Trademark Appeal Case
ISOの著名性と類似性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2009−23704(T2009−23704/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第9類「高速測定データ用収集装置,データーロガー,遠隔監視により計測したデータを保存し且つ要求に応じて保存データを送信する機能を有する情報収集装置,測定データ用絶縁式入力モジュール,測定機械器具,電気磁気測定器,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として、平成19年8月1日に登録出願されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、多少図案化されているものの、容易に『iso』の欧文字と『PRO』の欧文字とを組み合わせてなるものと認識されるところ、その構成中の『iso』の文字部分は、物資及びサービスの国際交換を容易にし、知的、科学的、技術的及び経済的活動の分野において、国際間の協力を助長するために、世界的に規格の審議、制定の促進を図ることを目的とする団体である『国際標準化機構』(International Organization for Standardization)を表す著名な略称である『ISO』の文字と類似するものであるから、該文字を構成中に有してなる本願商標は、前記団体を表示する標章であって著名なものと類似する商標と認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断をして本願を拒絶したものである。
第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第6号について
商標法第4条第1項第6号(以下「本号」という。)において、「国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関、公益に関する団体であって営利を目的としないもの又は公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であって著名なものと同一又は類似の商標」は、商標登録を受けることができない旨規定している。
工業所有権法逐条解説[第17版](特許庁編集 社団法人発明協会発行)によれば、「六号の立法趣旨はここに掲げる標章を一私人に独占させることは、本号に掲げるものの権威を尊重することや国際信義の上からみて好ましくないという点にある。なお、本号は八号と異なり、その承諾を得た場合でも登録しないのであるから単純な人格権保護の規定ではなく、公益保護の規定として理解されるのである。」と説明されている。
また、知的財産高等裁平成20年(行ケ)10351号判決(判決言渡日 平成21年5月28日)(以下「知財高裁判決」という。)において、「商標法4条1項6号の規定は、同号に掲げる団体の公共性にかんがみ、その権威を尊重するとともに、出所の混同を防いで需要者の利益を保護しようとの趣旨に出たものであり、同号の規定に該当する商標、すなわち、これらの団体を表示する著名な標章と同一又は類似の商標については、これらの団体の権威を損ない、また、出所の混同を生ずるものとみなして、無関係の私人による商標登録を排斥するものであると解するのが相当である。」旨判示されている。
そこで、以上の観点から本件について検討する。
2 本願商標の本号の該当性について
(1)「ISO」の文字の著名性について
「国際標準化機構(英語表記:International Organization for Standardization)」は、「国家間の製品やサービスの交換を助けるために、標準化活動の発展を促進すること」及び「知的、科学的、技術的、そして経済的活動における国家間協力を発展させること」を目的とし、1947年に発足した国際機関であり、電気及び電子技術分野を除く全産業分野(鉱工業、農業、医薬品等)に関する国際規格の作成を行っている等、公益に関する事業をおこなっている非営利法人であり、会員数は、2009年末で162か国に及び、我が国は、1952年に日本工業標準調査会(JISA)が加入している(日本工業標準調査会ホームページ、フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』参照)。
そして、該機構は、その英語表記の頭文字3字から「ISO」と略称され、「ISO」の文字が、我が国において、前記機構を示すものとして、広く知られていることは、別掲2に示すとおり、辞典等の記載や新聞記事情報等からも明らかである。
(2)本願商標と「ISO」の類似について
本願商標は、別掲1に示すとおり、その構成文字は、ややレタリングが施されているものの、この程度の図案化は、通常に実施されている手法であり、容易に「isoPRO」の欧文字を表したものとして看取し得るものである。
そして、当該文字は、前半の「iso」を小文字で、後半部の「PRO」を大文字で書してなるものであるから、外観上、「iso」と「PRO」との両文字に分離して看取されるものである。
また、「isoPRO」の文字が、一連で、なんらかの特定の意味合いを看取させるものである等、これらを常に不可分一体のものとしてのみ観察されなければならないとするべき特段の事情も認められないことからすると、本願商標の構成文字中の「iso」と「PRO」との結合の度合いは、決して高いということはできない。
そうすると、簡易迅速を尊ぶ取引の実際にあっては、本願商標に接する取引者、需要者は、その構成前半に位置する「iso」の文字部分のみに印象を留め、当該文字部分のみをもって、取引に資する場合も決して少なくないというべきである。
してみれば、本願商標は、その構成中「iso」の文字部分が独立して看取されるものと認められることから、「iso」の文字部分に相応して、「イソ」あるいは「アイエスオー」の称呼をも生ずるものである。
そして、「iso」の文字は、「国際標準化機構」の著名な略称「ISO」とその綴りを同じくすることから、「国際標準化機構」の観念を生ずるものとみるのが相当である。
してみれば、本願商標は、公益に関する団体であって営利を目的としないもの又は公益に関する事業であって営利を目的としない団体「国際標準化機構」を表示する著名な略称「ISO」と類似の商標といわなければならない。
よって、本号の立法趣旨や知財高裁判決の判示内容から、「国際標準化機構」とは無関係の一私人たる請求人が、本願商標を独占することは、公益保護の観点からも適当であるとはいえない。
3 請求人(出願人)(以下「請求人」という。)の主張について
(1)請求人は、「本願商標は『isoPRO』の少ない6語かならなる英文字からなり、その文字体をデザイン化し、更に分離不可な一体文字からなる文字態様に構成したものであり、何ら観念が生じない造語である。また、本願商標の称呼はごく自然に『イソプロ』又は『アイソプロ』と一連で称することが出来ることから、本願商標を『iso』と『PRO』に分離したうえで、『iso』の文字部分のみを切り離し、これが商標法第4条第1項第6号の公益に関する団体を表示する著名な標章に当たるとするのは妥当でない。」旨主張する。
しかしながら、本願商標が、本号に該当するか否かについては、本願商標と「国際標準化機構」の著名な略称「ISO」とが、同一又は類似の商標であるか否かについて判断するものといえる。
そして、前記2(2)で認定したとおり、本願商標は、前半部の「iso」を小文字で、後半部の「PRO」を大文字で書してなるから、外観上、「iso」と「PRO」とに分離して看取されるものといえ、かつ、「isoPRO」の文字が、一連で、なんらかの特定の意味合いを看取させるものである等、これらを常に不可分一体のものとしてのみ観察されなければならないとするべき特段の事情も認められないことからすると、本願商標は、その前半部の「iso」の文字部分が独立して看取されるものと判断するのが相当であって、「iso」の文字は、「国際標準化機構」の著名な略称「ISO」とその綴りを同じくすることから、本願商標は、公益に関する団体であって営利を目的としないもの又は公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であって著名な略称「ISO」と類似の商標である。
したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。
(2)請求人は、「過去の登録例をみると、『iso』や『ISO』を含む商標が多数登録されており、また、他国では、登録されている事実がある。かかる状況からすれば、本願商標は、登録されるべきである。」旨主張する。
しかしながら、本願商標が本号に該当するか否かの判断は、個別、具体的に判断するものであり、他の登録例等に必ずしも拘束されるものではない。 また、本願商標の登録の可否は、我が国の商標法に基づき、判断するものであり、他国における審査例や登録例をもって、本願商標を登録しなければならない事情は存在しない。
したがって、請求人の上記主張は採用することができない。
(3)その他の請求人の主張をもってしても、原査定の拒絶の理由を覆すことはできない。
4 まとめ
以上によれば、本願商標は、商標法第4条第1項第6号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当であって、これを取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
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