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Trademark Appeal Case

商標要部の不使用

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2009−301260(T2009−301260/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第2151144号商標の指定商品中、第1類「薬剤」については、その登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第2151144号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に表示したとおりの構成よりなり、昭和61年11月12日に登録出願、第1類「化学品、薬剤、医療補助品」を指定商品として、平成元年6月23日に設定登録、その後、同11年2月23日及び同21年6月30日の2回にわたり、商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。

第2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。

1 請求の理由

本件商標は、その指定商品中「薬剤」について、継続して3年以上日本国内において使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものである。

2 答弁に対する弁駁

(1)被請求人は、答弁書において、本件商標は商標権者によって、取消請求に係る指定商品である「薬剤」の範ちゅうに属する「アレルギー性結膜炎治療剤」(感覚器用薬剤)について、現在使用されている事実があるとして、乙第1号証ないし乙第5号証を提出している。

(2)しかしながら、これら各乙号証に現れる商標の使用例は、いずれも本件商標中「メインター」、「MAINTER」の文字部分のみに関するものであり、本件商標の他の要部である「MOHAN」の欧文字を囲んでなる図形部分については、使用事実を示す証拠方法の提出がない。

したがって、「メインター」及び「MAINTER」の使用が社会通念上登録商標と同一商標の使用といえるか否かについて検討するまでもなく、各乙号証は本件商標を指定商品について使用した事実を証するものではない。

(3)請求人は、本件商標に対して平成12年にも不使用取消審判請求(取消2000−30450)を行っている。請求人は、甲第1号証として、当該審判事件の審決公報の写を提出する。

これによれば、当時の商標権者である株式会社模範薬品研究所(被請求人は三度の一般承継を経て商標権者となっている。)は、本件商標について「本件商標は、片仮名文字の『メインター』と欧文字『MAINTER』とを上下二段に横書きし、その下部に十字を模した図案の中央に欧文字『MOHAN』を書した図形よりなるものである。」と主張している。

しかしながら、本件商標中の「MOHAN」の文字を含む図形部分が、本件商標の三つの構成要素の一つであることは、上記取消審判の合議体が適法に認定したとおりである。

したがって、本件商標中の当該図形部分が他の構成要素とともに「薬剤」について使用された事実が証明されない以上、被請求人の示す使用例が、本件商標と社会通念上同一商標の使用事実と認められる余地はない。

(4)請求人は、以上の理由から、被請求人の提出した各乙号証は、本件取消審判の請求の予告登録前3年以内の本件商標の日本国内における指定商品「薬剤」についての使用事実を立証するものではない。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判請求を棄却する、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第5号証を提出した。

1 本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において取消しに係る指定商品のうち、「薬剤」の範ちゅうに属する「アレルギー性結膜炎治療剤」たる点眼液に、そして、「アレルギー性鼻炎治療剤」たる点鼻液について使用されているものであるから、商標法50条1項の規定により取り消されるべきものではない。

なお、「点眼液」及び「点鼻液」は、「薬剤」の下位概念の商品である「感覚器官用薬剤」であるため、使用商品は、「感覚器官用薬剤」と記載した。

2 使用商標と本件商標の同一性

被請求人は、商品「感覚器官用薬剤」について、本件商標を製品本体に付着したラベル前面に「メインター」と表示して使用している(乙第1号証及び乙第2号証)。

また、被請求人は、商品「感覚器官用薬剤」について、本件商標を製品の説明欄において「メインターR(メインターの文字の右上の小さな円の中にRの文字が記載されている。以下、『マルR』と表記する。)点眼液2%」を上段に「Mainter Eye Drops 2%」を下段に記載して使用している。同様に、商品「感覚器官用薬剤」について、本件商標を製品の説明欄において「メインター『マルR』点鼻液2%」を上段に「Mainter Nasal Solution 2%」を下段に記載して使用している(乙第1号証及び乙第2号証)。

