結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2010−300468(T2010−300468/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第2131834号商標(以下「本件商標」という。)は、「エポファルト」の片仮名を横書きしてなり、昭和61年4月4日に登録出願、第7類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成1年4月28日に設定登録され、その後、平成22年4月7日に、指定商品を第19類「陶磁製建築専用材料・れんが及び耐火物,リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料,ゴム製の建築用又は構築用の専用材料,しっくい,石灰製の建築用又は構築用の専用材料,石こう製の建築用又は構築用の専用材料,繊維製の落石防止網,建造物組立てセット(金属製のものを除く。),セメント及びその製品,木材,石材,建築用ガラス,区画表示帯,土砂崩壊防止用植生板,窓口風防通話板」及び第6類、第9類、第11類、第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がなされたものであり、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
請求人は、「本件商標の指定商品中『第19類の全指定商品』について、その登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)請求の理由
商標権者のホームページには、その製品案内として、「アスファルト乳剤」、「改質アスファルト」、「景観材料」、「橋面防水材」、「目地材」、「クラック補修材」、「軌道および特殊製品」、「舗装用混合物」、「再生用添加剤」、「舗装付帯材料」が紹介されている。しかしながら、これらの製品中、本件商標を使用した商品は存在しない(甲第2号証の1ないし11)。その他、過去3年間、商標権者が本件請求に係る指定商品について本件商標を使用した事実は見いだし得ない。
したがって、本件商標は、その指定商品中「第19類の全指定商品」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用された事実がないから、その登録は、商標法第50条の規定により、取り消されるべきである。
(2)答弁に対する弁駁
ア 使用商標について
(ア)「エポファルトA」
被請求人は、「エポファルトA」における「A」の文字は、単に、当該「エポファルトA」を他のタイプの「エポファルト」と規格上区別するために使用されている記号にすぎないから、「エポファルトA」は、本件商標と社会通念上同一の商標であると主張する。
しかしながら、「他のタイプのエポファルトと規格上区別するための記号」であるならば、区別すべき他のタイプの商品について、「エポファルトB」や「エポファルトC」のような商標が使用されていると考えるのが自然であるところ、そのような商標の存在は全く主張立証されていない。
ところで、乙号証の全てを見ても、「エポファルトA」は、エポファルトの仮名文字とAの英文字が同大で一連一体に横書されたものだけが示されており、仮名文字と英文字の間に何らのスペースもなく、しかも、「−」(ハイフォン)や「/」(スラッシュ)の付記はなく、Aを括弧で括るようなことも全くなされていないから、「A」が記号である等と認識し得る余地はない。
したがって、「エポファルトA」の全体が商標であり、「エポファルトエー」とのみ称呼されると考えるのが常識的である。
そうすると、仮に、商標権者が「エポファルトA」の商標を使用している事実があるとしても、それは本件商標と同一ではない類似商標の使用である。
(イ)「エポファルトクリア」
被請求人は、「エポファルトクリア」の「クリア」の文字は、商品の性質・用途を表したものにすぎないから、本件商標と社会通念上同一の商標であると主張する。
しかしながら、第19類の商品に関して、「クリア」の文字は、それ自体が特別顕著性を有するものであるから、被請求人の主張は妥当でない。
そして、乙号証の全てを見ても、「エポファルトクリア」の文字は、エポファルトとクリアが同大で一連一体に横書されたものだけが示されており、両文字の間にスペースを空けたものや、両文字を上下2段に書したもの等は全く存在しない。
したがって、「エポファルトクリア」の全体が商標であり、「エポファルトクリア」とのみ称呼されると考えるのが常識的である。
