結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2010−300243(T2010−300243/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4539853号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成12年11月29日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,かつら装着用接着剤,つけづめ,つけまつ毛,つけまつ毛用接着剤,歯磨き,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用漂白剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」を指定商品として、平成14年2月1日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を次のとおり述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品中の「化粧品」について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用された事実がないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
(2)答弁に対する弁駁
ア 使用商品について
被請求人は、商標「AQUAVITA(π)」又は「アクアビッタ(パイ)」が、商標権者によって「パイウォーター」なる商品に使用されたと主張し、また、「パイウォーター」なる商品が「美容全般に非常に効果的な水」であって、化粧品と同等の商品範疇に属すると主張する。
請求人の調査によれば、「パイウォーター」なる物質は、昭和39年(1964年)に名古屋大学農学部助手(当時)山下氏により提唱された、「二価三価鉄塩(二価鉄と三価鉄が複合した化合物)を微量に含んだ水」のことを指すようであるが、科学的にはこのような水の存在すら疑問であり、提唱者の山下氏自身も平成4年(1992年)にその時点の技術では「パイウォーター」を人工的に製造できない旨述べたとされる(甲第2証及び甲第3号証)。
甲第2号証及び甲第3号証によれば、上記山下氏の発言は、ジャーナリスト大朏博義氏の取材に回答したものとされており、雑誌「週刊文春」(1992年4月2日号)に掲載されているとされている。この雑誌記事の内容については、請求人においても近く確認する予定である。
そもそも、「パイウォーター」及び「二価三価鉄塩」の存在及び効果は、未だに仮説の段階であり、学界から幅広い賛同が得られたわけでもなく、また山下氏によって実証されたわけでもない。二価鉄塩と三価鉄塩が存在することは公知であり、またこれらの水溶液が混合され得ることは自明であるが、「二価鉄と三価鉄が複合する」とはいかなる状態を指すのか明確ではない。
さらに、農学者であった山下氏により提唱された「パイウォーター」の元々の効果は、植物の成長に有用であるというものであるに過ぎず、人体への影響や化粧品としての効能などについては、請求人が調査した限りでは、学術的又は技術的な検証は全くなされていない。
上記事情を考慮すれば、商標権者が販売したとする「パイウォーター」は、鉄分等の不純物を含むか否かにかかわらず、基本的には単なる水であると考えられ、現行の類似商品・役務審査基準[国際分類第9版対応]によれば、第1類「化学品」に含まれる「水」に分類されると思料される。
被請求人が、商標権者が販売した商品を第3類「化粧品」の一種であると主張するのであれば、当該商品の成分と、科学的に検証された当該商品の化粧品としての効果を明示するべきであろう。
以上より、乙各号証によっては、商標権者が本件商標をその指定商品である第3類「化粧品」に使用したと認めることはできない。
イ 商標態様の違いについて
使用に係る商標(以下「使用商標」という。)と本件商標は、商標の態様において明らかに異なる。
乙第1号証及び乙第2号証によれば、使用商標は、特殊な白抜き書体による「AQUAVITA/π」の上下二段書きの文字の下に、略ゴシック体の文字「アクアビッタ パイ」が記載されている。一方、本件商標は、丸ゴシック体により「AQUAVITA/アクアビッタ」の文字を上下二段書きに配したものである。
商標法第50条第1項かっこ書きには、社会通念上同一と認められる商標について種々例示されているが、上述の両商標の違いは、書体のみの変更に留まらず、商標の構成中に「π」及び「パイ」の文字を含むか否かという明確な差異を伴っている。
したがって、使用商標と本件商標は、外観上はもとより社会通念上も同一の商標とは認められないと思料される。
ウ むすび
以上より、被請求人が示した商標の使用は、いずれも本件商標の指定商品について行ったものではなく、また、使用商標は、本件商標と同一でない。ゆえに、乙号証によっては、本件商標の審判請求前3年以内の不使用を否定することはできないから、その登録は取り消されるべきである。
