Trademark Appeal Case
「もぎたて直送」の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2009−13894(T2009−13894/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「もぎたて直送」の文字を標準文字で表してなり、第35類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成19年4月11日に登録出願され、その後、指定役務については、原審における平成20年3月4日付け手続補正書により、第35類「野菜及び果実の小売または卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に補正されたものである。
第2 原査定における拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、果樹園から収穫したての果実を産地直送で消費者などに届ける意味合いを認識・理解させる『もぎたて直送』の文字を標準文字で書してなるから、これを本願の指定役務中上記に照応する役務例えば『収穫したてのりんごやぶどうを産地直送で消費者に届ける小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供』に使用する場合には、単に役務の質を表示するにすぎず、自他役務の識別機能を有するものとは認められない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審の判断
1 本願商標の商標法第3条第1項第3号及び第4条第1項第16号の該当性について
本願商標は、前記第1のとおり、「もぎたて直送」の文字よりなるところ、「もぎたて」が「果物や野菜などをもいだ直後」程の意味合いで、また、「直送」は、「直接に送ること」(広辞苑 第六版)を意味する語として、それぞれよく知られているところである。
ところで、本願指定役務を提供する小売等役務業界では、「もぎたて」及び「直送」の文字を接合してなる「もぎたて直送」の文字が、「収穫した直後の新鮮な果物などを、収穫者が注文主へ直接発送する形態の販売方法」を表すものとして一般に採択・使用されており、その採択・使用の実情は、原審提示の使用例のほか、別掲に示すインターネット・ホームページの記載からも窺い知ることができる。
そして、本願指定役務との関係においては、本願商標に接する取引者、需要者をして、容易に、「収穫した直後の新鮮な野菜や果実を、収穫者が直接発送すること」の意味合いを理解、認識させるというのが相当である。
そうしてみると、本願商標をその指定役務について使用しても、これに接する取引者、需要者は、「収穫した直後の新鮮な野菜や果実を、収穫者が直接発送する形態の販売方法による小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」であること、すなわち、役務の質を表示するものとして認識するに止まるものであって、本願商標は、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないというべきである。
また、本願商標を前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるものと認められる。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び第4条第1項第16号に該当する。
2 本願商標の商標法第3条第2項の該当性について
(1)使用による識別性について
請求人は、本願商標は、使用により自他役務の識別力を獲得しているから、商標法第3条第2項の要件を具備している旨主張し、証拠方法として、原審及び当審において、資料1(枝番号を含む。以下同じ。)を提出しているので、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するかどうか検討する。
ところで、出願に係る商標が、商標法第3条第1項第3号に該当する場合に、それが同条第2項に該当し、登録が認められるためには、以下のような要件を具備することが必要であると解される旨、判示している(知財高裁 平成18(行ケ)第10054号、平成18年6月12日判決言渡)。
すなわち、
ア 「商標登録出願された商標(以下『出願商標』という。)が使用された結果,判断時である審決時において,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものと認められるか否か。」
イ 「実際に使用している商標は,出願商標と同一であることを要し,出願商標と類似のもの(例えば,文字商標において書体が異なるもの)を含まない」
ウ 「実際に商品に使用された範囲を超えて商標登録を認めるのは妥当ではない」
(2)そこで、上記観点を踏まえて、本願商標について検討するに、請求人の提出に係る資料1によれば、以下のことが認められる。
ア 資料1−1は、2008年2月24日に印刷された、ネットショップ「星野光輝園」のウェブサイトの一頁であって、取扱商品「いちご」についての出所表示と認められる「アマテラス」という記載がある。
イ 資料1−2は、2008年2月24日に印刷された、ネットショップ「星野光輝園」のウェブサイトの二頁であって、「当店のこだわり 『もぎたて直送』」の記載がある。
ウ 資料1−3は、2008年2月24日に印刷された、ネットショップ「星野光輝園」のウェブサイトの三頁であって、「※もぎたて直送/福岡県久留米市からの発送になります。早朝摘果、午前中箱詰め、クール便にて発送。柿やバナナのように追熟しないいちごは、鮮度が命。摘果の翌日には食卓に届く『もぎたて直送』にてお送りします。」の記載がある。
