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Trademark Appeal Case

称呼・観念・外観の類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号判定2010−600042(T2010−600042/J6)
審判種別記載はありません。
結論other

結論テキスト

商品「スプレータイプ染毛料」に使用するイ号標章は、登録第4575126号商標の商標権の効力の範囲に属する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4575126号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成13年6月12日登録出願、第3類「頭髪用化粧品,その他の化粧品」を指定商品として同14年6月7日に設定登録されたものである。

第2 イ号標章

被請求人が商品「スプレータイプ染毛料」について使用している標章(以下「イ号標章」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなるものである。

第3 請求人の主張

請求人は、結論同旨の判定を求め、その理由を要旨以下のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証を提出している。

1 判定請求の必要性

請求人は、本件商標の商標権者であるが、被請求人が、商品「スプレータイプ染毛料」にイ号標章を使用していることを、インターネット情報として確認した(甲第1号証ないし甲第3号証)。

また、請求人は、イ号標章を付した商品が、ドラッグストア等において、多量に販売されている事実を確認するとともに、イ号標章を付した商品を実際に入手した(甲第4号証)。

一方、被請求人の会社における社長等は、請求人の会社における、かつての取締役及び営業部長等であって、本件商標を付した「スプレータイプ染毛料」を、平成20年7月に、請求人の会社を退社するまで、営業職として、販売していたという事実がある。

よって、被請求人の実施行為は、商法上の観点から見ても、一部問題があるように思料するが、いずれにしても、商標登録の商標権の効力の範囲について専門的知識をもって中立的立場から判断される判定を特許庁に求め、その判定に基づいてこの問題を解決することを意図するものである。

よって、本件判定を求める次第である。

2 イ号標章の説明

被請求人は、平成21年12月頃より「VoL−up」の文字からなるイ号標章を付した商品「スプレータイプ染毛料」を製造し、インターネット販売を行っている(甲第1号証ないし甲第3号証)。

また、平成21年11月頃より、インターネット販売に先立ち、「VoL−up」の文字からなるイ号標章を付した商品「スプレータイプ染毛料」を製造し、全国のドラッグストア等で販売している(甲第4号証)。

一方、請求人は、平成12年6月頃より、商品「スプレータイプ染毛料」について本件商標の使用を開始し、その後も継続使用して、現在に至っている(甲第5号証)。

また、請求人による同商品の生産数量は、約15万個(平成21年度実績)であり、販売地域は、東京および大阪を含む日本全国である。

そして、本件商標は、請求人が、平成12年6月頃より販売を開始し、10年以上使用した結果、日本全国のみならず、外国においても、請求人の業務にかかる商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されるに至ったものである。

3 イ号標章が商標権の効力の範囲に属するとの説明

本件商標は、商標登録公報(甲第6号証)および本件商標を付した商品(甲第5号証)に示すように、黒地に、「V」、「−(ハイフン)」「u」、「p」の文字と下線及び「Volume up Hear」の文字をさらに配置してなる商標である。

そして、その構成中、「V−up」の文字部分を要部とした本件商標からは、「ブイアップ」の称呼が生ずるものである。

また、本件商標は、その構成中の「Volume up Hear」の文字が、「頭髪用のスプレータイプ染毛料」に使用されることから、頭髪をボリュームアップさせる意味の「Volume up Hair」を想起させ、その結果、「頭髪をボリュームアップする旨」の観念を生ずるものである。

他方、イ号標章は、「VoL−up」の文字を要部とする商標であって、本件商標「ブイアップ」に類似した、「ブ」で始まる「ブォルアップ」の称呼が生まれるものである。

また、イ号標章を付した商品は、その商品包装ラベル等に明記されているように、「頭髪をボリュームアップする」効果をうたっており、当然ながら、イ号標章からも、「頭髪をボリュームアップする旨」の観念を生ずるものである。

さらに、外観においても、本件商標とイ号標章の要部とは、後部の「up」と、「up」との2文字については全く同一であって、かつ、本件商標における「V−up」の「V」の部分と、イ号標章における「VoL−up」の「VoL」の部分とは、「V」で始まることから類似しており、しかも、両者とも、「V」の文字の大きさが、他の文字の大きさの2倍程度あって、同様の形態である。

