結論テキスト
審判費用は,請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2010−300230(T2010−300230/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第5015185号商標(以下「本件商標」という。)は,「ホワイトラブ」の文字を標準文字により表してなり,平成18年5月8日に登録出願,第3類「化粧品」を指定商品として,平成19年1月5日に設定登録され,その商標権は,現に有効に存続しているものである。
請求人は,「本件商標の登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て,その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ,証拠方法として,甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は,その指定商品について,継続して3年以上日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用されていないから,その登録は,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
(2)答弁に対する弁駁
ア 被請求人は,乙第2号証(平成20年2月1日発行,雑誌「ジッパー2月号」158頁)を示し,株式会社ブルーアンドピンク(以下「ブルーアンドピンク」という。)が請求に係る指定商品に含まれる「香水」に商標「ホワイトラブ」を使用していると主張する。
乙第2号証には,その該当部分の左上に「『幸せの予感』がテーマの新作香水プレゼント」と表示され,その下に,「幸せの花として有名なミュゲをメインにした香水『サマサマーナホワイト』。ミュゲの持つ力で,使った人に恋が届くようにとの願いを込めて作られたこの香水。お出かけ前にシュッとひと吹きすれば幸せの予感があなたにも訪れる!こちらを3名さまにプレゼント。ハガキに必要事項を記入の上,〒101−8701 千代田区神田神保町3−6−5 Zipper編集部『Zip.info2月号プレゼント「ホワイトラブ」』係まで。締め切りは1月末日(当日消印有効)。」と記述され,さらに,その下に,「株式会社ブルー&ピンク 03−5351−5261」と表示され,これらの記述の右側には,香水が入っていると思われる容器が表示されている。もっともこの容器には,香水が入っているとの表示も商標らしき表示も見えない。
乙第2号証の記述からみて,対象の商品が「香水」であり,したがって,右側に表示されている容器は,その香水入りの容器であろうことは推測できる。しかし,商標が「ホワイトラブ」であるか否かは不明である。すなわち,上記記述中には,「香水『サマサマーナホワイト』」と記載されており,これを書いたと思われる雑誌側は,商品である香水を「サマサマーナホワイト」と認識し,そのように記述したと考えられるからである。
一方で,記述中には,「Zip.info 2月号プレゼント『ホワイトラブ』」係とあり,「ホワイトラブ」の語が記載されていることも確かであるが,これは,商品「香水」のことをそう言っているのか,前記の「サマサマーナホワイト」と対照してみると不明である。
また,重要なことは,ここに記載されている「サマサマーナホワイト」にしても「ホワイトラブ」にしても,雑誌側の記述であり,使用権者であると被請求人が主張するブルーアンドピンクが商標として使用している態様ではないということである。前記のように,この記事中に掲載されている写真を検討しても,その容器のどこにも商標は明瞭には示されていない。容器の正面下部に「ma」のような文字が僅かに窺える程度である。要するに,乙第2号証から読み取れる事実は,この香水の商標は,「ホワイトラブ」というよりは,「サマサマーナホワイト」であると判断するのがより合理的な内容であり,さらに,その内容は,雑誌側の記述であり,ブルーアンドピンクが使用していると認めることも困難である。
したがって,乙第2号証によれば,ブルーアンドピンクが,香水に「ホワイトラブ」を使用した事実は認められない,というべきである。
イ 被請求人は,乙第1号証の1及び2を示し,商標権者は,ブルーアンドピンクに本件商標の使用許諾をしていると主張する。
乙第1号証の1及び2は,株式会社アーツブレインズ(以下「アーツブレインズ」という。)とブルーアンドピンクとの履歴事項全部証明書であり,商標権者が,乙第2号証の発行時(平成20年2月1日),それぞれの代表取締役であった事実を示しているが,アーツブレインズ及びブルーアンドピンクに本件商標を使用許諾した事実は全く証明されていない。乙第1号証の1及び2で,商標権者が両会社に本件商標を使用許諾した事実を証明しているというのは無理である。もっとも,商標権者は,両会社の代表取締役であるから,黙示の許諾をしている可能性に関しては認める余地があり得る。
