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Trademark Appeal Case

立体商標の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2008−22690(T2008−22690/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第28類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として、平成19年12月17日に立体商標として登録出願され、その後、指定商品については、当審における同20年11月13日受付の手続補正書により、第28類「電車おもちゃのレール」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、『電車おもちゃのレール』の形状を容易に理解しうる立体的形状からなるにすぎないから、これを本願指定商品のうち上記商品について使用するときは、単に商品の形状そのものを表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1)立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるところ、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示する自他商品・役務の識別標識として採択されるものではない。

そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは前記したように、商品等の機能又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者・需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するにとどまり、このような商品等の機能又は美感と関わる形状は、多少特異なものであっても、未だ商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。

また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。

そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において、当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。

(2)これを本願についてみれば、本願商標は、別掲のとおり、溝のあるレール状の立体的形状のおもちゃといえるものであるところ、これをその指定商品「電車おもちゃのレール」に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、該商品の形状の一形態を表したものと理解、認識するにとどまるものであるから、自他商品の識別標識としては認識し得ないものである。

また、本願商標は、上記のとおりの構成よりなるものであり、通常何人がみても電車のレールのおもちゃと認識できる程度のものであって、このような電車のレールというような商品の機能又はそれに伴う形状は、多少構造にデザインが施されているとしても、未だ商品の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解することは、前記(1)のとおりであるから、これはその商品の特性を発揮させるものの範囲というべきであり、また、本願商標と同一形状の商品を他の同業者が製造販売していないとしても、同様に、その商品の特性を発揮させるための範囲内というべきであって、これに接する需要者は、当該商品の形状を表示したものと認識するにとどまり、未だ商品の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないといえるものである。

したがって、本願商標は、単に、商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当であるから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。

(3)請求人は、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとしても、本願商標は、既に50年近く広く継続的に使用されている結果、使用による識別性を取得し、商標法第3条第2項に該当するものである、旨主張し、甲第1号証ないし甲第38号証(枝番号を含む。)を提出している。

ところで、商標法第3条第2項に該当するものとして登録を認められる商標は、同法第3条第1項各号に掲げる商標は自他商品識別力がないものとされて商標登録を受けられないものであるが、第3号から第5号までのものは特定の者が長年その業務に係る商品について使用した結果、その商標がその商品と密接に結びついて出所表示機能をもつに至ることが経験的に認められるため、このような場合には特別顕著性が発生したと考えて商標登録をし得ることにしたものである。

そして、商品の形状に係る立体商標が、同法第3条第2項に該当するものとして登録を認められるのは、原則として使用に係る商標が出願に係る商標と同一の場合であって、かつ、使用に係る商品と出願に係る指定商品も同一のものに限られるものであると解される。

そこで、提出された証拠について検討する。

甲第1号証の1は、透明パッケージに入っている直線型のレールおもちゃと、そのパッケージ下部の写真の写しであって、「レイアウトを組むときに基本の長さになるレールです。」の記載がある。

甲第1号証の2は、甲第1号証の1のパッケージの裏側(現物)であって、直線レールのレイアウト例などの説明の記載がある。

甲第1号証の3は、2008年の「トミカ&プラレール」カタログであって、プラレールのレール部品として、様々な形状のレール部品がR−01ないしR−27として27種類紹介されている。

甲第1号証の4は、フリー百科事典「ウィキペディア」における「プラレール」についての解説である。

甲第2号証の1は、1959年及び1961年発売当時の「プラスチック汽車レールセット」及び「電動プラ汽車セット」の外箱の写真である。

甲第2号証の2は、発売当時の「プラスチック汽車レールセット」や「電動プラ汽車セット」等の写真が掲載され、その説明などが記載されている製作者不詳のウェブサイトを印刷したものである。

甲第3号証は、平成12年7月発行の「トミー75年史 真の国際優良企業を目指して TOMY」の59頁,60頁,218頁〜221頁であって、「プラレール」について紹介されている。

甲第4号証は、富山允就著「プラレール開発の思い出」(内部資料)の写しである。

甲第5号証は、「暮しの手帖(1961年第59号)」(暮しの手帖社発行)であり、請求人に係る玩具が「おすすめできる汽車レールセット」として紹介されている。

甲第6号証は、請求人発行のおもちゃ総合カタログ(1960年〜2008年版)の抜粋で、「プラスチック汽車セット」から現在の「プラレール」や「プラレールのレール部品」に至るまで紹介されている。

甲第7号証の1は、株式会社ネコ・パブリッシングによる1998年9月1日発行の「RM POCKET20 生誕40周年記念/完全保存版 プラレールのすべて」(書籍)で、「プラレール」について紹介されている。

甲第7号証の2は、株式会社ネコ・パブリッシングによる1999年11月19日発行の「RM POCKET24 生誕40周年記念第2弾!プラレールのすべて2」(書籍)で、「プラレール」について紹介されている。

甲第7号証の3は、株式会社ネコ・パブリッシングによる2001年8月21日発行の「RM POCKET26 プラレールのすべて3」(書籍)で、「プラレール」について紹介されている。