なお、本件商標にはない、「oL」の文字部分が、イ号標章には含まれているという相違はあるとしても、「oL」の文字は、「V」と比較すると相当小さく、「VoL」の表記において、外観的に目立つのは「V」のみであることから、両者における外観上の差異は極めて小さいと言える。

その上、両者は、それぞれ「−(ハイフン)」で「up」の文字がつなげられており、外観上、さらに類似した構成となっている。

すなわち、両者における外観上の差異は極めて小さいものであるから、外観上、類似していることにほかならない。

したがって、本件商標と、イ号標章とは、観念、称呼、外観を共通にする類似の標章というべきである。

そして、イ号標章に関する甲第1号証ないし甲第4号証と、本件商標に関する甲第5号証及び甲第6号証とを比較してみれば、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあることは言うまでもないことである。

例えば、甲第3号証には、本件商標を付した「スプレータイプ染毛料」と、イ号標章を付した「スプレータイプ染毛料」とが同一サイトで販売されており、本件商標権者に対し、イ号標章を付した「スプレータイプ染毛料」についての問い合わせが需要者から来ているという事実がある。

そして、本件商標にかかる指定商品中第3類「頭髪用化粧品」と、イ号標章の使用商品「スプレータイプ染毛料」とは、同一の用途・機能を有しており、同一商品である。

以上のとおり、イ号標章は本件商標と類似する標章であり、その使用商品と指定商品も同一であるから、被請求人が商品「スプレータイプ染毛料」に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属するものである。

よって、請求の趣旨のとおりの判定を求める。

第4 被請求人の答弁

被請求人は、「商品『スプレータイプ染毛料』について使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属さないとの判定を求める」と答弁し、その理由を要旨以下のとおり述べている。

1 答弁の理由

本判定請求は、本件商標「V−up」に基づいて、当方の商標「LUMINOVITA VoL−up」が本件商標の商標権を侵害するかどうかについて判定を申し立てられたものである。当方は以下反論する。

(1)読み方について、本件商標は「ブイアップ ヴォリュームアップヘア」であるのに対して、当方の商標は「ルミノヴィタ ヴォルアップ」である。LUMINOVITA部分が目立たないというのであれば、「ヴォルアップ」であり、両者はその音を異にする。

(2)読み方から出てくる意味についても、本件商標から生じるのは「勝利−上がる」と「増量」とをひっかけた意味であるのに対して、当方の商標が「増量」と「ボルテイジ(エネルギー)−上がる」とをひっかけた意味である点で異なる。

(3)外観に関しても、大文字の「V」と小文字の「up」の部分では同一であるが、本件商標が「V」のみであるのに対して、当方の商標は「VoL」である点、本件商標には「Volume up Hear」が加えられ、当方の商標には「LUMINOVITA」が加えられている点で、相違がある。

2 結論

以上、(1)ないし(3)の相違点を総合すれば、購買者が商品を間違って購入することは考えられず、当方のイ号標章は、登録商標の効力範囲に属さない。

第5 当審の判断

1 本件商標について

本件商標は、別掲(1)のとおり、黒地の四角形内に、顕著に大きく「V−up」の欧文字を白抜きで陰影をつけて配し、その下に下線及び「Volume up Hear」の欧文字を配してなるところ、その構成中、顕著に大きく書され、かつ、独立して自他商品識別標識としての機能を有する「V−up」の文字部分に着目し、これより生ずる称呼をもって取引に資されることも決して少なくないとみるのが相当である。

そうとすれば、本件商標は、その構成文字全体に相応する「ブイアップボリュームアップヒア」の称呼を生ずるほか、「V−up」の文字に相応して、「ブイアップ」の称呼をも生ずるものである。

また、本件商標は、その指定商品中「頭髪用化粧品」との関係では、「V−up」と「Volume up Hear」の各欧文字部分とが相俟って、「髪のボリュームを上げる」程の観念を想起させるものである。

2 イ号標章について

イ号標章は、別掲(2)のとおり、上下の2本の直線を挟んで、顕著に大きく書された「VoL−up」(「L」は、他の小文字と同じ大きさで書されている。以下同じ。)の文字と、該文字の「V」の右横に小さく「LUMINOVITA」の文字を配した構成よりなるものであるところ、その構成文字部分全体に相応して、「ルミノバイタヴォルアップ」の称呼を生ずるものである。