ウ 被請求人は,乙第3号証を示し,使用した日時は不明であるが,商品「オー・ド・トワレ」に,ブルーアンドピンクが「ホワイトラブ」を使用した事実が証明できると主張する。そして,この商品は,乙第2号証に掲載された商品と,ボトル容器の形態が一致すること,香り成分が一致し,キャッチフレーズの「幸せの予感」が一致すること,ハート型のチャームが一致すること,乙第2号証の記述中にも「ホワイトラブ」の文字があること,から両商品は同一であり,それ故,乙第2号証の商品は乙第3号証の商品と同一であり,それ故,乙第2号証が発行された時期に「香水」に「ホワイトラブ」がブルーアンドピンクによって使用されていた事実が証明できると主張する。
しかし,以下のように,乙第2号証の商品と乙第3号証の商品とは同一とはいえない。
(ア)乙第3号証から読み取れるのは,商品は「オー・ド・トワレ」であること,商標は,「White Love」,「サマサマーナホワイトラブ」又は「samasama〜na」であること,商標使用者は,ブルーアンドピンクであること,である。
商品に関して,乙第3号証の商品と,乙第2号証の商品と比較すると,前者は「オー・ド・トワレ」であり,後者は「香水」である。両者は相互に近似する商品ではあるが,「オー・ド・トワレ」は,「芳香製品の一。香水よりも香料の量が少なく,香りも軽いもの。」(広辞苑)であり,同一商品ではない。このような違いを無視することはあり得ない。
(イ)成分も乙第2号証のそれは,ミュゲ(スズラン)であり,乙第3号証のそれは,明瞭な成分の記述はないが,外包装の背面上部に「甘酸っぱいシトラスグリーンの香りから清純なホワイトミュゲの香りへ。ラストはふんわり包み込むような優しいウッディの香りへ。」と記載されており,それらに該当する成分が含まれているのだと理解できる。そして,内容物である「オー・ド・トワレ」を身体に振りかけると,体温等の影響で,上記の順序で芳香が立ち上ってくるものと推測される。要するに,乙第2号証の商品と乙第3号証の商品とは成分が異なり,それ故,当然に商品が異なるのである。
(ウ)ボトルの形態の点では一致するか又は近似しているかもしれないが,このような類似の商品であれば,それは充分あり得ることである。必要に応じて部分的に又は全体として色を変える等により区別することもあり得る。
(エ)乙第3号証で使用されている商標は,前記のように,「White Love」,「サマサマーナホワイトラブ」又は「samasama〜na」であり,乙第2号証の記述中にある「サマサマーナホワイト」とすら一致していない。
前記のように,乙第2号証では,商標であるとは判断し難い「ホワイトラブ」とも一致していない。したがって,この面でも,乙第3号証の商品が乙第2号証の商品と一致するとはいえない。
(オ)キャッチフレーズの「幸せの予感」が一致することや,ハート型のチャームが一致すること等は,同一会社の類似商品であれば,例えば,シリーズとなっている商品群等に関してはよくあり,商品が同一であることの根拠とはならない。
(カ)乙第3号証の「B.ボトル容器」のB−1正面の写真を見ると,「samasa●ma〜na」が唯一の商標であるようにみえる。確認すると,本件商標の使用権者であると被請求人が主張するブルーアンドピンクが「サマサマーナ」という商標の登録(登録第4894060号)を得ている(甲第2号証)。甲第2号証の登録商標は,上記ボトルに表示されている「samasa●ma〜na」の読み(称呼)に相当する。乙第3号証の商品の商標は,本来「samasa●ma〜na」なのではないかと推測できる。そうすると,外包装の表示との関係はどういうことなのか非常に分かりにくいことになる。
また,B−1正面の写真によれば,周側最下部の商標の表示と判断できる「samasa●ma〜na」の上部付近が汚れて見える。B−3チャームを掛けた状態の正面でも,同一部位が汚れて見える。何かの表示が消去されたように見えなくもない。特に意味はないかもしれないが,このようなところが汚れているのは証拠として不適当であるように思われる。
いずれにしても,以上のように,このボトル容器は,乙第2号証の商品と外観上似ている面はあるが,同一であることを示す事実は見いだせない。
(キ)したがって,依然として乙第3号証の商品は,何時の時期の商品であるのか不明であり,乙第3号証の商標が「samasa●ma〜na」ではなく,「White Love」であり,これを本件商標の「ホワイトラブ」と同一性ある商標であるとみなすことができるとしても,その使用の時期は,本件審判の請求の登録前3年以内の使用なのか,それより前の使用なのか,本件審判の請求の登録後の使用なのか,全く不明である。
エ 以上のとおり,本件商標を,本件審判の請求の登録前3年以内に,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者がその指定商品について使用した事実は証明されていない。
