Trademark Appeal Case
結合商標の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2010−900106(T2010−900106/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5295726号商標(以下「本件商標」という。)は、「WORLD GOLF TOUR」の文字を横書きしてなり、第41類「ゴルフを内容とするインタラクティブなオンラインゲームの提供」を指定役務とし、2008年8月22日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成20年10月24日に登録出願、同21年12月24日に登録査定、同22年1月22日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立ての理由の要点
本件商標は、以下の理由により、その登録を取り消されるべきものである。
ア 商標法第4条第1項第15号該当
本件商標及び登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する標章「WORLD GOLF」(以下「引用標章」という。)は、「WORLD GOLF」の欧文字を共通にする。また、本件商標中の「TOUR」の文字部分は、各地を転戦する形式の競技会としてゴルフ競技では日常的に使用されており、識別力を欠く。
一方、申立人の母体である全米プロゴルフ協会は1916年に創立され、その頃よりゴルフ競技会を開催し、現在では「WORLD GOLF」は、我が国においても申立人ないしその関連団体であるPGAの企画・開催するゴルフ競技会として周知・著名となっている。そして、本件商標の指定役務は「ゴルフを内容とするインタラクティブなオンライングームの提供」であり、「ゴルフツアー競技会の企画・開催」とは極めて密接な関連性を有する。
とすれば、本件役務が、申立人又はその関連団体により提供されているものであると誤信されるおそれがある。少なくとも、本件役務が申立人又はその関連団体との間に緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品等であると誤信されるおそれがある。
イ 商標法第4条第1項第19号該当
上記のように、本件商標と引用標章とは要部を共通にして類似し、当該要部である「WORLD GOLF」は、我が国又は外国において申立人ないしその関連団体であるPGAの企画・開催するゴルフ競技会として周知・著名となっている。そして、本件商標がことさらに「ゴルフを内容とするインタラクティブなオンライングームの提供」という申立人ないしその関連団体の提供する役務と極めて密接な関連性を有する役務について、ことさらに「WORLD GOLF TOUR」なる商標を採択することは、周知・著名な標章へただ乗り(いわゆるフリーライド)する意図があることが容易に推認でき、このような意図は正に4条1項19号が規制しようとする不正の目的をもって使用するものといえる。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第15号該当について
ア 申立人提出の証拠によっては、「World Golf Championships」、「World Golf Rankings」、「WORLD GOLF HALL OF FAME」等の「WORLD GOLF」の文字の使用事例を認めることができるが、その全証拠によるも、標章「WORLD GOLF」が申立人の業務に係る役務について使用され、本件商標の出願時において、申立人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されるに至っていたと認めることはできない。
イ 本件商標は、「WORLD GOLF TOUR」の文字からなるものであるところ、当該構成文字をみると、「WORLD」、「GOLF」、「TOUR」の間に空白があるので、容易にこれら3語からなるものとして理解されるものである。そして、「WORLD」が「世界」、「GOLF」が「ゴルフ(競技)」、「TOUR」が「旅行、遠征」を意味する英語としてそれぞれ一般にも親しまれたものである。
しかして、「TOUR」が、ゴルフ競技では、ツアー競技のように、各地を転戦する形式の競技会を指す語として日常的に使用されているとしても、本件商標の指定役務との関係においては、当該文字部分が役務の質等を表わすなどの理由で、自他役務の識別機能を有しないか、極めて脆弱であるとみる証左はみいだせない。むしろ、本件商標は、上記の各構成文字が軽重の差や主従の関係もなく一体的に結び付いて「世界のゴルフのツアー」ほどの意味合いをもって把握される一連の造語とみるのが相当である。また、構成全体に相応した称呼も格別冗長でなく、一気に称呼し得るものである。
したがって、本件商標は、「ワールドゴルフツアー」の一連の称呼を生じるものであり、「世界のゴルフのツアー」の観念をもって看取されるものというべきである。
これに対して、引用標章は、「WORLD GOLF」の文字からなるものであり、「ワールドゴルフ」の称呼、「世界のゴルフ」の観念を生じるものである。
しかして、本件商標と引用標章とは、外観構成において明らかな相違を有しており、外観上相紛れるおそれはなく、また、その称呼「ワールドゴルフツアー」と「ワールドゴルフ」において「ツ」「ア」「ー」の音の有無の明らかな差異を有するから、互いに相紛れることなく区別し得るものである。さらに、両者は、それぞれ上記観念において別異のものとして把握されるというべきである。
してみれば、本件商標は、外観、称呼及び観念のいずれからみても、引用標章に類似するものということはできない。
さらに、引用標章の周知性については上記アのとおりであって、本件商標の構成中に「WORLD GOLF」の文字が含まれるとしても、それをもって本件商標と引用標章とが直ちに関連づけられるとも認められないから、結局、両者は別異の出所を表すものとして把握・看取されるものといわざるを得ない。
ウ 本件商標の指定役務は、「ゴルフを内容とするインタラクティブなオンラインゲームの提供」であり、引用標章が使用される役務は「ゴルフツアー競技会の企画・開催」であるから、ともにゴルフが関係するとはいえ、両者はその提供目的や質、提供方法等が著しく異なるものであり、役務としての関連性の程度が高いものとはいえない。また、その需要者を共通にするものとも認められない。
エ 以上を綜合してみれば、本件商標をその指定役務に使用した場合、その需要者が引用標章を想起し連想して、当該役務が申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く誤信するとは認め難く、本件商標の出願時及び査定時のいずれにおいても、他人(申立人ら)の役務と混同するおそれがあったということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものに該当しない。
(2)商標法第4条第1項第19号該当について
本件商標が引用標章に類似するものと認められないことは、上記(1)イに示したとおりである。
してみると、本件商標は、「他人の業務に係る商品又は役務を表示する商標と同一又は類似の商標」との要件を具備しておらず、本号に係る他の要件事実について論及するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものではないといわざるを得ない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標は商標法第4条第1項第15号及び同第19号に違反して登録されたものではないから、その登録は維持すべきものである。
よって、同法第43条の3第4項の規定に基づき、結論のとおり決定する。
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