Trademark Appeal Case
効能表示の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成10年審判第13720号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、後掲に示すとおり、「おなかにおいしい」の文字を横書きしてなり、第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,サンドイッチ,ピザ,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,氷,アイスクリーム用凝固剤,ホイップクリーム用安定剤」を指定商品として、平成8年5月24日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『おなかにおいしい』の文字を書してなるところ、「おいしい」の文字は『物の味がよい』のほかに『都合がよい、好ましい』等の意でも一般に用いられており、また、近時の健康志向の高まりから、消化吸収に効果があるとされる食物繊維、乳酸菌等を加味したアイスクリーム(森永製菓株式会社=東京都港区芝5−33−1所在)等に使用されている実情よりすれば、これを本願指定商品に使用しても、全体として『おなかの調子を良好に保つのに好ましい商品』なる意味合いをもって、需要者の関心を引きつけるための一種の宣伝、広告的語句を表したものと理解させるにとどまり、何人かの業務に係る商品であるかを認識することができない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、その構成後掲したとおり、「おなかにおいしい」の平仮名文字を書してなるところ、その構成中、後半部の「おいしい」の文字は、株式会社岩波書店発行「広辞苑 第五版」によれば、「美味である。」以外に「都合がよい、もうけになる、の意でも用いる。」旨解説され、或いは、株式会社三省堂発行「大辞林第二版」によれば「1.物の味がよい。2.都合がよい。利益になる。好ましい。」旨の解説されており、これらよりすれば、本願商標が直接食べ物の味を形容するものというよりは、むしろ、全体として「おなか(胃腸)に具合(都合)がいい。おなか(胃腸)に好ましい。」といった意味合いの語として認識し把握されるものといえる。
そして、昨今、かかる比喩的表現が極めて一般的かつ常套的に用いられている状況は、例えば、以下の(イ)ないし(ホ)より窺い知ることができる。
(イ)「『経営ひと言/ジェービービーステビア研究所』・・『甘い』ステビアで『おいしい』ビジネスチャンスを探す。」(1998.08.19付日刊工業新聞より)
(ロ)「新入社員の8割『条件しだいで転職』・・と、“おいしい生活”を望む若者の姿が浮かんでくる。」(1990.05.24付朝日新聞朝刊 埼玉版より)
(ハ)「『バブル 退治は一筋縄でいかぬ怪物』・・バブル最盛期にはやったコピーに『おいしい生活』というのがある。・・楽して質のいい暮らしをしたいという、・・。今私たちは、『モノはもう十分だから、心の豊かさがほしい』といいている。深読みすれば、『よりおいしい生活を!』ということだ。」(1995.09.19付同朝刊 福岡版より)
(ニ)「『スポーツ用品“欧州戦争”』・・欧州は、支配力を強めれば、ブランドが世界的に確率する『おいしい市場』だが、・・。」(1993.09.11付同夕刊より)
(ホ)「『聞こえぬような音の重要さ』・・音楽がもっと奥深い楽しみを与えてくれるかもしれない。同じCDも一枚で二度おいしい!」(1996.02.04付同紙朝刊より)
また、この傾向は、本願商標の指定商品とする食品関連の分野においても同様であって、例えば、アイスクリームについて、「(食品・アグリ−森永製菓)『からだにおいしい』シリーズ 小麦はい芽のクッキーチップを加え、1日に必用な食物繊維の3分の1がとれるバニラアイス『おなかにおいしい』・・ビタミン類がとれるオレンジシャーベット『お肌においしい』・・・カルシウムのとれる抹茶アイス『こころにおいしい』・・」(1997.03.25付日経産業新聞より)の如く用いられ、また、はんぺん或いは酒類について、「カラダにおいしい。ふんわりおいしい。 紀文はんぺん」、「飲む紫蘇42枚。体においしいお酒、誕生。 Mercian」(食品新聞社発行「1998年3月24日臨時増刊 食品新聞」中の広告記事より)等の各記載に照らし、顕著な事実と認められる。
以上によれば、「おなかにおいしい」の文字(語)よりなる本願商標を、その指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、前記事情よりして、該商品(食品)の品質、効能を標榜するもの、すなわち、世上一般に常用される特定事物の効能、効果等を標榜する比喩的表現の一つと理解されるに止まり、何人かの業務に係る商品であるのかを認識することができないものといわなければならない。
したがって、本願商標を商標法第3条第1項第6号に該当するものとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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