結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2010−890029(T2010−890029/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第5230293号商標(以下「本件商標」という。)は、「ウナパッド」の文字を標準文字で表してなり、平成20年7月15日に登録出願、第10類「足裏つぼ刺激具」、第25類「被服,履物,運動用特殊靴,インソール」及び第28類「運動用具」を指定商品として、平成21年5月15日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
請求人は、「本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第20号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、以下のとおり、商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、その登録は、同法第46条第1項第1号により無効にすべきである。
ア 引用商標について
(ア)「ウナ」の文字よりなる商標(以下「引用商標」という。)は、請求人の業務に係る医薬品「鎮痒剤」について、昭和43年4月から現在に至るまで30年以上にわたり使用されているものである(甲第2号証)。
その結果、引用商標を使用した医薬品「鎮痒剤」(以下「請求人商品」という。)の昭和56年4月から本件商標の出願日前たる平成20年3月までの売上高総額は512億7,355万円に達している(甲第3号証)。また、請求人商品の昭和61年4月から本件商標の出願日前たる平成20年3月までの新聞広告量は総計7,086.79段、雑誌広告量は総計9.17頁、TVCM(テレビコマーシャル)量は総計34万6,014.5GRP(延べ視聴率)に達し、平成9年4月から平成20年3月までの関東地区(東京5局)におけるTVCM(テレビコマーシャル)広告費用は102億7,596万円に達している(甲第4号証)。
(イ)以上の事実に徴すれば、引用商標が、本件商標の出願時には既に、請求人商品を表示するものとして、取引者・需要者の間に広く認識されていたことは極めて明らかである。
このことは、株式会社ドラッグマガジン(甲第5号証)が、請求人商品を平成4年12月にヒッ卜商品優秀賞(甲第6号証)、平成5年12月にヒット商品敢闘賞(甲第7号証)、平成8年12月にヒット商品優秀賞第1位(甲第8号証)、平成9年12月にヒット商品敢闘賞(甲第9号証)、平成17年2月にヒット商品優秀賞第3位(甲第10号証)に、それぞれランク付けした事実、並びに「鎮痒剤」の分野における当該「ウナ」の販売金額が、1991年度ないし1996年度までの間第3位(甲第11号証ないし甲第13号証)、1997年度ないし1998年度までの間第4位(甲第14号証)、1999年度ないし2000年度までの間第2位(甲第15号証)、2001年度ないし2002年度までの間第3位(甲第16号証)、2003年度ないし2004年度までの間第2位(甲第17号証)、2005年度ないし2008年度までの間第3位(甲第18号証及び甲第19号証)にそれぞれランク付けされた事実からも極めて明らかである。
イ 出所混同
(ア)本件商標は、前記のとおり、片仮名文字で「ウナパッド」と横書してなるものである。しかるとき、本件商標中の「パッド」の文字は、「当て物」などのいわゆる「パッド」や「クッション」を意味する語として日常汎用されており、当該「パッド」の文字に接した取引者・需要者は、直ちに「パッド」部材あるいは「クッション」機能のある商品であると認識する。すなわち、本件商標中の「パッド」の文字は、単に商品の品質を表示したにすぎないものであるから、本件商標において、自他商品識別力を有する部分は語頭部の「ウナ」であり、取引者・需要者は、外観的に当該「ウナ」の部分を要部として着目し、商取引をするのが自然であり、当然その称呼として「ウナ」なる称呼が生じることは否定し得ない。このことは、特許庁において本件商標の検索用称呼として「ウナ」を明示している(甲第1号証)ことからも明らかである。
他方、引用商標も「ウナ」の片仮名文字からなり、外観的に「ウナ」全体が要部として着目され、当該全体から本件商標と同一の「ウナ」なる称呼が生じることは何人も否定し得ない。
したがって、本件商標と引用商標は、外観的に近似し、また、称呼において類似する商標といわざるを得ない。
