結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成11年審判第30551号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
1.本件商標
本件登録第2380545号商標(以下「本件商標」という。)は、「2001年」の文字を書してなり、平成1年1月25日に登録出願、第28類「酒類(薬用酒を除く)」を指定商品として、同4年2月28日に設定登録されたものである。
2.請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を概略次のように述べている。
(1)本件商標は、過去3年以上に亘りその指定商品に使用されていないから、商標法第50条の規定により登録の取り消しを免れないものである。
(2)被請求人の答弁に対する弁駁
被請求人が乙第2号証及び同第3号証に示すビールに表された「2001」はあくまでも数字にすぎない。すなわち、数字は単に数を表す文字にすぎない。21世紀をまじかに迎えようとしていることで「2001」が「2001年」を示すものと捉えることがあることまで否定するものではない。しかし、「2001年」は商標として登録されたものであるから、当該商標は商標法上の登録要件を全て充足した標章であるとの判断がなされたものである。
すなわち、商標「2001年」は「年」という言葉があって始めて排他的使用権として認められたものであるから、登録商標としての使用はあくまでもその態様での使用でなければならない。単なる数字である「2001」は商品に使用された場合、いろいろな意味合いに理解されるので、通常は商標としては登録されない。しかしながら、本件商標の「2001年」は特定の年を示す言葉であり、単なる数字ではなく、両者の間に同一性はない。
3.被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を概略次のように述べ、証拠方法として乙第1号証乃至同第4号証を提出した。
(1)乙第1号証は、被請求人と、東京都足立区保木間一丁目20番3号に所在するサリ株式会社との間で締結された商標使用許諾契約書の写しである。これにみられるとおり、この契約は、商標権者である被請求人が、使用権者であるサリ株式会社に対して、本件商標に係る商標「2001年」の商品「ビール」についての使用を許諾するものであり、平成9年11月26日に締結されている。当初の有効期限は平成10年12月31日迄とされていたが、その後、同契約の第7条の規定に基づいて使用権者サリ株式会社の申し入れにより延長され、現在もこの契約は有効に存続している。
次に乙第2号証は、使用権者サリ株式会社が自社商品の宣伝のために、平成11年4月16日に新聞に折り込んで頒布したチラシである。また乙第3号証は、同じく平成11年4月29日に新聞に折り込んで頒布したチラシである。乙第2号証及び同第3号証には、商標「2001」が付された商品「ビール」の写真が掲載されている。
ここで「2001」は「2001年」を示している。即ち、現在1999年であり、今世紀即ち20世紀は残り僅かとなり、新しい世紀、21世紀が人々の大きな関心を呼び、新しい世紀の始まりの年である2001年が事有るごとに人々の話題になっていること、また、西暦での年を示す場合に、単に数字だけで示すことも日常的に行われていることは周知のとおりである。 そのような状況の下で、商品「ビール」に付された「2001」の文字を見た取引者、需要者は、この表示から「2001年」を直ちに想起する。すなわち、「2001」は単なる数字としての「2001」ではなく、人々に新しい21世紀の最初の年としての「2001年」なる観念をきわめて容易に想起させるのであり、この場合「2001」は「2001年」と実質的に同一視できるものである。
(2)請求人の弁駁に対する答弁
登録商標は、登録商標として使用される場合に、登録された商標と同じ態様で使用されなければならないものではなく、社会通念上同一と認められる態様で使用されていれば、それは登録商標の使用と認められるべきものである。そして、登録されている商標と、実際に使用されている商標とが、社会通念上同一か否かは画一的に定まるものではない。「社会通念」であるからその時々の社会の状況に大きく影響される。
請求人は、単に数字のみを取り出して、数字が何を意味するかを一般論として論じているにすぎない。しかし、数字も、それがどのような状況の下で、どのような態様で使用されているかにより、その意味することが明確に理解される場合がある。被請求人は先に乙第2号証及び同第3号証を提出したが、これら各乙号証に示された商品「ビール」における商標「2001」の使用態様がより明確に理解されるように、ここに乙第4号証の1乃至4を提出する。乙第4号証の1乃至4は当該缶入りのビールを方向を代えて撮影した写真である。この証拠から明らかなとおり、この商品「ビール」の容器である缶には、大きく数字2、0、0、1が表されている。そして、他に種々の文言や商品の品名、原産地、販売元等の表示等が記載されている。
これらの中で、商標として機能しているのは明らかに「2001」の部分であり、またこの缶を見た取引者、需要者は「2001」が商品を識別するための商標であることを容易に理解するであろうことは想像に難くない。そして20世紀が残り僅かとなった今、新しい世紀、21世紀の始まりの年である2001年が事有るごとに人々の話題になっている状況の下で、本件商品「ビール」に付された「2001」の表示を見た取引者、需要者が、この表示から「2001年」を直ちに想起することも想像に難くない。
すなわち、乙第4号証に示される態様で表された「2001」は明らかに商標として取引者、需要者に認識され、これが何を表しているかを考えたとき、需要者は容易に「2001年」に思い至るのであり、社会通念上「2001年」と同一なのである。勿論、現在において「2001」の標章がどの様な場合であっても「2001年」を示していると主張するものではない。あくまでも、現在の社会状況のもとにおいて商品ビールに乙第4号証に示された態様で使用された「2001」の標章を見た者には、「2001年」以外には思いつかないということであり、これをもって両商標が社会通念上同一であると解すべきである。
(3)以上のとおり、本件商標と実質的に同一視できる商標が本件審判の請求前3年以内に使用されているから、本件商標は商標法第50条の規定には該当しないものである。
4.当審の判断
商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、被請求人は、同条第2項の規定により、その取消請求に係る指定商品について、当該商標を使用していることを証明し、または使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その商標登録の取消を免れないところである。
そこで、被請求人が本件商標の使用の事実を証明するものとして提出した各乙号証についてみると、乙第1号証は、被請求人と「サリ株式会社」との本件商標の使用許諾契約書である。乙第2号証及び同第3号証は、「サリチェーン」が出した広告用のチラシであり、そこには、缶入りビールに「2001」、「オーガニックモルト2001」の表示がそれぞれみられる。また、乙第4号証は缶入りビールの写真であり、缶の側面には「2001」の表示がみられる。
ところで、本件商標は「2001年」の文字よりなるものであるのに対して、被請求人が商品「ビール」に使用しているとする標章は「2001」の文字である。そして、「2001年」は、西暦2001年を意味するものであるのに対し、被請求人が「ビール」に使用しているとする「2001」は単に数量、記号等を表す数字であるから、「2001年」と「2001」とは異なるものと言うのが相当である。
これは、商標の本質的役割が常に自他商品の識別機能にあり、ある年代だけは商標として認識されるが、それ以外は単に数量、記号等を表す数字としか認識されないようなものは商標として認められないからである。
したがって、被請求人の使用している「2001」と登録商標「2001年」とは、その意味合いが異なるから、社会通念上同一性を有する商標とは言い得ないものである。
してみれば、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、その指定商品について使用されていなかったものと言わざるを得ないものであるから、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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