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を次のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第5号証を提出した。
(1)使用の事実
商標権者は、本件商標を指定商品中の「化粧品」について、以下のとおり、商標権者の会社所在地(愛知県名古屋市中川区太平通三丁目16番地)において、使用中である。
ア 商標権者は、商品「パイウォーター(πwater)」について、本件商標を表示した商品ラベルを貼着して使用している(乙第1号証及び甲第2号証)。
商品「パイウォーター(πwater)」は、「システィーヌ・カラー・ブロー・マニュキア・パーマ・肌水等美容全般に非常に効果的な水」であって、化粧品と同等の商品範疇に属する関連商品である。
また、上記商品ラベルに表示した商標は、社会通念上、本件商標と同一と認識し得る商標態様を有しているものである。
イ 商品「パイウォーター」の販売実績例を示せば、下記のとおりである。
(ア)2007年12月25日に、愛知県名古屋市東区宝が丘151−1美容商事アイチ株式会社(以下「美容商事アイチ」という。)に6本を販売し、その代金を2008年01月19日付けで請求した(乙第3号証)。
(イ)2008年03月05日に、美容商事アイチに計24本を販売し、その代金を2008年03月20日付けで請求した(乙第4号証)。
(ウ)2008年04月27日に、美容商事アイチに1本を販売し、その代金を2008年05月20日付けで請求した(乙第5号証)。
上記の商品「パイウォーター(πwater)」の各販売実績は、いずれも本件審判の請求の登録前3年以内のものである。
(2)むすび
以上のとおり、本件商標は、その指定商品中の化粧品について、本件審判の請求の登録前3年以内に使用されたものであるから、商標法第50条の規定に該当するものではない。
(1)被請求人は、商標権者が本件商標を請求に係る指定商品に含まれる「パイウォーター(π water)」について使用している旨主張し、乙第1号証ないし乙第5号証を提出しているところ、使用に係る上記「パイウォーター(π water)」(以下「使用商品」という。)が、本件請求に係る指定商品中に含まれるものであるか否かについて、当事者間に争いがあるので、まずこの点について検討する。
ア 乙第1号証及び乙第2号証によれば、以下の事実を認めることができる。
(ア)乙第1号証は、透明なペットボトル(PET bottle)様の容器に入った使用商品の写真であるところ、該容器には、胴部中央にラベルが貼付されている。
(イ)乙第2号証は、前記(ア)の容器の胴部中央に貼付されたラベルであるところ、その中央部の緑地の箇所には、その中央に、黒の縁取りのある白抜きの文字で二段に横書きにした「AQUAVITA」と「π」とが大きく表示され、該「AQUAVITA」の文字の上部には、これより小さな白抜きの文字で二段に横書きにした「SYSTEINE」と「システィーヌ」(「システィーヌ」の文字部分は、「SYSTEINE」の文字部分に比べ小さく表されている。)とがやや小さく表示され、また、「π」の文字の下部には、白抜きの文字で横書きにした「アクアビッタ パイ」がやや小さく表示されている。
また、同ラベルの左には、「アクアビッタパイはシスティーヌ・カラー・ブロー・マニキュア・パーマ・ストレートパーマ・肌水等美容全般に非常に効果的な水です。それぞれの用途に応じてご使用下さい。/株式会社トワールシスティ」と記載され、さらに、同ラベルの右には、「このアクアビッタパイは私たち人間の体内の水分(生体水)に非常に近い成分を持っています。水道水・井戸水・ミネラルウォーターなどの普通の水はイオン水と呼ばれています。つまりイオン化(化学反応)するからです。酸化・還元などをおこすと水は腐敗していきます。しかしこのアクアビッタパイは極微量の2価3価鉄塩に誘導された非イオン水(パイウォーター)のため腐敗しにくいのです。水のクラスターが小さい為、毛髪や皮膚への浸透が非常に優れています。」と記載されている。
イ 前記アで認定した事実によれば、使用商品は、極微量の2価3価鉄塩に誘導された非イオン水であり、用途用法についての明確な記載はないが、ラベルの左右に記載された文章を総合すると、ヘアダイやパーマネントなどをした頭髪の洗髪時、あるいは洗顔時等に使用する水として、使用商品を用いることにより、美容効果が表れる商品であると推測することができる。
ウ ところで、商標法の商品区分第3類に属する「化粧品」の概念には、薬事法(昭和35年法律第145号。以下同じ。)に規定する“化粧品”の大部分及び“医薬部外品”のうち、人体に対する作用が緩和なものであって、身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え又は皮膚若しくは毛髪をすこやかに保つことを目的として、身体に塗擦、散布等の方法で使用するものが含まれる(「商品及び役務区分解説」平成8年12月25日改訂3版参照)。