しかも、請求人は、医薬品のみならず、医療用機械器具、被服、履物、スポーツ用品等種々の商品を業として取り扱っている者である(甲第20号証)。
(イ)してみれば、本件商標に接した取引者・需要者は、直ちに同一称呼の生じる著名な引用商標を想起又は連想するか、あるいは、本件商標を著名な引用商標と外観的に見誤り、本件商標を使用した商品を、請求人又は請求人と経済的若しくは組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように認識するのが自然であり、自ずとその出所について混同を生じるおそれは免れない。
ウ むすび
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に該当するにも拘らず明らかにこれに違反して登録されたものである。
被請求人は、前記2の請求人の主張に対し、何ら答弁するところがない。
(1)引用商標の著名性について
ア 甲第2号証ないし甲第20号証によれば、以下の事実を認めることができる。
(ア)請求人商品は、虫さされなどによるかゆみを止める「鎮痒剤」として、昭和43年4月1日に発売された商品であり、昭和56年4月から平成20年3月までの総売上高が約512億7,355万円であったこと(甲第2号証及び甲第3号証)。
(イ)請求人商品の昭和61年4月から平成20年3月までの広告は、新聞が総計約7,000段、雑誌が総計約9頁、テレビコマーシャルが東京、大阪、名古屋の各5局で総計約34万6000GRP(延べ視聴率)に達し、平成9年4月から平成20年3月までの関東地区(東京5局)におけるテレビコマーシャルの広告費用は102億7,596万円に達したこと(甲第4号証)。
a.上記新聞における請求人商品についての広告は、以下のとおりである。
(a)1996年(平成8年)5月16日付け中日新聞には、「患部が冷たくなって、かゆみがひいていく!」、「新しいかゆみ止め『ウナコーワクール』新登場」(「コーワ」の文字部分は、「ウナ」及び「クール」の各文字部分に比べ小さく表示されている。)の見出しと共に、商品の写真が掲載され、商品の包装箱には、「ウナ」の文字を大きく表して横書きにし、その下に「クール」の文字を「ウナ」の文字よりやや小さく表して横書きにして表示されている(なお、写真が不鮮明であるため他の文字は判読することができない。)。
(b)平成14年5月18日付け産経新聞には、「かゆみ止め『新ウナコーワクール』新発売」(「ウナコーワクール」の文字は同書同大同間隔で表示されている。)等の見出しと共に、商品の写真が掲載され、商品の包装箱及び包装容器には、「新ウナ」と「クール」の文字が二段に大きく表示され、「新ウナ」の文字の右下に、「コーワ」の文字が小さく表して横書きにして表示されている。
(c)2003年(平成15年)5月24日付け中日新聞には、「かゆい虫さされに『新ウナコーワクール』」(「コーワ」の文字部分は、「ウナ」及び「クール」の各文字部分に比べ小さく表示されている。)の見出しと共に、商品の写真が掲載され、商品の包装箱及び包装容器には、「新ウナ」と「クール」の文字が二段に大きく表示され、「新ウナ」の文字の右下に、「コーワ」の文字が小さく表して横書きにして表示されている。
(d)2004年(平成16年)5月8日付け中日新聞には、「ブラシで塗る!!新ウナコーワクール『もろこしヘッド』新発売」(「ウナコーワクール」の文字は同書同大同間隔で表示されている。)の見出しと共に、商品の写真が掲載され、商品の包装箱及び包装容器には、「新ウナ」の文字が大きく表示されている(なお、写真が不鮮明であるため他の文字は判読することができない。)。
b.テレビコマーシャルは、1997年4月1日ないし2008年3月31日にかけて、関東地区において放映されたものであり、請求人商品の銘柄名は「ウナコーワクール」ないし「コーワ ウナコーワ製品」とされ、商品の包装容器に表示された標章は、上記a.に示したものと同様のものが放映された(甲第4号証)。
(ウ)薬局・薬店の経営者を主たる購読者とする大衆薬の情報誌「週刊ドラッグトピックス」の出版会社は、毎年「ヒット商品賞・話題商品賞」の選考会を開催し、これらの賞を授与した商品を上記「週刊ドラッグトピックス」に掲載しているところ、平成4年12月21日付け同誌には、商品名「ウナコーワA」が第5回「ヒット商品賞」の8位で優秀賞を受賞した旨の記事が、平成5年12月20日付け同誌には、商品名「ウナコーワA」が第6回「ヒット商品賞」の15位で敢闘賞を受賞した旨の記事が、平成8年12月16日付け同誌には、商品名「ウナコーワクール」が第9回「ヒット商品賞」の1位で優秀賞を受賞した旨の記事が、平成9年12月15日付け同誌には、商品名「ウナコーワクール」が第10回「ヒット商品賞」の13位で敢闘賞を受賞した旨の記事が、平成17年2月21日付け同誌には、商品名「新ウナコーワクール『もろこしヘッド』」が第17回「ヒット商品賞」の3位で優秀賞を受賞した旨の記事が、それぞれ掲載された(甲第5号証ないし甲第10号証)。