さらに、被請求人は、商品「感覚器官用薬剤」について、本件商標を乙第3号証である「医療用医薬品添付文書集2009」において、「メインター『マルR』点眼液2%」を上段に「Mainter Eye Drops 2%」を下段に記載して使用している。同様に、商品「感覚器官用薬剤」について、本件商標を同文書集において、「メインター『マルR』点鼻液2%」を上段に「Mainter Nasal Solution 2%」を下段に記載して使用している(乙第3号証)。

被請求人の提出する乙第1号証ないし同第3号証で示す使用商標2及び使用商標3は、本件商標と物理的に同一のものということはできないとしても、本件商標と共通する「メインター」の片仮名文字と「Mainter」のローマ字を上下に配した構成を有している。また、使用商標中の「メインター」及び「Mainter」の文字部分が自他商品の識別機能を十分発揮しうる部分であり、該文字部分が出所表示機能を有する部分と無理なく認識することができる。

さらに、商標の使用は、商標を付する対象に応じて、適宜、変更を加えて使用することがむしろ通常であり、前記使用各商標からその構成態様中のローマ字部分「Mainter」及び片仮名文字部分「メインター」に相応した『メインター』の称呼が生じ、これは、本件商標から生ずる『メインター』と同一の称呼であることを考慮すれば、使用商標2及び使用商標3は、社会通念上、本件商標と同一視することができる。

また、被請求人の提出する乙第1号証及び乙第2号証で示す使用商標1は、本件商標を文字要素のうち片仮名文字「メインター」のみ表示しているところ、該片仮名文字「メインター」は、本件商標の「Mainter」のローマ字の表示を片仮名文字に変更するものである。

仮に「メインター」という片仮名文字の表示をローマ字に表示するならば「Mainter」と表示するものであるから、片仮名文字「メインター」とローマ字「Mainter」は「片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するもの」(商標法50条1項カッコ書き)に該当する。

さらに、ローマ字「Mainter」より生ずる称呼は、「メインター」であり、一方、片仮名文字「メインター」より生ずる称呼は、「メインター」であって、その称呼は、同一である。

また、「メインター」及び「Mainter」は、特定の観念の生じない一種の造語である。

したがって、被請求人の使用商標は、「(平仮名、)片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼(及び観念)を生ずる商標」(商標法50条1項カッコ書き)の使用に該当するため、本件商標の使用にあたるといえる。

3 各証について

使用商標1ないし使用商標3が日本において継続的に使用されていることは、各乙号証に示された以下の事実により明白である。

なお、使用の事実を証明する書類中、被請求人の営業秘密に属する部分の情報は開示しかねるため、墨塗りにて対応した。

(1)「マイラン製薬 製品一覧2009」(乙第1号証)は、印刷所の用いるコード番号よりおおよその印刷日がわかることから、その番号「OT001−0903−00」より2009年3月頃印刷されたことがわかる。これは、請求の予告登録日前3年以内の年月日である。

乙第1号証として提出する「マイラン製薬 製品一覧2009」の第080頁には、本件商標が付された製品本体の画像が掲載されており、これによると製品本体前綿に付着したラベルに「メインター『マルR』点眼」の文字が見え、また、製品の説明文の部分には、「メインター『マルR』点眼液」と「Mainter Eye Drops2%」の文字が明瞭に表示されている。

また、乙第1号証として提出する「マイラン製薬 製品一覧2009」の第081頁には、本件商標が付された製品本体の画像が掲載されており、これによると製品本体前面に付着したラベルに「メインター『マルR』点鼻液」の文字が見え、また、製品の説明文の部分には、「メインター『マルR』点鼻液」と「Mainter Nasal Solution2%」の文字が明瞭に表示されている。

なお、乙第1号証第080頁及び第081頁中の「販売開始年月」が「1992年7月」であることから、本件商標が付された商品は、1992年7月より継続して使用されていることがわかる。

さらに、乙第4号証として提出する「納品案内書(控)」は、被請求人が千葉県所在の(株)メディセオ・バルタックに、本件商標が付された商品を譲渡した納品案内書(2009年2月18日発行)であり、納品案内書中には、品名「メインター点眼液2% 5mL×10V」との記載があり、また、納品案内書中の「統一商品コード」806233は、乙第1号証中の「HOT番号・バーコード一覧」第155頁の「メインター『マルR』点眼液2% 5mL×10瓶」の項目のバーコードの数字「806233」と一致する。

