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Trademark Appeal Case

結合商標の独立認識

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2010−900064(T2010−900064/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5285860号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5285860号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成21年3月24日に登録出願、第2類「防錆油」及び第4類「潤滑油,その他の工業用油,固形潤滑剤,燃料,工業用油脂,ろう」を指定商品として、同年11月11日に登録査定され、同年12月4日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由(要旨)

1 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下の(1)ないし(3)のとおりである。

(1)登録第3260207号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成6年3月28日登録出願、第2類「ラッカー,ワニス及びその他の塗料,染料,顔料,印刷インキ(「謄写版用インキ」を除く。),絵の具,防錆剤,媒染剤,木材保存剤,コパール,サンダラック,ダンマール,マスチック,松脂」を指定商品として、同9年2月24日に設定登録、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

(2)登録第3351321号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成6年3月28日登録出願、第1類「化学品,原料プラスチック,人工甘味料」を指定商品として、同9年10月9日に設定登録、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

(3)国際登録第822019号商標(以下「引用商標3」という。)は、「AKZO NOBEL」の欧文字を横書きしてなり、第1類「Chemicals used in industry; chemical preparations for scientific purposes (other than for medical or veterinary use), unprocessed plastics; biological and serological preparations (other than for medical or veterinary purposes); artificial sweeteners (chemical preparations); agricultural chemicals, except fungicides, weedkillers, herbicides, insecticides and parasiticides; fertilizers, micronutrients and chelates; adhesives used in industry.」、第2類「Coatings, paints, varnishes, lacquers; preservatives against rust and against deterioration of wood; colorants; mordants; primers; thinners for paints; thickeners for paints; dyes, dyestuffs; metals in foil and powder form for painters and decorators; anti-fouling paints.」及び第5類「Pharmaceutical, veterinary and sanitary preparations; disinfectants.」を指定商品として、2004年3月8日に国際登録(優先権主張、Benelux、2003年11月20日)され、我が国において平成17年6月10日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

2 具体的理由

(1)商標法第4条第1項第11号について

ア 引用商標1及び2について

引用商標1及び2は、一連に表現された英文字「AKZO NOBEL」の上に、腕を水平に広げた男性の図形が表現され、上記英文字の「K」から「B」の下にかけて細い横線が表現されるという構成からなるものである。

英文字「AKZO NOBEL」は、申立人の社名「Akzo Nobel N.V. (アクゾ ノーベル ナームローゼ フェンノートシャップ)」の「N.V.」を除いたものであり、「N.V.」は「Naamloze Vennootschap」の略語、「公開株式会社」の意味である。

したがって、引用商標1及び2の英文字「AKZO NOBEL」は、申立人の社名と実質的に同一である。

引用商標1及び2の「AKZO」と「NOBEL」の間にはスペースがあるため、「AKZONOBEL」一連ではなく、「AKZO」と「NOBEL」の各部分が独立して看者に認識されるものである。文字の上部にある男性の図形からは特筆すべき観念、意味合いは生じないので、引用商標1及び2からは、前記のとおり「AKZO」と「NOBEL」の各部分が独立して識別力を発揮するものといえる。

また、「AKZO」は特定の意味を有しない造語であるが、「NOBEL」からは、「ノーベル賞」や「ダイナマイトの発明者でありノーベル賞の基金遺贈者であるスウェーデンの化学者アルフレッド・ノーベル」を容易に想起できるほど日本人にも馴染みのある英単語であるから、引用商標1及び2に接する看者は、「NOBEL」の部分に着目しやすいといえる。

したがって、引用商標1及び2からは、その全体から生ずる称呼「アクゾノーベル」の他に、「アクゾ」、「ノーベル」の称呼が生じ、また、「ノーベル賞」、「ダイナマイトの発明者でありノーベル賞の基金遺贈者であるスウェーデンの化学者アルフレッド・ノーベル」の観念が生ずる。

イ 引用商標3について

引用商標3は、「AKZO NOBEL」からなる文字商標であるところ、「AKZO」と「NOBEL」の間に一文字程度の間隔があるから、前記アで述べたように、引用商標3の全体から生ずる称呼「アクゾノーベル」の他に、「アクゾ」、「ノーベル」の称呼が生じ、また、「ノーベル賞」、「ダイナマイトの発明者でありノーベル賞の基金遺贈者であるスウェーデンの化学者アルフレッド・ノーベル」の観念が生ずる。