甲第8号証は、「週間アスキー」、「ブレーン」、「TRENDY」、「Fole」等13の雑誌における、「プラレール」等についての紹介記事である。

甲第9号証は、1968年〜2008年版の業界誌「トイジャーナル」の抜粋であって、「プラレール」に関する種々の記事や広告などが掲載されている。

甲第10号証は、毎日新聞、読売新聞、日経流通新聞、交通新聞、神戸新聞、フジサンケイビジネスアイ、夕刊フジ、長崎新聞、徳島新聞、秋田魁新報、佐賀新聞、中国新聞、その他の新聞、合わせて45件の新聞記事等であって、「プラレール」に関する広告、応募によるプレゼント企画、関連記事などが掲載されている。

甲第11号証は、「2008年度『プラレールグループ』事業運営方針」の図表である。

甲第12号証は、「The Plarail Brand Concept」とされる資料の抜粋である。

甲第13号証の1は、1981年〜2007年の「プラレール直線型のレール」の出荷実績リストである。

甲第13号証の2は、2005年11月、2006年11月、2007年11月、2008年7月分の請求人から全国各取引先への「直線型レールおもちゃ」等の納品書控えである。

甲第14号証の1は、「プラレール」のレールセットのパッケージ(外箱)である。

甲第14号証の2は、「ファステック360S立体レールセット」のパッケージ(外箱)の写真である。

甲第15号証は、玩具業界紙「トイジャーナル」(2005年8月号)の32頁〜35頁写しで、日本全国における玩具取扱い店舗数についての記載がある。

甲第16号証は、「プラレール」を販売している全国の店舗の販売状況の写真である。

甲第17号証の1は、昭和48年(1973年)10月発行の小売店向け冊子「こうすれば売れるプラレール」の写しである。

甲第17号証の2は、1996年4月発行の小売店向け冊子「らくらくセールスマニュアル」の写しである。

甲第18号証は、2006年ないし2008年の「タカラトミー総合カタログ」等に関する水上印刷株式会社から請求人への請求書である。

甲第19号証の1は、請求人が1973年に発行した冊子「プラレールの世界」の抜粋である。

甲第19号証の2は、請求人が1974年に発行した冊子「トミープラレールシリーズ」の抜粋である。

甲第20号証は、1994年〜2008年版の「トミカプラレールカタログ」の抜粋であって、「プラレール」や「プラレールのレール部品」等が紹介されている。

甲第21号証は、「トミカ・プラレールカタログ」の発行数を一部裏付ける資料としての「販促物 納品連絡書」、及びカタログ製作会社株式会社アサツー・ディ・ケイ宛の「販促・製作物発注依頼書」である。

甲第22号証は、1983年ないし1986年、1990年ないし2008年の幼児誌「ディズニーランド」、「たのしい幼稚園」、「めばえ」、「よいこ」、「おともだち」、「てれびくん」、「幼稚園」の抜粋であって、「プラレール」についての広告、宣伝、紹介などである。

甲第23号証は、1984年及び1985年の主婦向け雑誌「主婦の友」、「わたしの赤ちゃん」の抜粋であって、「プラレール」についての広告、宣伝などである。

甲第24号証は、講談社、小学館、ポプラ社等出版の「プラレール」に関連した「絵本」等の書籍(1992年、1977年〜2008年)の抜粋である。

甲第25号証の1ないし8は、「プラレール」等の請求人のCMを録画したDVD−ROMである。(なお、甲第25号証の2は、視聴できなかった。)

甲第26号証の1は、「トイジャーナル」(1979年12月号、1982年11月号、2002年7月号、2002年10月号、2003年7月号別冊、2003年10月号別冊、2004年7月号別冊、2005年3月号別冊、2005年7月号別冊、2006年3月号)からの抜粋であって、「プラレール」のTVコマーシャルの実績が示されている。

甲第26号証の2は、株式会社アサツー・ディー・ケー作成のタカラトミーのテレビコマーシャル分析の一覧リスト(地区:関東/期間:2000年1月1日から2008年8月31日)である。

甲第27号証は、2004年ないし2007年度における「プラレール」の広告費、流通販促費とされるものであるが、その内容がどのようなものであるのか不明である。

甲第28号証の1は、2001年〜2008年の「プラレール博」(「プラレール博inTOKYO」、「プラレール博inOSAKA」、「プラレール博inNAGOYA」「プラレール博inSAPPORO」等)に関するチラシ、ウェブサイトである。