(2)「2006−2007メルク製薬 製品一覧」(乙第2号証)は、「本冊子は2006年8月までの情報に基づき記載しております。」「[2007年6月現在]」との表示及び印刷所の用いるコード番号よりおよその印刷日がわかることから、その番号「2006.9『マル2』」より2006年9月頃印刷され、その後2007年6月現在の情報に基づいて修正がされ印刷されたものであるといえる。

乙第2号証として提出する「2006−2007メルク製薬 製品一覧」の第78頁には、本件商標が付された製品本体の画像が掲載されており、これによると製品本体前面に付着したラベルに「メインター『マルR』点眼液」の文字が見え、また、製品の説明文の部分には、「メインター『マルR』点眼液2%」と「Mainter『マルR』Eye Drops2%」の文字が明瞭に表示されている。

また、乙第2号証として提出する「2006−2007メルク製薬 製品一覧」の第79頁には、本件商標が付された製品本体の画像が掲載されており、これによると製品本体前面に付着したラベルに「メインター『マルR』点鼻液」の文字が見え、また、製品の説明文の部分には、「メインター『マルR』点鼻液2%」と「Mainter『マルR』Nasal Solution2%」の文字が明瞭に表示されている。

さらに、乙第5号証として提出する「納品案内書(控)」は、被請求人の被承継人が埼玉県所在の東邦薬品株式会社に、本件商標が付された商品を譲渡した納品案内書(2007年2月23日発行)であり、納品案内書中には、品名「メインター点鼻液2% 9.5mL×10V」との記載があり、「9.5mL×10V」は、乙第4号証中の「【包装】」の欄に「9.5mL×10瓶」と一致する。

また、納品案内書中には、品名「メインター点眼液2% 5mL×10V」との記載があり、「5mL×10V」は、乙第4号証中の「【包装】」の欄の「5mL×10瓶」と一致する。

さらに、納品案内書中には、品名「メインター点眼液2% 5mL×50V」との記載があり、「5mL×50V」は、乙第4号証中の「【包装】」の欄の「5mL×50瓶」と一致する。

なお、乙第5号証の発行日付は、2007年2月23日であるので、請求の予告登録日前3年以内の年月日である。

(3)「医療用医薬品添付文書集2009」(乙第3号証)は、「はじめに」の部分が「2009年7月」の日付であること、印刷所の用いるコード番号よりおおよその印刷日がわかることから、その番号「OT073−0906−00」より2009年6月〜7月頃に印刷されたことがわかる。これは、請求の予告登録日前3年以内の年月日である。

乙第3号証として提出する「医療用医薬品添付文書集2009」の第609頁には、本件商標が、商品「感覚器官用薬剤」すなわち「アレルギー性結膜炎治療剤」について、「メインター『マルR』点眼液2%」と「Mainter『マルR』Eye Drops2%」との表示で使用されている。

乙第3号証として提出する「医療用医薬品添付文書集2009」の第611頁には、本件商標が、商品「感覚器官用薬剤」すなわち「アレルギー性鼻炎治療剤」について、「メインター『マルR』点鼻液2%」と「Mainter『マルR』Nasal Solution2%」との表示で使用されている。

なお、乙第3号証第609頁、第611頁及び第794頁中の「発売年月(日)」が「1992.7.10」であることから、本件商標が付された商品は、1992年7月10日より継続して販売により使用されていることがわかる。

