Trademark Appeal Case
商標の類否と周知性の立証
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2010−900208(T2010−900208/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5316320号商標(以下「本件商標」という。)は、「整形外科ナース」の文字を横書きしてなり、平成21年7月14日に登録出願、第16類「雑誌」を指定商品として、平成22年4月16日に設定登録されたものである。
2 本件登録異議申立ての理由
本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標の登録は、取消すべきであると申立て、その理由の要点を以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第15号証を提出した。
本件商標は、申立人の業務に係る商品(雑誌)を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている商標である「整形外科看護」に類似するものであって、雑誌について使用するものであるから商標法第4条第1項第10号に該当し、また、申立人の業務に係る商品(雑誌)として、日本国内の需要者の間に広く認識されている商標である「整形外科看護」と類似するものであって、本件商標は、不正の目的をもって使用するものであるから同第19号に該当し、同法第43条の2第1号により取り消されるべきものである。
3 当審の判断
(1)当該雑誌の周知性について
申立人の提出した証拠によれば、申立人は、医学、看護などの医療系分野を専門とする出版社であって、「整形外科看護」の文字(「外科」の文字の一部分を緑色の点で表し、かつ、「科」と「看」の各文字の一部を共通にしている。以下、同じ。)を書した標章を(以下、「使用商標」という。)を題号とする月刊雑誌を刊行していることが認められ、また、提出された2010年5月25日発行の雑誌から、当該雑誌は、その時点で第15巻5号(通巻179号)にあたり、1998年6月4日に第三種郵便物の認可がなされたことが認められる(甲第1号証及び甲第2号証)。
これに対し、申立人は、当該雑誌は、1996年11月に創刊され、既に創刊14年目を迎え、本年7月で通巻181号となり、6000部の発行部数がある。そして、当該雑誌の想定読者は、約5万人の整形外科看護の分野に従事する者であり、当該雑誌は、整形外科看護の分野で確固たる評価を得ており、かつ、競合誌が存しないとして、当該雑誌の題号として使用される使用商標は、整形外科看護の分野に従事する者の間で広く認識され、周知性のある商標であることは明かである旨述べている。
しかしながら、当該雑誌が14年に亘り発行されて続けているとしても、前記の申立人の主張を裏付けるものは、申立人会社の編集局執行役員、当該雑誌の編集委員(編集顧問)及び定期購読者の3名による陳述書(甲第3号証、甲第12号証及び甲第13号証)のみであり、その陳述の内容(雑誌の読者層や数、発行部数の算出根拠など)を裏付ける証拠の提出はなく、また、その他、当該雑誌の売上高や広告宣伝の実績などを立証する証拠の提出もない。
してみれば、提出された証拠からは、使用商標が申立人の業務に係る商品(雑誌)を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている商標ということはできない。
(2)本件商標と使用商標の類否について
本件商標は、「整形外科ナース」の文字よりなるから、その構成文字に相応し、「セイケイゲカナース」の称呼を生ずるものであって、「整形外科の看護婦」程の意味合いを理解させるものといえる。
一方、使用商標は、「整形外科看護」の文字よりなるから、その構成文字に相応し、「セイケイゲカカンゴ」の称呼を生ずるものであって、「整形外科の看護」程の意味合いを理解させるものとみるのが自然である。
そこで、本件商標から生ずる「セイケイゲカナース」と使用商標から生ずる「セイケイゲカカンゴ」の称呼を比較すると、両者は、「セイケイゲカ」の部分を共通にするとしても、これに続く「ナース」と「カンゴ」という明らかな差異があることから、これらの差異が両称呼全体に及ぼす影響は大きく、それぞれの称呼を全体として称呼した場合においても、その語調、語感が相違したものとなり、互いに聞き誤るおそれはない。
さらに、前記認定のとおり、本件商標は、「整形外科ナース」の文字を横一連に書してなるものであるのに対し、使用商標は、文字の一部をややデザイン化された「整形外科看護」の文字よりなるものであるから、両者の外観は明らかに相違するものであり、また、両商標から認識される意味合いも相違するものである。
したがって、本件商標と使用商標は、称呼、観念及び外観のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
(3)商標法第4条第1項第10号及び同第19号該当について
前記(1)及び(2)のとおり、使用商標は、申立人の業務に係る商品(雑誌)を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものとはいえず、また、本件商標と使用商標とは、相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
また、そうである以上、たとえ、商標権者が雑誌について医療関連の文字からなる商標を多数登録し、また、申立人の差し出した申入書を受領しないなどの事情があるとしても、使用商標が需要者の間に広く認識されていること及び本件商標と使用商標とが類似することを前提に、本件商標が不正の目的をもって使用する商標であるとする申立人の主張は、その前提を欠き、理由がないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号にも該当しない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第19号に違反して登録されたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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