被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由を次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第3号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)使用の事実
ア 商標権者は,同人が代表取締役を務めるアーツブレインズ及びブルーアンドピンク(乙第1号証の1及び2)に対し,本件商標の使用許諾をしている。
イ 乙第2号証(平成20年2月1日発行,雑誌「ジッパー2月号」の158頁)中の矢印で示す記述中には,「Zip.info2月号プレゼント『ホワイトラブ』」なる記載があり,プレゼントの対象商品が「ホワイトラブ」なる商品名であることが明記されていると同時に,その商品が香水であること,及び,問い合わせ先がブルーアンドピンクであることが明記されている。よって,使用権者が,本件商標をその指定商品中の「香水」について,本件審判の請求の登録前3年以内に使用していたことは明らかである。
ウ 仮に乙第2号証のみによっては,本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に使用された事実について,十分に立証することができないとしても,乙第3号証(商品写真)において,特に,外包装の背面(A−3),及びボトル容器の底面(B−2)に貼付されたラベルには,本件商標と共に,企画・開発会社としての「株式会社アーツブレインズ」,製造販売元としての「株式会社ブルーアンドピンク」,商品としての「オー・ド・トワレ」(すなわち,香水)がそれぞれ印刷されており,よって,使用権者が本件商標を商品「香水」の包装に付しているといえる。
エ ところで,乙第3号証(商品写真)からは,本件商標の使用時期が明確ではないが,以下のとおり,乙第3号証の写真により特定される商品は,乙第2号証の商品と明らかに一致するものである。
(ア)乙第2号証の商品写真により特定されるボトル容器の形態と,乙第3号証の商品写真(特にB−1〜B−3参照)により特定されるボトル容器の形態とが一致する点
(イ)乙第2号証の記述中において,掲載された商品の香りがミュゲ(スズラン)であることが記載されているが,乙第3号証の商品写真において,外包装の背面(A−3)等にも,その商品の香りがミュゲであることが印刷されており,両商品の香りが一致している点
(ウ)乙第2号証の記述中において,「幸せの予感」なる言葉が,その掲載された商品のキャッチフレーズとして記載されているが,乙第3号証の商品写真において,外包装の正面(A−1),平面(A−2)及び背面(A−3)等にも「幸せの予感」なるキャッチフレーズが印刷されており,両商品のキャッチフレーズが一致している点(なお,「幸せの予感」というキャッチフレーズは,ミュゲの花言葉「純粋,繊細,幸せの再来,幸せの訪れ」から,商標権者が創作したものである。)
(エ)乙第2号証の商品写真において,ボトル容器にミュゲのモチーフが描かれたハート形のチャームが掛けられているが,乙第3号証の商品写真(特にA−4,B−3参照)において,その外包装にもミュゲのモチーフが描かれたハート形のチャームが添付されており,両商品に付属するチャームが一致する点
オ 乙第2号証の記述中にも,「ホワイトラブ」という記載がある点
よって,本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に使用されてたことは明白である。
(2)むすび
以上のように,本件商標は,その指定商品である化粧品について,使用権者により本件審判の請求の登録前3年以内に使用された事実があり,商標法第50条第1項の規定に該当するものではない。
(1)乙第1号証の1ないし乙第3号証によれば,以下の事実を認めることができる。
ア 乙第1号証の1は,アーツブレインズの履歴事項全部証明書であり,また,乙第1号証の2は,ブルーアンドピンクの履歴事項全部証明書であるところ,これらによれば,上記会社の代表取締役はいずれも商標権者である。そして,前者の設立の目的は,「化粧品の研究開発,製造,輸出入並びに販売」を含むものであり,また,後者の設立の目的は,「化粧品,化粧用雑貨の販売」を含むものである。
イ 乙第2号証は,「Zipper2月号」(平成20年2月1日発行)であるところ,その158頁の「07 zipper/information 2008」の箇所には,「『幸せの予感』がテーマの新作香水/プレゼント」との見出しのもと,「幸せの花として有名なミュゲをメインにした香水『サマサマーナホワイト』。ミュゲの持つ力で,使った人に恋が届くようにとの願いを込めて作られたこの香水。お出かけ前にシュッとひと吹きすれば幸せの予感があなたにも訪れる!こちらを3名さまにプレゼント。・・Zipper編集部『Zip.info2月号プレゼント「ホワイトラブ」』係まで。・・」と記載され,その下には,「株式会社ブルー&ピンク 03−5351−5261」と記載されている。そして,これらの記述の右側には,放射線状の凹凸がある金色のキャップが取り付けられた円錐形に似たガラス容器に入った商品の写真が掲載されている(ガラス容器であることについて,請求人は争うことを明らかにしていない。)ところ,ガラス容器の表面全体には多数の小さな凹凸が施されており,さらに,キャップ周辺部には,ハート型の金属製飾り(チャーム)が掛けられている。
