結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2010−300013(T2010−300013/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4820616号商標(以下「本件商標」という。)は、「猟友会」の漢字を標準文字で表してなり、平成16年3月2日に登録出願、第44類「動物の飼育及びこれに関するコンサルティング・情報の提供,美容,理容,入浴施設の提供,庭園又は花壇の手入れ,庭園樹の植樹,肥料の散布,雑草の防除,有害動物の防除(農園・園芸又は林業に関するものに限る。),あん摩・マッサージ及び指圧,カイロプラクティック,きゅう,柔道整復,はり,医業,医療情報の提供,健康診断,歯科医業,調剤,栄養の指導,動物の治療,植木の貸与,農業用機械器具の貸与,医療用機械器具の貸与,漁業用機械器具の貸与,美容院用又は理髪店用の機械器具の貸与,芝刈機の貸与」ほか、第16類、第36類、第37類及び第42類に属する商標登録原簿記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年11月26日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成22年1月25日にされているものである。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出している。
本件商標は、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによってもその指定商品又は指定役務中、第44類「医業,医療情報の提供,健康診断,歯科医業,調剤」について使用されていないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
被請求人は、「医療情報の提供」について「大日本猟友会」を使用しており、商標法第50条第1項には該当しないと主張するが、次の点において誤りである。
(1)被請求人は、使用商標を「大日本猟友会」であると主張するが、本件商標は、「猟友会」である。
使用商標「大日本猟友会」と本件商標とは同一でない。
この点、被請求人は、「猟友会」は著名であり被請求人しか使用していないから、「大日本猟友会」と「猟友会」とは同一のものとして広く認識されているので、「大日本猟友会」の使用は「猟友会」の使用に当たるというべきである旨主張する。
しかし、仮に、「猟友会」が著名であったとしても、「大日本猟友会」の使用が「猟友会」の使用となることはないから、この主張は全く理由がない。
(2)被請求人の業務
被請求人の乙第2号証ないし乙第4号証を根拠とする主張は、「医療情報の提供」についての使用の主張ではない。
まず、乙第2号証ないし乙第4号証は、研究者の報告書であって、報告書内の記載をもって、役務の使用の記載となるはずがない。
また、被請求人が付したラインマーカー部分等の各記載は、大日本猟友会が検体や血液サンプルを提供した旨の記載であって、大日本猟友会が検体(人間ではなく動物)を提供したり、動物の血液を採取して提供したりするという業務(役務)を行っていることがうかがわれる記載にすぎず、「医療情報の提供」の記載ではない。
以上のとおり、被請求人の主張は理由がない。
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第8号証(枝番を含む。)を提出している。
この事業は、具体的には下記のように実施されている。
(1)「動物由来感染症のサーベイランス手法の開発に関する研究 平成18年度 総括・分担研究報告書」(乙第2号証)
第1ページ 「研究要旨」第17行目に「(社)大日本猟友会の協力により、」とある。
第4ページ 「謝辞」第1行目に「(社)大日本猟友会」、第2行目に「地方猟友会所属の方々」とある。
第5ページ 「研究要旨」第4行目に「都道府県猟友会の」とある。同ページ「B.研究方法」第1行目に「(社)大日本猟友会より提供された都道府県猟友会」とある。
第56ページ 「研究要旨」第1行目に「大日本猟友会の協力により」とある。
第87ページ 「研究要旨」第2行目に「大日本猟友会に依頼し」とある。
第88ページ 「B.研究方法」第2行目に「大日本猟友会の協力の下」とある。
(2)「動物由来感染症の生態学的アプローチによるリスク評価等に関する研究 平成19年度 総括・分担研究報告書」(乙第3号証)
第34ページ 「B.研究方法」第1行目に「2007−8年シーズンに大日本猟友会の協力の下」とある。
