Trademark Appeal Case
周知商標と不正登録
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2010−900183(T2010−900183/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第5311184号商標(以下「本件商標」という。)は、「アールシータバーン」の片仮名を横書きしてなり、平成21年10月24日に登録出願、同22年2月19日に登録査定がなされ、第43類「飲食物の提供」を指定役務として、同年3月26日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立ての理由(要約)
1 商標法第4条第1項第10号について
甲第1号証は、関東地方及び関西地方で経営する店舗名称を示すサイトのプリントである。
甲第2号証は、営業形態別(ダイニングバー、和食店などの形態)のリストであって店舗名称とその場所を示す。
甲第3号証は、レストラン「RC TAVERN アールシータバーン」のオープン前にそのオープンを宣伝するために作成した案内パンフレットである。
当該パンフレットは、40、000部印刷され、平成21年9月18日にダイナックが経営する各店舗に8、000部配布し、来店したお客が自由に持ち帰るようにした。
また、当該パンフレットは、平成21年9月19日に、8、000部街頭での配布が開始され、残りの24、000部は、「倶楽部ダイナック会員」(ダイナツクの経営する店舗のメンバースカートの会員)宛にダイレクトメールにより配布された。
甲第4号証の1は、平成21年9月30日に甲第4号証の2のリストに掲載した新聞社雑誌社等へ一斉に送付した、レストラン「RC TAVERN アールシータバーン」のオープン案内書である。
甲第5号証は、「日経MJ」が平成21年10月14日に掲載した記事を示すものである。
甲第6号証は、甲第3号証に示すレストラン「RC TAVERN アールシータバーン」と同じ内容のサイトを立ち上げた結果、当該サイトに平成21年9月17日から同年10月9日までの間に、PCあるいは携帯電話からアクセスした件数を示すリストである。
当該リスト右側に示す「ユニーク」は、同一回線からの複数回のアクセスを1回と計算した場合の数字である。異なった日に同じ人がアクセスすることもあるので、人数を示すものではないが、「ユニーク」欄の数字が人数を示す数字として把握する場合は、より正確な数字である。
以上のとおり、「RC TAVERN」の欧文字と「アールシータバーン」の片仮名を二段に書してなる商標(以下「使用商標」という。)は、他人の業務に係る役務「飲食物の提供」を表示するものとして、本件商標の登録出願の時に東京及び東京の近郊において、需要者の間に広く認識されている商標である。
また、本件商標と使用商標は、類似する商標である。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号に違反してされたものである。
2 商標法第3条第1項柱書きについて
商標権者は、脈略のない非常に多岐にわたる役務を指定役務として、45件の登録商標を取得しており、これらの登録商標の登録料について、最初の5年分のみを支払っている。
してみれば、本件商標は、自己の業務に係る役務について使用する商標ではないと推認することができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第3条第1項柱書きに違反してされたものである。
3 商標法第4条第1項第7号及び同第19号について
商標権者が、45件の登録商標を取得していることは、上記2に述べたとおりであるが、当該登録商標のうち12件(甲第8号証)を取り上げると、いずれも、第43類「飲食物の提供」を指定役務とするものであるところ、商標権者が、飲食物の提供を行っている事実はない。
また、当該商標を使用して飲食物の提供を行っている店舗と商標権者とは、無関係である。
そうとすれば、商標権者は、既にオープンしている店舗名が商標として登録されていないことを調べ、あるいは、これから店舗をオープンするとの情報をインターネット等から知って、登録出願をしているものと推認することができる。
このような行為は、公正な競争秩序を乱し、他人の顧客吸引力や経済的・財産的利益に乗じて自己の利益を追求する不正な競争行為であり、周知商標に対する不正な模倣あるいは寄りかかりであって、公正な競争秩序の維持を目的とする商標法の精神にもとるものである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号及び同第19号に違反してされたものである。
4 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項柱書き、同法第4条第1項第7号、同第10号及び同第19号の規定に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである。
第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第10号及び同第19号について
(1)使用商標の周知性について
ア 事実認定
(ア)甲第1号証及び甲第2号証は、「株式会社ダイナック」のウェブサイトのプリントアウトであり、甲第1号証の2枚目に「RC TAVERN」及び甲第2号証の10枚目に「RCタバーントラストタワー店」が店名として紹介されていることが認められるが、当該ウェブサイトへの情報掲載日又はその情報の最新更新日などが不明であるばかりでなく、同号証がプリントアウトされたのは、本件商標の登録査定の時より後の2010年7月13日である。
(イ)甲第3号証は、レストラン「RC TAVERN アールシータバーン」のパンフレットと認められるところ、使用商標の外、「2009.10.1 GRAND OPEN」等が表示されている。
申立人は、同号証について、「40、000部印刷され、平成21年9月18日にダイナックが経営する各店舗に8、000部配布し、来店したお客が自由に持ち帰るようにした。また、当該パンフレットは、平成21年9月19日に、8、000部街頭での配布が開始され、残りの24、000部は、「倶楽部ダイナック会員」(ダイナツクの経営する店舗のメンバースカートの会員)宛にダイレクトメールにより配布された。」旨主張しているが、当該主張を証する書面を何ら提出していないから、当該パンフレットが、本件商標の登録出願前に配布されたと認定することはできない。
