Trademark Appeal Case
著名商標と称呼類似による混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2010−900075(T2010−900075/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5289366号商標(以下「本件商標」という。)は,「DE MARTINO」の文字を標準文字で書してなり,平成21年5月7日に登録出願,第33類「日本酒,ワインをベースとしたカクテル,ワインをベースとしたパンチ,その他の洋酒,オリーブを使用したワイン,ビンサントワイン,酒精強化ワイン,発泡性のワイン,その他の果実酒,中国酒,ワインを使用してなる薬味酒,その他の薬味酒」を指定商品として,平成21年12月18日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は,以下(1)〜(6)のとおりであり,その商標権は,いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第154553号商標(以下「引用商標1」という。)は,「MARTINI」の文字を横書きしてなり,大正11年11月22日に登録出願,第39類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,大正12年7月19日に設定登録され,その後,昭和17年11月17日,昭和38年6月6日,昭和49年1月25日,昭和58年11月28日,平成5年8月30日及び平成15年8月5日の6回にわたり商標権存続期間の更新登録がされ,さらに,平成17年9月14日に,指定商品を第33類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換の登録がされたものである。
(2)登録第603000号商標(以下「引用商標2」という。)は,別掲(1)のとおりの構成からなり,昭和35年5月24日に登録出願,第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,昭和37年12月25日に設定登録され,その後,昭和48年3月10日,昭和58年3月25日,平成5年1月28日及び平成15年1月7日の4回にわたり商標権存続期間の更新登録がされ,さらに,平成16年10月13日に,指定商品を第33類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換の登録がされたものである。
(3)国際登録第809425号商標(以下「引用商標3」という。)は,別掲(2)のとおりの構成からなり,2003年3月31日にリヒテンシュタイン国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して,2003年4月25日に国際登録され,第33類に属する国際商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成16年5月14日に日本国において設定登録されたものである。
(4)国際登録第809427号商標(以下「引用商標4」という。)は,別掲(3)のとおりの構成からなり,2003年3月31日にリヒテンシュタイン国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して,2003年4月25日に国際登録され,第33類に属する国際商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成16年5月14日に日本国において設定登録されたものである。
(5)国際登録第809428号商標(以下「引用商標5」という。)は,別掲(4)のとおりの構成からなり,2003年3月31日にリヒテンシュタイン国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して,2003年4月25日に国際登録され,第33類に属する国際商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成16年5月14日に日本国において設定登録されたものである。
(6)国際登録第952994号商標(以下「引用商標6」という。)は,別掲(5)のとおりの構成からなり,2007年6月1日にリヒテンシュタイン国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して,2007年9月27日に国際登録され,第32類及び第33類に属する国際商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成21年2月6日に日本国において設定登録されたものである。
(引用商標1から6をまとめていうときは,以下,単に「引用商標」という。)
3 登録異議申立ての理由
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標からは「マルティーノ」の称呼が生ずる。
これに対し,引用商標からは「マルティーニ」の称呼を生ずるものである。
したがって,両商標は,称呼において類似する商標であり,また,本件商標の指定商品は,引用商標の指定商品と同ー又は類似する商品である。
(2)商標法第4条第1項第15号について
引用商標は,洋酒について広く知られており,また,「MARTINI」のロゴは,レーシングストライプとして周知・著名であるから,これと類似する本件商標が,引用商標の指定商品と類似するその指定商品に使用された場合は,商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
(3)むすび
したがって,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものであるから,取り消されるべきものである。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 称呼