そうすると、仮に、商標権者が「エポファルトクリア」の商標を使用している事実があるとしても、それは本件商標と同一ではない類似商標の使用である。
イ 使用商品について
被請求人は、乙第1号証により、「エポファルトA」を使用した商品は、「エポキシアスファルト」であり、エポキシアスファルトとは、「アスファルトにエポキシ樹脂を添加した舗装混合用バインダ」であるから、第19類の「アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料」であると主張し、さらに、乙第2号証により、「エポファルトクリア」を使用した商品は「高耐久型明色カラーバインダー」であるから、第19類の「アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料」であると主張する。
しかしながら、乙第1号証ないし乙第4号証は、作成者及び作成年月日が全く示されていないから、証拠価値を有しない。しかも、乙号証の全てを見ても、その記載内容からは、上記の「アスファルトにエポキシ樹脂を添加した舗装混合用バインダ」(エポファルトA)及び「高耐久型明色カラーバインダー」(エポファルトクリア)がどのような商品であるのか全く理解できない。
特に、被請求人は、商標の使用事実と商品の販売事実があると主張しながらも、何らのパンフレットも商品の写真も提示されておらず、極めて不可解である。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第25号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)使用の事実
被請求人(商標権者)は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「エポファルトA」及び「エポファルトクリア」を、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件請求に係る指定商品中の「アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料」について使用している。
ア 本件商標と使用商標
(ア)「エポファルトA」について
「エポファルトA」は、標準的なタイプの「エポファルト」であり、重交通道路などの過酷な荷重条件下で使用されるのに適した舗装混合物用バインダである。
乙第1号証は、被請求人の作成に係る「エポファルトA」の技術資料であり、ここには、「エポファルトA」が「エポキシアスファルト」であること、及び「エポキシアスファルトとは、アスファルトにエポキシ樹脂を添加した舗装混合物用バインダ」であることが記載され、さらに、「3.エポファルト混合物の特長」には、「わだち掘れに対する抵抗性に優れ」、「重交通道路の交差点内部、重車両の出入り口、トラックターミナルなどの過酷な荷重条件にある場所に適用」されることなどが記載されている。
このように、「エポファルトA」は、舗装混合物用バインダ「エポファルト」の標準的な1タイプであり、「エポファルトA」における「A」の文字は、単に、当該「エポファルトA」を他のタイプの「エポファルト」と規格上区別するために使用されている記号にすぎない。したがって、商標「エポファルトA」において、実質的に自他識別標識として機能しているのは「エポファルト」の部分であることは明らかである。
(イ)「エポファルトクリア」について
「エポファルトクリア」は、明色舗装に適したタイプの「エポファルト」であり、特にトンネル内などにおける明色舗装に適した舗装混合物用バインダである。
乙第2号証は、被請求人の作成に係る「エポファルトクリア」の技術資料であり、ここには、「エポファルトクリア」が「特殊な脱色アスファルトをベースバインダに使用することでより明色性を高め、また、エポキシ樹脂を使用し耐流動性や耐摩耗性などを向上させることで、その明色性を長期に渡り維持することが可能な高耐久型明色カラーバインダ」であること、また、「発色性に優れ、加熱により変色しにくい特殊な脱色バインダとエポキシ樹脂を使用しているため、白色顔料を用いることで優れた明色性を確保することができ、トンネル内の明色舗装に適用することが可能」であることが記載されている。
つまり、アスファルトは通常黒色であるので、これに明るい色彩を付与しようとして白色顔料を混合しても、全体としての色彩は黒っぽくなってしまい効果はないが、「エポファルトクリア」は、上記のとおり、脱色アスファルトを用いているので、これと白色顔料を混合した場合には、白色顔料の白色がそのまま鮮明に発揮され、明るい舗装を構築することができるという特長を有している。このように、「エポファルトクリア」は、舗装混合物用バインダである「エポファルト」のうち、混合する顔料の色彩が鮮明に発揮される明色舗装に適した1タイプであり、「エポファルトクリア」における「クリア」の部分は、単に、当該「エポファルトクリア」が明色舗装に適したタイプの「エポファルト」であることを表しているにすぎない。
