Trademark Appeal Case
要部抽出と称呼の類似
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2009−15162(T2009−15162/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第43類「飲食物の提供」を指定役務として、平成20年7月23日に登録出願されたものである。
2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第4735222号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成13年11月28日に登録出願、第42類「中華そばを主とする飲食物の提供」を指定役務として、同15年12月19日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
3 当審の判断
(1)本願商標と引用商標との類否について
本願商標は、別掲1のとおり、「なつかし処 昭和食堂」の文字を書してなるところ、構成中の「なつかし処」の文字は、「昭和食堂」の文字よりやや小さく書されているものである。
また、本願商標の構成文字全体から生ずる「ナツカシドコロショウワショクドウ」の称呼は、冗長であるといえるものである。
さらに、本願の指定役務「飲食物の提供」との関係において、例えば
「語らい処 座・和民」(http://r.gnavi.co.jp/a273500/)、
「あつまり処あきこ」
(http://r.tabelog.com/akita/A0505/A050502/5002094/)、
「くつろぎ処 夢の庭」(http://r.gnavi.co.jp/e088101/)
「うまいもの処・呑み処・たのしみ処 大番」
(http://g.pia.co.jp/front/contents/pumadarude/SH914068)
のように「○○処」の文字は、その飲食店の雰囲気やコンセプト等を表す語、すなわち、キャッチフレーズや呼び文句のように使用されている実情が見受けられ、「○○処」に次ぐ語、前記例でいうと、「座・和民」、「あきこ」、「夢の庭」及び「大番」の文字部分が、店名を表示する語として需要者に認識されるものといえる。
これを本願商標についてみるに、その構成中「なつかし処」は、「なつかし」が「懐かしい」と同義で、「思い出されてしたわしい」(広辞苑第六版)等を意味することからすると、「なつかし処」は、「思い出されてしたわしい雰囲気のあるお店」の如き意味合いを理解させるものであり、お店の雰囲気やコンセプトを表示するキャッチフレーズや呼び文句の如き意味合いを認識する部分といえることから、本願商標の構成文字中の「なつかし処」の文字部分は、自他役務の識別標識としての機能を有しない、あるいは有するとしても、非常に弱い部分として認識されるといえるものである。
さらに、「なつかし処 昭和食堂」の文字が、一連で、なんらかの特定の意味合いを看取させるものとはいえないことからしても、本願商標は、「なつかし処」と「昭和食堂」の文字部分とで、分離され看取される場合があるものと判断するのが相当である。
してみると、簡易迅速を尊ぶ取引の実際にあっては、本願商標に接する取引者、需要者は、構成中の「なつかし処」の文字部分を捨象し、自他役務の識別標識としての機能を有する「昭和食堂」の文字部分に強く印象を留め、これを捉えて商取引に資する場合も決して少なくないというべきである。
よって、本願商標は、構成文字全体に相応した「ナツカシドコロショウワショクドウ」の一連の称呼のほか、「昭和食堂」の文字部分に相応した「ショウワショクドウ」の称呼をも生ずるものといえる。
他方、引用商標は、別掲2に示すとおり、「昭和食堂」の文字を大きく書し、その上に前記文字よりかなり小さく「支那そば」の文字を書し、「昭和食堂」の文字の右横に、変形した黒色四角形内に白抜きで小さく「AGE」の欧文字及び「DINING」の欧文字を二段に書してなるものである。
しかして、引用商標構成中の「昭和食堂」の文字部分は、他の文字に比して大きく書されていること、そして、「支那そば」の文字とは上下に、「AGE」及び「DINING」の文字部分とは、左右に分かれて記載されていることから、視覚上分離され、看取させるものといえる。
また、引用商標の構成文字全体から生ずる「シナソバショウワショクドウエイジダイニング」の称呼は、冗長であるといえるものである。
さらに、構成文字中の「支那そば」は、「中華そば。」(広辞苑第六版)を意味し、引用商標の指定役務「中華そばを主とする飲食物の提供」との関係において、提供する物を表す語であることからすると、「支那そば」の文字部分は、自他役務の識別標識としての機能を有しないものといえる。
