Trademark Appeal Case
称呼類似と音の差異
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2010−7217(T2010−7217/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「TBX」の欧文字を標準文字で表してなり、第1類「微生物利用生ゴミ醗酵分解処理剤,排水・汚水・汚泥の浄化消臭用の微生物応用処理剤,微生物酵素からなる排水処理剤,工業用脱臭剤,微生物を利用した工業用脱臭剤,土壌改良剤」を指定商品として、平成20年12月10日に登録出願された商願2008−99444を原商標登録出願とする商標法第10条第1項の規定による商標登録出願(分割出願)として、同21年8月26日に登録出願されたものである。
2 引用商標
原査定において、本願商標が、商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願の拒絶の理由に引用した登録第2101868号商標(以下「引用商標」という。)は、「TPX」の欧文字を表してなり、昭和61年9月8日に登録出願、第1類「化学品(他の類に属するものを除く)薬剤、医療補助品」を指定商品として、同63年12月19日に設定登録されたものである。その後、平成11年1月12日、同20年7月1日に、商標権の存続期間の更新登録がなされ、指定商品については、同21年5月13日に第1類「化学品,のり及び接着剤(事務用又は家庭用のものを除く。),植物成長調整剤類」、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用海草のり,洗濯用コンニャクのり,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり」、第4類「固形潤滑剤」、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料」、第8類「ピンセット」、第10類「おしゃぶり,氷まくら,三角きん,支持包帯,手術用キャットガット,吸い飲み,スポイト,乳首,氷のう,氷のうつり,ほ乳用具,魔法ほ乳器,綿棒,指サック,避妊用具,人工鼓膜用材料,補綴充てん用材料(歯科用のものを除く。)」及び第16類「事務用又は家庭用ののり及び接着剤」を指定商品とする書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。
3 当審の判断
(1)本願商標は、前記1に示す構成のとおり「TBX」の文字を標準文字で書してなるところ、その構成文字に相応して「ティービーエックス」の称呼を生ずるものである。
他方、引用商標は、前記2に示す構成のとおり「TPX」の文字を書してなるから、その構成文字に相応して「ティーピーエックス」の称呼を生ずるものである。
そこで、本願商標より生ずる「ティービーエックス」と、引用商標より生ずる「ティーピーエックス」の両称呼を比較するに、両称呼は、共に長音及び促音を伴う5音構成からなるところ、称呼識別上重要な要素を占める語頭における長音を伴う「ティ」及び第3音の促音を伴う「エ」「ク」「ス」の各音を同じくし、異なるところは第2音における長音を伴う「ビ」と「ピ」の音の差異にすぎないものである。
しかして、「ビ」と「ピ」の音とは、同じ音節「ヒ」の濁音と半濁音としての差異にすぎない同じ音質のものであって、共に両唇破裂音であり母音「イ」(i)を共通にする音であることから、その語調、語感が近似し、両者は相紛らわしい近似した音として聴取されやすいものということができ、かつ、該差異音は、前音で音質を同じくする「ティ」の音と、後続の明瞭に発音される「エ」の音に挟まれ、比較的聴別し難い音と認められる。
また、本願商標と引用商標とは、それぞれから生ずる「ティービーエックス」と「ティーピーエックス」の称呼も、語呂よくスムーズ、かつ、平坦に称呼し得るものであって、語頭音の「ティー」及び第3音からの「エックス」の各音を同じくし、かつ、長音を伴う第2音の「ビ」と「ピ」の音が相紛らわしい以上、この差異が称呼全体に及ぼす影響は少ないものというべきであって、その称呼において酷似しているものであるから、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、語調、語感が相似たものとなり彼此聞き誤るおそれがあるものと判断するのが相当である。
(2)請求人は、現代では、アルファベット3文字の会社名が増え、需要者は、発音の違いに大変に気を付けるようになり、有声破裂音と無声破裂音の違いを注意深く聞き取るようになり、本願商標と引用商標は、混同されず、非類似である旨主張している。
しかしながら、商標の類否判断における基準の一つとして用いられる商標の称呼は、当該商標が使用される商品の主たる需要者層等をも考慮して、需要者の通常有する注意力を基準とすべきであるところ、本願の指定商品中例えば「土壌改良剤」は、農業・園芸用に使用される商品であり、一般的には、農業協同組合、ホームセンターなどで販売されるものであって、その主たる需要者層は、農家、家庭菜園を行う者等の一般の消費者がその需要者であるといえる。
そうとすれば、その主たる需要者が、両商標の差異音である有声破裂音と無声破裂音の違いを明瞭に発音し、注意深く聞き取る理由は存在しないばかりか、簡易、迅速を尊ぶ取引の実情を考慮すれば、両商標を常に明瞭に発音する者ばかりでないこと、及びこれを聴取する者も慎重に注意深く聴取する者ばかりでないことは、想像をするに難くないところであるから、請求人の上記の主張は採用することができない。
なお、請求人は、アルファベット3文字の併存する登録例を挙げ、本願商標が登録されるべき旨主張するが、請求人の挙げた登録例は、対比する商標の具体的構成において本願とは事案を異にするものであり、また、商標登録出願に係る商標が商標法第4条第1項第11号に該当するか否かの判断は、個々の事案に即して個別具体的に判断されるべきものであるから、上記登録例をそのまま本件の類否判断に当てはめることは妥当でなく、上記登録例等の存在をもって、本件における類否判断が左右されるものではないこと明らかである。
(3)したがって、本願商標と引用商標とは、外観において相違し、観念において比較すべきところがないとしても、称呼において類似する商標というべきであり、かつ、その指定商品も同一又は類似するものであるから結局、本願商標を商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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