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Trademark Appeal Case

「白雪」商標の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2009−16088(T2009−16088/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「しらゆき」と「白雪」の文字とを二段に横書きしてなり、第24類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として、平成20年3月11日に登録出願、その後、指定商品については、原審における同年10月10日付け手続補正書により第24類「ふきん」と補正されたものである。

2 引用商標

原査定において、本願商標の拒絶の理由に引用した登録第553966号商標は、別掲のとおりの構成よりなり、昭和34年1月20日登録出願、第7類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同35

年8月6日に設定登録され、その後、同55年12月23日、平成2年9月20日、同12年8月22日、同22年7月20日の四回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、指定商品については、同13年7月4日に第6類「鋼管,煙突,階段踏み板,回転窓用へいそく装置,壁板,格子,さく,シャッター,水道管,タイル,建物の鉄鋼枠,棚板,ちょうつがい,手すり,鉄線じゃかご,天井板,天井装飾品,電柱用柱,とい,とい台,扉とっ手,扉,柱,羽目板,はり,針金格子,針金さく,防火扉,舗床用材料,窓,窓用引き手,窓枠,門,有刺鉄線,床板,よろい戸,ラス,れんが,金庫,戸,座金,ナット,ボルト,リベット,ワッシャー,環,鎖,安全錠,鍵,南京錠,蹄鉄,ばね,金属製瓶用栓,その他の金属製包装用容器,金属製管継ぎ手,いかり,金網,ワイヤーロープ,金属製家庭用水槽,金属製貯金箱,金属製のきゃたつ及びはしご,金属製のネームプレート及び標札,金属製帽子掛けかぎ,金属製郵便受け,金属製靴ぬぐいマット,金属製立て看板,金属製彫刻,金属製のバックル,つえ用金属製石突き,金属製あぶみ,拍車」、第7類「ばね」、第8類「アイロン(電気式のものを除く。),五徳,十能,火ばし」、第10類「金属製又は琺瑯製の病人用便器」、第11類「ガスストーブ,石油ストーブ,暖炉,金属製火鉢,ガス湯沸かし器,ガスレンジ,金属製かまど,石油こんろ,天火,浴槽がま,水道蛇口用座金,水道蛇口用ワッシャー,金属製又は琺瑯製の便器,かいろ,金属製湯たんぽ」、第12類「ばね」、第16類「活字」、第17類「ゴム製又はバルカンファイバー製の座金,管継ぎ手(金属製のものを除く。)」、第18類「かばん金具,がま口口金,洋傘の骨,つえ金具」、第20類「座いす,座金(金属製・ゴム製又はバルカンファイバー製を除く。),ナット・ねじくぎ・ボルト及びリベット(金属製のものを除く。),ベンチ」、第21類「かま,金属製又は琺瑯製のなべ,はんごう,フライパン,鉄瓶,やかん,菓子缶,茶缶,金属製又は琺瑯製のべんとう箱,金属製又は琺瑯製の湯のみ,金だらい,金属製なべ敷き,金属製バケツ,焼き網,金属製おしろい入れ,金属製せっけん入れ,まつ毛カール器,金属製又は琺瑯製の寝室用簡易便器」、第25類「靴保護金具」、第26類「被服用はとめ」及び第34類「金属製たばこケース」とする指定商品の書換登録がされたものである。

3 当審の判断

(1)本願商標

本願商標は、前記1のとおり「しらゆき」及び「白雪」の文字を書してなるところ、その構成文字に相応して「シラユキ」の称呼、及び「真っ白い雪」の観念を生ずるものである。

(2)引用商標

引用商標は、別掲のとおり山のごとき図形の下に「白雪」の文字を縦書きに配した構成よりなるところ、その構成中の図形部分と文字部分とを、常に一体不可分のものとして観察しなければならない格別の事情があるものということはできないから、その構成中の「白雪」の文字部分も独立して、自他商品の識別標識としての機能を果たすものというのが相当である。

してみれば、引用商標は、その構成中の文字部分に相応して、「シラユキ」の称呼、及び「真っ白い雪」の観念を生ずるものである。

(3)本願商標と引用商標との類否について

本願商標は、前記(1)のとおり、「シラユキ」の称呼、「真っ白い雪」の観念を生ずるものである。他方、引用商標は前記(2)のとおり「シラユキ」の称呼、「真っ白い雪」の観念を生ずるものである。