(ウ)甲第4号証の1は、レストラン「RC TAVERN アールシータバーン」のオープンを知らせる株式会社ダイナックの案内書と認められるところ、「RC TAVERN アールシータバーン」、「10月1日(木)東京駅駅前(日本橋口)にオープン」等が表示されている。
甲第4号証の2は、申立人が甲第4号証の1の送付先リストであると主張する書面であるところ、日付けについては「2009 9/30 送付」と手書きで記載されているのみであるから、これをもって、当該パンフレットが、本件商標の登録出願前に発送されたと認定することはできない。
(エ)甲第5号証は、「日経MJ」が平成21年10月14日に掲載した記事の写しであると申立人が主張する書面であるところ、ダイナックが女性向けパブの新業態の名称として「RC TAVERN(アールシータバーン)」を開発し、1日、1号店を東京・丸の内に出店した旨が記載されており、同号証の左上には、「2009年10月14日(水)日経MJ」と表示されている。
しかしながら、同号証の「2009年10月14日(水)日経MJ」の文字は任意に記入し得るものであるから、当該文字をもって、当該書面が「日経MJ」が平成21年10月14日に掲載した記事であると推認することはできない。
(オ)甲第6号証は、「日別アクセス数推移表 g851573 RC TAVERN トラストタワー店」と題する書面であるところ、2009年9月17日から同年10月9日までのアクセス数の合計が、合計(PC)10224、合計(モバイル)1265、合計(ユニーク)4154となっている。
イ 判断
以上のとおり、甲第1号証及び甲第2号証は、ウェブサイトに掲載された日時等が明らかでなく、甲第3号証及び甲第4号証の1は、頒布された日時が明らかでなく、甲第5号証は、平成21年10月14日に「日経MJ」に記載された事実が明らかではない。
仮に、甲第1号証及び甲第2号証が本件商標の登録出願前にウェブサイトに掲載され、甲第3号証及び甲第4号証の1が本件商標の登録出願前に頒布され、甲第5号証が平成21年10月14日に「日経MJ」に掲載されたと仮定したとしても、レストラン「RC TAVERN(アールシータバーン)」が全国で1カ所のみであること及び当該レストランがオープンした2009年10月1日から、本件商標の登録出願日である同年同月24日までが極めて短期間であることを考え合わせれば、この程度の証拠では、使用商標が他人の業務に係る役務「飲食物の提供」を表示するものとして、本件商標の登録出願の時に、需要者の間に広く認識されている商標であるということはできない。
(2)小括
使用商標が、他人の業務に係る役務「飲食物の提供」を表示するものとして、本件商標の登録出願の時に、需要者の間に広く認識されている商標であるということはできないことは、上記(1)のとおりであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第19号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第7号について
商標法第4条第1項第7号については、同号の趣旨からすれば、当該商標の構成自体が矯激、卑猥、差別的な文字、図形である場合など、その商標を使用することが社会公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反する場合、他の法律によって当該商標の使用等が禁止されている場合、当該商標ないしその使用が特定の国若しくはその国民を侮辱し又は一般に国際信義に反するものである場合がこの規定に該当することは明らかであるが、それ以外にも、特定の商標の使用者と一定の取引関係その他特別の関係にある者が、その関係を通じて知り得た相手方使用の当該商標を剽窃したと認めるべき事情があるなど、当該商標の登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあり、その商標登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ない場合も、この規定に該当すると解するのが相当である(知的財産高裁平成16年(行ケ)第7号、平成16年12月21日判決参照。)
これを本件についてみれば、本件商標は、その構成自体が矯激、卑猥、差別的な文字、図形からなるものではないし、その使用が他の法律等によって禁止されているものでもなく、特定の国民を侮辱したり国際信義に反するものでもない。
そして、たとえ本件商標権者が使用商標の存在を知りながら本件商標を登録出願したものであるとしても、本件商標が引用商標を剽窃したものであることを窺わせるような事実はないから、本件商標の登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあるいうことはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
4 商標法第3条第1項柱書きについて
商標法第3条柱書きの「自己の業務に係る商品又は役務について使用する商標」として登録を受けられる商標は、現に使用している商標だけでなく、使用する意思があり、かつ、近い将来使用する予定のある商標も含まれると解すべきであるところ、設定登録料金を最初の5年分だけ支払っていることをもって、本件商標の登録査定時に、商標権者が本件商標をその指定役務について、現に使用しているか又は近い将来使用する予定があるかについて、格別に合理的疑義があったものと認めることはできない。
そして、その他、商標権者が本件商標を使用していない又は使用をする意思がないとする証左は、提出されていない。
してみれば、本件商標が商標法第3条第1項柱書きに反するものということはできない。
5 結び
以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項柱書き、同法第4条第1項第7号、同第10号及び同第19号に違反して登録されたものということができないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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