Trademark Appeal Case
ナノラマンの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2008−24459(T2008−24459/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「NANORAMAN」の欧文字を横書きしてなり、第9類「顕微鏡,ラマン顕微鏡,原子間力顕微鏡との連結・統合適合性を有するラマン顕微鏡,ラマン分光分析機器,分光システム,分光顕微鏡」を指定商品とし、2006年5月11日アメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成18年10月2日に登録出願されたものである。
その後、指定商品については、原審における平成19年11月7日付け手続補正書により、第9類「顕微鏡,ラマン顕微鏡,原子間力顕微鏡との連結・統合適合性を有するラマン顕微鏡,ラマン分光分析機器,分光器,分光計,分光顕微鏡」と補正されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『NANORAMAN』の欧文字を書してなるところ、指定商品との関係においては、『ナノ光学とラマン効果を応用した』ほどの意味を極めて容易に認識させるものであり、また、『ナノラマン』の語が、例えば『ナノラマン分光分析』、『3D顕微ナノラマン装置』のように使用されている事実も認められるから、これをその指定商品について使用するときは、単に『ナノ光学とラマン効果を応用してナノレベルの分析能を可能にした商品』程の意味を理解させるに止まり、商品の品質、機能を表示したものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権により証拠調べをした結果、下記の事実を発見したので、商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき請求人に通知し、相当の期間を指定して意見を述べる機会を与えた。
1 辞典類の記載について
(1)「NANO」について
・ナノ〔nano〕:10億分の一を表す単位の接頭語。記号n「−グラム」(「広辞苑 第6版」2008年1月11日発行 株式会社岩波書店)
・nano:=nanotechnology(ナノテクノロジー《ナノメートルレベルの材料を扱う微細加工技術》.)
nano−:〈連結系〉10億分の1(記号n);分子的微小.(「ジーニアス英和大辞典」2001年4月25日発行 株式会社大修館書店)
(2)「ナノ」又は「nano」を接頭語にもつ語について
(ア)「コンサイスカタカナ語辞典 第3版」(2005年10月20日 株式会社三省堂発行)には、以下の記載がある。
・ナノサイズ[nanosize]:10億分の1mの大きさ.ほとんどが原子や分子のサイズ.
・ナノテクノロジー[nanotechnology]:10億分の1m程度の微細な大きさのものを扱う技術.
・ナノデバイス[nanodevice]:ナノメートルの精度を制御する素子.
・ナノマシン[nanomachine]:ナノ(10億分の1)メートル-レベルの大きさで、一定の機能をもった機械・器官.
・ナノマテリアル[nanomaterial]:ナノメートルの精度で配列や構造を制御した材料.
(イ)「現代用語の基礎知識」(2009年1月1日発行 自由国民社)には、以下の記載がある。
・ナノコンピューター〔nanocomputer〕:超微小コンピューター。nano−は10億分の1を指す接頭辞。分子コンピューターを含む超微小計算用コンピューター。
・ナノサージャリー〔nanosurgery〕:超微小手術。電顕外科。電子顕微鏡を用いて行う組織や細胞の手術。
・ナノバブル水〔nanobubble water〕:直径約100〜200nmの酸素の細かい気泡をごく薄い塩水に溶け込ませた特殊な水。
・ナノフォッシル〔nanofossil〕:超微化石。ナノプランクトンなどの化石。
・ナノプランクトン〔nanoplankton〕:超微浮遊生物。超微小プランクトン。
(ウ)「JIS工業用語大辞典【第5版】」(2001年3月30日発行 財団法人日本規格協会)には、「ナノコンポジット nanocomposite :数nmから数十nmの分散相を、母相の粒界や粒内に分散させ,高度に組織制御された複合材料.」との記載がある。
(エ)「日経新聞を読むためのカタカナ語辞典〈改訂版〉」(2005年5月15日発行 株式会社三省堂)には、以下の記載がある。
・ナノエレクトロニクス[nanoelectronics]:ナノメートル領域のプロセス技術による電子デバイスなど,次世代のエレクトロニクス.
・ナノガラス[nanotechnology glass]:ガラス内部にナノレベルの微細加工を施すこと.
