Trademark Appeal Case
称呼の類似性と「ン」音
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2010−8963(T2010−8963/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「ふわりせん」の文字を標準文字で表してなり、第30類「菓子,パン」を指定商品として、平成21年2月13日に登録出願されたものである。
2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして、拒絶の理由に引用した登録第4373077号商標(以下「引用商標」という。)は、「ふんわりせん」の文字を標準文字で表してなり、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、平成11年3月10日に登録出願、同12年4月7日に設定登録されたものであり、同22年3月16日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
3 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり、「ふわりせん」の平仮名を書してなるものであるから、該構成文字に相応して「フワリセン」の称呼を生じるものである。
そして、その構成中の「ふわり」の語が「柔らかくふくらんださま。(−と仕上がったパン)」(株式会社小学館発行「大辞泉」)等の意味を有する語であり、「せん」の語は、例えば、「海老煎餅」を「えびせん」、製造の途中で割れたり、欠けたりした煎餅を「こわれせん」のように「せんべい」の略語として使用されていることから、構成文字全体から「柔らかくふくらんだせんべい」ほどの観念を生じるものである。
一方、引用商標は、前記2のとおり「ふんわりせん」の平仮名を書してなるものであるから、該構成文字に相応して「フンワリセン」の称呼を生じるものである。
そして、その構成中の「ふんわり」の語が「(ふわり)を強めていう語。(−と焼き上がったケーキ)」(株式会社小学館発行「大辞泉」)等の意味を有する語であり、「せん」の語は上記したように、「せんべい」の略語として使用されていることから、構成文字全体から「柔らかくふくらんだせんべい」ほどの観念を生じるものである。
そこで、本願商標と引用商標の類否について検討すると、称呼については、本願商標から生じる「フワリセン」の称呼と引用商標より生じる「フンワリセン」の称呼とを比較するに、両者は語頭の「フ」の音及び後半部の「ワリセン」の音を共通にし、異なるところは後者の第2音目における「ン」の有無にすぎないものであり、差異音の「ン」の音は、後舌面を軟口蓋後部に押しあてて、有声の気息を鼻から洩らして発する鼻音であって、しかも、明瞭に発音かつ聴取され得る前後の「フ」と「ワ」の各音の間に挟まれている関係上、微弱な音となり必ずしも独立した音として明瞭に発音かつ聴取され難いものとなるから、「ン」の音の有無が該称呼全体に及ぼす影響は少ないものといえ、「フワリセン」と「フンワリセン」の両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の語調、語感が近似したものとして聴取され、互いに聞き誤られるおそれがあるものといわなければならない。
また、両商標は「柔らかくふくらんだせんべい」の観念を共通にするものである。
さらに、外観において、両者は平仮名で表したものであり、「ふ」「わ」「り」「せ」「ん」の5文字を共通にし、引用商標の2文字目における「ん」の有無の差異を有するにすぎないものであるから、その外観も近似するものである。
そうとすれば、本願商標と引用商標とは、称呼、外観において類似し、観念を共通にするものであるから、両者は、外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、互いに相紛らわしい類似の商標というべきである。
そして、両商標の指定商品は、「菓子」及び「パン」を共通にするものである。
したがって、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
なお、請求人は、観念において、引用商標は、発音上で区切られる「ふんわり」部分から聴者は、柔らかくふくらんでいるもの(「せん」)というイメージを感得するものであり、本願商標では「ふわりせん」の「ふわり」部分は発音上も分離されることがないことから「ふわりせん」は、特別の意味を感得することのない造語として認識され、また、一部需要者には、「ふわり」部分からイメージを感得とするとしても、「ふわり」からは「空中に舞っている状態」を認識し、続く「せん」からは「扇」をイメージし、「ふわりと空中に舞っている扇」を感得する者もいると思われる旨、主張している。
しかしながら、「ふわり」及び「ふんわり」は、食品分野を含めて日常的に使用されている語であり、また、「せん」は前述のとおり、指定商品との関係において、「せんべい」を理解させるものであるから、本願商標に接する取引者、需要者は、本願商標が「ふわり」と「せん」、引用商標が「ふんわり」と「せん」とを結合したものものと理解、認識するというのが相当であり、本願商標及び引用商標は、いずれも「柔らかくふくらんだせんべい」の観念を生じるというのが相当である。
また、請求人は、称呼の中間に「ン」の有無の差を有する商標の類否についての審決例を挙げ、本願商標も同様に登録されるべきである旨主張するが、それらは商標の具体的構成において相違するばかりか、指定商品においても相違するものであるから、本願商標とは事案を異にするといわざるを得ず、それら審決例の存在によって、前記判断は何ら左右されるものではない。
したがって、上記請求人の主張は採用できない。
以上のとおり、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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