ウ 乙第3号証は,「A.外包装」の6葉の写真と「B.ボトル容器」の3葉の写真からなるものである。
(ア)「A.外包装」
a.「A−1 正面」には,ラッパを吹くエンゼルの図形の右に,やや小さく表された「幸せの予感」,「SEASON’S COLLECTION」の各文字が二段に横書きされ,さらに,これらの文字のすぐ下に,大きく表された「White love」の文字が横書きにして表示され,これらの文字の下に描かれた横一列の装飾的模様の下の,やや離れた最下段には,「samasama?na」(「?」の部分は,ハート図形を左に倒したような図形。以下,該図形部分を「?」で表す。)の文字が横書きに表示されている。
b.「A−2 平面」には,エンゼルの図形等共に,やや小さく表された「幸せの予感」,「SEASON’S COLLECTION」の各文字が二段に横書きされ,さらに,これらの文字のすぐ下に,大きく表された「White love」の文字が横書きにして表示されている。
c.「A−3 背面」には,最上段より,「samasama?na」,「サマサマーナホワイトラブ」,「〈オ-・ド・トワレ〉」,「幸せの予感」,「甘酸っぱいシトラスグリーンの香りから清純なホワイトミュゲの香りへ。ラストはふんわり包み込むような優しいウッディの香りへ。」の各文字がそれぞれ表示され,下段には,「製造販売元 株式会社ブルーアンドピンク」,「企画・開発 株式会社アーツブレインズ」の文字が表示されている。
d.「A−4 右側面」には,後記(イ)c.「B−3 チャームを掛けた状態の正面」に示すハート型の金属製飾り(チャーム)が透明のプラスチック袋に入れられた状態でセロファンテープで貼り付けられているところ,チャームが入ったプラスチック袋の台紙には,やや小さく表された「samasama?na」,「SEASON’S COLLECTION」の各文字が二段に横書きされ,さらに,これらの文字のすぐ下に,大きく表された「White love」の文字が横書きにして表示されている。
e.「A−5 左側面」には,その下段に「魔法のひとふり」,「White love」の各文字が二段に横書きに表示されている。
f.「A−6 底面」には,商品のバーコードや「ガラス容器」などの文字が表示されている。
(イ)「B.ボトル容器」
a.「B−1 正面」における「ボトル容器」は,円錐形に似た透明のガラス容器であり,ガラスの表面全体には多数の小さな凹凸が施されており,放射線状の凹凸がある金色のキャップが取り付けられている。また,容器の正面下方に,「samasa●ma〜na」と表示されている。
b.「B−2 底面」には,「サマサマーナ ホワイトラブ」,「〈オー・ド・トワレ〉」,「30mL」,「製造販売元:株式会社ブルーアンドピンク」,「企画・開発 株式会社アーツブレインズ」などの文字が表示されている。
c.「B−3 チャームを掛けた状態の正面」は,「A−4 右側面」に貼り付けられたハート型の金属製飾り(チャーム)と同一のものと認められるチャームが商品の容器のキャップ周辺部に掛けられた状態のものである。
(2)前記(1)で認定した事実によれば,以下のとおり判断するの相当である。
ア 使用者について
商標権者は,同人が代表取締役をしているアーツブレインズ及びブルーアンドピンクに対し,本件商標についての使用許諾を黙示的に与えていたものと推認することができる。したがって,アーツブレインズ及びブルーアンドピンクは,本件商標の通常使用権者とみて差し支えないものといえる。
この点に関し,請求人は,アーツブレインズ及びブルーアンドピンクの履歴事項全部証明書をもって,商標権者が両会社に本件商標の使用許諾をした事実を証明しているというのは無理であり,その他,商標権者がアーツブレインズ及びブルーアンドピンクに本件商標を使用許諾した事実は全く証明されていない旨主張するが,商標権者とアーツブレインズ及びブルーアンドピンクの営業上の関係並びにこれらの会社の設立の目的等に照らすと,本件商標の使用許諾に関し,商標権者と上記会社との間で契約書の作成をしていなかったとしても必ずしも不自然なこととはいえない。したがって,請求人の上記に関する主張は採用することができない。
イ 使用商品,使用時期及び使用商標について
(ア)被請求人は,乙第2号証には,「Zip.info2月号プレゼント『ホワイトラブ』係まで。」の記載があり,プレゼントの対象商品が「ホワイトラブ」なる商品名であることが明記されており,該「ホワイトラブ」が使用に係る商標である旨主張する。