また、外観において本願商標と引用商標とは、その構成中の「白雪」の漢字を共通にしているものであるから、当該文字部分において近似するものというのが相当である。

してみれば、本願商標と引用商標とは、外観において近似し、「シラユキ」の称呼、及び「真っ白い雪」の観念を共通にする類似の商標というのが相当である。

(4)本願商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否について

商標法第4条第1項第11号における商品の類否については、東京高裁の平成16年7月26日判決において、「・・・商標法4条1項11号に規定する指定商品の類否は,取引の実情に照らし,それらの商品が通常同一営業主により製造又は販売されている等の事情により,それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認混同されるおそれがあるか否かによって判断されるべきである(旧商標法〔大正10年法律第99号〕2条1項9号の適用事案に係る昭和36年最判及び昭和39年最判参照。なお,同項10号〔現行商標法4条1項13号に相当〕の適用事案に係る最高裁昭和43年11月15日第二小法廷判決・民集22巻12号2559頁も同旨。)。・・・」(平成15年(行ケ)第456号)と判示されているところである。

そこで、以上の観点から本願商標と引用商標の指定商品の類否についてみるに、本願商標の指定商品「ふきん」と引用商標の指定商品に含まれる商品「金だらい,金属製バケツ」とは、清掃用品として使用されるものであって、販売部門、用途、需要者の範囲が一致するものである。

しかして、これらの商品が、同一の営業主から販売されている取引の実情は、例えば、以下のインターネット情報からも伺えるところである。

ア 「日用品総合卸問屋 Made in Japanshop NAGAMINE」のウェブページにおいて、バケツとふきんは、清掃用具に含まれており、「耐久性に優れた安心素材。防火としても使えますトタン(ブリキ)バケツ」(http://item.rakuten.co.jp/nagamineshouten/c/0000000349/)や「特殊レーヨン100%で、油汚れもピカピカに!【メール便対応】魔法のフキン(レンジふき)」(http://item.rakuten.co.jp/nagamineshouten/c/0000000454/)が販売されている。

イ 「『包装用品・料理道具のパックハマヨシ』」のウェブページにおいて、「4色キッチンふきん」(http://hamayoshi.ocnk.net/product/3756)とともに「アルミ製 タライ」(http://hamayoshi.ocnk.net/product/5869)が販売されている。

ウ 「厨房卸問屋 名調」のウェブページにおいて「アルマイト たらい(洗い桶)」(http://item.rakuten.co.jp/meicho/0126-1103/)とともに「【ふきん】あっちこっちふきん 徳用サイズ[L]ピンク」(http://item.rakuten.co.jp/meicho/2-0903-1702/)が販売されている。

エ 「昭和のレトロ金物屋 関口国吉商店」のウェブページにおいて「タオルフキン&オシボリ」(http://item.rakuten.co.jp/sekiguchikunikichi/7502-604011/)とともに「ブリキ たらい 洗い桶 洗桶」(http://item.rakuten.co.jp/sekiguchikunikichi/1101-100009/)が販売されている。

以上からすれば、本願商標の指定商品「ふきん」と引用商標の指定商品中の「金だらい,金属製バケツ」とは、同一の営業主により販売されることも多く、その使用目的も清掃用という点で共通するものである。

加えて、これらの商品の需要者は、一般の消費者であるという点で一致するものである。

そうとすると、引用商標と類似する本願商標をその指定商品に使用するときは、取引者、需要者は本願商標の指定商品「ふきん」の販売主が引用商標の指定商品「金だらい,金属製バケツ」の販売主であるかのような印象を受け、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものというべきである。

したがって、本願商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、類似の商品であると判断するのが相当である。

しかして、このことは、特許庁商標課編「商品及び役務の区分解説〔国際分類第9版対応〕」の第21類「清掃用具及び洗濯用具」の項においても、「[関連商品]」として「ふきん(第24類)」が挙げられており、清掃用具及び洗濯用具に包含される「金だらい,金属製バケツ」と「ふきん」は、関連の深い商品であることが示されているところである。(なお、引用商標の書換登録の申請書の提出日に効力を有していた商標法第六条第二項の政令で定める商品及び役務の区分についての解説である特許庁商標課編「商品及び役務の区分解説〔国際分類第8版対応〕」においても、記載内容は同一である。)。