・ナノチューブ[nanotube]:直径が1ナノメートル(10億分の1メートル)程度の円筒形のチューブ.
・ナノパーティクル[nanoparticle]:ナノレベル(1ナノメートルは10億分の1メートル)という分子レベルで加工された粒子.
(3)「RAMAN」について
(あ)前出「広辞苑 第6版」には、「ラマン:インドの物理学者。ラマン効果を発見。ノーベル賞。−こうか【−効果】物質が単色の光によって照射される際、散乱光には照射光と等しい波長だけでなく若干それより長い波長や短い波長が含まれる現象。」の記載がある。
(い)「岩波理化学事典 第3版増補版」(1985年2月15日発行 株式会社岩波書店)には、以下の記載がある。
・ラマン:インドの物理学者.
・ラマン効果:単色光を物質にあてて散乱させるとき、散乱光のうちに,その物質に特有な量だけ波長が変わった光が混ざってくる現象.
・ラマン分光分析:ラマン・スペクトルによる分光分析をいう.ラマン・スペクトルは赤外吸収スペクトルと同様に分子内の原子の振動に起因するものであるから、原理的には赤外吸収スペクトルとまったく同様に定性分析に利用できる.
・ラマン・レーザー:誘導ラマン効果を利用したレーザー.レーザー光を入射して振動数(周波数)の異なるレーザー光を得るのに用いられる.
(う)前出「JIS工業用語大辞典【第5版】」には、以下の記載がある。
・ラマン散乱:光媒質内に強い光が入ったときラマン効果によって入射光と異なる波長の光が散乱する現象.
・ラマン分光法:ラマン散乱によって現れるスペクトルを対象とする分光法.測定の方法によって、共鳴ラマン、逆ラマン、ハイパーラマン、光音響ラマン、誘導ラマンなどの各種分光法がある。励起光にレーザー光を用いたものをレーザーラマン分光法という。
(え)「マグローヒル科学技術用語大辞典 改訂第3版」(2000年3月15日発行 株式会社日刊工業新聞社)には、以下の記載がある。
・ラマンスペクトル Raman spectrum:単色光のラマン散乱の強度を散乱光の周波数の関数として表示したもの.
・ラマン分光測光学 Raman spectrophotometry:物質を石英水銀ランプで照射し、光線の垂直方向に散乱される光の分光写真を撮り,スペクトル線のパターンを研究すること. ・ラマン分光法 Raman spectroscopy:単色光のラマン散乱の強度を、散乱光の周波数の関数として解析すること.
また、「現代商品大辞典 新商品版」(昭和61年10月18日発行 東洋経済新報社)によれば、「計測用レーザ」(345頁)の項に「また波長純度の強いレーザ光線でのラマン散乱(Raman scattering)をはじめとした種々の散乱現象による物性研究用の分析機器も普及している。」との記載がある。
2 本願指定商品との関係での「nano」及び「ナノ」、「RAMAN」及び「ラマン」の文字について
(1)本願指定商品における「RAMAN」及び「ラマン」の文字について
(ア)「ATAGO GIKEN CO.,LTD ラマン分光分析装置 RamanStation R1概要 小型ながら分析研究所レベルの多機能、高性能で、使いやすいラマン分光装置・・ 顕微ラマン分光、反応モニターや日常的な分析作業に最適な、卓上型ラマン分光分析装置です。」との記載(愛宕技研株式会社のウェブページ(http://atago-giken.co.jp/raman/r1.html))。
(イ)「nanophoton ラマン顕微鏡とは可視光が分子に当たって散乱される光を精密に計測すると、そこには分子の振動によって周波数変調を受けた成分を含んでいます。このような光散乱をラマン散乱と言います。分子・結晶の振動モードにより、波長変調は固有で、この波長変調を分光器によって調べることにより、その組成分析や結晶構造情報を得ることが可能です(ラマン分光)。この分析法が顕微鏡と融合し、極めて局所的な部分の成分分析や結晶状態などを知ることができるようになった装置がラマン顕微鏡です。(ナノフォトン株式会社のウェブページ(http://www.nanophoton.jp/raman/about.html))。
