Trademark Appeal Case
要部抽出と称呼観念類似
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2010−900133(T2010−900133/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5302118号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、平成21年7月8日に登録出願、第25類「被服及び履物」を指定商品として、同22年1月13日に登録査定、同年2月19日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由(要点)
(1)登録異議申立人の引用する商標
登録異議申立人マルベリー・カンパニー・(デザイン)・リミテッド(以下「申立人」という。)が本件商標の登録異議の申立ての理由に引用する商標は、次のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである(以下、これらの商標を一括して「引用各商標」という。)。
(ア)登録第3063047号商標は、「マルベリー」の片仮名文字を横書きしてなり、平成4年6月8日に登録出願、第25類「被服,ガ―タ―,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同7年7月31日に設定登録されたものである。
(イ)登録第4449001号商標は、別掲(2)のとおりの構成からなり、平成11年11月11日に登録出願、第18類「皮革,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,乗馬用具,愛玩動物用被服類」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同13年1月26日に設定登録されたものである。
(ウ)登録第4449002号商標は、別掲(3)のとおりの構成からなり、平成11年11月11日に登録出願、第18類「皮革,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,乗馬用具,愛玩動物用被服類」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同13年1月26日に設定登録されたものである。
(エ)登録第4511953号商標は、別掲(4)のとおりの構成からなり、平成11年11月18日に登録出願、第9類、第14類、第16類、第18類、第20類、第21類、第25類及び第27類に属する別掲(6)に記載のとおりの商品を指定商品として、同13年10月5日に設定登録されたものである。
(オ)国際登録第858954号商標は、別掲(5)のとおりの構成からなり、2005年1月27日に国際商標登録出願、第18類及び第25類に属する別掲(7)に記載のとおりの商品を指定商品として、平成18年12月15日に設定登録されたものである。
(カ)国際登録第858954号商標は、別掲(5)のとおりの構成からなり、平成19年6月6日に国際商標登録出願(事後指定)、第35類に属する別掲(8)に記載のとおりの役務を指定役務として、同22年3月5日に設定登録されたものである。
(キ)国際登録第995213号商標は、「MULBERRY」の欧文字を横書きしてなり、2009年1月30日に国際商標登録出願、第18類及び第35類に属する別掲(9)に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成22年9月24日に設定登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、各語と記号の間にスペースがあるため、各語が分離して捉えられるものであり、全体の称呼も12音と冗長である。また、「broome」の語は地名又は人名を表す語であり、「mulberry」の語は「桑の木」を意味する語であって、観念的一体性もなく全体で熟語等を構成するものではない。
したがって、「mulberry」の文字部分も一要部として捉えられるものとみるのが自然であり、これより単に「マルベリー」の称呼及び「桑の木」の観念が生じる。
一方、引用各商標からも「マルベリー」の称呼及び「桑の木」の観念を生ずるものである。
そうとすれば、後述する引用各商標の周知著名性等をも併せみれば、本件商標と引用各商標とは、共に「マルベリー」の称呼及び「桑の木」の観念を共通にする類似する商標というべきであり、互いの指定商品・指定役務も抵触する関係にある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(3)商標法第4条第1項第15号について
「Mulberry/マルべリー」は、イギリスの老舗ブランドとして世界各国に店舗を展開しており、我が国における販売開始は1985年頃からであり、現在も国内大手百貨店等において商品販売をしている他、インターネットショップ等を通して日本国内に多くの需要者が存在する。「Mulberry」は、米国ハリウッドの有名女優が愛用していることから世界的に有名になり、日本国内の人気ドラマにおいてもヒロイン達がマルベリーブランドのバックを使用して話題となったものであり、「VOUGE Nippon」や「Elle」等のファッション誌の日本語版においても何度も取り上げられている。
「Mulberry」ブランドは、バッグのブランドとして著名であったが、バッグに限らず、女性・男性の被服や靴、ベルトや眼鏡等幅広く商品展開しており、コラボレーションによる商品展開も行っている。
申立人の商品は、全世界において年間100億円以上の売上げがあり、日本における年間売上高も一時期は2億円程度あった。
以上のとおり、引用各商標は、申立人商標として、広く一般に知られているため、本件商標がその指定商品に使用された場合には、商品の出所について混同を生じるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
(4)よって、本件商標の登録は、取り消されるべきである。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、別掲(1)に示したとおり、「broome」と「mulberry」の欧文字とが「&」を介してまとまりよく一体的に表されており、これより生ずるものと認められる「ブルームアンドマルベリー」の称呼も冗長という程のものではなく一連に称呼し得るものである。そして、たとえ、各語と記号の間に若干のスペースがあるとしても、「&(アンパサンド)」は、英語の「and」に相当する記号であり、「&」の前後の語を対等に結合させるための記号であることからみれば、その構成全体をもって一体不可分の造語として認識し把握されるとみるのが自然であり、後半部分の「mulberry」の文字部分のみが抽出されて取引に供されるとみるべき格別の事情も見出し得ない。
そうとすれば、本件商標は、その構成文字全体に相応して「ブルームアンドマルベリー」なる一連の称呼のみを生ずるものといわなければならない。
これに対し、引用各商標は、前記あるいは別掲に示したとおり、いずれも、「マルベリー」あるいは「Mulberry」の文字をその構成要素に有するものであるから、該構成文字に相応して「マルベリー」の称呼を生ずるものと認められる。
そうすると、本件商標より生ずる「ブルームアンドマルベリー」の称呼と引用各商標より生ずる「マルベリー」の称呼とは、音構成、構成音数において著しい差異が認められるものであるから、称呼上相紛れるおそれはないものといわなければならない。
また、両者は、外観においても明らかな差異が認められ、本件商標は造語と認められるものであるから、観念においては比較すべくもない。
してみれば、本件商標は、引用各商標と外観、称呼及び観念のいずれからみても紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
申立人の提出に係る甲各号証によれば、「Mulberry」あるいは「マルべリー」の文字からなる商標が申立人の業務に係るバッグ等の商標として使用されていた事実を認めることができる。
しかしながら、例えば、甲第15号証の4(ファッションバイブル)によれば、「・・・『マルベリー』は1971年創業の老舗ブランド。かっては日本法人が2001年まで東京・丸の内仲通りに主力店を構えていました。しかし、いったん撤退し、今回は三喜商事を通じての再進出です。『マルベリー』の創業デザイナーのロジャー・ソウル氏が伝統的な英国調デザインで評価を得ました。しかし、経営不振に陥り、2002年にはソウル氏が経営から退き、再出発しました。・・・」と記載されている。また、申立人は、日本における年間売上高も一時期は2億円程度であった旨述べているが、我が国における具体的な販売数量、販売実績及び宣伝広告については何ら主張、立証していない。
そうとすれば、我が国における申立人商品の販売開始が1985年頃からであったとしても、その後一貫して、我が国に店舗を構えて営業していたものとはいい難く、申立人の提出に係る甲各号証のみをもってしては、本件商標の登録出願時において、「Mulberry/マルべリー」の商標が申立人の業務に係る商品の商標として、我が国の取引者・需要者の間において広く知られていたものとは認められない。
しかも、前記したとおり、本件商標と引用各商標とは、十分に区別し得る別異の商標というべきものである。
してみれば、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者をして引用各商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものとはいえない。
(3)結び
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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