Trademark Appeal Case
スローガン商標の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2009−13274(T2009−13274/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は,別掲1のとおりの構成からなり,第7類「化学機械器具,業務用電気洗濯機,廃棄物圧縮装置,交流電動機及び直流電動機(陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)を除く。),交流発電機,電機ブラシ」及び第37類「ボイラーの修理又は保守,民生用電気機械器具の修理又は保守,配電用又は制御用の機械器具の修理又は保守,業務用電気洗濯機の修理又は保守,廃棄物圧縮装置の修理又は保守,化学プラントの修理又は保守,衣類乾燥機の貸与」を指定商品及び指定役務として,平成20年3月13日に登録出願されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由
原査定は,「本願商標は,昨今の環境保護の高まりやその取り組みを象徴的に表現したとみられる『地球を救おう』の文字と,該『地球』を描出したとみられる図形とからなるものであり,これをその指定商品・指定役務に使用しても,地球環境に配慮した製品作りやサービスの提供を謳ったスローガンの一種とその説明的図柄として看取されるにとどまるから,需要者が何人かの業務に係る商品・役務であることを認識することができないものであるから,商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。
第3 当審における手続きの経緯
当審判体は,平成22年7月15日付けの審尋書により,請求人に対し,本願商標を構成する地球と思しき図形及び「地球を救おう」の文字に関連する使用例を挙げて,本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当する理由を開示し,請求人に意見を求めたところ,請求人は,同年8月31日付けの回答書を提出した。
第4 当審の判断
1 商標法第3条第1項第6号該当性について
本願商標は,「地球を救おう」の青色文字と水をたたえた青い(青色の)地球を表したものと容易に理解し得る図形とからなるものである。
ところで,近年,地球温暖化やオゾン層の破壊などの地球環境の悪化が「地球環境問題」として問題視されるなか,2005年には地球温暖化防止に向けての具体的目標や対策を定めた「気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書」が発効し,また,平成13年に「地球温暖化対策の推進に関する法律」が施行され,本年5月に「地球温暖化対策基本法案」が衆議院で可決されるなど,「地球環境問題」が世界規模において議論され,我が国においても国を挙げてこれを推進する取り組みがなされているところである。
こうした地球環境問題に対する取り組みの中で,「地球を救おう」の文字が,地球環境を保護しようといった意味合いで地方公共団体や市民団体などにより,スローガン又はその一部として使用されている事実がある(下記(1)ア)。
また,本願商標の指定商品及び指定役務に関連する分野,例えば,化学機械器具及び廃棄物圧縮装置並びに化学プラントの修理・保守及び廃棄物圧縮装置の修理・保守などとの関係においても,地球環境に配慮した機器やその関連技術の研究・開発が行われ,これらに関連する組織や企業などにより,「地球を救おう」の文字がスローガン又はスローガンや論文のタイトルの一部として使用されている事実がある(下記(1)イ)。
そして,本願商標中の図形である青い(青色の)地球についても,これが地球温暖化などによる地球環境の破壊により赤色に変化するとの危惧のもと,いわば地球環境問題のシンボルのように取り扱われ,また,同種の図形が地球環境問題を題材にした書籍やウェブサイトなどにおいて多数使用されている事実がある(下記(2))。
(1)「地球を救おう」の文字の使用例
ア 地方公共団体などにおける使用例
(a)「APEC環境技術交流バーチャルセンター」のウェブサイト
「地球を救おう。未来を救おう。」の表示の下,「APEC環境技術交流バーチャルセンター(APEC−VC)は,APECに加盟する国や地域が,インターネット上に環境技術情報を提供し,交流するウェブサイトです。...」の記載がある(http://www.apec-vc.or.jp/j/modules/tinyd02/)。
(b)「検索サイト『NAVER』」のウェブサイト及び「TVで目についたお嬢さん・お兄さんを応援する適当日記」と題するブログ
「公共広告機構(2009年7月から「ACジャパン」に改称)」が,2007年にAKB48出演の「3つのRで地球を救おう」と題するCMを放送したことの記載がある(http://matome.naver.jp/odai/2009031320021172846/2009031320021193203及びhttp://pumpkin-man.jugem.jp/?eid=6)。