してみれば、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものである。

(5)請求人の主張について

ア 請求人は、本願商標の指定商品「ふきん」と引用商標の指定商品「金だらい,金属製バケツ」とは、生産者・取引系統等において相違する商品であり、商品の原材料、品質、用途等を異にする商品であるとし、結局、本願商標の指定商品と引例商標の指定商品は非類似であると主張する。

しかしながら、請求人が主張するようにスーパーにおいて、商品の陳列棚が相違するからといって、商品の販売部門が一致しないということはできない。小売店舗における商品の陳列棚には、商品の色違い、柄違い、サイズの大小など、同種類の商品が取りそろえられていることが通例であり、陳列棚が別になっているとしても、暮らしのフロア、家庭用品などといった小売店舗内の同一の売り場において販売されているものであれば、販売部門が一致するものというべきである。

また、請求人は、今日の販売形態としてインターネットを利用したショップや通信販売が注目を集めているところ、引例商標に係る商標権者が指定商品の販売をしていることは、検索しても見当たらないし、スーパーにおいても販売していない旨主張する。

しかしながら、インターネットを利用したショップにおいて販売されていないことをもって、その事実から本願商標と引用商標の指定商品とが類似しないとの判断が導き出されるものではない上に、引用商標に係る商標権者(以下「引用商標権者」という。)の商品販売の有無はさておき、インターネットを利用したショップにおいて引用商標の指定商品が販売されていることは、前記(4)のとおりである。さらに、引用商標がその指定商品中「金だらい,金属製バケツ」に使用されていないとしても、そのことが、本件で審理する商標法第4条第1項第11号の要件でないことは、同規定に照らして明らかである。

また、請求人は、本願商標と引用商標の各指定商品は一致しない、「ふきん」は食事後食器を拭き、「金だらい,金属製バケツ」は清掃場所で使用されるから、これらを類似商品として扱うのは広すぎる旨主張する。

しかしながら、商品の類否については、前記(4)において引用した東京高裁の判決において言及されている最高裁判所の判例(昭和39年(行ツ)第54号、昭和43年11月15日最高裁判所第二小法廷判決)において、要旨、商品自体が取引上互いに誤認混同を生ずるおそれがないものであっても、それらの商品に同一または類似の商標を使用するときは、同一営業主の製造または販売にかかる商品と誤認混同されるおそれがある場合には、これらの商品は類似の商品にあたると解すべきこと、また、両商品は互いに品質・形状・用途を異にするものであっても、それに同一または類似の商標を使用すれば同一営業主の製造または販売にかかる商品と誤認混同されるおそれがある場合には、これらの商品は類似の商品にあたると解すべきことは、すでに当裁判所の判例とするところである旨判示されている(審決注:当該判例及び当該判例が引用する最高裁判所の判例は、旧商標法(大正10年法律第99号)の適用される事件についてのものであるが、なお、現行商標法(昭和34年法律第127号)が適用される本件においても確立された判例と評価されるものである。以下の最高裁判所の判例についても同様である。)。したがって、商品自体が一致せず、その品質、形状などを異にするからといって、対比する商品同士が類似しない、ということはできないものである。しかして、本願商標の指定商品と引用商標の指定商品については、それらに類似する商標を使用したときは、同一営業主の販売に係る商品と誤認混同されるおそれがあるというべきなのは、前記(4)のとおりである。また、商品の類否は、「類似商品として扱われるのは広すぎ」るというような主観的な観点から判断されるものではない。

また、請求人は本願商標の指定商品の需要者層は、圧倒的に主婦及び女性が主であり、衛生上「ふきん」を他の用途に使用することは絶対にない、ましてや「ふきん」が引例商標の指定商品「金だらい,金属製バケツ」と類似商品と思っている需要者は全く存しない旨主張する。