また、簡易迅速を旨とする取引の実際においては、イ号標章の構成中顕著に大きく書された「VoL−up」の部分に着目し、そこから生ずる称呼をもって取引に資される場合も多々あるものとみるのが相当である。

そうとすると、本件商標は、該文字部分に相応して「ヴォルアップ」の称呼をも生ずるというべきである。

3 本件商標とイ号標章の類否について

(1)称呼

本件商標の要部から生ずる「ブイアップ」の称呼と、イ号標章の要部から生ずる「ヴォルアップ」の称呼とは、後半部の「アップ」の音を共通にするものの、称呼の識別上重要な前半部における「ブイ」の音と「ヴォル」の音に差異を有するものであるが、これらの差異音が両称呼全体に及ぼす影響は大きく、それぞれの称呼を一連に称呼した場合においても、互いに紛れるおそれはないというべきである。

(2)外観

本件商標は、前記1のとおり、「V−up」と「Volume up Hear」の文字を配してなるものである。

他方、イ号標章は、前記2のとおり、「VoL−up」と「LUMINOVITA」の文字を配した構成よりなるものである。

そうすると、本件商標とイ号標章とは、それぞれの構成中の要部において、「−up」の文字を共通にするとしても、「LUMINOVITA」、「Volume up Hear」の各文字の有無などの差異により、これらを時と所を異にして離隔的に観察した場合、互いに見誤るおそれのない外観上非類似の商標というべきである。

しかしながら、本件商標及びイ号標章の使用状況(別掲(2)及び(3))を示す商品の包装箱の正面写真等(甲第4号証及び甲第5号証)とを比較するに、その外箱の色が濃淡の違いはあるものの、共に青色であり、また、正面写真の毛髪様の図形、正面写真以外の写真における「Q&A」のタイトルとその説明、商品の使用前と使用後の頭髪の状態を示す4枚の写真等、両者の包装箱における使用状況は、酷似するものである。

そうしてみると、本件商標とイ号標章とは、それぞれの包装箱における使用状況の観点からすれば、全体として、外観上極めて類似するといわざるを得ない。

(3)観念

本件商標は、前記1のとおり、「髪のボリュームを上げる」程の観念を想起させるものである。

他方、イ号標章については、請求人の提出に係る甲各号証をみるに、イ号標章を付した商品が,インターネット上で販売されていることを示したウェブサイトの写しには、イ号標章を付した「スプレータイプ染毛料」(当事者間に争いはない。)の商品説明として、「【200g・Newコラーゲン配合】ボリュームアップスプレーV−up−10% *コラーゲン配合で保湿力アップで毛髪、頭皮へさらに優しいVup」(甲第1号証)の記載及び「200g・Newコラーゲン配合]ボリュームアップスプレーV−up」(甲第2号証)等の記載がされている。

そうしてみると、イ号標章を付した「スプレータイプ染毛料」は、その商品説明中に、該商品が「ボリュームアップスプレー」である旨の記載、「V−up」及び「Vup」が「ボリュームアップ(ボリュームを上げる)」を意味する語として使用されていること等を併せ考えてみれば、イ号標章からは、「髪のボリュームを上げる」程の観念を生じさせるものというべきである。

そうとすると、本件商標とイ号標章とは、上記の実情を考慮すれば、いずれも「髪のボリュームを上げる」程の観念を生じさせる共通の観念を生ずるものである。

4 まとめ

以上のとおり、本件商標とイ号標章とは、称呼において差異を有しているとしても、「髪のボリュームを上げる」程の観念を共通にする互いに相紛れやすい類似のものというのが相当であり、また、前記3(2)のとおり、本件商標とイ号標章の酷似した使用状況からすれば、外観上も商品の出所について混同を生じさせるおそれが十分にあるものといわざるを得ず、かつ、イ号標章が使用される商品「スプレータイプ染毛料」は、本件商標の指定商品に包含されるものである。

したがって、商品「スプレータイプ染毛料」について使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属するものである。

よって、結論のとおり判定する。

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