(エ)「店頭向医薬品市場の販売動向」(甲第11号証ないし甲第19号証)の「皮膚用薬タイプ別販売金額」によれば、以下のとおりである。
a.1991年度及び1992年度:「ウナコーワA」は「皮膚治療薬」分野で9位であり、「ウナコーワ」は「鎮痒剤」分野で3位であった。
b.1993年度及び1994年度:「ウナコーワA」は「皮膚治療薬」分野で8位であり、「ウナコーワ」は「鎮痒剤」分野で3位であった。
c.1995年度及び1996年度:「ウナコーワ」は「鎮痒剤」分野で3位であった。
d.1997年度及び1998年度:「ウナ」は「鎮痒剤」分野で4位であった。
e.1999年度及び2000年度:「ウナ」は「鎮痒剤」分野で2位であった。
f.2001年度及び2002年度:「ウナ」は「鎮痒剤」分野で3位であった。
g.2003年度:「ウナ」は「鎮痒剤」分野で3位であった。
h.2004年度:「ウナ」は「鎮痒剤」分野で2位であった。
i.2005年度及び2006年度:「ウナ」は「鎮痒剤」分野で3位であった。
j.2007年度:「ウナ」は「鎮痒剤」分野で4位であった。
k.2008年度:「ウナ」は「鎮痒剤」分野で3位であった。
(オ)請求人の事業は、被服を含む生活関連事業部、開発本部、履物・スポーツ用品等を含む非繊維事業部、医薬事業部、医用機器を含む電機光学事業部等に及び、また、その関連会社である興和新薬株式会社の主要取扱い商品のうち、医薬品・医薬部外品には、「かゆみ・虫さされ用薬(ウナコーワA・ウナコーワα)」、「かゆみ・虫さされ用薬(新ウナコーワクール・もろこしヘッド、プチウナコーワ)」、「虫さされ予防(ウナコーワ虫よけ)」が含まれており、さらに、「衛生雑貨品」には、「インソール」が含まれている(甲第20号証)。
イ 前記アで認定した事実によれば、請求人商品について、新聞やテレビの広告(なお、新聞広告は、最新のもので平成16年5月のものであり、本件商標の登録出願日直近のものはない。)において、「ウナ」の文字が看者の注意を引く態様で表示されているものも存在するものの、単独で使用されている事例はなく、「ウナコーワ」、「ウナコーワクール」などと表示されている事例が圧倒的多いといえる(なお、「店頭向医薬品市場の販売動向1998」以降の「ウナ」の表示は、請求人の取扱いに係る「ウナコーワA」、「ウナコーワα」、「ウナコーワクール」、「新ウナコーワクール・もろこしヘッド」、「プチウナコーワ」、「ウナコーワ虫よけ」等の表示を「ウナ」と総称したものと推認される。)。
また、昭和56年4月から平成20年3月までの総売上高は、「ウナコーワA」、「ウナコーワα」、「ウナコーワクール」、「新ウナコーワクール・もろこしヘッド」、「プチウナコーワ」、「ウナコーワ虫よけ」等の商標が使用された商品の売上高であって、「ウナ」の標章が単独で使用された商品の売上高ではない。
そうすると、「ウナ」の文字よりなる引用商標が請求人商品の商標に冠せられ、請求人商品のシリーズ商品を表示するものとして、本件商標の登録出願前には、「鎮痒剤」の業界ではある程度知られていたものと推認することができる。しかし、請求人商品の主たる需要者は一般の消費者であるところ、引用商標の著名性を明らかにする証拠において、一般の消費者の目に触れる広告は、主としてテレビコマーシャルで行った広告のみであるのみならず、該テレビコマーシャルでは、「ウナコーワ」、「ウナコーワクール」などと広告されていたものと認められる。
してみると、請求人商品の主たる需要者である一般の消費者の間においては、請求人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願前より知られていた表示は、「ウナコーワ」、「ウナコーワクール」などであって、「ウナ」の文字よりなる引用商標ということはできない。
したがって、引用商標は、請求人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願前より、「鎮痒剤」の取引者の間では知られていたとしても、その範囲を超えてなお、我が国の需要者の間に広く認識されていたとまで認めることはできない。