第44ページ 「(1)ダニの収集」第1行目に「大日本猟友会の協力により」とある。
(3)「動物由来感染症の生態学的アプローチによるリスク評価等に関する研究 平成20年度 総括・分担研究報告書」(乙第4号証)
第1ページ 「研究協力者」第1行目に「(社)大日本猟友会」とある。
第32ページ 「B.研究方法」第1行目に「大日本猟友会の協力の下」とある。
したがって、被請求人の「大日本猟友会」と言えば「猟友会」、「猟友会」と言えば「大日本猟友会」というように、両者は一体不可分かつ同一のものとして広く認識されているので、「大日本猟友会」としての使用は、「猟友会」としての使用に当たるというべきである。
(1)請求人は、商標「大日本猟友会」としての使用は、本件商標の使用とは認められないと主張している。
「猟友会」とは狩猟者のための公益団体であって、この「猟友会」の字句を使用する公益団体は、全国の都道府県、市町村に存在している(乙第6号証の1ないし6)。「大日本猟友会」は、これらの「猟友会」を統括する公益団体であって、それ故に「猟友会」の字句を商標登録し、これを全国各地の「猟友会」に使用させている。
ところで、「大日本猟友会」において、「大日本」の字句は、都道府県名や市町村名と同じく、本来、自他役務の識別力の弱い部分であることから、自他役務の識別力のある部分は、「猟友会」の部分ということもできる。
したがって、「大日本猟友会」と「猟友会」とは、社会通念上同一ということができるから、「大日本猟友会」の使用は、本件商標の使用ということができる。
(2)請求人は、「大日本猟友会」が動物の検体を提供したり、動物の血液を採取して提供することが何故「医療情報の提供」に当たるのか理解できないと主張している。
「鳥インフルエンザ」、「豚インフルエンザ」に代表されるように、動物が感染経路となって人間に感染するさまざまな病気が存在することはだれでも知っていることである。かかる場合に、動物を検体のために提供し、動物の血液をサンプルとしてしかるべき機関へ提供することは、「医療情報の提供」そのものではないかと思量する。
被請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証の3は、「大日本猟友会について」と題するウェブページの写しであり、「平成21年度 事業計画書」の見出しの下、「2.事業項目」中の「野生鳥獣感染症等調査協力」の項に、「国立感染症研究所が行っている鳥インフルエンザ、E型肝炎など人間と鳥獣に共通する感染症についての調査に対して協力を行う。協力方法は、カモ類、シカ、イノシシ、ノウサギの検体を同研究所に送付する。」と記載され、また、「平成20年度事業報告書」の見出しの下、「2.事業項目」中、「野生鳥獣感染症等調査協力」には、「国立感染症研究所が行っている鳥インフルエンザ等の人間と鳥獣に共通する感染症についての調査に、鳥獣の検体を送付して協力をしている。協力者は、かも類 16道県40人の構成員、シカ 10道県24人の構成員、イノシシ 12県28人の構成員、ノウサギ 9県24人の構成員が協力した。」と記載されている。
(2)乙第2号証は、「動物由来感染症のサーベイランス手法の開発に関する研究」と題する「平成18年度 総括・分担研究報告書」の写しであり、表紙に「厚生労働科学研究費補助金 新興・再興感染症研究事業」、「主任研究者 山田章雄 平成19(2007)年3月」と記載されており、1ページ以降に次のような記載が認められる。
ア 「主任研究者 山田章雄 国立感染症研究所獣医科学部長」及び「研究要旨」の見出しの下、「(社)大日本猟友会の協力により、狩猟者における動物由来感染症に対する意識調査を実施した。」(1ページ)。
イ 「(6)大日本猟友会の協力により、1道8県のシカ腎臓32検体、また11県のイノシシ腎臓45検体からレプトスピラ遺伝子flaBの検出を行った・・・」(2ページ。56ページ及び57ページにも同旨の記載あり。)。
ウ 「(9)(社)大日本猟友会の協力の協力を得て、都道府県猟友会の支部長から任意に抽出した374名にアンケートを送付したところ65%に相当する243名から回答があった。」(3ページ。5ぺージにも同旨の記載有り。)。
エ 「謝辞」の見出しの下、「本研究を遂行するにあたり、(社)大日本猟友会小熊 實専務理事をはじめ多くの地方猟友会所属の方々にご協力いただきました。」(4ページ)。
オ 「A.研究目的」の見出しの下、「本研究では(社)大日本猟友会の協力を得て、国内各地で野生動物の臓器、血液等の提供を受け、代表的な動物由来感染症病原体の検索を行っている。」(5ページ)。
カ 「研究要旨」の見出しの下、「大日本猟友会に依頼し、カモ血液サンプルを、血液をろ紙に採取する方法により収集した。」(87ページ)。
