Trademark Appeal Case
「温」の称呼と観念の類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2009−25519(T2009−25519/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「温」の文字を標準文字で書してなり、第11類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成20年6月30日に登録出願されたものである。
そして、願書記載の指定商品については、原審における平成21年1月28日付けの手続補正書により、第11類「便所ユニット,浴室ユニット,シャワー室,水道用栓,タンク用水位制御弁,パイプライン用栓,加熱器,調理台,流し台,洗面器及び手洗器(衛生設備用品の部品),洗面台及び手洗台(衛生設備用品の部品),洗い場付き浴槽,気泡発生装置付き浴槽,シャワー器具及びその部品,浴槽がま,その他の浴槽類,洗浄機能付き便座,その他の便座,便器,和式便器用いす,小便器,ビデ(医療機械器具に属するものを除く。),洗面所用消毒剤ディスペンサー,洗面所用水せっけんディスペンサー,ガスストーブ,その他の火鉢類」と補正された。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用した登録第1202507号商標(以下「引用商標」という。)は、「あたたか」の文字を書してなり、昭和48年7月20日登録出願、第7類「建築又は構築専用材料、セメント、木材、石材、ガラス」を指定商品として、同51年5月27日に設定登録され、同61年6月24日、平成8年9月27日及び同18年6月6日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、その後、同18年6月28日に指定商品を、第6類「金属製建造物組立てセット」、第11類「便所ユニット,浴室ユニット」及び第11類「建造物組立てセット(金属製のものを除く。)」を含む第6類、第11類及び第19類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。
3 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり「温」の文字よりなるところ、該文字は「(熱くもなく冷たくもなく程よく)あたたかい。あたたかさ。おだやか。」等を意味する語であって、「オン、アタタ(カ)・アタタ(カイ)」等の称呼を生ずるものである(「広辞苑 第六版」<岩波書店>参照)。
ところで、本願商標の指定商品中の、引用商標と抵触関係にある「便所ユニット,浴室ユニット,シャワー室」を含む「給水用及び衛生用の装置」に関し、これらの装置が供給する水や霧などについて、温かいものと冷たいものを切り替えることが可能な商品が多数存在し、こうした切替について、以下のとおり、「温/冷」「温・冷」等の表現が用いられている事実がある。
(1)「積水化学工業株式会社」を出願人とする特許出願「特開2000−245803(特願平11−48557) ミストサウナ装置」において、「【0012】このミストサウナ装置1は、以上のように、温/冷切替ボタン34を押すことによって噴霧部2への高温水および冷水の供給を簡単に切り替えることができる。」との記載がある。
(2)「株式会社ホームプロ」のウェブサイトにおいて、「キッチン・台所 リフォーム基礎知識」の見出しのもと、「水栓」「水栓のかたち」の項に、「◆ハンドルが温・冷2つあるもの」との記載がある。http://www.homepro.co.jp/info/kitchen/basics/setsubi005.shtml
そうとすると、「温」の一文字からなる本願商標は、その指定商品との関係において、「温度がほどよくあたたかいさま。」の意味合いを想起させるというのが自然である。
また、本願指定商品とは分野は異なるが、商品・役務の説明等において、送り仮名をつけず、「温」一文字で「あたたか」と読ませる事例が、以下のとおり存在する。
(1)「健康マッサージ 温-あたたか- 」のウェブサイトにおいて、「健康マッサージ 温(あたたか)」「温(あたたか)カテゴリ」等の記載。http://massage-atataka.com/
(2)「株式会社太田煙火製造所」のウェブサイトにおいて、「温(あたたか)」の記載。http://www.sun-inet.or.jp/~otaenka/info2.htm
(3)「中国雑貨 温 - あたたか -」のウェブサイトにおいて、「中国雑貨 温 - あたたか -」の記載。http://china-atataka.com/?mode=sk
(4)「繁桝(しげます)を飲める店」のウェブサイトにおいて、「温(あたたか」の記載。http://www.shigemasu.co.jp/store_in.html
そうとすると、「温」の一文字からなる本願商標を取引に資する場合に、これを訓読みで、送り仮名を補って「アタタカ」と称呼することが不自然であるとはいえない。
してみれば、本願商標は、「温度がほどよくあたたかいさま。」の観念を生じ、「アタタカ」の称呼も生ずるものというのが相当である。
他方、引用商標は、前記2のとおり「あたたか」の文字よりなるところ、該文字は「暖か」又は「温か」に通じるものであって、「気候や温度が暑すぎずほどよいさま。」(前出「広辞苑」)等を意味する語であるから、その指定商品のうち、本願商標と抵触関係にある「便所ユニット,浴室ユニット」及び「建造物組立てセット」中「シャワー室」との関係においては、「温度がほどよくあたたかいさま。」の観念を生じ、「アタタカ」の称呼を生ずるものというのが相当である。
そこで、本願商標と引用商標の類否についてみると、前記のとおり、本願商標は漢字から、引用商標は平仮名からなるものであるから、両商標の外観は異なるものであるが、共に「温度がほどよくあたたかいさま。」の観念を生じ、「アタタカ」の称呼を生ずるものである。
そうすると、これらを総合的に考察すると、本願商標と引用商標とは、外観において相違するとしても、観念及び称呼を共通にする相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
また、本願商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品を含むものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
なお、請求人は他の登録例を挙げ、本願商標も同様に登録されるべきである旨主張するが、請求人が挙げる他の登録例は、商標の構成において、本願商標とは事案を異にするものであって、これら事例をもって、本願商標の登録の適否を判断する基準とするのは必ずしも適当でなく、かつ、本願商標と引用商標の類否の判断は、当該出願に係る商標と他人の登録商標(引用商標)との対比において、個別・具体的に判断すべきものであり、過去の登録例に拘束されることなく検討されるべきものであるから、この点についての請求人の主張は採用することができない。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すべきものではない。
よって、結論のとおり審決する。
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