(c)「大分県」のウェブサイト
「バスに乗って地球を救おう!大分2007」の記載がある(http://www.pref.oita.jp/soshiki/10750/bus.html)。
(d)「Let’s Enjoy TOKYO」のウェブサイト
「環境フォーラム『地球を救おう』/気候が今,おかしくなっていると感じている方は多いと思います。地球環境の今を考えます。」の記載がある(http://www.enjoytokyo.jp/life/event/123920/)。
(e)「千葉県松戸市」のウェブサイト
「『減CO2大作戦で地球を救おう!!〜地球温暖化フォーラムinまつど〜』を開催しました!!」の記載がある(http://www.city.matsudo.chiba.jp/index/kurashi/seikatsukankyou/tikyuuondanka/event/chikyuondanka-forum.html)。
(f)「特定非営利活動法人渡良瀬エコビレッジ」のウェブサイト
「7/16 愛する地球を残すために!地球を救おうフォーラムを開催しました! 」の記載がある(http://blog.canpan.info/watarase/archive/41)。
(g)「北九州市立志徳中学校」のウェブサイト
「地球を救おう!!〜校区内美化活動」の記載がある(http://www.kita9.ed.jp/sitoku-j/kankyou19.htm)。
(h)「東北大学サイエンスカフェ」のウェブサイト
「第51回:住宅の省エネルギーで地球を救おう!」の記載がある(http://cafe.tohoku.ac.jp/event/no51/)。
(i)「戸田市ボランティア・市民活動支援センター」のウェブサイト
「環境みどり特集No.4『地球を救おう!エコライフDAY2008』/...2008年度は京都議定書のスタートです。日本も世界との約束を果たさなければなりません。...」の記載がある(http://genki365.net/gnkt01/pub/sheet.php?id=36840)。
(j)「石川県の中小企業に役立つ情報データベース/ISICO DGnet」のウェブサイト
「サテライト・プラザミニ講演【砂漠を緑地化して,地球を救おう】」の記載がある(http://dgnet.isico.or.jp/etc/view.phtml?uk=00022608)。
イ 指定商品・役務との関係における使用例
(a)「アイシングループ」のウェブサイト
「アイシングループは,『人類と地球環境が共存する持続可能な社会を築き上げるため,経営ビジョンに人と地球の未来にわたる調和に貢献する企業グループ』を掲げ,『アイシンで地球を救おう!』をスローガンに,『環境を通じて世界に尊敬される企業グループ』を目指しています。」の記載がある(http://www.aisin-chem.co.jp/company/images/10g_guideline.pdf)。
(b)「APEC環境技術交流バーチャルセンター」のウェブサイト
「地球を救おう。未来を救おう。」の表示の下,特集として,「2乾式メタン発酵による有機性廃棄物のバイオガス化」及び「4エネルギー自立型畜産・食品廃棄物処理への挑戦」と題する廃棄物処理に関する環境技術を,また,注目キーワードとして【有機フッ素化合物PFOS・PFOA】と題する化学品の関連技術を紹介している(http://www.apec-vc.or.jp/j/modules/tinyd00/index.php?id=86_open_cid_00=36,http://www.apec-vc.or.jp/j/modules/tinyd00/index.php?id=88_open_cid_00=36及びhttp://www.apec-vc.or.jp/j/modules/tinyd01/index.php?id=35)。
(c)「財団法人日本バイオインダストリー協会」のウェブサイト
「平成19年度活動/平成19年9月25日(火)に日本生物工学会との共催で,シンポジウム『バイオテクノロジーによる循環型産業の新展開と問題点』を開催した。」/「2.『日本発の技術としての発酵研究で地球を救おう』/穴澤秀治氏(協和発酵)」の記載がある(http://www.jba.or.jp/report/technology/document/01_sentan_02.html)。
(2)「青い(青色の)地球」の図形及び文字の使用例
(a)「政府インターネットテレビ」のウェブサイト
「21ch 地球環境/温暖化防止,省エネルギー等の地球環境問題に関する情報を提供/2007/05/31 みんなで守ろう!青い地球(家庭でできること)」の記載がある(http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg1182.html)。
