Trademark Appeal Case
商標の類否判断
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2010−900135(T2010−900135/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5302370号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1に示すとおりの構成からなり、平成21年9月4日に登録出願され、第9類「電気通信機械器具,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる音楽ファイル,ダウンロード可能なカラオケ用の画像・楽曲・歌詞,ダウンロード可能な電子楽器用自動演奏プログラム,電子応用機械器具及びその部品,ダウンロードが可能なゲームプログラム,電子出版物,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,ダウンロード可能な家庭用テレビゲームおもちゃ用プログラム,業務用テレビゲーム機」、第15類「楽器,演奏補助品,音さ,電子楽器制御用データにより楽音を発生させる音源装置,ミュージックシーケンサー,楽音サンプラー(電子楽器用のものに限る。),自動リズム演奏装置,電気又は電子楽器用アンプ,電気又は電子楽器用エフェクター,調律機」、第16類「印刷物,文房具類,紙類,事務用又は家庭用ののり及び接着剤,あて名印刷機,印字用インクリボン,自動印紙はり付け機,事務用電動式ホッチキス,事務用封かん機,消印機,製図用具,タイプライター,チェックライター,謄写版,凸版複写機,文書細断機,郵便料金計器,輪転謄写機,紙製包装用容器,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ」、第18類「かばん類,袋物,傘,乗馬用具,携帯用化粧道具入れ,皮革製包装用容器,皮革,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄」、第37類「楽器の修理又は保守,ピアノの調律,電気通信機械器具の修理又は保守,運動用具の修理,電子応用機械器具の修理又は保守,建設工事,建築工事に関する助言,家具の修理」、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,技芸・スポーツ又は知識の教授に関する情報の提供,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営に関する情報の提供,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,演芸の上演・演劇の演出又は上演・音楽の演奏に関する情報の提供,通信を用いて行う音楽又は音声の提供,楽器の貸与,楽器の貸与に関する情報の提供,音響用又は映像用のスタジオの提供,音響用又は映像用のスタジオの提供に関する情報の提供,楽器練習用のスタジオの提供,音楽用スタジオの提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供に関する情報の提供,楽器練習のための施設の提供,音楽祭用・演奏会用・演劇ステージの提供又は貸与,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),音楽に関するコンテスト又はオーディションの企画・運営又は開催,音楽に関するコンテスト又はオーディションの企画・運営又は開催に関する情報の提供,音楽ホールの提供又は貸与」及び第43類「宿泊施設の提供,飲食物の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,高齢者用入所施設の提供(介護を伴うものを除く。),保育所における乳幼児の保育,会議室の貸与,展示施設の貸与,多目的ホールの提供又は貸与,タオルの貸与」を指定商品又は指定役務として、平成22年2月19日に設定登録されたものである。
2 引用商標
(1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第3195571号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成5年8月25日に登録出願され、第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、平成8年9月30日に設定登録されたものであるが、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
(2)同じく登録第5069508号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、平成18年6月6日に登録出願され、第18類、第25類及び第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、平成19年8月10日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
(3)同じく登録第4058440号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲4のとおりの構成からなり、平成8年3月22日に登録出願され、第18類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、平成9年9月19日に設定登録されたものであるが、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