しかし,乙第2号証に記載された「『ホワイトラブ』係まで。」の表示において,「ホワイトラブ」の文字部分を掲載された商品の商標とみることは困難であるといわざるを得ない。すなわち,乙第2号証に記載された商品の説明に「ホワイトラブ」の記載がないこと及び掲載された商品に商標らしきものが表示されていないことなどからすると,上記「ホワイトラブ」の表示と掲載商品との関連性が見出せないから,これに接する購読者が直ちにプレゼント商品の商標を表したものと認識し得ないというのが相当である。
したがって,乙第2号証に記載された「『ホワイトラブ』係まで。」の表示をもって,これが使用に係る商品の商標を表したものと認めることはできない。
(イ)被請求人は,乙第3号証からは,本件商標の使用時期が明確ではないが,乙第3号証に示す商品は,乙第2号証に示す商品と一致するものであるから,本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に使用されたことは明らかである旨主張するところ,乙第2号証に示す商品と乙第3号証に示す商品が同一のものである否かについて当事者間に争いがあるので,まず,この点について検討する。
a.乙第2号証に示す商品の容器及び乙第3号証に示す外装を取り除いた「B.ボトル容器」は,いずれも円錐形に似た透明のガラス容器であり,ガラスの表面全体には多数の小さな凹凸が施されており,これらの容器には,いずれも放射線状の凹凸のある金色のキャップが取り付けられ,キャップ周辺部には,同一のものと認められるハート型の金属製飾り(チャーム)が掛けられている。
してみると,乙第2号証に示す商品の容器及びこれに掛けられたチャームは,乙第3号証に示す商品のそれと同一のものといえる。
b.乙第2号証に示す商品に関する説明には,「『幸せの予感』がテーマの新作香水/プレゼント」との見出しのもと,「幸せの花として有名なミュゲをメインにした香水『サマサマーナホワイト』。」等と記載されているのに対し,乙第3号証に示す商品の外装背面には,「オ-・ド・トワレ」,「幸せの予感」,「甘酸っぱいシトラスグリーンの香りから清純なホワイトミュゲの香りへ。ラストはふんわり包み込むような優しいウッディの香りへ。」と記載され,また,容器の底面にも,「オー・ド・トワレ」と記載されている。
ところで,香水は,アルコールに対する香料の賦香率によって分類する場合,「オー・デ・コロン」(2〜7%),「オー・ド・トワレ」(5〜10%),「オー・ド・パルファン」(10〜15%)などのような名称が使用されている(香水(パフューム)は15〜30%)ところ,いずれの商品も香水の一種であることに変わりがないといえる。
一方,雑誌に掲載される商品の広告文は,限られた文字数の中で,商品の情報をいかに要領よく的確に読者に伝えるかが重要なポイントとなるところ,商品の外装等に記載された商品の説明を,そっくりそのまま広告文として掲載する場合はむしろ少ないといえる。これを本件についてみれば,乙第2号証における「香水」の文字部分は,香水の一種である「オー・ド・トワレ」を総称的な「香水」として表したものとみることができる。また,商品の香り成分に関しても,乙第2号証における「ミュゲをメインにした香水」と乙第3号証における「清純なホワイトミュゲの香りへ」の表現の相違は,ミュゲ(すずらん)という同一の香り成分を使用したものと認識するに何らの妨げはないというべきである。したがって,乙第2号証に示す商品と乙第3号証に示す商品は,その内容物において同一の商品とみることができる。
してみると,乙第2号証に示す商品は「香水」であり,他方,乙第3号証に示す商品は「オー・ド・トワレ」であって,その成分も,前者は「ミュゲ」であり,後者は「ホワイトミュゲ」であるから,両者は同一の商品ではない旨の請求人の主張は,採用することができない。
c.乙第2号証に示す商品には,「香水『サマサマーナホワイト』」との記載があるのに対し,乙第3号証に示す商品の外装には,他の文字部分と独立して自他商品の識別機能を発揮する態様で表示された「White love」の文字よりなる商標(以下「使用商標」という。)のほか,「samasama?na」,「サマサマーナホワイトラブ」の文字よりなる商標,並びに,容器正面には「samasa●ma〜na」の文字よりなる商標,及び同底面には「サマサマーナ ホワイトラブ」の文字よりなる商標が表示されている。
そうすると,乙第2号証に示す商品と乙第3号証に示す商品には,完全に一致する商標が表示されていないといえるが,上記a.及びb.のとおり,これら商品の容器及び容器に掛けられたチャームが一致すること,内容物がいずれもミュゲ(スズラン)の香りの香水(オー・ド・トワレ)であること,また,前記(2)イ(ア)認定のとおり,乙第2号証に記載された「『ホワイトラブ』係まで。」の表示は,プレゼント商品の商標を表したとまで認識され得ないとしても,該「ホワイトラブ」がプレゼント商品と何らかの関連がある表示と理解されることは否定できないこと,などを総合すれば,両者は,同一の商品とみるのが相当である。