(b)「日本化学未来館」のウェブサイト
「vol.2 青い地球と赤い地球/シンボル展示・Geo−Cosmos(ジオ・コスモス)は宇宙から見た青く輝く地球の姿を表しています。...青い地球だけでなくさまざまな映像を映し出します。その中の一つ『地球温暖化シミュレーション』というコンテンツは1901年から2100年までの気温の変化をシミュレーションしたもの。時間の経過とともに真っ赤な色に変わっていく地球の姿にお客様からはいつも驚きの声があがります。」の記載がある(http://www.miraikan.jst.go.jp/mail/07072014380.html)。
(c)「MONEYKit」のウェブサイト
「地球温暖化対策株式ファンド(愛称:青い地球)」の記載がある(http://moneykit.net/visitor/fund/fund_notice/notice_JP90C0005CL3.html)。
(d)「地球環境化学入門」(著者ジュリアン・アンドリュース)
表紙に青い(青色の)地球の図が表示されている(http://books.google.com/books?id=FNuWSfi8grcC=frontcover=%E5%9C%B0%E7%90%83%E7%92%B0%E5%A2%83%E5%8C%96%E5%AD%A6%E5%85%A5%E9%96%80=bl=3Zs4oqdze-=e6-t8N_9aOYpXEiEx3g97CVJOlM=ja=ztQyTIbEEoHCca6SiKMD=X=book_result=result=3=0CBAQ6AEwAg#v=onepage=false)(別掲2)
(e)「地球環境」をキーワードとし検索した「画像」のウェブサイト
ウェブ上で表示されている青い(青色の)地球の図が紹介されている(http://www.google.com/images?hl=ja=%E5%9C%B0%E7%90%83%E7%92%B0%E5%A2%83==1=UTF-8=univ=DNEyTLX2BoS-cfKvhKED=X=image_result_group=title=4=0CDAQsAQwAw)(別掲3)
(f)「論理非論理綴り帳」と題するブログ
「♪青い地球は誰のもの。地球温暖化危機。NHKは21世紀中この曲をずっと流して世界に配信すればいい」の記載と青い(青色の)地球の図が表示されている(http://blogs.yahoo.co.jp/kazusanosukekazusa/39775945.html)(別掲4)
以上のことから,「地球を救おう」の青色の文字と青い(青色の)地球を表したものと容易に認識し得る図形とからなる本願商標は,これをその指定商品又は指定役務について使用しても,これに接する需要者は,全体として,青色に輝く地球を救おうといったスローガンを表したもの,すなわち,地球環境に配慮した製品や役務の提供を謳ったスローガンを表したものと認識するにとどまるものとみるのが相当であり,需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができないものである。
また,このような標章は何人もその使用を欲するものといえるから特定人に独占使用を認めることは公益上適当ではない。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当する。
2 請求人の主張について
請求人は,当審における平成22年7月15日付け審尋書で示した「地球を救おう」の文字と青い(青色の)地球の図形のウェブサイトにおける使用例に対し,ウェブサイトの掲載だけでは法の趣旨を裏付ける資料として信用が足らない旨主張する一方,地球の文字を含むフレーズからなる商標の過去の登録例及びその一部のものについてのウェブサイトの掲載件数を挙げ,本願商標もこれらと同様に登録すべき旨主張する。
しかしながら,出願された商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かは,査定時又は審決時における当該商標についての需要者の認識や使用される商品又は役務の取引の実情などを考慮し,個別具体的に判断されるものであるから,請求人の挙げた登録例は,本願商標と事案を異にするものといわざるを得ない。そして,本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当することは上記認定のとおりであり,請求人の挙げた登録例の存在によってその認定が左右されるものではない。
3 むすび
以上のとおり,本願商標を商標法第3条第1項第6号に該当するとした原査定の拒絶の理由は妥当なものであって,取り消すことはできない。
よって,結論のとおり審決する。
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