(4)同じく登録第4094171号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲5のとおりの構成からなり、平成8年3月22日に登録出願され、第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、平成9年12月19日に設定登録されたものであるが、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
(5)同じく登録第5285212号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲6のとおりの構成からなり、平成21年5月18日に登録出願され、第24類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、平成21年12月4日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
(以下、これらを一括していうときは、単に「引用商標」という。)
3 登録異議の申立ての理由(要旨)
申立人は、本件商標はその指定商品中の第18類「全指定商品」について、商標法第4条第1項第15号に該当するため、同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号ないし第18号証を提出した。
(1)引用商標の著名性について
申立人は、イタリア国パルマ所在のイタリア法人であり、1988年の設立以来、世界各国においてサッカー、バレーボール、バスケットボール等のプロスポーツに関するスポーツウェア等を製造・販売している。そして、上記2の引用商標に表された図形をシンボルとして、少なくとも5大陸36ヶ国に製品を展開している。また、申立人のスポーツウェアは、世界各国の著名・有名なプロスポーツチームのユニフォームとして多数採用されている(甲第8号証)。特にサッカーの分野では、我が国でも刊行物や広告媒体等のマスメディアを通じて広く報道・紹介されていることから、引用商標は、申立人及び申立人の代理人の宣伝活動と相俟って、本件商標の登録出願時である2009年9月4日には、申立人の業務に係る商品を示す商標として我が国の取引者・需要者の間に広く認識されるに至っていたものである。
(2)混同を生ずるおそれについて
本件商標と引用商標の構成は、共に二つの菱形を連結した近似した態様であることから、本件商標をその指定商品中の第18類「全指定商品」に使用した場合には、取引者・需要者は、あたかも申立人の業務と一定の関連性があるかの如く認識することとなり、申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 当審の判断
(1)申立人は、引用商標が申立人の業務に係る商品を表示するものとして世界的に広く認識されている旨主張し、証拠を提出しているので検討する。
ア 甲第7号証は、「エレア公式ホームページ」と題するウェブサイトの写し一葉と認められるところ、その作成者及び作成日は明らかでない。
なお、その左上方には、引用商標2及び5と社会通念上同一といえる標章が掲載され、その右やや下側に「BRAND HISTORY」の項目及び和文により「イタリア・パルマ生まれのスポーツブランドerreaは、1988年、・・・わずか20年足らずで5大陸36カ国に製品を展開する世界的ブランドへと急成長し、欧州を中心に、プロスポーツチームのサポートも幅広く手がけています。」と記載されているが、しかし、具体的な商品等についての説明はなく、また、その下にも「FOOTBALL/TEAM UNIFORM COLOR ORDER」、「ONLINE SHOP」、「Staff Blog」等の項目が設けられているが、これらが直ちに何を意味するのか何ら説明もなく、不明である。
イ 甲第8号証は、フリー百科事典「Wikipedia」における申立人について記述された頁の写しと認められるところ、全文英文であって訳文もなく、その内容は必ずしも明らかではない。しかも、これが申立人に係る標章(ブランド)を採用している各国のスポーツチームの一覧を主とするものであるとしても、具体的な標章の使用態様や商品等は一切不明であり、かつ、その作成時期、公表時期も明らかでない。
ウ 甲第9号証は、週刊誌「週刊サッカーダイジェスト」1996年1/3号の表紙写しと認められ、甲第10号証は、週刊誌「サッカーマガジン」1995年12/20号の表紙及び掲載記事の抜粋写しと認められるところ、両表紙及び掲載記事中にはサッカー選手の写真が掲載され、該選手が着用しているウェアの右胸部分に引用商標2及び5と同様の標章が付されていることが認められる。
しかしながら、上記写真や記事中に引用商標や申立人についての記述は一切見当たらず、また、上記各週刊誌は、1995年及び1996年に発行されたものと認められるものの、その発行部数、頒布地域等は明らかでない。
エ 甲第11号及び12号証は、申立人の日本代理店による商品カタログの写しと認められるところ、それぞれの表紙に記載された「’94−’95」又は「1995」の数字からすると、これらのカタログは1994年ないし1995年に発行されたものといえるが、その発行・頒布部数、頒布地域、頒布方法等は一切明らかでない。
ただし、これらのカタログには、表紙及び裏表紙に引用商標2及び5と社会通念上同一といえる標章が表示されているほか、その内容として、ヨーロッパを中心としたプロサッカーチームの紹介と該プロサッカーチームが採用しているスポーツシャツ、パンツ、靴下等のモデルの写真が引用商標2及び5と共に掲載され、それぞれの価格等の商品説明が記載されている。