そして、商標法施行規則第6条に規定される別表の商品区分第3類「化粧品」には、「おしろい」、「化粧水」、「クリーム」、「紅」、「頭髪用化粧品」、「香水類」、「その他の化粧品」の項目ごとに、各種商品が例示されているところ、これら例示された商品は、個々の商品がそれ自体のもつ商品の特性により、“身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え又は皮膚若しくは毛髪をすこやかに保つことを目的として、身体に塗擦、散布等の方法で使用する商品”といえる。
これに対して、使用商品は、水質において、通常の水道水に比べてある程度美容的効果があるとしても、それ自体が単独で“身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え又は皮膚若しくは毛髪をすこやかに保つことを目的として、身体に塗擦、散布等の方法で使用する商品”とはいえず、本質的には、シャンプーなり石けんなりが、これを使用することにより、“身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え又は皮膚若しくは毛髪をすこやかに保つことを目的として、身体に塗擦、散布等の方法で使用する商品”といえるものである。
そうしてみると、使用商品は、商標法上の商品区分第3類に属する商品とは商品の品質等において異なる商品といわなければならないし、また、容器の胴部中央に貼付されたラベルには、「美容全般に非常に効果的な水」と記載され、化粧品であることを特定する文字の表示はなく、社会通念に照らしても、化粧品の範ちゅうに属する商品とは認めることができない。
さらに、薬事法第第61条及び第62条は、化粧品はその直接の容器又は直接の被包等に、製造販売業者の氏名又は名称及び住所、名称、製造番号又は製造記号等の記載を、それぞれ義務づけているところ、使用商品に貼付されたラベルには、少なくとも名称、製造番号又は製造記号の記載はなく、使用商品は、薬事法上からみても、化粧品ということができない。
したがって、使用商品は、請求に係る指定商品である「化粧品」に含まれる商品ではなく、商品区分第1類「化学品」の概念に属する「水」の範ちゅうに属する商品というのが相当である。
(2)商標の同一性について
前記(1)によれば、商標権者は、本件商標を請求に係る指定商品について使用していなかったものと認めることができるから、その時点で既に、商標法第50条第2項本文に規定する被請求人が証明すべき要件を満たしていないことになるが、使用商標が本件商標と社会通念上同一と認められる商標であるか否かについて、当事者間に争いがあるので、念のため検討する。
本件商標は、別掲のとおり、「AQUAVITA」の文字を横書きし、その下に、該「AQUAVITA」の片仮名表記と認められる「アクアビッタ」の文字を、「AQUAVITA」の文字の2分の1程度の大きさで横書きしてなるものであるから、その構成文字に相応して「アクアビッタ」の称呼を生ずるものであって、特定の観念を有しない造語よりなるものである。
これに対して、使用商標は、前記(1)ア(イ)認定のとおり、黒の縁取りのある白抜きの文字で「AQUAVITA」の文字と「π」の文字を二段に横書きし、その下に、これらの文字の読みを表したと認められる「アクアビッタ パイ」の文字を白抜きでやや小さく横書きした構成よりなるものであるところ、「π」の文字部分は、「ギリシア文字のアルファベットで16番目の文字」又は「円周率」を意味する文字であって、これが商品の記号、符号等として普通に使用されているという事実は見出せない。また、「アクアビッタ パイ」の文字部分が欧文字部分の称呼を特定したものと理解されるばかりでなく、商品の説明を記載したラベルの左右の文章中にも「アクアビッタパイは」などと記載していることからも、使用商標は、その構成文字に相応して「アクアビッタパイ」の一連の称呼を生ずるものであって、特定の観念を有しない造語よりなるものと認める。
そうすると、本件商標より生ずる「アクアビッタ」の称呼と使用商標より生ずる「アクアビッタパイ」の称呼は、末尾部分において「パイ」の音の有無の差異を有するものであるから、同一の称呼を生ずるものではない。また、両商標は、いずれも造語よりなるものであるとしても、「π」及び「パイ」の文字の有無の差異を有するものであるから、観念においても同一のものとはいえない。さらに、本件商標と使用商標は、外観において同視し得る商標ということもできない。
したがって、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標ということはできない。
(3)むすび
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る指定商品のいずれかについて、本件商標の使用をしていたことを証明し得なかったものといわざるを得ない。また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中の「化粧品」について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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