Trademark Appeal Case
家づくり工務店の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2010−5019(T2010−5019/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「家づくり工務店」の文字を標準文字で表してなり、第37類「建設工事,建築工事に関する助言,建築設備の運転・点検・整備,火災報知機の修理又は保守,錠前の取付け又は修理,看板の修理又は保守,建築物の外壁の清掃,窓の清掃,床敷物の清掃,床磨き」を指定役務として、平成20年12月10日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、全体として『家づくりの建築を請け負う業者、またはその会社』程の意味合いを容易に認識させる『家づくり工務店』の文字を書してなるところ,これをその指定役務に使用しても,需要者は上記の意味合いを認識するにすぎず、自他役務の識別標識として機能し得るものとはいえず、何人かの業務に係る役務であることを認識することができない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第6号について
本願商標は、前記1のとおり、「家づくり工務店」の文字を標準文字で表してなるところ、本願商標の構成中の「家づくり」の文字は、「住宅を造ること」の意味合いを容易に看取させ、「工務店」の文字は、「工務を業とする店、特に、建築を請け負う店」(広辞苑第六版 株式会社岩波書店発行)を意味する語として一般に広く親しまれた語であることから、全体として、「住宅建築を請け負う店」の意味を認識させるものである。
そして、本願指定役務の業界において、住宅建築を業とする工務店が「家づくり工務店」の文字を使用していることは、例えば、以下のインターネット情報からも窺い知ることができるものである。
ア 「北九州の子育てママの『生の声』を取り入れた家づくり工務店 ハゼモト建設」との見出しのインターネットウェブサイト(http://hazemoto0521.blog10.fc2.com/)には、「北九州の子育てママの『生の声』を取り入れた
家づくり工務店
」との記載がある(審決注:下線は、審決において付加したものである。以下、同じ。)。
イ 「KJ ワークス 木の家、薪ストーブ、太陽光発電、OM精神のそよ風、漆喰が大好きな福井の『気づきブログ』」との見出しのインターネットウェブサイト(http://blog.goo.ne.jp/mokusoya/e/ef9e3b5b4e03412c014de9b1c458efc6?fm=rss)には、「もっと、『
家づくり工務店
』らしく有りたいために・・・」との記載がある。
ウ 株式会社安成工務店のインターネットウェブサイト(http://www.yasunari-komuten.com/gm2/top/as_co_visit_idx/file_name/ag5126081711)には、「01/05◆
家づくり工務店
のホンネ、イベントレポート(レアリテno.03掲載)」との記載がある。
エ 加賀妻工務店のインターネットウェブサイト(http://www.kagatuma.co.jp/column/2009/02/post_113.html)には、「2009年02月05日
家づくり工務店
の品格『
家づくり工務店
の品格』親方と弟子・・・『
家づくり工務店
の品質』品質のある。質の高い住まいを提供すること。これが基本です。・・・」との記載がある。
オ アシストホームのインターネットウェブサイト(http://www.asisuto-home.com/)には、「小田原の
家づくり工務店
アシストホームです」、「・・・これまでにない新しいカタチの“低価格で高品質な新築住宅”をお手伝いする
家づくり工務店
・木のぬくもり住宅アシストホームです」との記載がある。
カ 「高品質×設計事務所×優良工務店×経済的+サポート 正直でやさしく楽しい!家づくり!! ハウスネット1000」との見出しのインターネットウェブサイト(http://www.ie-par.jp/category/1179926.html)には、「STEP4 事務局があなたの家づくりに最適な方法を考え適正で優良な
家づくり工務店
や住宅設計者などの家づくりのプロのパートナーに 匿名で相談しながらあなたの最適な家づくりを進めていきます。」との記載がある。
以上の実情を勘案すると、本願商標をその指定役務中「建設工事,建築工事に関する助言」及び当該役務に関連する役務に使用するときは、これに接する需要者をして、「住宅建築を請け負う店」の意味を理解させるにとどまるものにすぎず、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標であると判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものである。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、「家づくり」の語が特定の“家を建てること”等の意味合いを有し、「工務店」の語が“建築を請け負う店または業者”等の意味合いを有する語であるから、本願商標は「家づくり」と「工務店」という重複した意味合いを有する語が結合した造語である、本願商標を構成する「家づくり」の語が、具体的な特定の内容を表す語でないことから、本願商標は全体として具体的な業務内容が不明確であって記述的な表示と理解されるものではない、一般的に「工務店」の語と結合して使用される語ではない「家づくり」の語を「工務店」の語に結合させている点で、本願商標は自他役務識別標識としての機能を果たすものである、本願商標を登録することについて第三者に不利益は生じない等と縷々主張する。
