Trademark Appeal Case
用途表示の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2010−13604(T2010−13604/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「梱包用マーカー」の文字を黒色の横長だ円の背景内に白抜きにて表してなり、第16類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成21年1月15日に登録出願され、その後、指定商品については、原審における平成21年7月22日付けの手続補正書により、第16類「マーカー」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、横長の円形内に白抜きで『梱包用マーカー』の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ、その指定商品との関係では、例えば、『物を梱包した際に使用するのに適した梱包用のネームマーカー又はマーカーペン』の意を認識させるものであるから、これをその指定商品中上記文字に照応する商品に使用しても、単に商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、本願の指定商品の分野において、各種用途に応じた「マーカー」が販売されている別掲に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、意見書を提出する相当の期間を指定して、平成22年8月31日付けで証拠調べの結果を通知した。
4 職権証拠調べに対する請求人の意見(要点)
(1)証拠調べ通知で挙げられた事実によって、「梱包用マーカー」が商品の用途表示であるとする立証はなしえない。
(2)マーカーの用途が、書かれる文字ないしその文字が書かれる対象物によって表示されるものである以上、行為である「梱包」が直接的に用途を表示するものではない。
(3)本件証拠調べ通知が、各種用途に応じた「マーカー」の販売事実があるので、「梱包用」も、用途表示になるという論理の下にされたものであれば、それは明らかに誤謬である。クラフトテープ用等のマーカーがあるからといって、「梱包」までが用途表示にされるのは、到底受け入れられない。
(4)他の商標が登録されたことからすれば、本願商標を登録しなければ、行政処分の衡平性、公平性を保つことができない。
(5)なお、本願商標は、指定商品を補正した結果、商標法第4条第1項第16号に該当するものではない。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について
本願商標は、上記1のとおり、「梱包用マーカー」の文字よりなるところ、その構成中「梱包」の文字は、「荷造りしたもの」の意味を有し、「用」の文字は、接尾語的に用いて、「〜に使うためのもの」の意味を有し、「マーカー」の文字は、本願指定商品を表すものであるから、これらの既成の語を組み合わせた、本願商標からは「荷造りしたものに使うためのマーカー」の意味を極めて容易に認識し理解するものというのが相当である。
そして、上記3の証拠調べ通知のとおり、商品「マーカー」には、その用途に応じて適切なものが製造、販売されている実情があるものである。
してみれば、本願商標は、「梱包用マーカー」の文字を普通に用いられる方法で表してなるにすぎず、これよりは「荷造りしたものに使うためのマーカー」の意味を、極めて容易に認識し理解させるものであり、これを、その指定商品「マーカー」について使用しても、これに接する取引者、需要者は、その商品が荷造りしたものへの記入に適したものであること、すなわち、商品の品質、用途を表示したものと認識し理解するにとどまるものであって、自他商品の識別標識として機能し得ないものというべきである。
また、本願商標を、上記の「荷造りしたものに使うためのマーカー」以外のマーカーに使用するときには、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものというべきである。
(2)請求人の主張について
請求人は、本願商標は、請求人のみが、その製造する商品「マーカー」に使用し、第三者は全く使用していない、したがって、取引界は、本願商標の
使用を請求人のみに独占させることを許容しており、本願商標の使用を取引界に開放するため拒絶する必要はない旨主張する。
しかしながら、請求人が、当審において提出した商品の実物の画像の写し(甲10)には、請求人の代表的な出所標識である「uni」の文字が赤色で表示され、「パワフルブラック」の文字が、大きな文字で商品の中心に顕著に表示されており、「梱包用マーカー」の文字は、「油性」、「中字・丸芯」の文字と同様に、商標の品質・用途を記述的に表示したものと理解し認識される態様で表示されているにすぎないものである。
してみれば、「梱包用マーカー」の文字が、自他商品の識別標識としての機能を果たしているものとは言い難く、本願商標の指定商品の分野における取引者が、本願商標の独占使用を請求人に許容しているということはできない。
また、請求人は、証拠調べ通知で挙げられた事実をもって、「梱包用マーカー」が商品の用途表示であることを立証しえない旨主張する。
しかしながら、証拠調べ通知で挙げた事実からすれば、本願指定商品の分野において、各種用途に応じた商品が製造・販売されていることが認められる上に、荷造りしたものに使用することを目的としたマーカーを請求人以外の者が、販売している事実(別掲(4)及び(6)参照)からすれば、本願商標に接した取引者・需要者は、本願商標の指定商品との関係において、商品の品質・用途を表示したものと極めて容易に認識し理解するというのが相当である。
また、請求人は、マーカーの用途が、書かれる文字ないしその文字が書かれる対象物によって表示されるものである以上、行為である「梱包」が直接的には用途を表示するものではない旨主張する。
しかしながら、「梱包」は、上記(1)のとおり、荷造りしたものを意味するものである。このことは、例えば、以下の辞書の記載からも明らかなものである。
ア 広辞苑 第六版(株式会社岩波書店発行)には、「こんぽう【梱包】」の項に、「覆いや縄などをかけて荷造りすること。また、その荷造りしたもの。・・・」との記載がある。
イ 大辞林 第三版(株式会社三省堂発行)には、「こんぽう【梱包】」の項に、「紙などで包み、紐をかけて荷造りすること。また、その荷物。・・・」との記載がある。
ウ 大辞泉 増補・新装版(株式会社小学館発行)には、「こんぽう【梱包】」の項に、「包装し、縄などで荷造りすること。また、その荷物。・・・」との記載がある。
エ 新明解国語辞典 第六版(株式会社三省堂発行)には、「こんぽう【梱包】」の項に、「縄やむしろをかけて荷造りすること。また、その荷造りしたもの。・・・」との記載がある。
してみれば、「梱包」の語には、荷造りするという行為のほか、その荷造りしたもの、との意味をも有するものであって、「梱包」は、荷造りするという行為であると断定し、それを前提とする請求人の主張は、その前提において、誤りである。
また、請求人は、本件証拠調べ通知が、各種用途に応じた「マーカー」の販売事実があるので、「梱包用」も、用途表示になるという論理の下にされたものであれば、それは明らかに誤謬である旨主張する。
しかしながら、本願商標に接した取引者・需要者は、本願指定商品との関係において、上記したとおり、「荷造りしたものに使うためのマーカー」であることを極めて容易に認識し理解するものというのが相当である。
また、請求人は、他者の商標が登録されたことからすれば、本願商標を登録しなければ、行政処分の衡平性、公平性を保つことができない旨主張する。
しかしながら、本願商標が、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについての判断は、本願商標とその指定商品との関係から、個別具体的に判断されるべきものであって、商標の構成を異にする商標登録の存在等により、判断が左右されるものではない。
さらに、請求人は、本願商標の指定商品を補正した結果、本願商標は、商標法第4条第1項第16号に該当するものではない旨主張する。
しかしながら、補正後の本願の指定商品には、荷造りしたものに使うためのマーカーと、それ以外の用途に用いるマーカーとが包含されるものである。
してみれば、梱包用以外のマーカーとの関係において、本願商標は、未だ、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、上記の請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上からすれば、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すべきではない。
よって、結論のとおり審決する。
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