Trademark Appeal Case
立体商標の識別力と使用による識別性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2009−14236(T2009−14236/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、第5類に属する出願時の願書に記載の商品を指定商品として、平成20年1月8日に立体商標として登録出願されたものであり、指定商品については、当審における同21年9月18日付け手続補正書によって、第5類「薬剤」と補正されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、その指定商品中の『薬剤』を詰める容器として通常採用し得る一の立体的形状を表したものと認められるものであって、また、その構成中の『赤色を付した長方形の図形部分』においても、スプレー式缶の白い胴体部分において商品の材質や形態などの内容表示をするための部分として、格別識別機能を有する図形部分とは認められないから、これをその指定商品中の『薬剤』に使用するときは、商標全体としても自他商品を区別するための識別標識としての機能を有せず、単にその商品の包装の形状(包装容器)を表示するにすぎないものといわざるを得ない。したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当し、これをその指定商品中の『薬剤』以外の商品(『薬剤の容器』の立体的形状と認められるものであるから)に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを行ったところ、別掲(2)に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、平成22年3月19日付けで証拠調べの結果を通知した。
第4 職権証拠調べに対する請求人の意見の要点
請求人は、前記第3の証拠調べ通知に対して、平成22年5月6日付けの意見書及び同年6月3日付けの上申書において、以下のように意見を述べ、証拠方法として、甲第50号証ないし甲第91号証を提出した。
1 本願商標の立体的形状の胴体部分に描かれた図形は、商品名や製造販売業者名を表示する背景的な図形や、美感を向上させるための装飾若しくは単なる地模様的な装飾ではない。
2 本願商標は、使用による自他商品の識別機能を獲得しているから、商標法第3条第2項により登録を認められるべきである。
第5 当審の判断
1 本願商標について
本願商標は、別掲(1)のとおり、スプレー式缶等の包装容器と認識される円筒状の立体的形状の胴体部分に赤色及び青色を施した装飾的又は背景的な図形を表してなるものである。
2 本願商標の自他商品の識別性について
平成8年法律第68号により改正された商標法は、立体的形状若しくは立体的形状と文字、図形、記号等の結合又はこれらと色彩との結合された標章であって、商品又は役務について使用するものを登録する立体商標制度を導入した。
立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品、役務の出所を表示し、自他商品、自他役務を識別する標識として採択されるものではない。
そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは前記したように、商品等の機能又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品等の機能又は美感と関わる形状は、多少特異なものであっても、未だ商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。
また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。
そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者・需要者間において、当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。
(1)本願商標の立体的形状について
本願商標は、別掲(1)のとおりであるところ、その指定商品である「薬剤」を詰める容器(例えば、スプレー式缶)として通常採択し得る円筒状の立体的形状であり、その商品の形状そのものの範囲を出ないと認識され、かつ、その商品の形状の一形態であることを容易に認識させるにすぎないものであると認められる。
そして、別掲(2)の「証拠調べ通知の内容」中、1及び2の各事実から、本願の指定商品に関する取引の実情においても、本願商標に係る立体的形状であるスプレー式缶の商品が多数製造・販売されている事実を認めることができ、そのほとんどのものが、本願商標と同様の円筒状の立体的形状であると認められるものである。
そうとすると、本願商標の立体的形状は、同種の商品において、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるため、取引上何人もこれを使用する必要があり、その使用を欲するものであって、その立体的形状のみをもって商品の出所を表示する識別標識としての機能を発揮しているものとして一私人に独占を認めるのは、妥当でないものと認められる。
(2)本願商標の立体的形状に付された図形部分について
本願商標は、その構成中に、赤色及び青色の大小の矩形等の図形部分(以下「本願図形」という。)を有するものである。