してみると,乙第2号証に示す商品の容器正面に表示されている商標は,「samasa●ma〜na」の文字よりなる商標といえる。
また,乙第2号証に示す商品は,プレゼント商品として,読者に容器の形状等をわかりやすくするために,外装を取り除いた容器のみを示したものであるが,通常取引に資される場合は,乙第3号証に示す外装が施された状態の商品が使用されていたものと推認することができ,これには,使用商標が表示されていたのである。したがって,使用商標が表示された香水(オー・ド・トワレ)は,本件審判の請求の登録前3年以内である2008年2月ころには,市場において取引がされていたものと推認することができる。
(ウ)商標の同一性について
本件商標は,「ホワイトラブ」の文字よりなるものであるから,これより「ホワイトラブ」の称呼を生ずるものであって,「白い愛」なる観念を想起させるものである。
使用商標は,「White love」の文字よりなるものであるから,これより「ホワイトラブ」の称呼を生ずるものであって,「白い愛」なる観念を想起させるものである。
そうすると,使用商標は,本件商標とは,ローマ字と片仮名文字の表示を相互に変更するものであって,「ホワイトラブ」の称呼及び「白い愛」なる観念を同一にするものであるから,本件商標と社会通念上同一と認められる商標というべきものである(なお,請求人は,使用商標が本件商標と社会通念上同一と認められる商標であることについては,争うことを明らかにしていない。)。
ウ 以上によれば,本件商標の通常使用権者は,請求に係る指定商品中の「香水(オー・ド・トワレ)」について,本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を付して,本件審判の請求の登録(平成22年3月16日)前3年以内である平成20年2月1日ころに,雑誌に広告をしたものと推認することができる。
そして,通常使用権者の上記行為は,「商品又は商品の包装に標章を付する行為」及び「商品若しくは役務に関する広告,価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し,若しくは頒布し,又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」(商標法第2条第3項第1号,同第8号)に該当するものである。
(3)請求人のその他の主張について
ア 請求人は,乙第2号証に示す商品に使用される商標は,「サマサマーナホワイト」であり,さらに,その内容は,雑誌側の記述であり,ブルーアンドピンクが使用していると認めることも困難であるから,ブルーアンドピンクが香水に「ホワイトラブ」を使用した事実は認められない旨主張する。
しかし,雑誌(乙第2号証)に掲載された広告文に関し,雑誌の編集者がこれを独断で創作し掲載することは,社会一般の常識から判断してあり得ないことであり,乙第2号証に示す商品の情報及び応募要領の下に「株式会社ブルー&ピンク」との表示があることから,本件商標の通常使用権者たるブルーアンドピンクの業務に係る商品の広告とみるべきであり,前記2認定のとおり,乙第2号証に示す商品は,乙第3号証に示す商品と同一の商品と認めることができるから,乙第2号証に示す商品が通常の取引時に使用する外装には,使用商標が使用されていたものと推認することができる。したがって,上記に関する請求人の主張は失当というべきである。
イ 請求人は,甲第2号証を提出し,乙第3号証に示す商品の商標は,「samasa●ma〜na」でないかと推測できる旨主張し,さらに,乙第3号証に示す商品の容器には,汚れて見える箇所があり,何かの表示が消去されたように見えなくもなく,証拠として不適当である旨主張する。
しかし,上記請求人の主張は,いずれも憶測に基づく根拠のない主張であり,理由がない。
なお,付言すれば,1つの商品に付される商標は,必ずしも常に1つのみとは限らず,2つ以上の商標が使用されることは,取引の実情に照らし,何ら不自然なものとはいえない。
(4)むすび
以上のとおりであるから,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,通常使用権者が本件請求に係る指定商品中の「香水(オー・ド・トワレ)」に本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したと認め得るところである。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,取り消すことができない。
よって,結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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