本件商標は,前記1のとおり,「DE MARTINO」の文字を書してなるものであるところ,該文字は,我が国においてはさほど親しまれている外国語ではなく,構成中の「DE」の文字部分は,語頭部に位置するところから,冠詞を表した程度に理解されるにすぎないから,本件商標に接する需要者は,「MARTINO」の文字部分に着目して,これから生ずる称呼をもって,商品の取引に当たる場合も決して少なくないとみるのが相当である。してみると,本件商標は,書された文字全体を称呼した場合の「デマルティーノ」の称呼のほか,「MARTINO」の文字部分から,単に「マルティーノ」の称呼をも生ずるということができる。
これに対して,引用商標1は,前記2(1)のとおり,「MARTINI」の文字を書してなるものであり,また,引用商標2から6は,別掲(1)から(5)のとおり,「MARTINI」の文字部分を要部とするものであるから,引用商標は,該文字に相応して,「マルティーニ」の称呼を生ずるものである。
そこで,本件商標から生ずる「マルティーノ」の称呼と引用商標から生ずる「マルティーニ」の称呼について比較すると,両称呼は,「マルティー」の音を同じくし,末尾において「ノ」の音と「ニ」の音の差異を有するものである。そして,該差異音は,いずれも鼻子音「n」を共通にするものの,帯有する母音において,前者は,唇の両端を少し中央に寄せ,舌を少し後方にひき,後舌面を軟口蓋に向かって高めて発する「o」であるのに対し,後者は,唇を平たく開き,舌の先を下方に向け,前舌面を高めて硬口蓋に接近させて発する「i」であるから,発音の方法,位置において異なり,音質,音感が相違するものである。加えて,差異音の前音が,いずれも,「ティ」の長音「ー」であるところから,「マルティー」の音を称呼した後に,呼気が小さく途切れ,差異音との間に称呼上の段落が生ずるから,差異音は比較的強く発音されるものといえる。
そうすると,両称呼における差異音は,末尾に位置するものであるとしても,それぞれ明瞭に聴別し得るものというのが相当であるから,該差異音がさほど冗長ともいえない両称呼全体に及ぼす影響は決して小さいものとはいえず,それぞれの称呼を全体として称呼した場合においても,互いに聞き誤るおそれはないというべきである。
したがって,本件商標と引用商標は,称呼上類似する商標ということはできない。
イ 外観
本件商標は,前記認定のとおり,同一の書体をもって,「DE MARTINO」と書してなるものである。
してみると,本件商標は,「MARTINI」の文字からなる引用商標1をはじめ,別掲(1)から(5)のとおりの構成からなる引用商標2から6とは,外観上明らかに相違するものである。
したがって,本件商標と引用商標は,外観上類似する商標ということはできない。
ウ 観念
本件商標は,前記のとおり,我が国においては,馴染みの薄い語といえるから,特定の観念を想起させない造語からなるものと理解されるものとみるのが相当である。
これに対し,引用商標を構成する「MARTINI」の文字自体は,我が国においては,特定の観念を想起させない造語を表したと理解される場合が多いといえるし,また,該文字と図形が結合した商標にあっても,特定の観念が生ずるものともいえない。
したがって,本件商標と引用商標とは,観念上において比較することができないものである。
エ 以上によれば,本件商標と引用商標とは,称呼,外観及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しないものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
申立人の提出した甲第8号証ないし甲第14号証,甲第18号証ないし甲第32号証,甲第34号証ないし甲第38号証,甲第42号証,甲第44号証,甲第47号証ないし甲第53号証を総合すると,引用商標は,バカルディ&マルティーニ社の業務に係る商品「ベルモット」のほか,「リキュール,ワイン」についても使用され,1984年(昭和59年)ころより書籍「世界の名酒事典」で我が国において紹介され,1996年ころより,バカルディジャパン株式会社(前身である「ビー・ビー・アール・ジャパン株式会社」)により,我が国において本格的に販売が開始された。そして,例えば,2008年の日本における引用商標の付された商品の売上高は,約2億6700万円であり,2009年のそれは,約1億1500万円であったことなどを認めることができ,このような状況からすると,引用商標は,本件商標の登録出願前より,バカルディ&マルティーニ社の業務に係る商品「ベルモット,リキュール,ワイン」を表示するものとして,洋酒業界における取引者や一部の洋酒愛飲家の間では知られていたものと推認することができる。
しかし,引用商標を付した商品「ベルモット,リキュール,ワイン」に関し,本件商標の登録出願前において,雑誌等で広告をしたという事実を認めることができる証拠は極めて少なく,たとえ,「MARTINI」のロゴがレーシングストライプとして表示されたり,酒以外の商品に表示されていたとしても,一般の需要者は,せいぜいカクテルの名称を表したと理解するにとどまり,該ロゴがどこのロゴであって,本来どのような商品に使用されている商標かは理解することができないものといわざるを得ない。
そうすると,本件商標の登録出願前における引用商標の著名性は,上記洋酒業界における取引者や一部の洋酒愛飲家といった範囲を超えてなお,需要者の間に広く認識されていたものとまで認めることはできない。
また,前記(1)認定のとおり,本件商標は,引用商標とは,商標において非類似のものというべきである。
したがって,本件商標に接する需要者は,引用商標を想起又は連想することはないというべきであるから,本件商標は,これをその指定商品について使用しても,該商品がバカルディ&マルティーニ社又はこれと業務上何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのように,商品の出所について混同を生ずるおそれがある商標とはいえない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しないものである。
(3)むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号及び同第15号のいずれの規定にも違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。