しかしながら、本件の審理に係る商標法第3条第1項第6号に本願商標が該当するか否かは、その構成態様の全体を観察して判断すべきものであるところ、本願商標を構成する語の意味合いが部分的に重なりあうものであるか否か、本願商標の構成中「家づくり」の語が抽象的な意味合いであるか否か、本願商標を構成する「家づくり」と「工務店」の語の組み合わせが特異であるか否か、あるいは本願商標が造語であるか否かなどということは、本件の判断を左右するものではなく、本願商標は前記(1)のとおりの意味を看取させ、自他役務識別標識としての機能を果たすものではないといわざるを得ない。
加えて、前記(1)アないしカのとおり、住宅造りを請け負う工務店が「家づくり工務店」との表示を一般に使用している実情に照らしてみても、請求人の主張は当を得たものであるとは言い難いものである。
また、本願商標が登録されても、第三者に不利益は生じないと請求人は主張するが、本願商標が登録されることにより、その商標登録に係る商標権の効力が及ぶ範囲における第三者の使用は禁止されるところ、前記のとおり、住宅造りを請け負う工務店が「家づくり工務店」との表示を一般に使用している実情を踏まえるならば、請求人の主張は失当であるといわざるを得ない。
イ 請求人は、単に住居を建築するという枠を超えて、よりよい住環境を提供し、健やかな暮らしを実現させるという意味合いをこめて本願商標を採用した旨主張する。
しかしながら、請求人が本願商標を採択した意図は、本件の審理に係る商標法第3条第1項第6号の要件ではないから、本件の審理に何ら関係を有するものではなく、本件の判断を左右するものではない。
ウ 請求人は、「家づくり工務店」の語は、インターネットで検索しても、原審の拒絶理由に示された使用例の他には、出願人が使用する以外に見当たらず、辞書においても確認できないから、本願商標の指定役務の需要者間では、役務の質等の表示として普通に使用されていない旨主張する。
しかしながら、前記(1)アないしカのとおり、住宅造りを請け負う工務店が「家づくり工務店」との表示を一般に使用している実情があることに照らせば、「家づくり工務店」の使用が見当たらないことを前提とする請求人の主張はその前提を欠くものといわざるを得ない。さらに、本願商標を構成する「家づくり工務店」の語の使用の事実あるいは辞書類への掲載の有無が、本件の判断を決定づけるものでないことは、本件の審理に係る商標法第3条第1項第6号の規定に照らして明らかである。
エ 請求人は、東京高裁の判決(平成12年(行ケ)第76号、平成12年9月4日判決)に言及し、当該判決があるとしても、現実に使用されていない場合には直ちに内容表示であると認識するということはできず、また、過去の審決において、請求を認容する理由の一つとして、取引上普通に使用されている事実がなかったことが認定されていることからすれば、現実の使用の有無が識別力に大きく関係することは明らかである旨主張する。
しかしながら、当該判決は請求人の主張に係る点について、要旨、商標法3条1項3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである旨判示した確定判決である。しかして、本件の審理に係る商標第3条第1項第1項第6号は、同法第3条第1項第1号ないし第5号の総括条項であることからすれば、上記判決の判示した内容は、第6号の解釈についても妥当するものであるところ、当該判決の判示した事項を本件についてみれば、本願商標に商標法第3条第1項第6号を適用する場合において、現実に使用されている等の事実は必ずしも要求されないものというべきである。それにもかかわらず、請求人は、前記のような独自の見解を縷々主張するが、その主張を裏付ける証拠の提出もなく、他に本件の審理において前記判決と異なる解釈を採らなければならないとする格別の事情も存しないものである。
オ 請求人は、商標登録や審決の具体例を挙げ、本願商標も登録し得るものである旨主張する。
しかしながら、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かの判断は、本願商標の具体的な構成態様に基づいて、個別具体的に判断されるものであるところ、商標登録や審決の事例が存することによって、本願商標が当該規定に該当することを否定することはできず、また、本願商標が当該規定に該当するものであるか否かの判断が、当該商標登録や審決の事例に拘束されるものでもない。
なお、請求人は、前記アないしオの主張のほかに縷々主張しているが、いずれも独自の見解であるといわざるを得ず、本件の判断を左右するものではない。
よって、前記の請求人の主張は、すべて採用することができない。
4.結語
以上からすれば、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
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