キ 「B.研究方法」の見出しの下、「1.サンプル収集(2005年度及び2006年度):渡り鳥(カモ類)のサンプル採取は、大日本猟友会の協力の下、北海道、青森県・・・の16道県の方々に依頼した。」(88ページ)。
(3)乙第3号証は、「動物由来感染症の生態学的アプローチよるリスク評価等に関する研究」と題する「平成19年度 総括・分担研究報告書」の写しであり、表紙に「厚生労働科学研究費補助金 新興・再興感染症研究事業」、「主任研究者 山田章雄 平成20(2008)年3月」と記載されており、34ページ以降に次のような記載が認められる。
ア 「B.研究方法」の見出しの下、「1.血液サンプルの採取:2007−8年シーズンに大日本猟友会の協力の下、イノシシもしくは日本シカの血液サンプルを採取してもらった。・・・サンプル送付とともに、動物種、性別、体重、推定年齢、捕獲地を記録ラベルに記入して同封してもらった。・・・さらに、別途2005−6年シーズンのイノシシ血清(先に大日本猟友会の協力の下で採取した物)を感染研ウイルス第2部より入手した。」(34ページ)。
イ 「(1)ダニの収集」の見出しの下、「2005年から2007年に大日本猟友会の協力により捕獲されたノウサギの体表に付着していたダニを収集した。」(44ページ)。
(4)乙第4号証は、「動物由来感染症の生態学的アプローチよるリスク評価等に関する研究」と題する「平成20年度 総括・分担研究報告書」の写しであり、表紙に「厚生労働科学研究費補助金 新興・再興感染症研究事業」、「主任研究者 山田章雄 平成21(2009)年3月」と記載されており、1ページ以降に次のような記載が認められる。
ア 「研究代表者 山田章雄 国立感染症研究所獣医科学部長」及び「研究協力者」の見出しの下、「(社)大日本狩猟会」(1ページ)。
イ 「B.研究方法」の見出しの下、「1.血液サンプルの採取:大日本猟友会の協力の下、イノシシもしくはシカの血液サンプルを採取してもらった。」(32ページ)。
(5)乙第6号証の1は、ウェブページの写しであり、その1枚目には、「猟友会−Wikipedia」の見出しの下、「猟友会(りょうゆうかい)とは、日本国内における狩猟者のための公益法人(特例民法法人)である。狩猟道徳の向上、野生鳥獣の保護、有害鳥獣駆除及び狩猟の適正化を図り、狩猟の健全な発達と生活環境の改善に資することを目的として、1929年(昭和4年)9月26日に創設され、1939年(昭和14年)8月1日に法人として認可された。猟友会は3階層の構造をもっている。一般的に、各狩猟者は地域(市町村別程度の範囲)にある狩猟愛好者団体(『地元猟友会』)に所属して会員となる。その『地元猟友会』は都道府県別にある社団法人である『都道府県猟友会』の団体会員になっている。さらに『都道府県猟友会』は社団法人である『大日本猟友会』の団体会員になっている。」と記載され、3枚目及び4枚目に「(社)大日本猟友会会員名簿」の見出しの下、「社団法人北海道猟友会」、「社団法人青森猟友会」など、計47の都道府県下の社団法人が掲載されている。
(6)乙第6号証の2は、「(社)東京都猟友会」と題するウェブページの写しであり、その2枚目には、「支部所在地名簿」の見出しの下、「第5ブロック」の項に「板橋」との記載がある。
(7)乙第6号証の3は、「板橋猟友会の情報」と題するウェブページの写しであり、「名称 板橋猟友会」、「住所 東京都板橋区南町23−13」などと記載されている。
(8)乙第6号証の6は、「岩手県猟友会の概要」と題するウェブページの写しであり、その1枚目には、「岩手県猟友会の組織・構成」の見出しの下、「岩手県猟友会は、県内の29地区の猟友会(総構成員数約2,400名)で構成され、上部組織としては、47都道府県猟友会で構成する社団法人 大日本猟友会及び新潟県を含む東北七県北海道連合猟友会があり、・・・」と記載され、2枚目及び3枚目に「岩手県猟友会各支部」の見出しの下、「盛岡猟友会」以下「軽米町猟友会」の計26の支部名が記載されている。
(9)乙第8号証は、「商標登録センター」と題するウェブページの写しであり、「自他商品識別力のない商標」の見出しの下、「・・・例えば『日本』とか『東京』とかの文字をこれらのブランドマークに使用したとしたら? この場合には、『日本』や『東京』との言葉は特定の個人を連想するには成り得ないものです。この様な商標は登録商標にはふさわしくないとされ、自他商品識別力のない商標であると位置づけられています。」などと記載されている。
(1)取消請求に係る指定役務について