そして、別掲(2)の「証拠調べ通知の内容」中、1ないし3の各事実からも認められるように、一般的に本願の指定商品を取り扱う業種においては、その商品に商品名及び製造販売業者名等の表示をする場合に、需要者が注意や注目を惹くように装飾的又は背景的図形を施されたものが多数使用されるところ、本願商標の立体的形状に表された本願図形は、需要者がその商品の取引業界において通常採用し得る範囲での装飾等と認識するに止まるものであると認められる。
さらに、本願商標の立体的形状に表された本願図形は、単なる大小の矩形等の図形の組み合わせよりなるものであって、特定の称呼及び観念を生じるものと認めることもできない。
そうとすれば、本願商標の構成中の大小の矩形等の本願図形は、これに接した取引者、需要者をして当該立体的形状であるスプレー式缶の白い胴体部分において、その商品の商品名、あるいは商品の品質・効能等を表示するための背景的な図形として認識されるにすぎず、もしくは、スプレー式缶の商品としての美感を向上させるための装飾的又は背景的な図形と認識させるに止まるため、該図形部分が商品の出所を表示する識別標識としての機能を発揮しているものと認識されることはないものと認められる。
ところで、立体商標の類否に関して、「立体商標は、立体的形状又は立体的形状と平面商標との結合により構成されるものであり、見る方向によって視覚に映る姿が異なるという特殊性を有し、実際に使用される場合において、一時にその全体の形状を視認することができないものであるから、これを考察するに際しては、看者がこれを観察する場合に主として視認するであろう一又は二以上の特定の方向(以下『所定方向』という。)を想定し、所定方向からこれを見たときに看者の視覚に映る姿の特徴によって商品又は役務の出所を識別することができるものとすることが通常であると考えられる。そうであれば、立体商標においては、その全体の形状のみならず、所定方向から見たときの看者の視覚に映る外観(印象)が自他商品又は自他役務の識別標識としての機能を果たすことになる・・(中略)・・特許庁の商標審査基準が、立体商標の類否判断につき、『立体商標の類否は、・・・次のように判断するものとする。ただし、特定の方向から観た場合に視覚に映る姿が立体商標の特徴を表しているとは認められないときはこの限りでない。(イ)立体商標は、原則として、それを特定の方向から観た場合に視覚に映る姿を表示する平面商標(近似する場合も含む。)と外観において類似する。』と規定するのは以上の趣旨であると解される。」(東京高等裁判所 平成13年1月31日言渡 平成12年(行ケ)第234号)と判示されているところである。
そこで、検討するに、看者が本願の立体的形状に付された平面標章に接したときには、これを観察する場合に主として視認するであろう所定方向とは、顕著に表示されたブランド名や商品の説明書き等が表示された部分を視認できる方向であって、これをもって商品の購入に当たるのが取引の実情と認められる。
そうとすれば、所定方向から見た場合にあって、一時にその全体の平面標章を視認することができない平面標章にあっては、看者の視覚に映る姿に特徴を有していないか、構成が散漫となるものであるから商品の出所を識別することができないものと判断するのが相当である。
特に、本願商標はスプレー式缶の容器であり、実際に本願商標が取引される場においては、看者は、本願商標に係る商品を実際に手にした際に、あるいは、該商品の立体的形状を全体より見ることができるように陳列棚に置かれた際に、その立体的形状の胴体部分に表された本願図形について、一時にその全体の形状を認識することはできないものと認められる。
よって、本願図形は、これを所定方向から見た場合であっても、特定の称呼及び観念を生じるものではなく、その商品の商品名、あるいは商品の品質・効能等を表示するための装飾的又は背景的な図形として認識されるにすぎず、もしくは、スプレー式缶の商品としての美感を向上させるための装飾若しくは単なる地模様的な装飾と認識させるに止まるため、商品の出所を表示する識別標識として機能を発揮しているものと認めることはできない。
さらには、仮に、所定方向から本願商標を見た場合に、その立体的図形に付された本願図形の主たる要素を視認できたとしても、商品の識別標識としての商標は、出所表示機能、品質保証機能及び広告宣伝機能を発揮するところ、このような商標は、商品の包装容器に表示される場合には、一般的にその前面や背部を掩うように大きく表示されることはないのが取引の実情である。
そうとすれば、本願商標の立体的形状に付された本願図形は、所定方向から全容を視認できないものであるから、自他商品識別標識として機能を果たす文字商標を付すことを予定されて表示される背景図形として認識されるものである。
したがって、本願商標の立体的形状に付された本願図形は、自他商品識別標識としての機能を果たし得ないものである。
(3)平成22年5月6日付けの意見書における、本願商標の立体的形状に付された図形部分についての請求人の主張について
請求人は、本願商標の立体的形状に表された図形部分は図形商標として独自性や創造性を有する旨、主張している。
しかしながら、前記認定のとおり、本願図形よりは、特定の称呼及び観念を生じさせるものではなく、その商品の商品名、あるいは商品の品質・効能等を表示するための背景的な図形として認識されるにすぎず、もしくは、スプレー式缶の商品としての美感を向上させるための装飾的又は背景的な図形と認識させるに止まるため、取引業界において採用し得る範囲での装飾等と認識されるものであると認められる。