(3)以上の証拠に基づき、本願商標が使用された結果、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるに至ったものであるか否かを検討する。
ア 本願商標と使用に係る商標の同一性について
提出に係る資料1−2及び1−3によれば、使用に係る商標(以下、「使用商標」という。)は、明朝体で「もぎたて直送」と横書きしてなるから、標準文字で「もぎたて直送」と表してなる本願商標と同一の範囲内のものと認められる。
また、当審における職権調査によれば、請求人は、該資料におけるウェブサイト「星野光輝園」の販売責任者であることが認められるから、請求人本人により、本願商標を使用していることが認められる(ウェブサイト「星野光輝園」における「特定商取引法表示」http://mitsukien.ocnk.net/info)。
イ 本願指定役務と使用に係る役務の同一性について
提出に係る資料1−2及び1−3によれば、使用に係る役務は、「いちごの小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」のみと認められるものであるから、本願の指定役務である「野菜及び果実の小売または卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」のすべての役務について、本願商標を使用しているとは認められない。
ウ 本願商標の使用開始時期及び使用期間
請求人は、ネット上で「もぎたて直送」を使い始めたのは平成18年1月15日頃からであり、このことは、資料1−1に掲載されているお客様の感想の日付が2006年(平成18年)1月30日となっていることからも推測できる旨、述べているが、該記載を徴するに、「○hateubu 42才男性2006/01/30/デカッ、甘っ、旨っ。こんな苺は初めてです。スーパーなんかで買うのとは、全然別物!!感動しました。」との記載はみられるものの、この記載中には、本願商標の記述がないため、本願商標の使用開始時期を証明する証拠としては不十分であり、また、請求人の提出に係る資料を総合的にみても、本願商標の使用開始時期及び使用期間が明確でなく、それを裏付ける資料の提出もない。
エ 当該役務の提供数,並びに広告宣伝の方法及び回数等
本願商標に関する情報は、資料1における「星野光輝園」のウェブサイトの印刷物のみであり、該資料からは、店舗数、営業地域、売上高、広告宣伝の方法及び回数等が明らかでなく、また、それらを裏付ける資料の提出もないことから、本願商標が、請求人の出所表示として需要者間で全国的に認識されているものとは認めることはできない。
(4)まとめ
したがって、請求人が提出した証拠によっては、本願商標が、その指定役務に使用された結果、取引者、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるものとは認められないものである。
第4 請求人の主張(要旨)について
請求人は、「拒絶査定の理由の中で引用されている文献である読売新聞東京朝刊、市報『くらよし』ともにその日付が公表日(2007.05.24)以降のものである。出願人が考案した本願商標が造語でないことを証明するため及びその前から一般に広く使われていたというためには、少なくとも公表日以前のものを用意すべきである。」旨主張している。
しかしながら、登録出願された商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断時期は、査定時又は審決時と解されるべきものであるから、請求人の主張は失当である。
なお、参考までに、別掲のインターネット情報における(1)ないし(3)の各ウェブサイトを、過去のホームページ情報を確認できる「Internet Archive WayBackMachine」のウェブサイト(http://web.archive.org/)により検索したところ、本願の公開公報発行日である平成19年5月24日以前から、「もぎたて直送」の文字を本願指定役務と同一又は類似の役務について使用していることが認められるものである。
このウェブサイトは、1996年から現在までのインターネットホームページを保管・蓄積(アーカイブ)しているもので、検索ページ(http://web.archive.org/collections/web.html)の検索ボックスに、各ウェブサイトのURLを入力し、「Take Me Back!」ボタンをクリックすることで、過去のアーカイブされたウェブページを表示することができるものである。
そうすると、別掲(1)のウェブサイトは、2005年(平成17年)11月24日より、別掲(2)のウェブサイトは、2005年(平成17年)1月13日より、そして、別掲(3)のウェブサイトは、2004年(平成16年)4月28日より、すなわち、本願の公開公報発行日、あるいは、請求人が本願商標を使い始めたとする、平成18年1月15日以前より、それぞれのウェブサイトにより、「もぎたて直送」の文字が使用されていることが窺えるものである。
このことからしても、前記請求人の主張は採用することはできない。
その他の請求人の主張をもってしても、原査定の拒絶の理由を覆すに足りない。
第5 まとめ
以上によれば、本願商標を商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、かつ、同法第3条第2項の要件を具備しないとした原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。