しかしながら、本願商標の指定商品と引用商標の指定商品の需要者は、一般的にいえば家事に携わる者であるから、本願商標と引用商標の指定商品の需要者の範囲は同一である。また、本願商標の指定商品「ふきん」が衛生上の観点から他の用途に使用されないことを、請求人は、その主張の理由とするようであるが、商品の類否は、対比する商品自体が取引上互いに誤認混同を生ずるおそれがないものであっても、両者に同一または類似の商標を使用するときは、同一営業主の製造または販売にかかる商品と誤認混同されるおそれがあるか否かにより判断されるべきであることは、前記の東京高裁の裁判例及び最高裁判所の判例が示すとおりである。

また、請求人は、本願商標の指定商品は布製品であり、引用商標の指定商品は金属製品であり、素材、質感も大きく異なる、また、商品の製造機械に使用されている技術も製造工程も全く異なる商品を、商標の漢字文字の称呼が共通することのみをもって、一般の需要者が出所を同じくすると誤認するとは常識的に考えられない旨主張する。

しかしながら、商品自体が相違しているとの主張が、対比する両商品の類否の判断を左右するものではないことは、前記の東京高裁の裁判例及び最高裁判所の判例に照らして明らかである。

また、請求人は、請求人の企業である垣谷繊維(以下「垣谷」という。)は商品「ふきん」で、引用商標権者は商品「日本酒」で、全国的によく知られた企業であるから、商品の出所について需要者が誤認混同することはない旨主張する。

しかしながら、本件の審理は、本願商標が、商標法第4条第1項第11号の規定に該当するか否かを審理するものであるところ、垣谷又は引用商標権者が全国的によく知られているか否かは、同規定を適用するための要件ではないことは、同規定に照らして明らかである。加えて、垣谷が「ふきん、てぬぐい、ハンカチ、タオル」などを扱うが、「金だらい,金属製バケツ」は扱っていない(垣谷のインターネットホームページ(http://www.shirayuki-fukin.com/shohin/index.html))、また、引用商標権者が、「日本酒、焼酎、リキュール、ビール、ワイン」などを扱うが、「ふきん」を扱っていない(引用商標権者のインターネットホームページ(以下「引用商標権者HP1」という。)(http://www.shirayuki.co.jp/pickup/))としても、一般的に企業は多種類の事業を営み、自社で製造しないとしてもOEM(相手先ブランドによる生産)などを利用して、多種類の商品を取り扱いうるし、また、取り扱っていることが経験則に照らして明らかであり、他に、そのような事情が本件には妥当しないとの的確な証拠もないことを踏まえると、本願商標の指定商品の需要者が、当該指定商品が引用商標権者を出所とするものであるとの誤認を生ずるおそれがないということはできないというのが相当である。

また、請求人は、類似群コードの付与が適切ではないなどと縷々主張している。

しかしながら、 本件の審理は、類似群コードの付与が適切であるか否かを審理するものではなく、商標法第4条第1項第11号の適用を巡り、本願商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否を判断するものであるところ、その点については、前記(4)のとおりに判断するものである。

また、請求人は、商品に付与された類似群コードが同じでも、商品が非類似と判断された審決例があると主張し、具体例を挙げている。

しかしながら、それらの審決例は、本件の審理対象とは事案を異にするものであるから、本件の審理に適切なものということはできない上に、本件では、類似群コードが同一であることのみをもって、本願商標と引用商標の指定商品とを類似と判断したものではない。

イ 請求人は、要旨、引用商標中の図形部分は富士山を表現したものであること、引用商標権者は「富士山」と同社の商品とを、強く関連付けてアピールしていることから、引用商標は、頂に白雪を乗せた富士山との印象を抱かせるものであるとし、他方、本願商標は、そのような印象を抱かせるものではないから、本願商標と引用商標とは、外観、観念及び称呼において類似しないと主張する。