(2)本件商標と引用商標の類似性について
本件商標は、前記1のとおり、「ウナパッド」の文字を同一の書体をもって一連に横書きにしてなるものであるから、外観上一体のものとして看取されるばかりでなく、これより生ずると認められる「ウナパッド」の称呼も無理なく一気に称呼し得るものである。また、本件商標の構成中の「パッド」の文字部分が、本件商標の指定商品全般について、商品の品質等を表示するものとして普通に使用されているという事実を認めることができる証拠は見当たらない。
そうすると、本件商標は、構成する文字全体をもって、「ウナパッド」とのみ称呼される一体不可分の造語を表したと把握、認識されるものというべきであって、その構成中の「ウナ」の文字部分のみが独立して印象づけられるものではない。
してみれば、本件商標について、その構成中の「パッド」の文字部分が商品の品質を表示する部分であって、その要部は、「ウナ」の文字部分にあるから、本件商標と引用商標は、外観及び称呼において類似する商標であるとする請求人の主張は、理由がなく採用することができない。その他、本件商標が引用商標と類似するとみるべき特段の理由は見出せない。
したがって、本件商標と引用商標とは、称呼、外観及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
なお、請求人は、本件商標より「ウナ」の称呼が生ずることの裏付けとして、特許庁における本件商標の称呼検索において、「ウナ」を明示している旨主張するが、称呼検索データは、ここに記載された広範な称呼を参考にしつつ、当該商標が使用される商品・役務の取引の実情等を考慮して、当該商標から生ずる称呼を特定するための参考的な資料にすぎないものであるから、称呼検索データに記載された称呼のすべてが直ちに当該商標から生ずる自然の称呼とみることはできない。したがって、この点に関する請求人の主張も理由がなく採用することができない。
(3)本件商標の指定商品と請求人商品について
本件商標の指定商品は、前記1のとおり、第10類「足裏つぼ刺激具」、第25類「被服,履物,運動用特殊靴,インソール」及び第28類「運動用具」であって、被服、履物といったファッション関連の商品やスポーツ関連の商品などを中心とするものといえる。これに対し、請求人商品は、虫さされなどによるかゆみを止める医薬品としての「鎮痒剤」である。
そうすると、本件商標の指定商品と請求人商品とは、商品の原材料、用途、性質、目的等において大きな相違があるばかりでなく、商品の生産者、販売方法・場所、流通系統等においても大きく相違し、社会通念に照らせば、異なる商品として認識されている商品というべきであって、商品の関連性に欠けるものといわなければならない。
(4)以上によれば、引用商標は、請求人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願前より我が国の需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない上に、本件商標は、その構成中の「ウナ」の文字部分のみに印象づけられるものではなく、また、本件商標の指定商品と請求人商品とは、商品の用途、性質、目的、流通系統等において全く異なる商品であるから、本件商標に接する需要者が、引用商標を直ちに想起又は連想するものとみることはできない。
したがって、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、該商品が請求人又はこれと業務上何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれがある商標ということはできない。
なお、請求人及びその関連会社がその事業において、被服、履物、スポーツ用品等の製造販売を行っている事実が認められるとしても、これらの商品に、「ウナ」の文字よりなる商標を使用し、当該商標が需要者の間に広く認識されているという事情を認めるに足りる証拠は見出せないし、上記認定を併せ考慮すれば、本件商標を使用した商品と請求人の取扱いに係る商品とは、商品の出所について混同を生ずるおそれは全くないというべきである。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項第1号の規定により、無効とすべきものでない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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