したがって、商標「エポファルトクリア」において、実質的に自他識別標識として機能しているのは「エポファルト」の部分であることは明らかである。
(ウ)以上のとおり、商標「エポファルトA」及び「エポファルトクリア」は、その構成中の「A」や「クリア」が、各タイプの規格や特長を示す記号若しくは符号であり、実質的に自他商品の識別標識として機能するのは「エポファルト」の部分であるから、本件商標と社会通念上同一と認められる範囲内にあるものである。
イ 使用商品
(ア)「エポファルトA」及び「エポファルトクリア」が使用される商品は、いずれも「舗装混合物用バインダ」である(乙第1号証、乙第2号証)。そして、「舗装混合物」とは、骨材(砂、砂利、砕石などの粒状材料)とバインダとを混合したものであり、この混合物が道路上に舗設されて舗装が構築される。「舗装混合物用バインダ」は、この舗装混合物を作製するときに骨材と混合して使用されるバインダ(結合材)であり、硬化して骨材同士を互いに結合し固める機能を有している(乙第1号証の2頁「5.混合物の作製方法について(室内)」及び3頁「図一1混合物の製造フロー」)。
(イ)両商標が使用されている商品「舗装混合物用バインダ」は、70%のアスファルトと、17.6%の液状エポキシ樹脂と、12.4%の硬化剤から構成されているから、請求に係る指定商品中の「アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料」に相当することは明らかである。当該商品の物性を記載した「試験成績表」を提出する(乙第3号証、乙第4号証)。
なお、乙第1号証ないし乙第4号証は、いずれも、工事の発注元などの顧客の求めに応じて、その都度、被請求人から顧客に対して頒布された資料である。
ウ 使用商品の取引
(ア)乙第5号証ないし乙第10号証は、平成20年2月から平成20年3月にかけて、被請求人と株式会社昭和石材工業所との間で、使用商品(エポファルトA)の取引をした事実を証明する「受注票(確認書)」、「物品受領書」、「請求書」、「附帯サービス依頼書」である。なお、「附帯サービス依頼書」(乙第10号証)は、被請求人の営業部門から同技術部門に対して発行される書類であり、営業部門が、販売した商品についての付帯サービスを顧客に提供することを技術部門に依頼するための書類である。
(イ)乙第11号証ないし乙第23号証は、平成19年11月から平成20年2月にかけて、被請求人と株式会社ガイアートT・K香川合材工場との間で、使用商品(エポファルトクリア)の取引をした事実を証明する「受注票(確認書)」、「出庫伝票兼納品書(控)」、「物品受領書」、「請求書」である。
(ウ)上記のとおり、平成20年2月から同年3月にかけて作成された乙第5号証ないし乙第23号証(乙第10号証を除く。)は、商品に関する取引書類に相当し、それぞれには品名として「エポファルトA」、「エポファルトクリア」が表示されており、かつ、これらの取引書類がその作成後速やかに頒布されたことは明らかであるから、乙第5号証ないし乙第23号証(乙第10号証を除く。)に示される被請求人の行為は商標法第2条第3項第8号に該当する。
エ 商品に関する広告
(ア)被請求人のホームページのトップページの右上の「技術・工法情報 NETIS情報はこちら」をクリックすると、「技術・工法情報」として、上から2段目に「NETIS情報」の表示がある。この「NETIS情報」をクリックすると、「ニチレキのNETIS登録一覧表」として、件数番号11番目に「エポファルトクリア」が記載され、その「NETIS登録番号」が「SK−030023−A」であることが分かる(乙第24号証の1ないし3)。
