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Trademark Appeal Case

「3D」の称呼・観念の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2010−900096(T2010−900096/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5294000号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5294000号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1に示すとおりの構成からなり、平成21年7月27日に登録出願され、第25類「えり巻き,靴下,ショール,スカーフ,手袋,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,靴下止め,下着」を指定商品として平成21年12月18日に登録査定、平成22年1月15日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する国際登録第976378号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、イタリア国における2007年7月20日の商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して2008年(平成20年)1月10日に国際商標登録出願され、第25類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、平成22年2月19日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

3 登録異議申立ての理由

申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するものであるから、同法43条の2第1号により取り消されるべきものであると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号ないし第10号証を提出した。

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標と引用商標とは、「3D」の文字を共通にし、称呼、外観及び観念において類似するものである。さらに、両者の指定商品も抵触するものである。

(2)商標法第4条第1項第15号について

引用商標は、申立人の業務に係る商品「スポーツ用アンダーシャツ」について使用する商標として、わが国において周知・著名な商標であるから、引用商標と類似する本件商標を、申立人の業務に係る商品と密接な関連性を有する指定商品について使用するときは、申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所につき混同を生ずるおそれがある。

4 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号該について

ア 本件商標

本件商標は、別掲1のとおり、上段に「3D・ドライ」の文字と、その左下には黒地の円形内に白抜きで数字「3」及びその右側に黒色の「D」の文字(ただし、円形と重なった「D」の一部分は白抜きされている。)を一部重ねて表し、さらに、その図形の右側には、小さく「DRY」、「DEODORANT」及び「DURABLE」の各文字(ただし、「D」の文字は黒地の円形内に白抜きで表されている。)が三段に表されている構成からなるものである。

しかし、上記図形については、一見して直ちに「3D」とは判読し難い程一つに融合した一種の幾何図形といえるものであり、この幾何図形自体からは、特定の称呼及び観念は生じ得ないものというべきである。

そうすると、本件商標は、その構成中、読み易い「3D・ドライ」の文字部分から「スリーディードライ」又は「サンディードライ」の称呼を生ずることがあるとしても、単に「スリーディー」又は「サンディー」の称呼及び「立体」の観念は生じ得ないとみるのが自然である。

イ 引用商標

引用商標は、別掲2のとおり、「3D」の文字に、やや小さな「wear」の文字を同じ字体で一連に書し、さらに「wear」の文字部分を挟むように矢羽根を想起させる如き図形を配した構成からなるものであって、全体がまとまりよく一体的に表現されているものである。

加えて、「3D」の文字部分は、「3次元の、立体の」等を意味し、引用商標の指定商品を取り扱う業界においては、「3D裁断」、「3D立体裁断」のように使用されている事実があることなどからすれば、それ自体では自他商品の識別力の弱いものというべきであり、同様に「wear」の文字も「衣類」を意味する英語であるから識別力はないか極めて弱いものである。

そうすると、引用商標は、「3D」の文字部分のみが独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものとはいい難く、むしろ、全体として自他商品の識別力を有する商標とみるのが自然であるから、「スリーディーウェア」又は「サンディーウェア」の称呼を生ずるとしても、単に「スリーディー」又は「サンディー」の称呼及び観念は生じないというべきである。

ウ 本件商標と引用商標の類否について

上記ア及びイで認定したとおり、本件商標と引用商標からは、いずれも「スリーディー」又は「サンディー」の称呼及び「立体」等の観念は生じ得ないものであるから、両者から同一の称呼及び観念が生ずるとして、両者が類似するものとする申立人の主張は、理由がない。

そして、本件商標と引用商標とは、その全体構成に照らし、外観上、判然と区別し得る差異を有するものであって、また、本件商標と引用商標とは、いずれも親しまれた既成の観念を有する成語又は図形を表したものとは認められないから、観念上も両者を比較すべくもない。

さらに、両者から生ずる「スリーディードライ」又は「サンディードライ」の称呼と、「スリーディーウェア」又は「サンディーウェア」の称呼にしても、「ドライ」及び「ウェア」の音の顕著な差異により、明瞭に区別できるものである。

してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。

(2)商標法第4条第1項第15号について

ア 申立人は、引用商標が申立人の業務に係る商品「スポーツ用アンダーシャツ」について使用する商標として、取引者、需要者の間に広く認識されている旨主張し、証拠(甲第1号ないし第10号証)を提出しているので、該証拠について検討する。

(ア)甲第1号及び第2号証は、本件商標及び引用商標の公報掲載書誌事項の写しであり、甲第3号証の1ないし4は、インターネットによる英和辞典抜粋写しであって、いずれも引用商標の周知性とは直接関係するものではない。

(イ)甲第4号ないし第7号証は、申立人の会社紹介、国内店舗リスト、申立人がスポンサーを務めるスポーツチームのリスト等を掲載したウェブサイトの写しであり、これらには引用商標についての記載はない。

(ウ)甲第8号証は、申立人の商品パンフレットの写しであって、引用商標が表示されていることは認められるものの、全文が外国語によるものであるばかりでなく、その発行日、発行部数、頒布場所等が一切不明である。

(エ)甲第9号証は、引用商標を付したアンダーシャツを着用したサッカー選手を撮影した数枚の写真と認められるところ、その撮影日、撮影者、撮影場所、頒布の事実等は一切不明である。

(オ)甲第10号証は、最高裁平成10年(行ヒ)第85号の判決写しであり、引用商標の周知性とは直接関係するものではない。

イ 上記の甲各号証によれば、引用商標が、スポーツ用アンダーシャツについて使用されていること自体は推認できるものの、該商品についての宣伝広告の期間・地域・規模・媒体等、販売の期間・数量・地域、売上高、市場占有率等、具体的な事実が一切不明であり、これらの証拠をもって、引用商標が本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国において取引者、需要者の間に広く認識されていたものとは到底認められない。その他、引用商標が申立人の業務に係る商品を表示する商標として、取引者、需要者の間に広く認識されていることを認める証拠はない。そして、本件商標と引用商標とが類似するところのない別異のものであることは、上記(1)のとおりである。

ウ そうすると、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者が、引用商標ないしは申立人を連想、想起するようなことはなく、該商品が申立人又は申立人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同するおそれはないものというべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。

(3)むすび

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号のいずれの規定にも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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