さらにまた、引用商標を構成する「支那そば」、「昭和食堂」、「AGE」及び「DINING」の文字が、一連でなんらかの特定の意味合いを看取させる等、これらを常に不可分一体のものとしてのみ観察されなければならないとするべき特段の事情も認められないものである。
してみると、簡易迅速を尊ぶ取引の実際にあっては、本願商標に接する取引者、需要者は、構成中の自他識別標識としての機能を有さない「支那そば」の文字部分や小さく書された「AGE」及び「DINING」の文字部分を捨象し、大きく書された「昭和食堂」の文字部分に強く印象を留め、これを捉えて商取引に資する場合も決して少なくないというべきである。
そこで、本願商標と引用商標との類否について判断するに、本願商標と引用商標とは、それぞれの構成に照らし、その外観が全体としては異なるものの、本願商標構成中の「昭和食堂」と引用商標構成中の「昭和食堂」とは、その構成文字を同じくするものであるから、外観上類似するものといえる。
また、本願商標と引用商標とは、「ショウワショクドウ」の称呼を共通にするものである。
さらに、両商標に共通する「昭和食堂」の文字は、特定の意味合いを看取させるものとはいえないものであるが、構成文字を同じくすることから、観念における差異は生じないものと判断し得るものである。
そして、本願の指定役務「飲食物の提供」と、引用商標の指定役務「中華そばを主とする飲食物の提供」とは、同一又は類似の役務である。
してみれば、本願商標と引用商標とは、外観及び称呼を共通にし、観念における差異を有しない類似の商標であるから、本願商標をその指定役務に使用した場合には、その出所について誤認混同を生ずるおそれがあると認められる。
(2)出願人(請求人)(以下「請求人」という。)の主張について
ア 請求人は、「原査定では、本願商標の構成中『なつかし処』の文字部分は、本願指定役務の業界において、『なつかしい雰囲気を有する場所』ほどの意味合いを理解させ、飲食店の特徴を表すものとして、店名に付記的に使用されているから、自他役務識別機能が極めて弱いものと判断されているが、この判断について、根拠が全く示されていない。請求人としては、何らの根拠も示さず、自他役務識別機能が極めて弱いものとの判断には到底納得できない。また、『なつかし処』の部分も需要者に認識されている。」旨主張する。
しかしながら、本願商標の構成中の「なつかし処」の文字部分が、本願商標の指定役務との関係において、自他役務の識別標識としての機能を有しないか、あるいは有するとしても、非常に弱い部分として認識されるものであることは、前記(1)で例示した取引の実情からもいえることである。
また、請求人のホームページ(http://www.kaihan.co.jp/showashokudo/)をみるに、本願商標とは異なる態様で使用されているものの、「なつかし処」の文字より「昭和食堂」の文字が顕著に表されていることからすると、「なつかし処」の文字が、請求人の役務の出所表示するものと認識するよりも、「昭和食堂」の文字を捉えて実際に、商取引が行われているものと判断し得るものである。
そうすると、取引の実際において、「昭和食堂」の文字を捉えて取引に資されているものであることからすると、本願商標の構成中の「昭和食堂」の文字部分を要部として捉え、本願商標と引用商標との類否判断をすることに問題があるとはいえない。
そして、前記(1)で述べたとおり、本願商標と引用商標とは、共に要部として認められる「昭和食堂」の文字部分において、外観・称呼及び観念を共通にする類似の商標であるといえ、かつ、本願商標の指定役務と引用商標の指定役務とは、同一又は類似するものであるから、本願商標をその指定役務に使用した場合には、その出所について誤認混同を生ずるおそれがあるといえる。
したがって、請求人の上記主張は採用することができない。
イ 請求人は、過去の登録例や審決例等を挙げて本願商標も登録されるべきである旨主張しているが、該登録例や審決例等は、商標の構成等において本願とは事案を異にするものであり、それらの登録例や審決例をもって、本願商標の登録の適否を判断する基準とするのは必ずしも適切とはいえないことから、請求人の係る主張も採用することができない。
ウ その他の請求人の主張をもってしても、原査定の拒絶の理由を覆すことはできない。
(3)まとめ
したがって、本願商標が、商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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