次に、請求人は、薬剤市場における包装容器についての取引の実情を説明した上で、包装容器についての商標登録の例をあげ、「商品の包装容器に描かれた図形が自体商品の識別にあたり重要な要素であるという取引の実情に鑑みれば、自他商品の識別力の判断において、立体商標の立体的図形に描かれた図形商標も平面商標と同様に取り扱うべきである」旨、主張している。
そこで、検討するに、請求人の提出に係る甲第55号証、同第57号証、同第58号証、同第60号証、同第62号証、同第64号証及び同第66号証による各登録商標は、通常の平面商標であるから、本願商標の立体的形状に付された図形部分とは事案を異にするものであるから、請求人の主張を採用することはできない。
3 本願商標の商標法第3条第2項該当性について
平成22年5月6日付けの意見書において、請求人は、本願商標は使用による自他商品の識別機能を獲得しているとして、本願商標は商標法第3条第2項により登録を認められるべき旨、主張している。
出願に係る商標が、その指定商品との関係において、単に商品の品質、効能、用途等を表示したものと認識させるに止まるために商標法第3条第1項第3号に該当する場合に、それが同条第2項に該当し、使用による識別性が発生したとして登録が認められるか否かは、(a)実際に使用している商標及び商品等、(b)使用開始時期、使用期間、使用地域、(c)該商品の生産、証明若しくは譲渡の数量又は営業の規模(店舗数、営業地域、売上高等)、(d)広告宣伝の方法、回数及び内容、(e)一般紙、業界紙、雑誌又はインターネット等における記事掲載の回数及び内容、(f)需要者の商標の認識度を調査したアンケートの結果等の事実を総合勘案して、出願商標が使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものと認められるかどうかによって判断するものであり、かつ、使用に係る商標及び商品は、出願に係る商標及びその指定商品と同一の場合に限られるものである。
そこで、これらの観点から本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するか否かについて検討する。
(1)本願商標と使用に係る商標との同一性について、「商標法3条2項の要件を具備するためには、使用商標は、出願商標と同一であることを要し、出願商標と類似のもの(例えば、文字商標において書体が異なるもの)を含まないと解すべきである。なぜなら、同条項は、本来的には自他商品識別力がなく、特定人の独占にもなじまない商標について、特定の商品に使用された結果として自他商品識別力を有するに至ったことを理由に商標登録を認める例外的規定であり、実際に商品に使用された範囲を超えて商標登録を認めるのは妥当ではないからである。そして、登録により発生する権利が全国的に及ぶ更新可能な独占権であることをも考慮すると、同条項は、厳格に解釈し適用されるべきものである。」(知財高等裁判所 平成18年6月12日言渡 平成18年(行ケ)第10054号)と判示されているところである。
そこで、本願商標と、提出に係る各証拠方法中にある、請求人が実際に使用している、請求人の製造及び販売に係る商品である「エアーサロンパス」の構成態様について考察するに、本願商標は別掲(1)のとおりであるところ、請求人の提出に係る甲第69号証、甲第74号証及び甲第75号証並びに当審における別掲(2)の「証拠調べ通知の内容」中、3の請求人による使用の事実によれば、該商品は、本願の指定商品「薬剤」に含まれる「消炎鎮痛剤」であって、本願商標の立体的形状であるスプレー式缶の胴体部分に、白抜きの「AIR」、「SALONPAS」、「ID」及び製造会社名である「Hisamitsu」の文字を、背景図形として認識される本願図形上に付してなるところ、同胴体部分には商品の品質・効能等を意味する「スプレー式鎮痛消炎剤」等の文字の記載があるものである。
そして、本願商標と、請求人の提出に係る甲第69号証、甲第74号証及び甲第75号証記載の「エアーサロンパス」とは、その構成態様を比べても、上記の文字の記載の有無並びに甲第69号証においては本願図形と色彩も異なるため、明らかに同一とは認め難いものであると判断するものである。
また、請求人の提出に係る意見書及び甲第69号証、甲第71号証、甲第72号証及び甲第76号証中にある、使用開始時期、使用期間、使用地域、該商品の生産等の数量又は営業の規模(売上高等)、広告宣伝の方法、回数及び内容、雑誌等における記事掲載の回数及び内容等について検討するに、請求人は意見書において「エアーサロンパス」は1936(昭和38)年の販売以降、半世紀にわたりトップシェアを誇る商品である旨を主張し、甲第71号証による「2009年4月27日<通巻第888号> 国際医薬品情報」において、「エアーサロンパス」の2009年2月期の売上高は20億2600万円であり、請求人による他の消炎鎮痛剤の中には同時期に718億9700万円もの売上高が認められる商品もあるため、提出に係る証拠によっては「エアーサロンパス」は本願出願人による製造・販売に係る商品の中においてもきわめて少ないものと認められ、かつ、甲第72号証による「株式会社インテージ社のSDI移動年計平成21年5月現在(店頭価格ベース)」において、スプレー(噴霧)式の鎮痛消炎剤(一般医薬品)市場における「エアーサロンパス」の市場占有率は81.6%を有するものであるが、前記認定のとおり、その売上高より勘案すると、消炎鎮痛剤の市場全体よりすれば「エアーサロンパス」の売上高が高いものとは認められないため、これらをもって使用による識別力を生じているとする証拠とはなり得ないものと判断する。
