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Trademark Appeal Case

外観と称呼・観念の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2010−1047(T2010−1047/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第3類「茄子の抽出エキスを含む化粧品」を指定商品として、平成20年12月5日に登録出願されたものである。

2 引用商標

原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用した登録商標は以下に示したものであり、いずれも現に有効に存続しているものである。

(1)登録第138660号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、大正10年6月28日に登録出願、第3類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同年12月5日に設定登録されたものである。その後、6回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、指定商品については、平成15年4月30日に、第3類「香料類(薫料・香精・天然じゃ香・芳香油を除く。),香水類,フケ取り香水,薫料,香油,髪膏,おしろい,化粧下」を指定商品とする書換登録がなされたものである。

(2)登録第2606178号商標(以下「引用商標2」という。)は、「VENUS」の欧文字と「ヴィーナス」の片仮名を上下二段に書してなり、平成元年10月4日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同5年12月24日に設定登録されたものである。その後、同16年2月10日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、指定商品については、同年6月2日に、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料」、及び第30類「食品香料(精油のものを除く。)」を指定商品とする書換登録がなされたものである。

3 当審の判断

(1)本願商標は、別掲1のとおり、「びーなす」の平仮名を毛筆体で左上から右下に斜めに書してなるところ、その構成文字に相応して、「ビーナス」の称呼を生ずるものであり、「美と愛の女神」の意味を有する「ビーナス」の語が一般に広く知られていることから、該語を平仮名で書したものと容易に理解され、「美と愛の女神」の観念を生ずるものである。

一方、引用商標1は、別掲2のとおり、ミロのビーナス(像)と思しき図形の上部に「スナヰヴ」の片仮名、「VENUS」の欧文字、「(神の美)」の文字を三段に書し、該図形の下部に「スナービ」の片仮名を書してなるものであり、その欧文字部分及び下段の「スナービ」の文字部分に相応して、「ビーナス」の称呼と「美と愛の女神」の観念を生ずるものである。

また、引用商標2は、上記2(2)のとおり、「VENUS」の欧文字と「ヴィーナス」の片仮名を上下二段に書してなるところ、その構成文字に相応して、「ヴィーナス」の称呼と「美と愛の女神」の観念を生ずるものである。

そこで、本願商標と引用商標1及び2の類否について検討するに、観念については、両商標は、「美と愛の女神」の観念を共通にするものである。

また、称呼については、本願商標と引用商標1とは、共に「ビーナス」の称呼を共通にするものであり、本願商標と引用商標2とは、「ビーナス」と「ヴィーナス」の称呼において、語頭の「ビ」と「ヴィ」の音が相違するものの、該差異音は、発音上区別なく発音されることもあり、極めて近似した音であることから、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは語調語感が極めて近似し、かれこれ聞き誤るおそれのあるものである。

そうとすると、本願商標と引用商標1及び2は、外観上の差異があるとしても、観念を共通にし、称呼において共通もしくは同一視できるほどに近似しているから、互いに相紛らわしい類似の商標といわざるを得ないものである。

そして、本願商標の指定商品は、引用商標1及び2の指定商品と同一又は類似するものである。

してみれば、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものと判断するのが相当である。

(2)請求人の主張について

ア 請求人(出願人)は、本願構成中の「び」の文字部分を「なす」の文字部分と比して大きく書し、両文字部分を左右に分離して「なす」の文字部分を縦書きにし、さらに、商品の成分(内容表記)を表現すべく、「び」の文字の態様によって「茄子/なす」の外観形状を表した創作性のある外観構成を採択していること等により、本願商標からは特有の観念が生じ得る旨、及び「茄子の抽出エキス」が肌(皮膚)をきれいにするということに着目して商品開発をし、この効果を前面に出したネーミングを考え、需要者・取引者にアピールすべく「茄子」を想起させた本願の商標を採択し、さらに、本願商標から「なす」を認識させ得るような企業努力も行っている旨、述べている。

しかしながら、本願商標は「び」の文字を、他の文字に比して大きく表してなるものの、「びーなす」の文字をまとまりよく一体的にデザイン化して書してなるにすぎず、また、「び」の文字の構成態様から請求人主張のごとく、「ナス」を認識するとはいえないから、本願商標は、その構成態様から、「美と愛の女神」の観念を生ずるというべきである。

そして、請求人の商標採択の理由が請求人の述べているとおりであるとしても、取引者、需要者が、その理由のとおり、理解、認識するとは限らない。したがって、請求人の上記主張は採用することができない。

イ 請求人は、化粧品の取引実情は、その商品を見ずに、あるいは手に取ることなく、商標の称呼のみで聴別して商品を購入するということはまずありえない旨、及び本願商標と引用商標とは、たとえ称呼のみが類似するものであったとしても、その点のみにとらわれて類否判断するのではなく、指定商品の取引実情に着目し、かつ外観及び観念(イメージ)を異にする点にも十分に着目して判断すべきである旨、述べている。

しかし、上記のとおり、本願商標と引用商標1及び2とは、称呼のみならず観念においても同一又は類似するものである。加えて、簡易、迅速を尊ぶ取引の実際においては、電話を用いた口頭による取引を行う場合も少なくないこと、テレビ・ラジオ等によるコマーシャル等のように専ら称呼による商品の宣伝広告が行われる場合があり、これらの宣伝広告を記憶してその称呼を頼りに取引に当たる場合も少なくなく、称呼の重要性も軽視できないというべきであるから、請求人の上記主張も採用することができない。

なお、請求人は、過去の登録例及び判決例を挙げ、本願商標も登録されるべきである旨主張しているが、これらの事例は、構成文字の組み合わせが異なるものであり、本願とは事案を異にするものであるから、請求人のかかる主張も採用することはできない。

(3)したがって、本願商標を商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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