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結論

勝訴(請求認容)

第4条第1項第11号「同音異字商標の類否判断」の商標審決・判断理由(審判番号:不服2010−4968(T2010−4968/J1)|拒絶査定取消・登録)

審判番号
不服2010−4968(T2010−4968/J1)
審判種別
不服

本文で言及されている区分

事件のポイント・要約

対象商標
本件商標(図形等・本文参照)引用商標「米,乾燥飯,強化米,人造米,米飯の缶詰,その他の米の加工品」
争点(論点)
同音異字商標の類否判断
適用条文
第4条第1項第11号
指定商品・役務の区分
本文参照
最終結論
拒絶査定取消・登録(勝訴(請求認容))

この審決(審判不服2010−4968(T2010−4968/J1)・不服)は、本件商標と引用商標「米,乾燥飯,強化米,人造米,米飯の缶詰,その他の米の加工品」について、商標法第4条第1項第11号への該当性が争われた事例です。主な争点は「同音異字商標の類否判断」です。特許庁は「原査定を取り消す」と判断しました(拒絶査定取消・登録)。類似する商標を出願する際は、本件の判断枠組みを踏まえて称呼・外観・観念や指定商品の重なりを事前に確認することが重要です。

※ 上記は審決公報の本文から自動で整理した要約です。正確な内容は下記の公報原文をご確認ください。

結論テキスト

原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、 第30類「米,玄米」を指定商品として、平成20年12月5日に登録出願されたものである。

2 引用商標

原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第4311795号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成10年6月15日登録出願、第30類「米,乾燥飯,強化米,人造米,米飯の缶詰,その他の米の加工品」を指定商品として、同11年9月3日に設定登録され、その後、同21年9月24日に商標権の存続期間の更新がなされ、現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断

本願商標は、別掲1のとおり、斜体で行書体風に書された肉太の「心米」の漢字を中央に配し、「米」の文字の右上方に黒色3本の波状の帯を、また、「心米」の文字と交錯するように、肉太の黒色の帯状の曲線と黒色の細い曲線を一周してなる図形を配した構成からなるところ、当該図形部分は、それ自体の形状から特定の観念が生ずるものとは認められず、また、「心米」の漢字部分について検討すると、当該文字は、辞書等に掲載されていない文字であって、特定の意味を有しない造語といえるものである。

しかして、一般的には、特定の意味又は特定の読みを有しない漢字にあっては、これに接する取引者、需要者は、当該商品の分野で広く親しまれている読みにならって称呼されるのが自然であるところ、本願の指定商品である「米」の分野では、「五穀米」を「ゴコクマイ」、「古代米」を「コダイマイ」、「自主流通米」を「ジシュリュウツウマイ」と称するように、「米」の文字を「マイ」と音読みで発音する傾向が認められることから、「心米」の文字は、全体として音読みで発音し、「シンマイ」の称呼を生ずるものとみるのが相当である。

さらに、本願の指定商品である「米」の分野においては、一般的に「シンマイ」と称されるのは、「今年収穫した米」を意味する「新米」であることからすれば(「広辞苑第6版」株式会社岩波書店 2008年1月11日発行)、取引者及び需要者が電話取引等の口頭の手段により商品を選択する場合においては、かかる「シンマイ」(新米)と区別して、本願商標の「心米」の文字を「シン」の称呼を生ずる「心」の漢字を明確にするために、「ココロマイ」と称呼する場合も決して少なくないものとみるのが相当である。

そして、観念については、その構成中の「米」の文字が、その指定商品である「米」の普通名称であることからすれば、先頭の「心」の文字に相応して、「心」の観念が生ずるものとみるのが相当である。

一方、引用商標は、別掲2のとおり、筆文字で「神米」の漢字を縦書きしてなるところ、当該文字は、「シンマイ」と称し、「神に供える、洗い清めた米。饌米せんまい。」(前掲「広辞苑第6版」)の意味を有するものである。

そうとすると、引用商標は、その構成文字に相応して「シンマイ」の称呼及び「神に供える、洗い清めた米。饌米せんまい。」の観念が生ずるものとみるのが相当である。

そして、引用商標は、これを電話取引等の口頭の手段によって取引する場合には、上記と同様の理由により、引用商標の「神米」の文字を「シン」の称呼を生ずる「神」の漢字を明確にするために、「カミマイ」と称呼する場合も決して少なくないものとみるのが相当である。

ところで、商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品若しくは役務に使用された場合に商品又は役務の出所につき混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきと解されるところ、それには、そのような商品又は役務に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきものである。

そして、商標の外観、観念または称呼の類似は、その商標を使用した商品につき出所の誤認混同のおそれを推測させる一応の基準にすぎず、従って、右三点のうちその一において類似するものでも、他の二点において著しく相違することその他取引の実情等によって、なんら商品の出所に誤認混同をきたすおそれの認めがたいものについては、これを類似商標と解すべきではない(最高裁昭和39年(行ツ)第110号 同43年2月27日第三小法廷判決 民集22巻2号399頁参照)。

これを本件についてみるに、本願商標は、上記のとおりの構成からなるところ、該「心米」の漢字部分と黒色の帯状の曲線とは、共に肉太な黒色で書されており、また、一部において交錯するなど構成上も密接しており、外観上まとまり良く一体的な印象を看者に与えるとみるのが相当である。

一方、引用商標は、筆文字で「神米」の漢字を縦書きしてなり、他に構成要素を有しないものであるから、両商標は、その外観において明らかな差異があり、外観上は全く別異の商標ということができる。

また、両商標は、上記のとおり、前者が「心」の観念を生じ、後者が「神に供える、洗い清めた米。饌米せんまい。」の観念を生じるものであるから、観念についても明確に異なるものである。

次に、称呼については、本願商標は、「シンマイ」の称呼又は「ココロマイ」の称呼を生ずるのに対して、引用商標は、「シンマイ」の称呼又は「カミマイ」の称呼を生ずるものであるから、両商標は、「シンマイ」の称呼において同じくするものである。

しかして、本願商標と引用商標とを視覚的にとらえて取引する場合には、上記のとおり、これらの外観及び観念が明らかに相違することから、たとえ、「シンマイ」の称呼を同じくするとしても、これが観念及び外観上の差異を凌駕するほどのものとはいえないものである。

また、本願商標と引用商標とを電話取引等の口頭の手段によって取引する場合においても、上記のとおり、商品「米」の取引分野における取引者、需要者の一般的な注意力からすれば、取引上一般に使用され、親しまれている「シンマイ」の読みを生ずる「新米」の語と区別するために、本願商標を「シンマイ」と称呼せずに、「ココロマイ」と称呼し、同様の理由で引用商標についても「カミマイ」と称呼することが決して少なくないというべきである。

そして、本願商標より生ずる「ココロマイ」の称呼と引用商標より生ずる「カミマイ」の称呼とは、明らかに相違するものである。

以上を総合して考慮すれば、本願商標と引用商標とは、これらを同一又は類似の商品に使用したとしても、商品の出所の混同を生ずるおそれのない非類似の商標というべきである。

したがって、本願商標と引用商標とが称呼上類似するものとして、本願商標を商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、取消しを免れない。

その他、政令で定める期間内に、本願について拒絶の理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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