広告宣伝についても、請求人は意見書において「エアーサロンパス」の発売当初である1934年から大規模な宣伝広告を行ってきた旨を主張するが、甲第74号証のテレビコマーシャルによる広告宣伝の証左はその放送時期が不明であり、甲第69号証のアドバルーンによる広告宣伝並びに甲第75号証及び甲第76号証による雑誌への広告宣伝及び「東京マラソン2008」への協賛活動の記事は、平成19年5月、同20年2月、同21年5月及び同22年2月における一定期間のものに限られ、また、甲第76号証は「エアーサロンパス」の表示はあるが、これが本願商標と同一の商標か不明であるため、これらをもってしても使用による識別力を生じているとする証拠とはなり得ないものと判断する。
そして、これらの全てのものが前記態様による「エアーサロンパス」に関するものであり、前記認定のとおり、本願商標とは同一とは認められないため、本願商標が使用により識別性を有するに至ったか否かの判断をするための証拠として用いることはできないものと判断する。
よって、本願商標は、提出に係る各証拠によっては、本願商標と使用に係る商標の同一性が認められないため、出願商標が使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものと認められるかどうかについて判断をするまでもなく、前記の商標法第3条第2項の適用の各要件を具備するものとは認めることはできない。
(2)次に、本願商標の立体的形状としての使用による識別力の獲得について考察するに、本願商標の立体的形状は、前記2(1)の認定のとおり、その指定商品である「薬剤」を詰める容器(スプレー式缶)として通常採択し得る立体的形状であり、その商品の形状そのものの範囲を出ないと認識されるものであり、さらに、「エアーサロンパス」の実際の使用の態様は前記のとおりであるところ、その立体的形状には、常に「AIR」及び「SALONPAS」等の文字を付して製造・販売されており、かつ、前記2(2)の認定のとおり、本願図形よりは、特定の称呼及び観念を生じさせるものではなく、その商品の商品名、あるいは商品の品質・効能等を表示するための背景的な図形として認識されるにすぎず、もしくは、スプレー式缶の商品としての美感を向上させるための装飾的又は背景的な図形と認識させるに止まるため、取引業界において採用し得る範囲での装飾等と認識されるものである。
そうとすると、請求人の製造及び販売に係る商品である「エアーサロンパス」は、該商品の胴体部分に付されている本願図形は自他商品の識別力を有するものではなく、その図形部分を背景とする「AIR」及び「SALONPAS」等の文字が、その商品の出所を表示する識別標識としての機能を発揮し、取引に資されているものと認められるから、請求人の提出に係る各証拠によっては、本願商標がその指定商品に使用された結果、需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものと認めることはできない。
よって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものに該当するということができないため、請求人の前記の主張は採用することはできない。
4 まとめ
以上の事実を総合勘案すると、本願商標に係る立体的形状は、その指定商品である「薬剤」を詰める容器(例えば、スプレー式缶)として通常採択し得る立体的形状であり、その商品の形状そのものの範囲を出ないと認識され、かつ、その商品の形状の一形態であることを容易に認識させるにすぎないものであると認められるため、前記の認定のとおり、その立体的形状のみをもって商品の出所を表示する識別標識としての機能を発揮しているものとして一私人に独占を認めるのは、妥当でないものと認められる。
そして、本願商標の構成中の赤色及び青色の大小の矩形等の図形部分である本願図形は、これに接した取引者、需要者をして当該立体的形状であるスプレー式缶等の白い胴体部分において、その商品の商品名、あるいは商品の品質・効能等を表示するための背景的な図形として認識されるにすぎず、もしくは、スプレー式缶等の商品としての美感を向上させるための装飾的又は背景的な図形と認識させるに止まるため、該図形部分が商品の出所を表示する識別標識としての機能を発揮しているものと認識されることはないものと認められる。
よって、本願商標をその指定商品である「薬剤」に使用しても、当該立体商標について全体観察した結果、これに接する取引者、需要者をして、結局、商品の形状そのものの範囲を出ないと認識されるにすぎず、商標全体として自他商品の識別標識としての機能を有する商標とは認識し得ないものであるために商標法第3条第1項第3号に該当する。
また、本願商標がその指定商品に使用された結果、需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものと認めることができないから、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものに該当するということができない。
5 結語
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであって、かつ、同法第3条第2項の要件を具備するものではないから、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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