(ウ)「SHIMADZU 分析計測機器 ラボからプロセス用途まで対応可能なラマン分光光度計 HoloLabシリーズ、HoloProbe ラマン分光法は,分子からのメッセージである分子振動を読み取る手段として、古くから赤外分光法とともに利用されてきました。しかし、桁違いに強いレイリー散乱を除去し、微弱なラマン散乱光を捕らえるために、装置は大型となり、測定にも大変時間のかかるものでした。・・・HoloProbeは、ラマン分光光度計を用いてオンラインモニターをするためのシステムです。ファイバーの先端に付いたプローブで測定したい位置にレーザー光を照射し、試料からのラマン散乱光をプローブで受光します。ラマン散乱光はファイバーで分光器に戻しスペクトルを測定します。」との記載(株式会社島津製作所のウェブページ(http://www.an.shimadzu.co.jp/spectro/raman.htm))。
(エ)「製品ナビ 顕微ラマン分光装置 微小領域の分析に有用 【Nicolet Almegaシリーズ】は、赤外光の回折限界を超えた微小領域の分析に有用な顕微ラマン装置。サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)」との記載(株式会社インコムが運営する製品ナビのウェブページ(http://www.incom.co.jp/productnavi/index.php/product/33657))。
(オ)「Bruker Optics 分散型顕微ラマン装置SENTERRA SENTERRAは、操作性を簡便にした初めての顕微ラマン装置です。・・歴史的に、ラマン分光は、多くのサンプルが蛍光を発するために一部の試料分析のための限定されたツールでした。SENTERRAは、多くの蛍光を発するサンプルについて蛍光を除去することができ、高品質のラマンスペクトルを得ることができます。」との記載(ブルカーオプティクスのウェブページ(http://www.brukeroptics.com/senterraraman.html?&L=11))。
(カ)「顕微ラマン分光測定装置 MARS 高性能分光顕微サンプル室RSM700を搭載したシングル顕微ラマン測定装置・・・レーザ励起による分光分析専用に開発された高性能顕微サンプル室です。」との記載(株式会社フォトンデザインのウェブページ(http://www.photondesign.co.jp/seihin/raman01.htm# ))。
(キ)「S.T.JAPAN INC ラマン分光光度計システム 製品概要 オプティカルファイバーを用いたラマン分光器 ファイバーカップルドプローブヘッドの採用により、測定の容易化を追求した新しいコンセプトによるラマン分光光度計です。これにより研究用途での使用に止まっていたラマン分光がプロセス用途での利用をも可能にしました。」との記載(株式会社エス・テイ・ジャパンのウェブページ(http://www.stjapan.co.jp/002_kaiser/2_2_a/index.htm))。
(ク)「MUTUMI 株式会社睦コーポレーション 顕微ラマン分光&顕微フォトルミネッセンス測定装置 本装置は、488nmレーザ光による顕微ラマン分光計測、及び、325nmレーザ光による顕微フォトルミネッセンス測定を切り替えて測定できる分光測定装置です。」との記載(株式会社睦コーポレーションのウェブページ(http://www.science-mall.co.jp/products/mmrs_mpl-488_325.html))。
(2)本願指定商品との関係での「ナノ」及び「ラマン」の文字について
(ア)「超への挑戦:(212)ナノテクノロジーから宇宙まで 高分子構造の評価技術確立へ」の見出しのもと、「■ナノスペクトロスコピー 数十ナノメートル領域の中間的大きさのドメインのサイズを計量して、ラマン測定(サンプルの平均値)が可能な高位置分解能近接場光学(SNOM)ラマン分光装置の開発も目標に据えている。」との記載(2001.11.30 日本工業新新聞 30頁)。
(イ)「巴工業、AFM・ラマン分光複合システムを発売」の見出しのもと、「巴工業は原子間力顕微鏡(AFM)とラマン分光装置を組み合わせ、微小領域での3次元形状と元素分析を同時に行える測定システム「AFM/NSOM−ラマン複合システム」を発売した。・・・イスラエルのナノニクスのAFMと、英レニショーのラマン分光装置、制御ユニットで構成。AFMのフィードバック機能を用いてレンズ−サンプル間をナノメートルオーダーで一定に保ち,200ナノメートル(1ナノは10億分の1)の空間分解能を実現した。」との記載(2005.9.13 日刊工業新聞 10頁)。
