Trademark Appeal Case
立体商標の形状識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年審判第16586号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、商標の構成を別掲に示すものとし、第9類「電子応用機械器具及びその部品、電気通信機械器具、写真機械器具、映画機械器具、光学機械器具、理化学機械器具、測定機械器具、レコード、メトロノーム、映写フィルム、スライドフィルム、スライドフィルム用マウント、録画済みビデオディスク及びビデオテープ、金銭登録機、硬貨の計数用又は選別用の機械、作業記録機、写真複写機、手動計算機、製図用又は図案用の機械器具、タイムスタンプ、タイムレコーダー、電気計算機、パンチカードシステム機械、票数計算機、ビリングマシン、郵便切手のはり付けチェック装置」を指定商品として、平成9年4月1日に立体商標として登録出願、その後、指定商品については、平成10年7月17日付手続補正書により「デジタルカメラ」と補正されたものである。
2 原査定の理由
原査定は、「本願商標は、その構成中に『記録モード/消去』『送り』『戻し』『画質』『DATA』等の文字とともに各種のスイッチやボタンが認められるほか、作動状態を表示するディスプレイ部や、レンズ及びフラッシュと認められる部分があることをも踏まえるならば、全体としては、所謂デジタルカメラそのものであると容易に認識できるものであることから、これをその指定商品、デジタルカメラに使用したときは、その商品の形状(品質)を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)平成8年法律第68号により改正された商標法は、立体的形状若しくは立体的形状と文字、図形、記号等の結合又はこれらと色彩との結合された標章であって、商品又は役務について使用をするものを登録する立体商標制度を導入した。
立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状を含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)に商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。
そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは商品等の機能、又は美感をより発揮させるために施されたものであって、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まるというのが相当である。
また、商品等の形状は同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用をする必要があり、かつ、何人も使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。
そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状は、使用された結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において当該形状をもって同種の商品又は役務と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。
立体商標制度を審議した工業所有権審議会の平成7年12月13日付け「商標法等の改正に関する答申」P30においても、「3.(1)立体商標制度の導入 需要者が指定商品若しくはその容器又は指定役務の提供の用に供する物の形状そのものの範囲を出ないと認識する形状のみからなる立体商標は登録対象としないことが適当と考えられる。・・・ただし、これらの商標であっても使用の結果識別力が生ずるに至ったものは、現行法第3条第2項に基づき登録が認められることが適当である。」としている。
(2)これを本願についてみれば、本願商標は、別掲に示した構成のとおり、被写体を記録するために必要なレンズ、シャッター、フラッシュ等の操作部、記録年月日、作動状態等が表示されるディスプレイ部及び商品の機能等を表したものといえる「OPEN」「送り」「戻し」「DATA」「EV」「画質」「ライブ」「記録モード/消去」の文字等とともに各種の作動スイッチが認められるところ、その指定商品「デジタルカメラ」との関係においては、全体としてその商品の形状の一形態を表したものとみられるものであるから、これをその指定商品「デジタルカメラ」について使用しても、取引者、需要者は、単に商品の形状を表示したものと認識するにすぎないものといわなければならない。
(3)請求人は、「仮に箱形自体を基本的形状だとしても、薄い横長の箱形形状の一部に凸部を施した部分、上部に施された操作部の部分に着目すると、その構成は明らかに新規に技巧を加えた部分であり、全体として捉えても特殊な態様であることは明白である。そして、他社の製品形状と比較しても請求人独自の新規な特徴が認められる以上、取引者・需要者はここの部分に着目して取引を行うのであり、識別機能を十分に果たしているといえる」旨主張する。
しかしながら、本願商標に係るデジタルカメラの形状が他社の製品のものとは異なる新規な形状を示してはいても、それは専ら、商品の機能、又は美感をより発揮させるために施されたものであることは前記(1)で述べたとおりであり、それをもって直ちに本願商標に関し自他商品の識別性に影響を与えるものとは認め難く、これに接する取引者、需要者もまた、デジタルカメラの形状の範囲のものと認識するにすぎないというべきであって、結局、本願商標は、デジタルカメラの形状を表示したものであると認識されるに止まるものといわなければならない。
(4)したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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