また、当然ながら、その間医薬品として製造販売承認がされており、直近の承認は、厚生労働省により2006年2月10日にされたことがわかる。

したがって、日本国において製造承認された医薬品として本件商標が付された商品が販売されていることが認められる。

第4 当審の判断

1 被請求人提出の証拠について

被請求人の提出に係る各乙号証をみるに、乙第1号証は、「マイラン製薬 製品一覧2009」であるところ、第080頁には、商品「眼科用剤」として、商品の写真とともに、「メインター『マルR』点眼液2%」及び「Mainter Eye Drops 2%」の記載があり、第081頁には、商品「耳鼻科用剤」として、商品の写真とともに、「メインター『マルR』点鼻液2%」及び「Mainter Nasal Solution 2%」の記載があり、第155頁には、「メインター『マルR』点眼液2% 5mL×10瓶」、「メインター『マルR』点眼液2% 5mL×50瓶」及び「メインター『マルR』点鼻液2% 9.5mL×10瓶」の記載がある。

乙第2号証は、「2006−2007 メルク製薬 製品一覧」であるところ、i頁には、「本冊子は2006年8月までの情報に基づき記載しております。」の記載があり、iii頁には、「2007年6月現在」の記載があり、第78頁には、商品「眼科用剤」として、商品の写真とともに、「メインター『マルR』点眼液2%」及び「Mainter『マルR』Eye Drops 2%」の記載があり、第79頁には、商品「耳鼻科用剤」として、商品の写真とともに、「メインター『マルR』点鼻液2%」及び「Mainter『マルR』Nasal Solution 2%」の記載がある。

乙第3号証は、「医療用医薬品添付文書集2009」であるところ、2葉目には、「2009年7月」の記載があり、第609頁には、商品「アレルギー性結膜炎治療剤」として、「メインター『マルR』点眼液2%」及び「Mainter『マルR』Eye Drops 2%」の記載があり、第611頁には、商品「アレルギー性鼻炎治療剤」として、「メインター『マルR』点鼻液2%」及び「Mainter『マルR』Nasal Solution 2%」の記載がある。

なお、第794頁には、「メインター点眼液2%」及び「メインター点鼻液2%」について、「承認年月日(許可日)」の欄には、「2006.2.10」の記載、「薬価収載年月(日)」の欄には、「2006.6.9」の記載、「発売年月(日)」の欄には、「1992.7.10」の記載がある。

乙第4号証は、被請求人が、2009年2月18日に発行した「納品案内書(控)」であるところ、「品名・規格・容量」の欄には、「メインター点眼液2% 5mL×10V」の記載がある。

乙第5号証は、商標権者の被承継人であるメルク製薬株式会社が、2007年2月23日に発行した「納品案内書(控)」であるところ、「品名・規格・容量」の欄には、「メインター点鼻液2% 9.5mL×10V」、「メインター点眼液2% 5mL×10V」及び「メインター点眼液2% 5mL×50V」の記載がある。

そして、これらの証拠以外に、本件商標の使用を証明する証拠は、提出されていない。

以上の事実によれば、商標権者は、商標「メインター」及び「Mainter」(以下「使用商標」という。)を付した商品「アレルギー性結膜炎治療剤(点眼液)」及び「アレルギー性鼻炎治療剤(点鼻液)」を2007年7月23日及び2009年2月18日に販売していたということができる。

2 使用商標と本件商標の同一性について

本件商標は、別掲に示したとおり、「メインター」の片仮名文字の下に「MAINTER」の欧文字を表し、その下段に「MOHAN」の文字を含む十字状の図形を結合した一つにまとまった商標であるところ、その構成中の下段の「MOHAN」の文字を含む十字状の図形部分は、独立して商品の出所表示機能を充分に果たし得るものであるから、本件商標にとっては極めて重要な構成部分というべきであって、単に付記的部分ということができないものである。

してみれば、当該図形部分を伴わない「メインター」及び「Mainter」のみの使用は、本件商標と社会通念上同一の商標の使用とは、いい得ないものである。

したがって、被請求人の提出した証拠によっては、被請求人が、請求に係る指定商品のいずれかについて、本件商標の使用を証明したものということはできないものである。

3 むすび

以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、請求に係る指定商品「薬剤」について使用されていなかったものであり、かつ、使用されていないことについて正当な理由があるものとも認められないから、商標法第50条第1項の規定に基づき、上記指定商品についての登録を取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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