オ 甲第13号証は、雑誌「WORLD SOCCER GRAPHIC/ワールドサッカーグラフィック」1996年1月号の抜粋写しと認められるところ、その1頁分に申立人代理店の広告が掲載され、プロサッカーチームの写真と共に、引用商標2及び5と社会通念上同一といえる標章が表示されている。
しかし、写真が不鮮明なため、各選手が着用しているウェアに引用商標が付されているか否かは明らかでなく、また、上記雑誌は、1996年に発行されたものと認められるものの、その発行部数、頒布地域等は一切明らかでない。
カ 甲第14号証は、「ギャラリースポーツ」新宿アドホック店による「『GALLERRY』95X’MAS・FAIR」と題する広告の写しと認められるところ、「95X’MAS」、「12/10(日)〜1/15(月)」、「恒例お正月プレゼントセール開催1/3(水)〜7(日)」、「UMBROフェアー開催12/10(日)〜24(日)」等の記載からすると、1995年12月から1996年1月にかけて販売する商品についての広告と推認されるものの、しかし、掲載された写真や文字が不鮮明で引用商標が使用されているかは明らかでなく、かつ、上記店舗と申立人の関係も不明である。さらに、上記広告が雑誌等に掲載されたものか、配布用チラシであるかさえも不明であるばかりでなく、その発行部数、頒布範囲等も一切明らかでない。
キ 甲第15号証は、申立人の商品を取り扱う国内業者のウエブサイトの写しと認められるところ、これらには、トップページの左上に引用商標2及び5と社会通念上同一といえる標章が表示され、引用商標2及び5を付したビーチサッカーボールを初め、トレーニングパンツ、トレーニングジャケット、Tシャツ、帽子等の商品の写真が価格と共に掲載されている。
しかし、写真が不鮮明なためトレーニングパンツ、Tシャツ等の被服、帽子に引用商標が付されているか否かは明らかでなく、また、これらのウェブサイトの掲載時期も明らかでない。
ク 甲第16号ないし第18号証は、インターネットの検索サイト「Google」による検索結果の写しと認められるところ、これらは、不鮮明ながら各頁の右下に表示された「2010/08/18」と判読できる数字からすると、2010年8月18日にプリントアウトされたものといえる。
これらの検索結果では、引用商標2及び5と社会通念上同一といえる標章を表示したものが1件見られるのみで、他は全て「errea」、「ERREA」又は「エレア」の表示のみである。
(2)以上のとおり、ヨーロッパを中心としたプロスポーツチームが引用商標2及び5を付したユニフォームを採用していること、スポーツウェア、靴下等について引用商標2及び5が使用されていることは認められる。
しかしながら、引用商標を構成する図形のみが、「errea」の文字とは別に、独立して単独で使用されているものは殆ど見当たらないこと、また、引用商標を付した商品の取引数量、売上高、市場占有率等を具体的に示す証左はないこと、さらに、申立人が自ら宣伝広告を行っている事実を示すものは甲第11号ないし第15号証のみであり、しかも、宣伝広告の期間、規模、範囲等も明らかでないこと等から判断すると、申立人提出の前記証拠によっては、引用商標を構成する図形が、本件商標の登録出願時において、取引者、需要者の間に、申立人の業務に係る商品を表示する商標として広く認識されていたものと認めることはできない。
他に、引用商標を構成する図形が、申立人の業務に係る商品を表示する商標として取引者、需要者の間に広く認識されていることを認めるに足る証拠はない。
(3)次に、本件商標と引用商標を構成する図形との類否について検討するに、本件商標は、別掲1のとおり、黒塗りの二つの菱形を縦に重ねた如き特殊形状の図形中に、金色の7個の菱形図形をランダムに配置した構成からなるのに対し、引用商標の図形は、別掲2、4及び5のとおり、黒塗りの二つの菱形を横に接着した如き図形とそれを囲む輪郭線からなるものであって、両者間には共通点が殆ど見当たらず、両者は、外観上、看者に全く異なった印象を与えるものというべきである。
また、両者とも親しまれた既成の観念を有する事物、事象を表したものともいえず、特定の称呼も生じないものといわざるを得ない。加えて、引用商標2及び5は、「errea」の文字を併記してなるものである。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観において判然と区別し得る差異を有するものであって、本件商標が特定の観念及び称呼を生じない以上、観念及び称呼について両者を比較すべくもない。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観、観念及び称呼のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
(4)以上を総合すると、本件商標をその指定商品中、第18類「全指定商品」について使用しても、これに接する取引者・需要者は、引用商標ないしは申立人を連想、想起するようなことはないというべきであり、また、該商品が申立人又は申立人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、登録異議の申立てに係る指定商品について、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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