(ウ)「第18回中小企業優秀新技術・新製品賞−受賞技術・製品、ソフトの内容(1)」の見出しのもと、「【中小企業庁長官賞/レーザーラマン顕微鏡『RAMAN−11』(ナノフォトン)】生体組織・細胞を生きたまま、非染色でカラー観察できるラマン散乱現象を利用したレーザー顕微鏡。・・・細胞観察が細胞や生体組織を染色せずに立体的に観測できるだけでなく、半導体・有機材料・ナノ材料などの微細な組成分布も観測できる。」との記載(2006.3.29 日刊工業新聞 1頁)。
(エ)「インターオプト 3日間に7632人来場、閉幕」の見出しのもと、「会期中は『注目される光技術セミナー・分子の色でナノを見るレーザーラマン顕微鏡』などさまざまなセミナーも開かれ,光技術の計測分野や産業分野への応用などが紹介された。」との記載(2007.7.14 FujiSankeiBusiness i 6頁)。
(オ)「浜松ホトニクス、微弱光を短時間で検出する映像増強管モジュール開発」の見出しのもと、「【浜松】浜松ホトニクスは15日、1700ナノメートル(ナノは10億分の1)の近赤外域の微弱光を短時間で検出できる映像増強管モジュール『H10740』を世界で初めて開発、2月1日発売すると発表した。近赤外線ラマン分光分析装置に使用し,がん診断や環境ホルモン計測、半導体特性評価など幅広い分野に利用できる。」との記載(2008.1.16 日刊工業新聞 8頁)。
(カ)「【こんにちは研究室 大阪大学】工学研究科教授 河田聡教授(57)」の見出しのもと、「◆ナノメートルのフィールドで見えない世界探求・・・レーザーを使用してナノメートル(10億分の1メートル)の世界を見る顕微鏡の開発に取り組んでいる。原子の大きさは0・1ナノメートル程度。だが、光の波長は数百ナノメートル。教科書には光の波長より小さなものは見られないとある。これでは原子は見られない。考えて苦しみぬいていたとき、ナノ単位の金属の針にレーザーを照射してその散乱光「ラマン散乱光」を使うことを考案した。ラマン散乱光とは、光が物質に当たって散乱する際に出る、波長の異なる微弱な光を指す。これだと数ナノメートルまで測定できる。・・最新の顕微鏡は4ナノメートルまで見ることができ、半導体の非破壊検査や、がん細胞に抗がん剤がどう入っていくかなどを調べることができる。夢は精度をさらに10分の1まで高めること。」との記載(2008.12.18 産経新聞 大阪朝刊 27頁)。
(キ)「ナノプランテックス角田技研、残留農薬15分で検出−試薬と基板を開発」の見出しのもと、「【厚木】ナノプランテックス角田技研は、野菜などに付着した化学物質を15分程度で検出可能な試薬と検査用基板を開発した。・・・検査用基板はシリコンウエハーの上に、銀のナノ粒子構造膜を付着させた。基板状にたらした検体に対し、ラマン分光装置を用いて,赤外線を基板に照射。基板上の検体に含まれる化学物質を特定できる。」との記載(2009.5.4 日刊工業新聞 15頁)。
3 「NANORAMAN」又は、「NANORAMAN」に通じる「ナノラマン」の文字の使用について
(1)「JapanEdition Semiconductor INTERNATIONAL Semiconductor International誌の編集部は,半導体製造において必要不可欠である優れた装置21製品を2007年の“Editors′Choice Best Product Award”として選出した。」、「イスラエルNanonicsImaging社 MultiView4000/NanoRaman/AFMは、AFM(Atomic Force Microscopy)技術により最高4つの独立したプローブ針を制御することで画像化し、試料の正確な解析・測定を可能にした。同製品は、高い開口数の光学系を搭載する標準的な光学顕微鏡と統合することで微弱なラマン光シグナルの測定も可能となっている。」との記載(リード・ビジネス・インフォメーション株式会社の運営するウェブページ(http://www.sijapan.com/issue/2007/09/u3eqp30000018z7x.html))。