甲第28号証の2は、「プラレール博inTOKYO」の2003年〜2007年におけるチラシ等の印刷物の数量明細リストである。

甲第29号証は、「トミカ&プラレールカタログ 2006〜2007」の関連商品についての抜粋である。

甲第30号証は、「プラレール」関連商品の写真、ウェブサイト及び「トミカ&プラレールのりものストラップ」(実物)である。

甲第31号証の1は、「パラモデル:レールで描くグラフィティ」の見出しのウェブサイト等である。

甲第31号証の2は、「プラレール」のオフィシャルショップのウェブサイトである。

甲第32号証は、「プラレールTVパブ」を録画したDVD−ROMとのことであるが、視聴できなかった。

甲第33号証は、1998年9月5日発行の書籍「デジタルプラレール&トミカDX プレイングブック」の抜粋である。

甲第34号証は、他社製品の電車おもちゃ用のレール玩具の写真、パッケージ写真である。

甲第35号証は、平成17年2月1日付けのスルガ株式会社への警告書の写しである。

甲第36号証は、「おもちゃに関するアンケート」(プラレール形状認知度調査)調査結果報告書である。

甲第37号証は、コカコーラ事件の「飲料容器銘柄想起調査結果報告書」の写しである。

甲第38号証の1は、プラレールの直線型レールの海外(アジア・オセアニア)出荷数リストである。

甲第38号証の2は、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、ベネルックス等に頒布されている請求人のおもちゃカタログであって、「機関車トーマス」のレールおもちゃなどの抜粋である。

以上の証拠によれば、請求人の製造、販売に係る玩具として、1959年(昭和34年)に「プラスチック汽車・レールセット」が発売され、その後、1961年(昭和36年)に「電動プラ汽車セット」が発売され、以後、バリエーションを拡大し、様々な「電車とレールがセットになったおもちゃ」が発売された。

そうしてみると、本願商標の立体形状は、「電車とレールがセットになったおもちゃ」におけるレールの部品部分といえるものである。ただし、過去のバリエーションにおけるレール部品と、常に同一のレールの形状が使用されてきたということはできない。

そして、バリエーションにおける様々な当該おもちゃは、いずれも「電車とレール及びその付属の部品などがセットになったおもちゃ」であることが認められるところ、本願商標は、レールとしての部品にすぎないものであって、本願商標の使用に係る証拠においては、そのほとんどが付属の部品が組み合わされた状態の商品の形状(以下「使用に係る商標」という。)によって、全体的な商品の使用態様として、宣伝、広告がなされており、レールの部分においては、その構成部品として取り扱われているのであって、本願商標のみで宣伝、広告が行われているものではない。また、商品の「カタログ」等においては、「レール部品のおもちゃ」は、直線や曲線等の様々な種類があり、本願商標と同一の形状と思われる「直線レール部品」は、様々なレール部品のなかで確認し得る程度のものである。

そして、バリエーションにおける様々な当該おもちゃは、いずれも「電車とレール及びその付属の部品などがセットになったおもちゃ」であることが認められ、さらに、それらは、請求人の登録商標である「プラレール」の文字とともに使用されていることが認められる。

この「プラレール」という「電車とレール及びその付属品などがセットになったおもちゃ」は、発売されて以来、長く人気商品として発売され続けていることは、甲第13号証の1及び2の出荷実績及び納品書等によってうかがい知ることができるものである。そして、「直線レール部品」は、1991年は371,025個と最高の出荷数であって、1981年から1989年まで(合計2,277,023個)の年間の平均出荷数は253,003個、1990年から1999年まで(合計3,149,051個)の年間の平均出荷数は314,905個、2000年から2007年まで(合計1,278,028個)の年間の平均出荷数は159,754個であることが認められる。また、他のレール部品について、納品書からは、その多くの納品書において、「曲線レール部品」が「直線レール部品」とほぼ同数納品されていることが見て取れる。

そして、「プラレール」についてのおもちゃの広告、宣伝等は、発売以来継続して行われてきたものということはできるものの、その多くは、「電車とレール及びその付属品などがセットになったおもちゃ」として、広告、宣伝等がされてきたものであって、「直線レール部品」のみについてのものではない。

そうすると、本願商標は、その使用に係る商標の一部分にすぎないレールの立体形状であるから、使用に係る商標「電車とレール及びその付属品などがセットになったおもちゃ」とは、使用態様が相違し、同一のものということはできない。

そして、請求人提出の証拠については、そのほとんどが「プラレール」の文字が付された「セット商品としてのおもちゃ」についての資料などであって、それらの広告、宣伝に関する事実等を示すものばかりであり、本願商標については、過去の出荷実績等を示してはいるものの、本願商標のみの周知性を客観的に示すものとしては十分なものとはいえず、本願商標の周知性を認めるに足りるものではない。

してみれば、本願商標は、これが使用された結果、直ちにその立体形状が周知、著名性を獲得したものと認めることはできない。

また、請求人は、本願商標の認知度調査のアンケート結果を提出しているが、調査対象者が3〜10歳の男児の子供がいる者と偏っており、調査方法もインターネットアンケートのみであって、また、調査対象者がどこのホームページにアクセスし、選別がどのようになされたかも不明であるから、これのみをもって、本願商標が自他商品の識別力を獲得するに至ったものとは認め難く、また、本願商標は、上記のとおり、使用に係る商標とは、同一のものではないことから、結局、本願商標のみをもって、使用により識別力を有するに至った商標と認めることはできない。

したがって、本願商標が商標法第3条第2項の規定により商標登録を受けることができるものであるとすることはできない。

(4)以上によれば、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものとは認められないものであるから、原審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、これを取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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