ウ 本件商標について

本件商標は、別掲(1)のとおり、英文字「Nobel」を斜体調に表わしてなる商標である。「N」、「b」、「l」の各英文字の縦線を横線よりも太く表し、縦線の上又は下に短い横線が付され、また、「N」と「l」の文字に接するよう弧線が書かれる等の若干のデザインが施されているが、「Nobel」の文字が十分に判別できるものである。

したがって、本件商標「Nobel」からは「ノーベル」の称呼、また、「ノーベル賞」、「ダイナマイトの発明者でありノーベル賞の基金遺贈者であるスウェーデンの化学者アルフレッド・ノーベル」の観念が生ずる。

エ 引用商標1ないし3と本件商標の類否について

商標の類否の判断は、商標の有する外観、称呼及び観念のそれぞれの判断要素を総合的に考察して行われるべきであるところ、引用商標1ないし3の「NOBEL」部分と本件商標「Nobel」は、外観構成における相違はあるものの、称呼及び観念が同一であるから、これらを総合的に判断した場合、互いに相紛らわしい類似の商標である。

また、引用商標1の指定商品「防錆剤、媒染剤、木材保存剤、コパール、サンダラック、ダンマール、マスチック、松脂」(第2類)、引用商標2の指定商品「化学品」(第1類)、引用商標3の指定商品「工業用化学品、科学用化学剤(医療用及び獣医科用のものを除く。)、キレート化合物」(第1類)及び「防錆剤及び木材保存剤、媒染剤」(第2類)と、本件商標の指定商品「固形潤滑剤」(第4類)は類似する。

(2)商標法第4条第1項第15号について

申立人は、1969年に設立されたオランダに本社を置く化学メーカーである。現在では、欧州、北米、南米の他、日本をはじめとするアジア諸国等を含め世界80力国において事業を展開し、その総従業員数は約6万人という世界的な規模を誇っている(甲第5号証及び甲第6号証)。

申立人の日本法人は、1988年に設立されたアクゾノーベル株式会社であり、キレート剤、エチレンアミン、セルロース等の化学製品を取扱っている(甲第5号証)。日本にはその他、申立人の化学製品を取扱うエカケミカルズ株式会社、申立人の塗料を取扱うアクゾノーベルコーティング株式会社等の関連会社が存在し(甲第7号証)、また、デナック株式会社、ライオン・アクゾ株式会社等の合弁会社が存在する(甲第8号証)。

以上のような、申立人の歴史及び企業規模からすれば、申立人の社名「Akzo Nobel N.V.」又は「Akzo Nobel」は、日本において高い知名度を有しているものといえる。

また、申立人は、引用商標1ないし3を指定商品に付して継続的に使用してきたので、少なくとも「化学製品、塗料関連の商品・サービス」を提供する化学メーカー等の競合他社及び「化学製品、塗料関連の商品・サービス」の取引者等にとって申立人の略称「AKZO NOBEL」を含む引用商標1ないし3は相当程度周知であるといえる。

本件商標は、「防錆油」(第2類)、「潤滑油、その他の工業用油、固形潤滑剤、燃料、工業用油脂、ろう」(第4類)を指定して登録を受けたものである。潤滑油、工業用油等の商品は、車両・船舶、工業用機械等を効率よく動かすために使用される。申立人の提供する「化学製品、塗料関連の商品・サービス」も、船舶・車両、工業用機械等の加工、組み立て等に幅広い事業において利用されるものであるから、引用商標1ないし3に含まれる「NOBEL」と同一文字からなる本件商標が本件指定商品・役務に使用された場合、これら商品の需要者が申立人の「Akzo Nobel N.V.」の業務に係る商品又は役務であるとの誤認混同するおそれがある。

3 むすび

以上のとおり、本件商標と引用商標1ないし3とは、称呼及び観念が相紛らわしい類似の商標であり、また、引用商標1ないし3の指定商品の一部と本件商標の指定商品中「固形潤滑剤」とは類似するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

また、申立人の社名「Akzo Nobel N.V.」又は「Akzo Nobel」は、日本において高い知名度を有しているものであるから、本件商標がその指定商品に使用された場合、その商品の需要者が申立人「Akzo Nobel N.V.」の業務に係る商品又は役務と出所について誤認混同するおそれがあるから、商標法第4条第1項第15に該当するものである。