(2)「製品ナビ」の見出しのもと、「3D顕微ナノラマン装置 Nanofinder30 “Nanofinder30”は、新光学設計により感度を10倍以上アップした3D顕微ナノラマン装置。堅牢な設計で機械的安定度が向上。SERS近接場光学顕微鏡に対応。3Dラマン、形状、AFMの同位置同時計測が可能。・・・株式会社東京インスツルメンツ」との記載(株式会社インコムが運営する製品ナビのウェブページ(http://www.incom.co.jp/productnavi/index.php/product/9175))。
(3)「J−GLOBAL 科学技術総合リンクセンター ナノラマン分光計測法の開発−微小開口カンチレバーの試作−」との記載(独立行政法人科学技術振興機構の運営するウェブページ(http://jglobal.jst.go.jp/public/20090422/200902286839865522))。
(4)「CiNii国立情報学研究所 論文情報ナビゲータ 局在プラズモンを用いた近接場ラマンイメージング:可視光を使ってナノを見る 〔抄録〕光を使って用いた光の波長より高い解像度を得ることができるだろうか.近接場光を利用すると、このような超解像度を実現することができる・・・・特に、分子振動を検出するラマン分光と組み合わせた近接場ナノラマン分光法が近年注目されている.この手法は、物質の形状をナノスケールで捉えることができると同時に、ラマン分光から得られる分子の化学的情報を同時に取得することのできる優れたイメージング技術である.・・・」との記載(国立情報学研究所の運営するウェブページ(http://ci.nii.ac.jp/naid/110006936674/ ))。
(5)「先駆的研究開発と三次元顕微レーザーラマン分光装置」の表題のもと、「◆はじめに ・・・株式会社東京インスツルメンツが、・・その取り組みの中で公的な助成制度を効果的に活用することによって、共焦点ラマン顕微鏡(Nanofinder)およびナノラマン装置(Nanofinder30)というヒット商品を生み出した過程をまとめたものである。◆独創技術開発のための経営方針とその独自性(2)長年の地道な先駆的研究開発の実績の上に、新商品や新規事業のビジネス・プランが展開されてきたこと・・・従来の近接場光学顕微鏡を用いた顕微ラマン分光法装置では不可能であった、50nm以下の空間分解能でラマンイメージングスペクトルマッピングと形状観察を可能とする、新方式のナノ空間顕微分光装置の開発を河田大阪大学教授のグループと共同でスタートさせ、Nanofinder30の成功に至った。」との記載(独立行政法人科学技術振興機構の運営するウェブページ中の産学官連携ジャーナルVol.5 No.2 2009(http://sangakukan.jp/journal/main/200902/pdf/0902-02-4.pdf))。
(6)「Feature Article 特集論文 近接場ナノ振動分光学の開拓研究」の見出しのもと、「近接場ナノラマン顕微鏡 光が分子と非弾性散乱することで生じるラマン散乱光を分光計測することでも、分子の振動スペクトルが得られる。このラマン散乱の光学過程は、入射フォトンと散乱フォトンの2つが関与することから、例えば吸収過程と比べて生起する確率が低く、ラマン散乱光の強度は弱い。そこで、ラマン散乱光の近接場測定を可能にするため、金属ナノ探針を用いて局所的に光電場を増強することで、散乱光を増幅して、検出することを考案した。すなわち、金属ナノ探針先端で表面増強ラマン散乱を誘起し、電磁気学的及び化学的な増強効果を利用することで、高感度、高空間分解能を達成した。」との記載(HORIBA,Ltd.のウェブページ(http://www.horiba.com/uploads/media/R032_04_016_01.pdf ))。
(7)「計測/検査技術の新しい潮流−新たなる技術要求と解決策−」の見出しのもと、「ナノラマン分析事例 STI模擬構造近傍の応力分布 Silに直径〜100nmのエッチング加工を行い、内壁を熱酸化→熱酸化による体積膨張・・・まとめ(歪計測の必要性と計測手法)・非破壊の歪計測においてナノラマンは、100nm程度の空間分解能を達するに至っており、更に分解能の改善が行われている。」との記載(半導体技術ロードマップ専門委員会の運営するウェブページ(http://strj-jeita.elisasp.net/pdf_ws_2005nendo/10J_WS2005WG11Met_YE_Kawamura&Ikeno.pdf ))。