被請求人は、取消請求に係る指定役務中、「医療情報の提供」について本件商標の使用をしたとし、動物の検体やその血液を提供することが「医療情報の提供」に当たる旨主張するところ、「広辞苑 第六版」(株式会社岩波書店発行)によれば、「医療」の語は、「医術で病気を治すこと。療治。治療」を意味し、「情報」の語は、「あることがらについてのしらせ。判断を下したり行動を起こしたりするために必要な、種々の媒体を介しての知識。」を意味するものと認められることから、かかる「医療情報の提供」とは、「治療についての知らせ又は知識を提供」するものということができる。
一方、前記1(1)ないし(4)で認定した事実によれば、被請求人は、国立感染症研究所の研究に対して、カモ類、イノシシ、シカ、ノウサギの検体のほか、イノシシなどの血液を動物種、性別、捕獲地などを記録したラベルと共に提供し、また、アンケート調査に対する回答をしたことが認められる。
上記認定事実のうち、カモ類の検体やイノシシなどの血液の提供については、「カモ類の検体やイノシシなどの血液」が「医術で病気を治すこと」等の意味を有する「医療」に該当するとはいえないものであり、かつ、これらの「提供」が社会通念に照らしてみても、「情報」の語が意味する「知らせ又は知識」に該当するとは到底いえないものであるから、動物の検体やその血液を提供することが取消請求に係る指定役務中、「医療情報の提供」に当たるとの被請求人の主張は、採用できないというほかない。
また、被請求人は、前記のとおり、動物の血液の提供時に動物種、性別、捕獲地などを記録したラベルを提供していることが認められ、これは「動物種、性別、捕獲地などの情報の提供」といい得るとしても、「医療」の概念に含まれるものではないばかりでなく、動物の血液の提供と独立した行為とは認められないものであり、商標法上の役務は、独立して取引の対象となるものであることが要件の一つと解されることにかんがみれば、かかる「動物種、性別、捕獲地などの情報の提供」は、商標法上の役務に該当するとはいえないものである。
なお、アンケート調査に対する回答は、社会通念に照らしても「医療情報の提供」に当たらないことは明らかである。
以上によれば、被請求人が国立感染症研究所に対して行った前記の行為は、いずれも商標法上の役務としての「医療情報の提供」といえるものではない。
したがって、被請求人は、取消請求に係る指定役務中、「医療情報の提供」について本件商標の使用をしているとはいえない。
ほかに、被請求人は、取消請求に係る指定役務中、「医業,健康診断,歯科医業,調剤」のいずれについても本件商標の使用をしていることについて証明するところがない。
(2)本件商標の使用について
ア 本件商標と使用商標の同一性について
被請求人は、本件商標の使用として、「大日本猟友会」の文字からなる商標(以下「使用商標」という。)の使用をしている旨主張する。
そこで、使用商標の使用をもって本件商標の使用といえるか判断するに、本件商標は、前記第1のとおり、「猟友会」の漢字を標準文字で表した構成からなるところ、その構成中の「猟友」の文字は、「よく一緒に猟をする友人」(「大辞泉 増補・新装版」株式会社小学館 1998年12月1日発行)を意味し、「会」の文字は、「目的や好みを同じくした人々が作る組織」(前出「大辞泉 増補・新装版」)を意味するものであるから、構成全体をもって「猟をする友人の組織」ほどの観念を生ずると認められ、その構成文字に相応して「リョウユウカイ」の称呼を生ずるものである。
他方、使用商標は、「大日本猟友会」の漢字を書した構成からなるものであるところ、被請求人(商標権者)の商号「社団法人大日本猟友会」において、法人格を表す「社団法人」の文字を省略したものと認められるから、「商標権者の商号の略称」の観念を生ずるものであり、その構成文字に相応して「ダイニッポンリョウユウカイ」の称呼を生ずるものである。
そうすると、本件商標と使用商標とは、外観において、「猟友会」の文字を共通にするとしても、両者は、語頭において「大日本」の文字の有無の差異を有するものであるから、明らかに異なる。
次に、本件商標から生ずる「リョウユウカイ」の称呼と使用商標から生ずる「ダイニッポンリョウユウカイ」の称呼とを比較するに、両者は、「リョウユウカイ」の音を共通にするとしても、前半において「ダイニッポン」の音の差異を有するものであるから、明らかに異なる。
さらに、本件商標と使用商標とは、前記のとおり、前者は、「猟をする友人の組織」の観念を生じ、後者は、「商標権者の商号の略称」の観念を生ずるものであるから、両者は明らかに異なる。
以上によれば、本件商標と使用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても異なる別異の商標というべきである。