しかしながら、引用商標が「フジヤマシラユキ」、「フジシラユキ」等との称呼をもって、取引に資されているというような格別の事情もないことからすれば、引用商標の図形部分と文字部分とを、常に一体不可分のものとして観察しなければならないものということはできない。また、引用商標権者が、その沿革として、江戸時代(1635年頃(寛永12年頃))に江戸に酒樽を運ぶ途中、雪を頂いた富士の気高さに感動し、清酒を「白雪」と名付けたとの故事(引用商標権者のインターネットホームページ(以下「引用商標権者HP2」という。)(http://www.shirayuki.co.jp/company/index.html))があること、「山は富士、酒は白雪」とのキャッチコピーを使用している(引用商標権者HP1及び同HP2)ことがあるとしても、引用商標の図形部分と文字部分とを、常に一体不可分のものとして、取引に資されるものであると断定することはできず、その他に引用商標の構成中の図形部分と文字部分とを、常に一体不可分のものとして、取引に資されているとする的確な証拠がないことを踏まえるならば、簡易、迅速をたっとぶ取引の実際においては、引用商標は、その文字部分だけによって簡略に称呼、観念され取引に資されることも決して少なくないものというのが相当である(昭和37年(オ)第953号、最高裁判所第一小法廷昭和38年12月5日判決参照)。

また、請求人は、引用商標は非常に歴史もあり、何人にも認識されているから、本願商標とは明らかに区別されると主張している。

しかしながら、請求人の主張の根拠が、引用商標権者が登録第119593号商標(大正9年8月21日付け設定登録)を現在に至るまで更新登録をし続けていることにあるとしても、当該商標登録と引用商標に係る商標登録とは、別個の商標登録である上に、当該登録商標と引用商標とは、商標の具体的態様も相違し、指定商品も全く別の商品であって、類似の関係にあるものでもないから、当該商標登録が存することをもって、引用商標について非常に歴史があるものということはできない。また、同様に、引用商標権者の防護標章登録(商標登録第114309号商標の防護標章登録第1号)を根拠とするとしても、当該防護標章登録を受けた当該商標登録と引用商標に係る商標登録とは、別個の商標登録である上に、当該防護標章登録の指定商品と引用商標の指定商品とは、全く別の商品であって、類似の関係にあるものでもないから、当該防護標章登録が存することをもって、引用商標が周知、著名な商標ということはできない。したがって、請求人の主張は、その前提を欠き失当である。

加えて、本件の審理は商標法第4条第1項第11号の規定についてのものであるところ、同規定は、他人の先願に係る登録商標と同一又は類似の商標であって、その登録商標に係る指定商品又は指定役務と同一又は類似の商品又は役務について使用をする商標は登録を受けることができない旨定めるものである。したがって、請求人の主張する引用商標が非常に歴史があり、何人にも認識されているとのことは、同規定を適用するための要件ではなく、本件の判断を左右するものではない。しかして、本件については、上記1及び2のとおり、引用商標が本願商標の先願に係る他人の登録商標であり、上記(3)のとおり、本願商標が引用商標に類似するものであり、上記(4)のとおり、本願商標の指定商品も引用商標の指定商品に類似するものである以上は、同規定により本願商標について商標登録の余地がないものと判断するものである。

なお、商標の類否については最高裁判所の判例(昭和39年(行ツ)第110号、最高裁判所第三小法廷昭和43年2月27日判決)において、商品の取引の実情を明らかにしうるかぎり、その具体的な取引状況に基づいて判断するのを相当とする旨判示するところである。これを、本願商標についてみるに、本願商標の指定商品の需要者は、一般に家事に携わる一般的な消費者であって、商標について必ずしも詳しい知識を有する者であるとは限らないこと、本願商標の指定商品は、一般的には低廉なものであるから、その購入に際して子細に商標を観察する等十分に吟味することなく、短時間のうちに商品の購入を決定することがしばしばありうることは、経験則に照らして推認するに難くないというべきである。しかして、請求人の主張は、以上のような取引の実情を考察するに際して、何ら影響を与えるものではないから、当該取引の実情を参酌して、本願商標と引用商標の類否を判断するとしても、本願商標をその指定商品に使用した場合、その商品の需要者において商品の出所を誤認混同するおそれがあるから、本願商標は引用商標に類似する商標というべきである。

よって、前記請求人の主張は、いずれも採用することができない。

(6)むすび

したがって、本願商標と引用商標とは類似するものであり、かつ、本願商標の指定商品は、引用商標の指定商品と類似するものであるから、本願商標を商標法第4条第1項第11号に該当するとして、その出願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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