Trademark Appeal Case
称呼の類似性と要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2009−18174(T2009−18174/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第35類「商品の販売に関する情報の提供」を指定役務として、平成19年9月4日に登録出願された商願2007−94297に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、平成20年11月12日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定において、本願商標が、商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第4687212号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成14年8月29日に登録出願され、第35類「広告,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,職業のあっせん,書類の複製,文書又は磁気テープのファイリング,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作,建築物における来訪者の受付及び案内,広告用具の貸与,タイプライター・複写機及びワードプロセッサの貸与,求人情報の提供」を指定役務として、平成15年6月27日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
3 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、色彩を用いたモザイク状の正方形図形を背景とし、中央右側に、茶色のブロック体で小さく書された「HIBIYA」の欧文字を、左下側には、白抜きの筆記体で殊更大きく書された「Creation」の欧文字を配してなるところ、両文字部分は、文字の色、書体、大きさに顕著な差異がみられるものであるから、本願商標の係る構成にあっては、上記各文字部分は、視覚上分離して観察されるとみるのが自然である。
また、上記各文字部分が、構成全体として、なんらかの特定の意味合いを看取させる等、これらを常に一体不可分のものとして観察されなければならないとすべき特段の事情は認められないものである。
さらに、「HIBIYA」の文字は、東京都千代田区の地区名「日比谷」に通じ、本願商標の指定役務との関係において、単に役務の提供場所を表示するものとして認識され取引されることも少なくないところから、自他役務の識別力がないか、自他役務の識別力があるとしても極めて弱いものと認識されるとみるのが相当である。
そうとすれば、本願商標の構成中、殊更大きく顕著に表された「Creation」の文字部分に着目し、これより生ずる「クリエーション」の称呼をもって役務の提供に資される場合も決して少なくないとみるのが相当であるから、本願商標は、「ヒビヤクリエーション」の一連の称呼のほか、単に「クリエーション」の称呼をも生ずるものである。
また、該文字部分からは、「創造」の観念を生ずるものである。
(2)本願商標と引用商標の類否について
引用商標は、別掲2のとおり、図形と、その下段に、白抜きのブロック体で書された「CREATION」の欧文字を配してなるところ、「CREATION」の文字に相応して「クリエーション」の称呼を生じ、「創造」の観念を生ずるものである。
してみれば、本願商標と引用商標とは、外観において相違するとしても、「クリエーション」の称呼及び「創造」の観念を共通にする類似の商標と認められるものである。
また、本願商標の指定役務は、引用商標の指定役務に含まれるものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
4 請求人の主張について
(1)請求人は、「本願商標の構成中、『HIBIYA』の文字及び『Creation』の白抜き部分から、『ヒビヤクリエーション』とのみ称するのが自然である。また、『日比谷の地での創造』なる観念が生ずるから、本願商標の指定役務との関係では、役務の提供の場所を意味するものではない。一方、引用商標は、『Do Creation(ドゥー・クリエーション)』、即ち、『創造しよう』という呼び掛けの文章となるため、『ドゥークリエーション』とのみ称呼される」旨主張する。
しかしながら、簡易、迅速を尊ぶ取引の実際においては、各構成部分を分離して観察することが取引上不自然と思われるほど不可分的に結合したと認められない商標は、しばしば、その一部だけによって簡略に称呼、観念され、一の商標から複数の称呼、観念が生ずることがあるのは、経験則の教えるところである(最高裁判所 昭和37年(オ)第953号 昭和38年12月5日 第一小法廷判決)。
そして、本願商標及び引用商標についてみれば、図形等を有するその構成を考慮してもなお、顕著に表された、本願商標の構成中「Creation」の文字及び引用商標の構成中「CREATION」の文字を、それぞれ分離して観察するのが取引上不自然な程に不可分的とは認められず、これらを要部として、需要者がこれに印象を強く留め記憶して取引に資する場合も決して少なくないというのが取引の経験則に沿い相当というべきであるから、この請求人の主張は採用することができない。
(2)請求人は、本願商標は、全国的に需要者の間に広く認識されている結果、本願商標の指定役務について使用されたときも、需要者は、本願出願人の出所表示として正しく認識する旨主張し、甲第1号証ないし甲第60号証を提出している。
該証拠によれば、本願商標は、そのほとんどが「日比谷/シアタークリエ/THEATRE CREATION」の各文字とともに使用されているものであるから、本願商標が、独立して使用され、周知性を得ているとまでは認めることはできないものであり、その使用は、「演劇の上演」及びそれらに関する情報の提供に係るものであると認められる。
そして、仮に、請求人が劇場として演劇ファン及び演劇関係者において周知性を得ているとしても、請求人が提出した証拠によっては、本願商標をその指定役務に使用した場合、これに接する取引者、需要者が、必ずしも請求人に係る業務であることを直ちに連想、想起するものとは認めることができないから、この請求人の主張も採用することができない。
(3)請求人は、過去の登録例を挙げ、本願商標も同様に登録されるべきである旨主張するが、商標の類否の判断においては、過去の審査例等の一部の判断に拘束されることなく、個別、具体的に判断されるべきところ、本願商標と引用商標とが出所の混同を生ずるおそれのあること、前記認定のとおりであるから、この請求人の主張も採用することができない。
その他、請求人の主張をもってしても、原査定の拒絶の理由を覆すに足りない。
5 結論
したがって、本願商標が、商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、これを取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
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