したがって、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標といえないものであり、使用商標の使用をもって本件商標の使用に当たるということができない。
これに対して、被請求人は、本件商標は被請求人の登録商標としてつとに著名であり、また、本件商標を被請求人及びその所属の各都道府県の猟友会以外の第3者が使用している形跡は全く見当たらない(乙第5号証の1ないし5)から、本件商標と使用商標は、一体不可分かつ同一のものとして広く認識されているので、使用商標の使用は、本件商標としての使用に当たる旨主張する。
しかし、商標法第50条第1項の規定による取消し審判の請求がなされた場合には、同条第2項は、「前項の審判の請求があった場合においては、その審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れない。(ただし書き以下省略。)」と規定しているところ、かかる「登録商標」には、登録商標そのものを含むほか、「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって、同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。」(同条第1項括弧書き)と規定されているのであるから、本件商標について、これが著名であることや第3者が使用している形跡は全く見当たらないことを理由とする被請求人の主張は、それ自体前提を欠く独自の解釈にすぎないというほかないものであり、本件商標と使用商標は、上記のとおり、別異の商標というべきであるから、被請求人の主張は、到底採用することができない。
また、被請求人は、使用商標において、「大日本」の文字は、都道府県名や市町村名と同じく、本来、自他役務の識別力の弱い部分であることから、自他役務の識別力のある部分は、「猟友会」の部分ということもできる旨主張し、これを裏付ける証拠として乙第8号証を挙げる。
しかし、「大日本」の文字は、「日本国の美称。」(「広辞苑 第六版」株式会社岩波書店発行)の意味を有する語であるところ、乙第8号証には、前記1(9)のとおり、「日本」の語が自他商品識別力のない商標である旨の記載が認められるとしても、これをもって直ちに「大日本」の語が「日本」の語と同様に自他役務の識別標識としての機能が弱いとみることはできず、ほかに、取消請求に係る指定役務について、「大日本」の語が直ちに特定の役務の質を表すものとみるべき格別の事情も見いだせないものであるから、「大日本」の語は、自他役務の識別標識としての機能が弱いということはできない。
したがって、この点についての被請求人の主張も、採用することができない。
イ 商標としての使用について
被請求人は、研究報告書(乙第2号証ないし乙第4号証)において、検体の提供などについて協力をしたとして、「研究協力者 (社)大日本猟友会」、「大日本猟友会の協力・・・」などと記載されたことをもって、本件商標の使用をしている旨主張する。
しかし、商標法第50条における「登録商標の使用」といえるためには、取消請求に係る指定役務について、商標法第2条第3項第1号ないし第8号に定める行為のいずれかに該当するものでなければならないところ、乙第2号証ないし乙第4号証は、研究報告書の作成者が検体の提供者を表すために被請求人の名称の略称を表示したにすぎないものであって、かかる規定のいずれにも該当しないものであるから、同号証をもって被請求人が本件商標の使用をしたとは到底いえない。
したがって、被請求人の主張は、採用することができない。
(3)小括
前記(1)及び(2)によれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において取消請求に係る指定役務のいずれについても本件商標の使用をしたものとは認められない。
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが取消請求に係る指定役務のいずれかについての本件商標の使用をしていることを証明したとはいえないものである。
また、被請求人は、取消請求に係る指定役務について本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品及び指定役務中、結論掲記の役務について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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