第3 当審の判断

1 商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、別掲(1)のとおり、ややデザイン化した「Nobel」の文字よりなるところ、その構成文字に相応して、「ノーベル」の称呼を生ずるものである。

また、該文字は、我が国において親しまれているノーベル賞の提唱者である「ノーベル」を容易に想起させるものであるから、これよりは、「(ノーベル賞の提唱者としての)ノーベル」の観念を生ずるものというのが相当である。

他方、引用商標1及び2は、別掲(2)のとおり、両手を左右に大きく開き顔を左向きにした人物の上半身の図の下に、「AKZO NOBEL」の文字を書してなるところ、その構成中の「AKZO NOBEL」の文字部分は、「AKZO」の文字と「NOBEL」の文字との間に半文字分程度の間隔をもって表してなるとしても、各欧文字は同じ書体、同じ大きさで、外観上極めてまとまりよく一体的に構成されているものである。

そして、引用商標1及び2の構成中の「AKZO NOBEL」の文字部分より生ずると認められる「アクゾノーベル」の称呼も、よどみなく一連に称呼できるものであり、他に構成中の「NOBEL」の文字部分のみが独立して認識されるとみるべき特段の事情は見いだせない。

してみれば、引用商標1及び2の構成中の「AKZO NOBEL」の文字は、その構成全体をもって、一体不可分のものとして認識、把握されるとみるのが相当であるから、引用商標1及び2からは、該構成文字部分全体に相応して、「アクゾノーベル」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものである。

さらに、引用商標3は、「AKZO NOBEL」の文字(「AKZO」の文字と「NOBEL」との各文字の間に半文字分程度の間隔をもって表してなる)のみからなるものであるから、前記と同様に、その構成文字全体に相応して「アクゾノーベル」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものである。

そうとすれば、本件商標から生ずる称呼「ノーベル」と引用商標1ないし3から生ずる称呼「アクゾノーベル」とは、その音構成、構成音数において明らかな差異を有するものであるから、称呼上十分区別し得るものである。

また、両者は、外観においても明らかな差異を有し、観念においては比較することができない。

したがって、本件商標と引用商標1ないし3とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。

2 商標法第4条第1項第15号について

(1)申立人会社の著名性について

申立人の提出に係る甲第5号証ないし甲第8号証によれば、以下のとおりである。

ア 甲第5号証は、申立人会社「アクゾノーベル」の紹介記事(フリー百科事典「ウィキペディア」(Wikipedia)で、同社がオランダに本社がある化学メーカーであること等、日本法人、日本の合弁会社があること等が記載されており、例えば、日本法人「アクゾノーベル株式会社」の主な取扱品目は、「キレート剤、エチレンアミン、セルロース」と掲載されている。

イ 甲第6号証は、「アクゾノーベルコーティング株式会社」のホームページで、「アクゾ ノーベルはオランダのアムステルダムに本社を置き、約6万1千人の社員が80ケ国に及ぶ国々で活躍する世界的な化学会社です。...西欧及び北米市場に加えて日本をはじめとする東南アジア諸国、東ヨーロッパ、中南米諸国への参入とマーケットの拡大を目指しています。...」と紹介されている。

ウ 甲第7号証及び甲第8号証は、「アクゾノーベル株式会社」のホームページで、関連会社及び合弁会社が紹介されている。

(2)以上よりすると、上記甲第5号証ないし甲第8号証は、主として、申立人会社と同会社の関連会社の会社概要の紹介のみであって、これらの証拠によっては、具体的個別商品の生産量、売上高を把握することができない。

他に、具体的な商品の広告宣伝等が掲載されたホームページ、新聞、雑誌、カタログ等の提出はない。

したがって、前記の甲各号証によっては、申立人の社名「Akzo Nobel N.V.」又は「Akzo Nobel」が、日本において高い知名度を有しているとは認めることができない。また、引用商標1ないし3が相当程度周知であるとも認められない。

(3)加えて、前記1のとおり、本件商標は、引用商標1ないし3と、十分に区別し得る別異の商標であり、同様に申立人の社名「Akzo Nobel N.V.」又は「Akzo Nobel」とも十分に区別し得る別異の商標というべきものであるから、商標権者が本件商標をそのいずれの指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者をして、引用商標1ないし3及び申立人の社名「Akzo Nobel N.V.」又は「Akzo Nobel」を連想又は想起させるとはいえず、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。

3 まとめ

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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