(8)「最近の分光学の進歩に関する講演会−表面プラズモン、近接場を利用した分光−」の見出しのもと、「〔主催〕日本分光学会関西支部 〔日時〕11月16日(木)10:30〜16:50〔場所〕大阪産業大学梅田サテライトレクチャールームA/B〔プログラム(全件招待講演)〕13:30〜14:15「ナノラマン計測と分子イメージング:金属ナノチップの近接効果について」市村垂生、井上康志(阪大院 生命機能)」との記載(社団法人日本分光学会のウェブページ(http://www.bunkou.or.jp/events/info87.html))。
(9)「2006年秋の学術講演会企画に当たって」の見出しのもと、「第20回応用物理学会 講演奨励賞受賞記念講演 〔開催日〕8/31(木)〔時間〕13:00〜13:15〔会場〕プリズムハウス−D〔中分類分科名、講演タイトルならびに講演者名〕合同セッションF「『カーボンナノチューブの基礎と応用』カーボンナノチューブの近接場ナノラマン分光分析」との記載(社団法人応用物理学会のウェブページ(http://www.jsap.or.jp/activities/annualmeetings/2006autumn/images/ronbun.pdf ))。
第4 請求人の意見
請求人は、前記第3の証拠調べに対し、何ら意見を述べていない。
第5 当審の判断
本願商標は、前記第1のとおり、「NANORAMAN」の欧文字を横書きしてなるところ、構成中「NANO」の文字部分は、「10億分の一を表す単位の接頭語。(前出『広辞苑 第6版』)」「nano−:〈連結系〉10億分の1(記号n);分子的微小.(前出『ジーニアス英和大辞典』)」の意味を有する語であり、前記第3 1(2)のとおり、該語を10億分の1m(ナノメートル)の意味で接頭語として使用している文字も多数存在する。
また「RAMAN」の文字部分に通じる「ラマン」の文字について、「ラマン:インドの物理学者。ラマン効果を発見。ノーベル賞。−こうか【−効果】物質が単色の光によって照射される際、散乱光には、照射光と等しい波長だけでなく若干それより長い波長や短い波長が含まれる現象(前出『広辞苑 第6版』)。」の記載がある。
そして、前記第3 3のとおり、本願指定表品を取り扱う業界においては、「NANORAMAN」又は、「NANORAMAN」に通じる「ナノラマン」の文字が「試料をナノメートルの大きさで捉え、ラマン分光分析をする方法やそれを可能にする機器などを表す文字」として使用されていることが認められる。
してみれば、本願商標は、これをその指定商品「ラマン顕微鏡、原子間力顕微鏡との連結・統合適合性を有するラマン顕微鏡、ラマン分光分析器」に使用したとき、これに接した取引者、需要者は、該商品が「ナノメートルの大きさのものをラマン分光の分析法を利用して、拡大して見せる装置」及び「ナノメートルの大きさのものをラマン分光の分析法で測定、分析する機器」であること、すなわち、本願商標は、商品の品質、機能を表示したものとして理解するにとどまり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものである。
また、本願商標は、これをその指定商品中、前記商品以外の商品に使用する場合は、その商品の品質について誤認を生じるおそれがあるもの判断するのが相当である。
なお、請求人は、「本願商標と同一の綴りからなり、かつ、本願商標と同一又は類似の指定商品を有する商標が、欧州共同体で登録された事実をもって、本願商標が自他商品の識別標識としての機能を有する」旨主張しているが、商標の識別性の判断は、各商標につき、それぞれの構成要素を勘案し、個別具体的に判断されるべき性質のものであるばかりでなく、我が国と外国とでは商取引の実情等を異にするものであり、外国における商標の登録制度と我が国のそれが同一のものと解釈しなければならない事情が存するものとは認められない。
そうとすれば、外国で登録されている事実をもって、我が国においても直ちに本願商標を登録すべきであるとはいえないことは明らかというべきであるから、請求人の主張は、採用することができない。
したがって、本願商標が、商標法第3条第1項第3条及び同法第4条第1項第16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
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