(イ)国土交通省のホームページにおいて、「NETIS 新技術情報提供システム」を紹介するページには、「NETISとは」として、「国土交通省は、新技術の活用のため、新技術に関わる情報の共有及び提供を目的として、新技術情報提供システム(New Technology Information System:NETIS)を整備しました。NETISは、国土交通省のイントラネット及びインターネットで運用されるデータベースシステムです。」と記載されており、その下の「新技術の検索」の「キーワード入力」欄に「エポファルトクリア」を入力して検索すると、中段やや下に「エポファルトクリア(SK−030023−A)」が表示される。この「SK−030023−A」は、「エポファルトクリア」の「NETIS登録番号」と一致している(乙第24号証の3)。そして、この「エポファルトクリア」をクリックすると、「エポファルトクリア」について、乙第2号証におけると同様の説明がされる。さらに、同画面の右上の「更新履歴」をクリックすると、「エポファルトクリア」は、平成16年2月27日に新規登録されて以来、更新を重ね、平成19年8月7日に最後の更新がされ、現在に至っていることが解る(乙第25号証の1ないし4)。
(ウ)以上のとおり、使用商品(エポファルトクリア)は、平成16年以来、現在に至るまで、国土交通省が新技術として認定するNETISに登録されているバインダであり、被請求人が、当該バインダを、商標「エポファルトクリア」の下に、自身のホームページで紹介する行為、及び、間接的ではあるが、国土交通省のホームページを介して紹介する行為は、商品に関する広告などを内容とする情報に「エポファルトクリア」を付して電磁的方法により提供する行為に相当し、商標法第2条第3項第8号に該当する。
(2)むすび
以上のとおり、被請求人(商標権者)は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、本件請求に係る指定商品中の「アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料」について使用していたことは明らかである。
(1)被請求人(商標権者)は、同人が本件審判の請求の登録(平成22年5月21日)前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を本件請求に係る指定商品中の「アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料」について使用していたと主張するので、以下検討する。
ア 乙第1号証及び乙第5号証ないし乙第10号証によれば、以下の事実が認められる。
(ア)乙第1号証は、被請求人の作成に係る「エポファルトA」と題する技術資料であるところ、1頁の「1.はじめに」の項目に、「この資料は、当社のエポキシアスファルト(エポファルトA)の取り扱い方法および室内混合物性状を説明したものである。」と記載され、「2.エポキシ樹脂について」の項目に「3)エポキシアスファルトとは、アスファルトにエポキシ樹脂を添加した舗装混合物用バインダであり、エポキシ樹脂の持つ強靱さとアスファルトの持つたわみ性を併せ持つ材料である。」の記載がある。また、「3.エポファルト混合物の特長」の項目に、「1)わだち掘れに対する抵抗性に優れ」、「2)重交通道路の交差点内部、重車両の出入り口、トラックターミナルなどの過酷な荷重条件にある場所に適用することで、大型車のねじり作用および車輪の据え切りに対する抵抗性に優れている。」の記載がある。
同2頁の「4.エポファルトAの構成」の項目に、「エポファルトAは,『特殊アスファルト』と『無色液状のエポキシ樹脂』および,『エポキシ用の硬化剤』から構成している。」の記載がある。
(イ)乙第5号証ないし乙第10号証は、被請求人が「(株)昭和石材工業所 青梅工場」に宛てた平成20年2月26日及び同年3月3日付けの「受注票(確認書)」、平成20年3月3日及び同月4日付けの「物品受領書」、2008年(平成20年)3月31日付け「請求書」並びにこれらの取引に関連して作成された被請求人の社内連絡用書類である「附帯サービス依頼書」である。
そして、「受注票(確認書)」、「物品受領書」、「請求書」の「品名」欄には、「エポファルトA」の文字が記載され、また、「附帯サービス依頼書」の「附帯サービスの内容」欄には、「エポファルトAバインダ製造に伴う作業依頼」と記載され、同「営業係記入欄」には「バインダの種類:エポファルトA」の記載がある。
イ 前記アで認定した事実によれば、次のとおりである。
(ア)使用商品について
商標「エポファルトA」を使用した商品(以下「本件使用商品」という。)は、重交通道路の交差点内部、重車両の出入り口、トラックターミナルなどの過酷な荷重条件にある場所に適用することで、大型車のねじり作用及び車輪の据え切りに対する抵抗性に優れた「舗装混合物用バインダ」であり、「特殊アスファルト」と「無色液状のエポキシ樹脂及びその硬化剤」からなるものであって、「特殊アスファルトを主成分とし、これにエポキシ樹脂とその硬化剤を添加した舗装用材料」と認めることができる。
