているものであって、他の事業者が使用することがあり得ないものだから、これを商標登録しても他の事業者が困ることがないばかりか、商標法が目的とする商標に化体する業務上の信用の保護を図ることにほかならない。
また、証拠調べ通知書が、インターネットにおける「パルマ」の使用事実を多数あげているが、「パルマ」と表示した生ハムは、全て本願商標の出願人とその構成員による使用であるから、これらは、全て本願商標の周知性・著名性を肯定する事実に他ならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しない。
5 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は、前記1のとおり、片仮名「パルマ」の文字を標準文字で書してなるところ、別掲(1)証拠調べ通知書の要旨の第1の1(1)よりすれば、本願商標を構成する「パルマ」の文字は、「Parma イタリア北部の地名。エミリア−ロマーニャ州西部の県。県都パルマ。」(コンサイス外国地名事典〈第3版〉 株式会社三省堂発行)等を意味するものであり、イタリア国の地名、都市名を表示する語として普通に使用されているものである。
そして、別掲(1)証拠調べ通知書の要旨の第1の2、3のとおり、片仮名「パルマ」の文字は、指定商品である第29類「イタリア国パルマ地方産のハム」との関係において、「パルマハム」、「プロシュット・ディ・パルマ」、「パルマ産生ハム」など商品の産地を表示するものとして普通に採択使用されていることが認められる。
そうすると、本願商標は、これをその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者は、イタリア国の「パルマ」という地名又は産地名であると理解するにとどまり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものというべきであるから、結局、本願商標は、商品の産地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といわなければならないものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものと認められる。
(2)請求人の主張について
請求人は、前記4において、「本願商標は、パルマハム協会の構成員にかかる商品にのみ使用される表示であり、出願人が現実取引において独占的に使用しているものであって、他の事業者が使用することがあり得ないものである。」旨、主張している。
しかし、請求人が指定商品との関係において現実の取引で使用している商標は、平成20年12月5日付けの手続補足書の甲第1号証において表示されている、別掲(2)の王冠マーク内に「PARMA」の文字からなる商標(以下「使用商標」という。)であったり、商品の包装等に付される「PROSCIUTTO DI PARMA」の文字商標であることから、片仮名「パルマ」の文字のみが、自他商品の識別標識として使用されている証拠は確認することはできず、また、本願商標「パルマ」の文字は、別掲(1)の証拠調べ通知書によれば、「パルマ産」、「パルマ地方」、「イタリア パルマ」、「パルマ産生ハム」など商品の産地を表示するものとして使用されているものである。
そうすると、請求人が取引上、使用している使用商標と本願商標「パルマ」は、相違するものであり独占適応性は有しないと判断されるものである。
また、請求人は、「証拠調べ通知書におけるインターネットの『パルマ』の使用事実については、『パルマ』と表示した生ハムは、全て本願商標の出願人とその構成員による使用であるため、これらは、全て本願商標の周知性・著名性を肯定する事実に他ならない。」旨、主張するとともに、同21年7月23日付けの手続補正書(同20年12月5日付け手続補足書、甲第3号証ないし甲第5号証)において、請求人のプロモーション活動の結果、著名性が確立された旨、主張している。
しかし、別掲(1)の証拠調べ通知書では、指定商品「イタリア国パルマ地方産のハム」に、本願商標である片仮名「パルマ」と表記し、「パルマ」の文字のみが識別力を有する使用例は認められず、また、請求人の提出にかかる甲第3号証ないし甲第5号証においても、使用商標である王冠マーク内の「PARMA」商標や「パルマハム協会」、「パルマハム」の文字が記事の見出しや説明として見受けられる程度であるから、「パルマ」の文字のみによって本願商標が周知・著名性を獲得しているものとは認めることはできず、結局、「パルマ」の文字を商品の産地表示として使用されているのが実情である。
したがって、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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