したがって、本件使用商品「舗装混合物用バインダ」は、本件請求に係る指定商品中の「アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料」の範ちゅうに含まれる商品とみるのが相当である。
(イ)使用商標について
本件商標は、「エポファルト」の文字よりなるものであるから、これより「エポファルト」の称呼を生ずるものであって、特定の観念を有しないものと認めることができる。
これに対し、「エポファルトA」の文字よりなる商標(以下「本件使用商標」という。)は、その構成文字から片仮名の「エポファルト」とローマ字の「A」とに外観上分離して看取されるばかりでなく、ローマ字の1字は商品の規格、種別等を表示するための記号、符号を表すものとして一般に使用され、認識されるものといえる。
そうすると、本件使用商標に接する取引者、需要者は、その構成中の「エポファルト」の文字部分が自他商品の識別機能を有すると捉える場合が多いとみるのが相当である。してみれば、本件使用商標は、その構成中、「エポファルト」の文字部分が独立して自他商品識別標識としての機能を果たすものであって、該文字に相応して「エポファルト」の称呼をも生ずるものといわなければならない。
よって、本件商標と本件使用商標の構成中「エポファルト」の文字部分とは、「エポファルト」の称呼を同一にし、かつ、外観において、綴り字を共通にする商標であるから、本件使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標というべきである。
(ウ)したがって、被請求人(商標権者)は、本件審判の請求の登録前3年以内である平成20年3月に、本件請求に係る指定商品に含まれる本件使用商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる本件使用商標を使用して、「(株)昭和石材工業所 青梅工場」に販売したものと認められる。
ウ 請求人の主張について
(ア)請求人は、本件使用商標について、その構成中の「A」は、規格上区別すべき他のタイプの商品の存在が全く立証されていないし、また、本件使用商標は、仮名文字と英文字が同大で一連一体に横書きされたものであるから、これを記号等と認識し得る余地はなく、仮に、商標権者が本件使用商標を使用している事実があるとしても、それは本件商標と同一ではない類似商標の使用である旨主張している。
しかしながら、前記イ(イ)認定のとおり、本件使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標というべきであるから、請求人の上記主張は理由がなく、採用することができない。
(イ)請求人は、本件使用商品に関し、乙第1号証ないし乙第4号証は、作成者及び作成年月日が全く示されていないから、証拠価値を有しない。しかも、乙号証の全てを見ても、その記載内容からは、上記の「アスファルトにエポキシ樹脂を添加した舗装混合用バインダ」(エポファルトA)及び「高耐久型明色カラーバインダー」(エポファルトクリア)がどのような商品であるのか全く理解できない。また、被請求人は、パンフレットも商品の写真も何ら提示せず、極めて不可解である旨主張する。
しかしながら、乙第1号証に限っていえば、乙第1号証は、被請求人により作成されたものである。また、乙第1号証は、本件使用商品がどのような商品であって、該商品にいかなる商標が使用されているかを明らかにする証拠といえるものであるから、たとえ作成年月日の記載がなくても、証拠力がないということはできない。そして、乙第1号証によれば、本件使用商品が「特殊アスファルトを主成分とし、これにエポキシ樹脂とその硬化剤を添加した舗装用材料」と認めることができる商品であって、本件請求に係る指定商品中の「アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料」の範ちゅうに含まれる商品といえることは前記イ(ア)認定のとおりである。したがって、請求人の上記主張は、理由がなく、採用することができない。
(2)むすび
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者(被請求人)が本件請求に係る指定商品中の「舗装混合物用バインダ」に本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したと認められる。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中の「第19類の全指定商品」について、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。